2024年3月17日更新業種別M&A

技術者・エンジニア派遣会社のM&A手法!事例、メリット、相場、成功ポイントを解説

技術者・エンジニア派遣業界では、全体的に苦境に立たされていることもあり、M&Aが活発に行われて業界再編が加速しています。加えて、最先端技術の登場・ニーズの向上・外国人労働者の増加など、経営環境がさまざまな変化の影響を受けています。

目次
  1. 技術者・エンジニア派遣業界とは
  2. 技術者・エンジニア派遣会社のM&Aとは
  3. 技術者・エンジニア派遣業界のM&Aの現状と動向
  4. 技術者・エンジニア派遣業界のM&Aメリット
  5. 技術者・エンジニア派遣会社のM&Aフロー
  6. 技術者・エンジニア派遣会社のM&Aの費用と相場
  7. 技術者・エンジニア派遣会社のM&A成功ポイント
  8. 技術者・エンジニア派遣会社のM&A事例
  9. 技術者・エンジニア派遣会社のM&Aまとめ
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技術者派遣会社のM&A・事業承継

技術者・エンジニア派遣業界とは

技術者・エンジニア派遣業界は、人材派遣業界の市場のうち、およそ4分の1を占めています。技術者・エンジニア派遣業は、その名のとおり、技術者やエンジニアといった特定の技能に長けた人材を派遣する事業のことです。

人材不足が慢性化

昨今はAI・IoTなどの先進的なIT技術が発展している一方、それらの技術のノウハウを持つ人材が不足しており、IT業界は慢性的な人手不足に陥っています。

そのため、技術者・エンジニア派遣会社のような存在は、IT業界にとって非常に役立つ存在です。しかし、技術者・エンジニア派遣業界の現状は決して良好ではありません。

確かに最先端技術のノウハウに長けた技術者・エンジニアの存在は希少ですが、現在のIT業界はその人材を海外に求めるオフショア開発などに投資を行っており、国内の人材を取り扱う技術者・エンジニア派遣会社への投資が減っています。

さらに、人材を求める会社が大規模な派遣を求めるようになり、オーダーされた人数に対応できない中小規模の技術者・エンジニア派遣会社が取引先を失うケースも見られます。そのため、経営環境が悪化する技術者・エンジニア派遣会社は少なくありません。

競争が激化

技術者・エンジニア派遣業界は特別な免許や許認可が必要ないため、参入障壁が低いです。そのため、多くの中小規模の技術者・エンジニア派遣会社が業界内で乱立し、業界全体の逆風に反比例して競争が激化しています。

業界全体で経営環境が悪化しているうえにシェアの奪い合いが発生しているため、競争力で劣る中小規模の技術者・エンジニア派遣会社はますます困窮した状態に陥っていく見込みです。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&Aとは

現状を打開すべく、M&Aを行う中小規模の技術者・エンジニア派遣会社が増加しています。単純に事業規模を拡大すれば取引先から選ばれる可能性が高まります。さらに、M&Aを利用して海外進出を行えば、人件費の安い海外の人材を派遣することが可能です。

技術者・エンジニア派遣業界は厳しい状況にありますが、M&Aを経営戦略に取り入れる会社が増加すれば徐々に変化していく可能性が生まれます。

M&Aで採用される手法

技術者・エンジニア派遣業界では、派遣先企業が派遣会社を買収するM&A事例が多くみられます。買収の主な理由には「技術を確保しておきたい」という狙いがあるため、株式譲渡など、会社を丸ごと買収する手法が多く採用されている状況です。

技術者・エンジニア派遣会社の価値は、人材の価値で左右されます。つまり技術者・エンジニアをどれほど抱えているかをもとに金額を付けられる点が、他業界との大きな違いです。

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技術者・エンジニア派遣業界のM&Aの現状と動向

技術者・エンジニア派遣会社は参入障壁が低いこともあり、中小規模の技術者・エンジニア派遣会社が乱立している状態が続いています。

ただ、2008年のリーマンショック以降は経営状態を維持できなくなった中小規模の技術者・エンジニア派遣会社を中心にM&Aが活発化しました。

そのため、現在の技術者・エンジニア派遣業界は業界再編のタームに入っており、業界全体の勢力図の変化が加速している状況です。

とりわけ大手の技術者・エンジニア派遣会社を中心に、同業者同士のM&Aが積極的に実施され、その規模を拡大しています。

やがて、市場のシェアの大半を握る大手の技術者・エンジニア派遣会社と中小規模の技術者・エンジニア派遣会社の格差が、徐々に大きくなっていくでしょう。

とはいえ、技術者・エンジニア派遣業界のM&A市場は人手不足の影響もあり、買収を望んだとしても売り手がみつからないケースが少なくありません。

そのため、M&Aを実施しようと思っても、想定以上に時間がかかってしまうことがあります。また、日本は外国人労働者を受け入れるようになりつつあるため、外国人労働者が増加するにあたって、技術者・エンジニア派遣業界の勢力図が変わっていく見込みです。

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技術者・エンジニア派遣業界のM&Aメリット

技術者派遣会社のM&A・事業承継
技術者派遣会社のM&A・事業承継

本章では、技術者・エンジニア派遣会社を対象とするM&Aを行うメリットを、買収側・売却側それぞれの立場に分けて順番に解説します。

技術者・エンジニア派遣会社の買収メリット

まずは、技術者・エンジニア派遣会社の買収メリットを解説します。

①事業規模の拡大

技術者・エンジニア派遣会社において、事業規模の拡大は非常に重要です。取引先はまとまった人数の技術者・エンジニアを求めるようになっているため、常に大勢の技術者・エンジニアを派遣できる体制を保っておくことが重要です。

また、最先端技術のノウハウに長けている人材をいかに早く多く確保できるかも、技術者・エンジニア派遣業界での生き残りを左右します。

さらに、派遣する技術者・エンジニアの質を向上させるために、他社の研修・育成のノウハウを取り入れる技術者・エンジニア派遣会社も多いです。

M&Aを実行すれば、買収した技術者・エンジニア派遣会社が持つ人材や顧客、取引先などを引き継げるため、スピーディーに事業規模の拡大を実現できます。経営環境が悪化し、競争が激化している技術者・エンジニア派遣業界で生き残るには、会社としての体力を付けておいた方がよいでしょう。

②事業の多角化

近年は、M&Aによって事業の多角化を行う技術者・エンジニア派遣会社も増えています。技術者・エンジニア派遣のみならず、異なる職種の人材派遣事業・IT機器のレンタル事業など、さまざまな事業を実践すれば、収益源を多角化できます。

新事業をゼロから立ち上げると、ノウハウ・施設・従業員の導入が必要になりますが、M&Aであれば時間・コストをかけずに新事業を展開できます。また、買収した会社の顧客や取引先なども引き継げるため、早い段階から利益を獲得可能です。

③海外の人材確保

さまざまな業界では海外の人材を確保するオフショア開発に投資を行っており、国内のみにこだわっていると競争で生き残れない可能性があります。そのため、技術者・エンジニア派遣会社からすると、海外の人材をいかに確保できるかも重要な課題です。

しかし、技術者・エンジニア派遣会社が単体で海外の人材を確保することは容易ではなく、時間・コストがかかります。それでも、M&Aにより海外の技術者・エンジニア派遣会社を買収すれば、海外の人材を確保できます。

また、日本語教育などの研修・育成ノウハウも手に入るため、外国人労働者の人材派遣業をさらに強化できます。人件費が低い外国人の技術者・エンジニアを派遣すれば、技術者・エンジニア派遣業界での競争で優位に立てる可能性があります。

技術者・エンジニア派遣会社の売却メリット

続いては、技術者・エンジニア派遣会社の売却メリットを解説します。

①事業規模の拡大

買い手のみならず売り手にも、M&Aによる事業規模の拡大は大きなメリットだといえます。昨今、まとまった人数の技術者・エンジニアの派遣を望む取引先が増えており、事前に技術者・エンジニア派遣会社を選別するようになっています。

事業規模の都合で派遣できる技術者・エンジニアが限られている会社は、取引先の選択肢から除外されてしまうおそれがあります。つまり、事業規模が小さいと、それだけでビジネスチャンスを逃してしまう事態になりかねません。

そのため、大手に買収されることで、事業規模を拡大しようとする中小規模の技術者・エンジニア派遣会社が増加しています。また、経営状態が悪化している中小規模の技術者・エンジニア派遣会社は、大手の資本の傘下に入ることで、経営基盤の強化も可能です。

②事業承継の実現

中小規模の技術者・エンジニア派遣会社であれば、事業承継問題を抱えているケースも少なくありません。技術者・エンジニア派遣会社に限らず、最近の中小企業は、後継者不在の問題を抱えている会社が増加しています。

高齢化した経営者が引退すれば、たとえ業績が黒字でも廃業せざるを得ない状況に陥っています。こうした状況を改善する手段となり得るのが、M&Aです。M&Aであれば、買収されることで経営権を第三者に委託できるため、後継者不在の会社でも経営が存続できる可能性が引き上がります。

これにより、事業を存続できるのはもちろん、従業員の雇用を維持できます。また、売却益も手に入り、ハッピーリタイアメントを考えている経営者であれば、老後の資金を確保も可能です。M&Aで事業継承の実現をお考えであれば、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&Aフロー

続いて、技術者・エンジニア派遣会社を対象とするM&Aを行う手順・流れを、売却側・買収側それぞれの立場に分けて紹介します。

売却側のフロー

売却側では、まずM&A仲介会社にサポートを依頼したうえで、自社に関する資料作成を行います。M&Aを行う際には多くの書類や契約が求められるため、資料を揃えてアドバイザーなどの専門家からチェックを受けることが望ましいでしょう。

準備すべき主な資料は、商業登記簿謄本などの会社の基本的な資料・財務関係の資料・人事資料・契約関連の書類などです。

加えて、M&Aによるシナジー効果の獲得やマッチングの成功を図るために、自社の分析・業界調査なども求められます。

その後は、相手企業とのマッチングを行い、候補企業が見つかった際は、当事会社双方のトップで面談し、本格的な交渉を開始します。そして、意向証明書・基本合意書を締結したうえで、最終譲渡契約書を締結すると、クロージングを迎えてPMIを実施します。

買収側のフロー

買収側企業でも、相手先企業とのマッチングを図るために、M&A仲介会社に相談・依頼します。ここまでは売却側企業と同様ですが、買収側ではデューデリジェンスが特に重要です。

株式譲渡などの手法によりM&Aを行う場合、企業を丸ごと譲受するため、M&A前に売手側で問題を抱えていることを伏せていた場合、買収後にトラブルに発展するおそれがあります。

こうしたトラブルを回避するために、弁護士・公認会計士など依頼して相手先企業の調査するのがデューディリジェンスです。

デューデリジェンスの結果を踏まえて問題がないと判断した場合、最終譲渡契約書を締結します。その後は、すべての手続きが完了してから外部にM&Aを公表するというのが一連の流れです。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&Aの費用と相場

技術者・エンジニア派遣会社に限らず、M&Aの取引価格は会社の規模に左右されるため、決まった金額の相場はありません

技術者・エンジニア派遣会社の場合、中小規模であれば数千万円から数十億円、大手であれば数百億円以上の取引価格となるのが一般的です。

なお、技術者・エンジニア派遣業界では中小規模の会社が多いため、買収側では数億円前後の費用がかかる点に留意しておきましょう。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&A成功ポイント

本章では、技術者・エンジニア派遣会社のM&Aを成功させるためのポイントとして、4つの点をピックアップし紹介します。

人材価値の確認

技術者・エンジニアの人材価値がM&Aによる取引金額につながります。大まかな相場の目安は、1人1000万円、派遣会社1社単位でいうと10億円程度であるとされています。

時期の見極め

売手側では、自社の損益分岐点を把握したうえで、最適な時期を見計らって、売却・譲渡を決めることが重要です。

これに対して、買収側は相手企業の現状把握がポイントとなるので、売却側が現在どのような状況に置かれているのかをチェックして、最適な買収時期を見極めましょう。

人材の専門分野・専門性の高さの確認

M&Aでは専門的な技術に特化している企業ほど重宝される傾向があり、取引の成功確率も高まります。

こうした企業では、技術のみならず豊富なネットワークを抱えていて、多くの情報を有している可能性があるため、事業拡大のチャンスをつかめるのがその理由です。

M&Aスキームの選択、メリット・デメリットの検討

売却側ではM&Aスキームの選択(会社分割・事業譲渡なのか、会社ごとすべて売却するのかなど、売却方法を選ぶこと)が重視されるのに対して、買収側からするとメリット・デメリットをいかに吟味するかがポイントです。

一般的に表明保証を入れることでリスクヘッジを行うものの、トラブルに発展する可能性はゼロではありません。

万が一裁判に発展した場合、売却側が負けてしまうケースもあるため、書面上で盛り込めるリスクはすべて記載しましょう。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&A事例

最後に、技術者・エンジニア派遣会社のM&A事例を紹介します。

①網屋×グローブテック・ジャパン

2023年8月、網屋はグローブテック・ジャパンの全ての株式を取得し、子会社化しました。

網屋は、サイバーセキュリティ製品のサービス、クラウドサービスの開発・製造・販売を行う企業です。グローブテック・ジャパンは、IT技術者派遣、受託開発などを行う企業です。

今回のM&Aにより人材育成に注力し、サイバーセキュリティエンジニアの派遣事業への参入を目指します。

①夢真ホールディングス×ネプラス

建築関係の技術者派遣を行っている夢真ホールディングス(現:夢真ビーネックスグループ)は、2018年9月、技術者・エンジニア派遣会社のネプラスを買収しています。

ネプラスはIT関連の技術者・エンジニアの派遣事業やIT機器のレンタル事業などを行っており、同社を買収することで夢真ホールディングスは派遣職種や事業の多角化を実現しています。

この事例は、技術者・エンジニア派遣会社がM&Aを通じて事業の多角化を行おうとしていることを示す好例です。また、夢真ホールディングスは同年にフィリピンのIT関連の技術者・エンジニア派遣会社であるCenturion Capital Pacific Limitedを買収し、外国人労働者の人材派遣業の強化も図っています。

②スリープログループ×ヒューマンウェア

ITを中心に技術者・エンジニア派遣業を展開しているスリープログループ(現:ギグワークス)は、2016年8月、同業者であるヒューマンウェアを買収しています。スリープログループは、IoTや自動車の自動運転技術のような最先端技術への対応や慢性的に不足している技術者・エンジニアの確保を行うために、このM&Aを実行しています。

このように、同業者同士がM&Aを行うことにより、不足している技術者・エンジニアを確保する技術者・エンジニア派遣会社は増加しています。また、関東圏を中心に事業を展開しているスリープログループは近畿圏で事業を展開しているヒューマンウェアを買収することにより、顧客の拡大にも成功しています。

本事例のように、他の地域会社を買収するM&Aを行えば、事業を展開している地域を拡大できます。

③トラスト・テック×カナモトエンジニアリング

技術者・エンジニア派遣会社のトラスト・テックは、2015年8月、カナモトエンジニアリングを買収しています。同業者であるカナモトエンジニアリングを買収することにより、トラスト・テックは互いのノウハウを共有することで派遣する人材の質や、顧客へのサービス向上を実現しています。

この事例も、技術者・エンジニア派遣業界での競争に勝つことを目的としたM&Aだといえます。

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技術者・エンジニア派遣会社のM&Aまとめ

技術者・エンジニア派遣業界では、全体的に苦境に立たされていることもあり、M&Aが活発に行われていて、業界再編が加速しているのが現状です。

加えて、技術者・エンジニア派遣業界では、最先端技術の登場・ニーズの向上・外国人労働者の増加など、経営環境がさまざまな変化の影響を受けています。

今後とも、M&Aや経営環境の変化により、技術者・エンジニア派遣業界の勢力図が大きく変わる可能性は高いでしょう。

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