2024年1月29日更新業種別M&A

化粧品会社のM&A・事業承継の動向は?事例20選も紹介【2024年最新】

本記事では、化粧品会社のM&A・事業承継の事例や、買収に積極的な企業などを紹介します。近年、化粧品会社のM&Aの成約件数が増加しており、M&Aにより異業種から参入する企業や海外進出を行う企業が目立っています。化粧品会社のM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 化粧品会社のM&A・事業承継の動向
  2. 化粧品会社のM&A・事業承継にみられる傾向
  3. 化粧品会社のM&A・事業承継事例20選
  4. 化粧品業界を取り巻くM&A・事業承継の動向
  5. 化粧品会社のM&A・買収に積極的な企業
  6. 化粧品会社のM&A・事業承継を成功させる5つのポイント
  7. 化粧品会社のM&A・事業承継の際におすすめの仲介会社
  8. 化粧品会社のM&A・事業承継のまとめ
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化粧品会社のM&A・事業承継の動向

近年、化粧品業界では高品質で低価格の商品が求められているため、競争が激しくなっています。そのため、化粧品会社は海外へ進出し、グローバルに展開せざるを得ない状況です。もちろん、海外企業の買収やブランドメーカーの買収など、M&A戦略を講じる化粧品会社も増加しています。

化粧品会社とは

化粧品会社とは、化粧品を製造・販売している会社のことです。化粧品とは、薬機法で「洗浄・メイクアップなどを目的に人体に塗るなどの方法で使用されるもので機器ではないもの」と定義されています。

なお、体に大きく作用するものや副作用が出るものは、化粧品ではなく医薬品です。また、医薬品を製造販売する会社は製薬会社と呼ばれています。

化粧品業界の特徴

化粧品業界の業態は、販売ターゲットを基準として大きく2種類に分けられ、それぞれ利益構造が異なっています。

1つ目はリテール業態です。これは百貨店・セレクトショップ・ネットショップなどの一般消費向けの業態であり、さらに「メーカーから直接消費者に販売する方法」と「百貨店やドラッグストアなどの外部店舗に卸す方法」の2種類に分けられます。

2つ目はプロフェッショナル業態です。これはサロン専売品など、業務専用に開発された商品を扱う法人向けの業態をさします。

化粧品業界の市場規模

日本の化粧品産業の展望

出典:https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202302/202302n.pdf

矢野経済研究所の調査によると、2020年度における国内化粧品の市場規模は2兆2,350億円で、前年度比84.4%と落ち込みました。

主な要因としては、コロナ禍によりインバウンド需要がほとんど消失したこと、テレワークの拡大や外出自粛などで国内需要が落ち込んだことなどが挙げられています。

一方で、日本の化粧品産業においては、輸出入金額が増加傾向にあります。特に中国をはじめ、アジア圏の需要が大きく成長している状況です。

参考:矢野経済研究所「化粧品市場に関する調査を実施(2021年)」

化粧品業界の課題・展望

2019年から2021年にかけて市場規模の縮小がみられましたが、2021年度後半よりコロナ禍が徐々に沈静化するとともに、国内の化粧品需要も徐々に回復を始めています。

また、数年後には訪日外国人客も徐々に増加することが見込まれており、インバウンド需要もゆるやかに回復していくと見られています。

M&Aとは

M&AとはMerger and Acquisitionの略で、直訳すると「合併と買収」です。一般的に、企業が買収を行う目的には事業基盤の強化や新規事業への進出などがあります。

しかし、M&Aを行うためには多額の資金が必要であるうえ、成功率は約30%ともいわれているなどリスクも伴うものです。

後ほど紹介しますが、M&Aに成功するには業界について熟知しておき、かつM&Aの成功ポイントを把握しておく必要があります。

事業承継とは

事業承継とは、経営者が行っている事業を後継者や企業に引き継いでもらうことです。事業承継の方法は引き継いでもらう人(法人)によって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類に分けられます。

親族内事業承継

親族内事業承継とは、経営者の親族が事業を引き継ぐスキームのことです。事業規模が小さい企業ほど親族内事業承継の割合が高いです。

かつては家業として親族が引き継ぐことが当たり前でしたが、現代は職業選択が自由になり、親族内で事業を引き継ぐことが困難化しています。

また、近年は先行きが不透明であることを受けて、積極的に親族に事業承継を行わない経営者が増えており、親族内事業承継の件数が年々減少しています。

親族外事業承継

親族外事業承継とは、従業員や後継者になりたい人など親族以外の人が事業を引き継ぐことをいいます。親族内事業承継と比べた場合の主なメリットは、「優秀な人材に後継者として引き継いでもらえること」です。しかし、近年は親族外事業承継の件数も年々減少しています。

主な理由として、「将来の不透明性などにより、後継者になりたいと思う従業員がいないこと」が挙げられます。また、後継者は会社の資産を買い取るために融資を受ける必要があり、それが大きな負担になることも原因として挙げられます。

M&Aによる事業承継

年々増加している事業承継のスキームが、M&Aによる事業承継です。これは、経営者自身が直接後継者を探す必要がなく、仲介会社や金融機関などを通じて間接的に後継者を探す方法です。M&Aによる事業承継の後継者は個人に限らず、法人も後継者になれます。最大のメリットは、短期間で後継者問題を解決できることです。

親族内事業承継や親族外事業承継などは後継者育成期間が必要であり、全体の手続きが完了するまでに5年以上かかるとされています。しかし、M&Aによる事業承継では、平均して6カ月〜1年程度でクロージングが可能です。

化粧品会社のM&A・事業承継にみられる傾向

日本の化粧品産業は、その開発技術と品質管理が世界的に高く評価されています。細かな技術やノウハウに基づく高品質な化粧品への国際的な需要は今後も増加する見込みです。しかし、国内市場では製品開発のスピードアップや異業種からの新規参入により、競争が激化しています。このため、多くの化粧品企業がM&Aを活用し、ブランド力強化や事業規模の拡大を図りつつ海外進出を目指しています。

さらに、高機能化粧品やメークアップ商品の売り上げ好調を背景に、異業種から化粧品業界への新規参入も増えています。その主な理由は以下の3点です。

理由 補足
本業で培った技術の活用 本業での技術を化粧品へ応用することで、差別化を図りやすくなります。例えば、富士フイルムが写真フィルム技術を応用した「アスタリフト」ブランドなどがあります。
参入コストの低さ 2005年の薬事法改正により、製造工程の外部委託が可能になり、大規模な設備投資なしに化粧品製造が可能となりました。
インターネット通販市場の拡大 女性誌や美容専門誌を通じた化粧品知識の向上や、ECサイトを利用した販売チャンネルの拡大により、新規参入者も化粧品を容易に市場に投入できるようになりました。

化粧品会社のM&A・事業承継事例20選

次は化粧品会社のM&A・事業承継の事例を20件紹介します。

2023年のM&A・事業承継事例

2023年に発表された、化粧品会社を対象とするM&A・事業承継事例2つです。

①クロスプラスによるアイエスリンクの買収

2023年8月、クロスプラスはアイエスリンクの全ての株式を取得し、子会社化しました。

クロスプラスは、衣料品・服飾雑貨の企画製造、店舗・ECへの販売を行っている企業です。アイエスリンクは、化粧品の製造・卸売・輸入販売を行う企業です。

今回のM&Aにより、ビューティー事業はアパレル事業と親和性が高いことからEC販路拡大を図るとともに企業価値向上を目指します。
 

対象企業 クロスプラス
対象企業 アイエスリンク
M&Aスキーム 株式譲渡
目的 ・EC販路拡大
・様々なシナジー効果の創出

株式会社アイエスリンクの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

②プロルート丸光によるオースディの買収

2023年4月、プロルート丸光はオースディの全ての株式を取得し、子会社化しました。

プロルート丸光は、大手の衣料品を扱う企業で、他にもヘルスケア、メディカルの事業も進めています。対象会社のオースディは、化粧品ブランド「DUVOTA(ドゥボータ)」のオリジナル化粧品の製造や販売を行う企業です。

今回のM&Aにより、本件M&Aによりビューティー事業の拡大を目指します。また、オースディが保有するオンラインD2C販売手法を活用し、グループの企業価値向上を図ります。
 

対象企業 プロルート丸光
対象企業 オースディ
M&Aスキーム 株式譲渡
目的 ・ビューティー事業への拡大
・グループの企業価値向上

2021年のM&A・事業承継事例

2021年に発表された、化粧品会社を対象とするM&A・事業承継事例3つです。

①新日本製薬によるノインとの資本業務提携

1つ目の事例は2021年11月に発表された、新日本製薬とノインの資本業務提携です。新日本製薬は、ノインのZ世代の顧客データベース・SNSマーケティングノウハウ・事業との補完性や親和性の高さなどに着目し、高いシナジー効果を発揮することでZ世代向けの商品開発やDXへの取り組みがさらに加速することを見込んでいます。

対象企業 新日本製薬
対象企業 ノイン
M&Aスキーム 資本業務提携
目的 ・Z世代向けの商品開発やDXへの取り組みの強化
・様々なシナジー効果の創出

新日本製薬とノインが資本業務提携、Z世代向けの商品開発やDXへの取り組みを加速

②丸紅によるSHIGETAとの資本提携

2つ目の事例は2021年9月に発表された、丸紅とSHIGETAとの資本提携です。SHIGETAは、フランス発のクリーンビューティーブランド(化学原料を使わない自然派商品かつサステナビリティへの配慮およびエシカルソーシングの徹底などの要件を満たす化粧品。近年大きなトレンドとなっている)を展開する企業です。

本件M&Aにより、丸紅では、SHIGETAの日本およびアジア市場でのブランド認知向上・販売面支援・企業価値向上に加えて、クリーンビューティー・ウェルネス分野における継続的な事業拡大の推進などを図っています。

対象企業 丸紅
対象企業 SHIGETA
M&Aスキーム 資本提携
目的 ・SHIGETAの国内・アジア市場でのブランド認知向上・販売面支援・企業価値向上
・クリーンビューティー・ウェルネス分野における継続的な事業拡大の推進

「丸紅」との資本提携によりクリーンビューティーブランド「SHIGETA PARIS」の日本及びアジア市場における事業を共同推進

③バルクオムによる刀との資本提携

3つ目の事例は2021年3月に行われた、バルクオムと刀との資本提携です。バルクオムは、メンズスキンケアのベーシックを確立するべく、「男性にとって必要な機能性や驚き、感動を与えることが出来るプロダクトを生み出していくメンズスキンケアブランド」を展開しています。

対する刀は、世界初のマーケティングノウハウのライセンシングカンパニーとして知られる企業です。バルクオムは、本M&Aにより刀の持つ広い事業領域や高度なマーケティングノウハウを吸収し、より消費者に向き合うブランド設計を共に行うことで、最短かつ最大限の事業成長を図るとしています。

対象企業 バルクオム
対象企業
M&Aスキーム 資本提携
目的 ・消費者に向き合うブランド設計
・最短かつ最大限の事業成長を図る

化粧品ベンチャーのバルクオム 株式会社刀と資本提携

2019年のM&A・事業承継事例

次に、2019年のM&A・事業承継事例を3つ紹介します。

①資生堂によるDrunk Elephant Holdings, LLCの買収

1つ目の事例は2019年10月に発表された、資生堂によるDrunk Elephant Holdings, LLCの買収です。買収の目的は、主力事業の更なる強化・発展とシナジー効果の創出です

買収企業 資生堂
被買収企業 Drunk Elephant Holdings, LLC
M&Aスキーム 持分譲渡契約
買収の目的 ・主力であるプレステージ・スキンケア事業のさらなる強化・発展
・様々なシナジー効果の創出

米国 Drunk Elephant Holdings, LLC買収手続き完了のお知らせ

②化粧品卸企業による投資ファンドへの売却

2つ目の事例は、2019年5月の化粧品卸企業による投資ファンドへの売却です。化粧品卸企業は、関東地方で急成長を遂げている企業です。将来の方向性が一致したため、今回の成約に至っています

買収企業 関東地方の投資ファンド
売却企業 関東地方の化粧品卸
取引金額 未公表
M&Aの目的 ・投資ファンドからの資金提供
・化粧品卸企業の成長の後押し

③ナリス化粧品によるナリスアップ コスメティクスの合併

3つ目の事例は、2019年4月に行われた、ナリス化粧品による自身の子会社であるナリスアップコスメティクスの合併です。ナリス化粧品は、ナリスアップコスメティクスとの合併により、シナジー効果の獲得や事業拡大を期待しています

合併企業 ナリス化粧品
消滅企業 ナリスアップ コスメティクス
(ナリス化粧品の子会社)
取引金額 未公表
合併の目的 ・シナジー効果の獲得
・ブランド向上、事業拡大

ナリス化粧品、子会社のナリスアップコスメティックスを合併

2018年までのM&A・事業承継事例

続いて、2018年までに行われたM&A・事業承継事例を4つ紹介します。

①化粧品メーカーによる同業種メーカーへの事業承継

1つ目の事例は2018年10月に行われた、化粧品メーカーによる同業種メーカーへの事業承継です。売却側の経営者は、化粧品市場の国内縮小に伴う業績悪化を不安視していたため、化粧品メーカーは事業承継を行いました

事業承継元 近畿地方の化粧品メーカー
事業承継先 全国展開している化粧品メーカー
M&Aスキーム 株式譲渡
事業承継の目的 ・国内化粧品市場縮小への不安

②化粧品卸企業による化粧品メーカーの買収

2つ目の事例は2017年5月の、化粧品卸企業による化粧品メーカーの買収です。卸企業は幅広い販路を有していましたが、さらに成長させるためにブランド力の高いメーカーを買収しました

買収企業 東日本に拠点を置く化粧品卸企業
被買収企業 東日本に拠点を置く化粧品メーカー
M&Aスキーム 株式譲渡
買収目的 さらに企業を成長させるため

③化粧品卸企業による包装資材メーカーへの事業譲渡

3つ目の事例は2012年6月に行われた、化粧品卸企業による包装資材メーカーへの事業譲渡です。譲渡企業は将来的な後継者問題を抱えており、M&Aによる事業譲渡を行うことを決めました。一方、譲受企業は製造ノウハウを生かして譲渡企業の事業承継を受け入れることにしました。

事業承継元 関東地方の化粧品卸企業
事業承継先 近畿地方の包装資材メーカー
事業承継の理由 後継者問題のため
事業譲受する理由 製造ノウハウを生かしてシナジー効果を獲得するため

④通信販売会社による化粧品会社への事業譲渡

4つ目の事例は、2006年1月に行われた、通信販売会社による化粧品会社への事業譲渡です。譲渡企業の社長は30代と若く、売却益を獲得して次の事業を立ち上げるために事業譲渡を行いました

譲渡企業 関東地方の通信販売会社
譲受企業 近畿地方の化粧品会社
事業譲渡の理由 新規事業の立ち上げのため
譲受会社へ譲渡した理由 譲渡企業の企業風土が譲受会社と似ていたため

海外企業のM&A・事業承継事例

次は、海外企業が関与しているM&A・事業承継事例を4つ紹介します。

①マンダムによる ACG INTERNATIONAL SDN. BHD.の子会社化

1つ目の事例は、2018年11月に行われた、マンダムによる ACG INTERNATIONAL SDN. BHD.(以下、ACGI社)の子会社化です。ACGI社は、マレーシアを中心に化粧品の企画及び販売を展開しており、本案件でマンダムは東南アジアでの存在感を高めていく見込みです

買収企業 マンダム
子会社企業 ACGI社(マレーシア)
M&Aスキーム 株式譲渡
買収目的 東南アジアで存在感を高めるため

ACG INTERNATIONAL SDN. BHD.の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

②花王によるOribe Hair Care社の譲り受け

2つ目の事例は、2017年12月に行われた、花王によるOribe Hair Care社の譲り受けです。Oribe Hair Care社のサロン向けヘアケアブランドで、米国の主要専門小売店などに大きな影響を与えています。本案件は、花王からすると、ヘアケア事業のグローバル展開の布石の1つであると位置付けています

譲渡企業 Oribe Hair Care社(アメリカ)
譲受企業 花王
取引金額 未公表
譲受目的 ヘアケア事業のグローバル展開の布石

花王、サロン向けヘアケアの米Oribe Hair Care社を買収

③コーセーによるTarte, Inc.の子会社化

3つ目の事例は、2014年3月に行われた、コーセーによるTarte, Inc.の子会社化です。Tarte, Inc.は、アメリカでスキンケアおよびメイクアップ製品ブランドを展開する企業です。本案件で、コーセーは海外展開をアジアだけでなく、アメリカなど未進出地域にも広げています。

買収企業 コーセー
子会社企業 Tarte, Inc.(アメリカ)
取引金額 未公表
買収目的 ・事業規模の拡大、グループ化の加速

米国「Tarte, Inc.」の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

④ポーラ・オルビスHDによるJurlique International Pty Ltdの完全子会社化

4つ目の事例は、2011年11月に発表された、ポーラ・オルビスHDによるJurlique International Pty Ltdの完全子会社化です。Jurlique International Pty Ltdは、オーガニック野菜栽培のパイオニア企業として有名です。

本案件で、ポーラは、エイジング・ホワイトニングなど機能性の高い製品との早期シナジー創出を図っています。

買収企業 ポーラ・オルビスHD
子会社企業 Jurlique International Pty Ltd(豪)
M&Aスキーム 株式譲渡
買収目的 早期シナジー効果の創出

豪州「Jurlique International Pty Ltd」の株式の取得(子会社化) に関するお知らせ

異業種からのM&A・事業承継事例

最後に異業種からのM&A・事業承継事例を4つ紹介します。

①住友商事によるSACI-CFPAの子会社化

1つ目は、2019年4月に行われた、住友商事による化粧品素材事業を行っているSACI-CFPAの子会社化です。住友商事は、大手商社で2010年から化粧品素材事業に本格的に参入しています。

買収企業 住友商事(総合商社)
子会社企業 SACI-CFPA
取引金額 未公表
買収目的 欧州の事業基盤の強化・拡大

フランス化粧品素材ディストリビューターの買収について

②ヤーマンによるディーフィットの完全子会社化

2つ目の事例は、2018年8月に行われた、ヤーマンによるディーフィットの完全子会社化です。ヤーマンは美容・健康機器メーカーで、家庭用の美容・健康機器を中心に販売しています。

買収企業 ヤーマン(美容・健康機器メーカー)
子会社企業 ディーフィット
M&Aスキーム 株式譲渡
買収目的 ブランド価値の向上、シナジー効果の獲得

③大正製薬によるドクタープログラムの完全子会社化

3つ目は、2017年4月に行われた、大正製薬によるドクタープログラムの完全子会社化です。大正製薬は、日本の製薬メーカーでOTC医薬品などさまざまな製品を販売しています。

買収企業 大正製薬(製薬メーカー)
子会社企業 ドクタープログラム
取引金額 未公表
買収目的 通信販売の強化、スキンケア領域の効率化

キョーリン製薬ホールディングス株式会社の連結子会社であるドクタープログラム株式会社の株式取得に関するお知らせ

④ユーグレナによるエポラ買収

4つ目の事例は、2015年6月に行われた、ユーグレナによるエポラ買収です。エポラは受託製造・販売を行っている会社で、ユーグレナからの受託製造も行っていました。

買収企業 ユーグレナ
被買収企業 エポラ(受託製造・販売)
M&Aスキーム 株式交換
買収目的 関係強化、シナジー効果の獲得

株式会社ユーグレナ、簡易株式交換による株式会社エポラの完全子会社化に関するお知らせ

化粧品業界を取り巻くM&A・事業承継の動向

次は、化粧品業界を取り巻くM&Aや事業承継の動向を5つのトピックに分けて紹介します。

①国内需要が減少し海外へのM&Aが増加

今後、国内の化粧品の需要は減少すると見込まれています。これは、日本の将来的な人口減少が予測されるためです。

その一方で、日本製の化粧品は品質が高く、外国人に人気があるため、海外需要に目を付けてグローバル展開を行おうとしている化粧品会社も見られます。その布石として、海外の協力会社をM&Aにより買収するケースが増加しています。

②収益性の魅力から異業種からのM&Aも増加

化粧品業界の収益性は、数ある業界の中でもトップクラスとされています。収益性が低い場合、多くの顧客に商品を販売する必要があり、利益を維持するうえでマスマーケティングを行う必要があります。しかし、事業規模の小さい会社は資金がないため、このような戦略を講じられません。

中小企業の場合、ターゲットを絞る集中戦略や商品の差別化戦略を講じることが一般的です。このような戦略を講じる場合、商品に付加価値を付けて収益性を高める必要があります。

化粧品業界の収益性が高いことは、付加価値のある商品が受け入れられやすいことを示しています。そのため、この収益性の高さを目的として、異業種からのM&Aが増加しているのです。

③有名ブランドへのM&Aも増加傾向

有名ブランドへのM&Aも増加傾向にあります。一般的に、有名ブランドは価値・安心感・顧客のロイヤリティなどの特徴が見られます。化粧品にはアックス・マキアージュなど有名ブランドが多数存在し、これらのブランドを獲得することで、売上の安定化やブランドを付した新商品の大きな売り上げを期待可能です。

一例として、コティによるP&Gの美容用品事業の買収が挙げられます。P&Gの美容用品事業は、パンテーンやSK-Ⅱなどの有名ブランドを擁しており、世界第3位の売上高を誇っていました。

しかし、2016年に当時世界第14位のコティが、有名ブランドの獲得などを目的として、P&G美容用品事業を買収しました。これは有名ブランドに対するM&A事例の一つと考えられます。

④革新的な技術獲得を目的とした異業種へのM&A

近年、革新的な技術獲得を目的とした異業種へのM&Aも増加しています。化粧品会社のシードを獲得するためにM&Aを行うケースもあります。その一方で、シナジー効果を獲得する目的で、化粧品会社の技術と異業種分野で研究開発されていた技術・物質を組み合わせるM&Aを行う例もあります

後者の目的の具体例としては、江崎グリコのグリコーゲンという化合物やサントリーで開発された酵母などの技術があり、これらを化粧品開発に生かそうとする動きが見られる状況です。

⑤国内企業による業務提携なども見られる

国内企業同士での業務提携を目的にM&Aが行われるケースもあります。国内では、インバウンドに対する需要に応えるために、事業規模の拡大を図るM&Aを行う事例が増加中です。また、海外進出を目的として、海外での販路を持っている企業と業務提携を行う例もあります

美容雑貨製造業界のM&A・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容雑貨製造業界のM&A・事業承継!動向・注意点・相場を解説【事例有】

化粧品会社のM&A・買収に積極的な企業

近年、他業種企業から化粧品会社を買収するケースが増えています。本章では、その中で積極的な買収を行っている富士フイルムとサントリーを紹介します。

①富士フイルム

もともと富士フイルムは、写真フイルム事業を本業とする企業でした。しかし、現在はフイルム事業のノウハウを生かして、医薬品分野や研究開発用試薬販売の分野に進出しています。化粧品業界へ進出したのは、2006年です。

フイルム事業で培った技術とM&Aにより獲得した技術を合わせ、ASTALIFTシリーズに代表される高機能化粧品で成功を収めています

②サントリー

サントリーは、飲料の製造販売を行っている会社です。サントリーは、飲料の開発過程で研究を進めてきた成分や酵母をサプリメントや化粧品に応用しています。

その他にも、通販会社による化粧品会社の買収や、マーケティング会社による化粧品会社の買収などシナジー効果を期待したM&Aを積極的に行っています。

美容院・美容室の事業譲渡・株式譲渡・M&Aについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容院・美容室の事業譲渡・株式譲渡・M&Aの動向は?相場や事例も紹介!

化粧品会社のM&A・事業承継を成功させる5つのポイント

最後に、化粧品会社のM&A・事業承継を成功させるポイントを5つ紹介します。

①自社の技術力・データなどを資料としてまとめる

1つ目は、自社の技術力・データなどを資料としてまとめることです。売り手企業の場合、自社の強みを伝えられなければ、多額の売却益は得られません。その一方、買い手企業の場合、M&A戦略を立てるために自社の技術力や強みなどをまとめておく必要があります。

M&Aの買い手企業であっても売り手企業であっても、M&Aや事業承継を成功させるためには自社のデータなどをまとめておくことが大切です。

②契約成立まで計画的に準備する

2つ目のポイントは、契約成立まで計画的に準備することです。化粧品業界にも流行り・廃りがあります。現在開発中の商品であっても、発売時期が遅れてしまうと研究開発費を回収できません。

特に、M&Aによるシナジー効果を期待した商品の発売時期が遅れてしまうと、会社にとって大きなダメージとなるため、M&Aの契約成立まで計画的に準備しましょう。

③希望する条件を明確に定める

3つ目のポイントは、希望する条件を明確にすることです。M&Aの手続きの中で最も時間がかかる手順は、M&A先の探索・選定です。M&Aはいかなる業界でも活況になっていますが、条件を絞りすぎるとM&A先を見つけるのに多くの時間がかかってしまいます。

また、これとは反対に条件が不明確であると、M&Aに失敗する確率が高まります。M&Aの期間を考慮してうえで、希望する条件を明確に定めましょう。

④最適なM&A・事業承継先を選定する

4つ目は、最適なM&A・事業承継先を選定することです。これは3つ目のポイントとほとんど同じ内容ですが、M&A・事業承継先が最適でないと、失敗する確率が高まります。

⑤M&A・事業承継の専門家に相談する

5つ目は、M&A・事業承継の専門家に相談することです。M&Aや事業承継を行うためには、会社法など専門的な知識が求められます。また、金額を決める際の交渉では、豊富な経験が必要です。

つまり、会社の経営陣のみでM&Aや事業承継を行うと、失敗したり法令に違反したりする可能性が高まります。これらのトラブルを確実に回避するには、M&Aや事業承継の専門家に相談することが大切です。

化粧品会社のM&A・事業承継の際におすすめの仲介会社

化粧品会社のM&Aや事業承継を成功させるには、M&Aに関する知識・見解に加えて、化粧品業界に精通していることも必要です。そのため、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けることは不可といえます。

M&A総合研究所では、M&Aや事業承継・事業継承に関する実績豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。また、料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談は随時お受けしておりますので、化粧品メーカーのM&Aや事業承継をご検討の方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

化粧品会社のM&A・事業承継のまとめ

今回は、化粧品会社のM&Aや事業承継に関する情報を解説しました。化粧品業界は収益性が高く、会社によっては革新的な技術を持っているため、魅力的な業界です。そのため、化粧品業界のM&A成約数が増加しています。

化粧品会社のM&A・事業承継を検討している場合は、業界やM&A動向に注視しておき、タイミングを逃さないことが大切です。
 

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