M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月7日更新会社・事業を売る
合弁企業
合弁企業とは、複数の企業が共同出資して経営する会社をさします。合弁会社設立のメリットには、相手企業の持つノウハウや資産の活用、出資に対するリスクの分散などがあります。ただし、会社間で対立が生じることもあるので注意しましょう。
合弁企業
合弁企業は、複数の企業が共同出資して経営する会社を示し、買収・合併と提携の中間に位置します。買収や合併と比べると会社に影響を与えるわけでありません。また、資本の支出をともなうことから、解消はアライアンスほど簡単ではない点が特徴的です。
M&A用語では、ジョイントベンチャーと呼ばれることがあります。合弁企業は会社法に記載されていない形態です。外国資本と協力して経営され、日本企業が中国へ進出する際に生み出された方法として知られています。合弁企業のパターンは下記の二種類です。
- 全く新しい企業を複数の企業からの出資によって立ち上げる方法
- 既存企業に対して共同出資し、既存の株主や経営陣とともに企業を経営する方法
日本では、外国資本を全額出資して業界に進出することが基本的に認められていません。そのため、このような協力体制を組んで合弁企業を立ち上げるケースが多く見られます。
単独出資
複数企業が協力しあって経営する一方で、単独で海外に直接融資する方法もあります。それが単独出資です。しかし、単独で実施することによるメリットとデメリットがあります。
メリット
- 単独で出資するので、自社の経営方針を変えずに会社を存続可能
- 外国企業との合弁企業を運営した場合、一番の失敗要因である合弁相手との紛争がない
デメリット
- 合弁企業に比べると出資額が多額になる
- 政府関係者との密な人脈がなければ実施できない
- 事業内容によっては単独出資自体が認められていないだけでなく、認められてもかなり厳しい条件がある
合弁会社のメリット
ここまで単独出資のメリットについて解説しました。一方、合弁会社にもさまざまなメリットがあります。早速、4つのメリットについて説明します。
相手企業が持っている現地でのノウハウを利用できる
日本にないノウハウを得るには海外から学ぶしかありません。たとえば、現地ごとに異なる技術や資産の使い方をはじめ、天候に対する対処法などです。日本とは違う環境で事業を伸ばすノウハウを得られる点は、外国資本と協力して合弁企業を運営する場合ならではのメリットです。
相手企業が持っている人脈などが得られる
合弁企業を作らなくても、ほかの企業と統合すれば人脈や商流などを獲得できます。しかし、合弁企業の場合は、日本企業の人脈や商流だけではなく、海外のネットワークも獲得できます。それにより、流通経路が広がり、より大きな市場シェアを目指せる可能性があります。
相手企業の人員や保有している資産を活用できる
合弁企業を運営すると、現地の優秀な人材を利用できるほか、日本の企業間では手に入らない資産や雇用できない人員も活用できます。外国資本ならではの資産を活用できるのは、合弁企業立ち上げの大きなメリットです。
出資に対するリスクの分散
合弁企業に対する出資は複数の企業が実施します。そのため、出資先の企業が廃業となったり、思うように利益が生み出せなかったりしても、出資による損害は半分で済みます。失敗しても再度挑戦しやすい点は合弁企業の大きなメリットです。
合弁企業のデメリット
合弁企業の立ち上げにはメリットがある反面デメリットもあります。事前にデメリットを知っておけば、立ち上げ後のトラブルを防ぎやすくなるはずです。ここからは、合弁企業のデメリットを4つお伝えします。
合弁の相手会社との対立
合弁企業を運営するリスクとして相手先との対立が予想されます。経営が上手くいけば争いは生まれにくいです。しかし、失敗してしまうと、責任や原因の所在を巡って対立が生まれる可能性があります。
特に合弁企業の場合、相手先は海外企業であることが多く、大きな問題に発展する危険も少なくありません。
自社情報の流出
合弁企業の立ち上げに限った問題ではありませんが、自社の情報が相手に流出する恐れがあります。独自のノウハウや営業方法などが漏れ出し、自社の強みがほかの機関で使用されるのがよい例です。
特に合弁企業の場合は、流出が発覚するまで時間がかかるとされています。いつのまにか情報が漏れ出して活用されるリスクがあるので、事前に対策を打っておくべきでしょう。
利益も半分になる
出資を共同で実行すると、失敗した際のリスクは半分になります。しかし、成功して得た利益も分配しなくてはいけません。利益が十分にあがっても、出資額に対して妥当な額が分配されないことがあります。
しかし、このデメリットは合弁企業を立ち上げた段階で承認しているも同然で、受け入れなければなりません。以上のように、リスクの分散や海外のノウハウ獲得など合弁企業に特有のメリットがある反面、それにともなうデメリットもあります。
共同出資者が見つかりにくい
相手に共同出資のメリットを感じてもらう必要があるため、共同出資者を見つけることは難しいといえます。縁のない国に海外進出する場合などはなおさらです。仮に見つかったとしても、相手を信頼できなければ目的を共有することはできないでしょう。
合弁企業が失敗するケース
合併企業の設立は単純なものではなく、失敗やトラブルがつきものです。事前に失敗するパターンを把握しておくことが大切です。この項では、合併企業が失敗するケースを共有します。
合弁関係が解消される
合弁企業に限らず会社経営では利益が出れば成功です。逆に利益が出なかったり、相手先と軋轢が生じたりすれば失敗です。合弁企業の場合は、相手企業と合弁関係を解消すると失敗になるので注意しましょう。合弁関係を解消する理由には、以下の理由があります。
- 思うように利益を得られない
- 合弁企業を経営するにつれて、目指しているビジョンが自社と相手企業で一致しなくなった
意見交換が行われない
合弁企業の経営で最も大きな問題は言語です。外国企業と思うように意見の交換ができないと経営が不安定になります。失敗へと進む要因はさまざまですが、意見交換しないまま、一方が勝手に経営を継続するケースは最悪の事態です。
この事態になると、事実上経営権が掌握され乗っ取られます。その結果、合弁関係が解消する可能性もあります。もし、合弁会社を円滑に経営していきたいのであれば、専門家の協力を得るようにしましょう。
合弁会社の設立は広義の意味でM&Aの一種に含まれ、決して単純なものではありません。また、会社同士の関係性や状況によってはM&Aの方が有効な選択肢になることもあります。
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合弁関係を解消する場合
合弁企業が合弁関係を解消する際、基本的に持分譲渡を実施します。持分譲渡とは、出資に対する持分を受け取るか引き渡す方法です。しかし、一方の出資では成り立たないから合弁企業を設立したケースが大半であり、持分譲渡では合弁関係が解消できないケースもあります。
持分譲渡ができなければ合弁企業自体を解散しなければなりません。しかし、解散には時間と費用がかかるほか、相手企業が解散に同意しなければ訴訟問題に発展します。また、債務超過を理由に会社の解散を認めない国もあり、合弁企業をそのまま放置する事態もあります。
代表的な合弁企業の例
合弁企業の事例を確認することで、その会社形態について理解を深めやすくなります。ここでは代表的な合弁企業の例をご紹介していきます。
ビックカメラとユニクロの事例
家電量販店のビックカメラと衣料販売店のユニクロは、顧客層が類似していることから合弁事業を開始し、合弁会社の「ビックロ」を立ち上げました。ビックロは東京の新宿駅周辺に店舗を構え、共同出資によってそれぞれの企業の負担を和らげています。
店舗ではアパレルと一緒に家電や雑貨を販売し、目新しい空間が特徴的です。また、ビックカメラのポイントをユニクロ商品が購入可能なクーポンに変換できる仕組みも採用しています。
日本電気(NEC)の事例
日本電気は、ウェスタン・エレクトリック社との合弁会社として1899年に創業されました。日本発の外資系企業として事業の発展をけん引。現在も中国のレノボとPC事業で共同しています。
LINEとサイバーエージェントの事例
アジアにユーザー基盤を持つLINEとスマホ向けゲーム開発で知られるサイバーエージェントがゲーム開発の新規事業を打ち出しました。「LINEGAME」のゲーム開発を共通目的に定め、グローバル展開の強化を目指しています。
LINEのプラットフォーム力を強みにして、全世界のユーザーに良質なコンテンツを提供していく方針です。
まとめ
合弁企業の設立には多くのメリットがあります。日本市場だけでは解決できない問題も、合弁企業の立ち上げによって解決できる可能性もあります。また、共同出資するので、出資額に対する利益だけをみると大きなリターンを望めます。
しかし、合弁関係は簡単には解消できません。最悪の場合、合弁企業を設立するだけで何も獲得できない状況に陥ります。メリットだけでなくデメリットも考慮したうえで、合弁企業の設立を検討するようにしましょう。要点をまとめると下記になります。
合弁企業とは
→複数の企業が共同出資して経営する会社
合弁会社のメリット
→相手企業の持つノウハウや資産等を活用可能、出資に対するリスクの分散
合弁会社のデメリット
→合弁相手との対立、自社情報の流出、利益の取り分が減る
合弁企業が失敗するケース
→利益が出ない、相手会社との対立の発生
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。