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有利子負債比率とは?業種別ランキングや適正目安・計算式を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

財務状況の安全性を測る上で、有利子負債比率は役立つ指標です。中小企業であれば100%以下が有利子負債比率の適正目安と言われており、70〜80%であれば理想的です。有利子負債比率を活用し、M&Aや経営分析に役立てましょう。

目次

    有利子負債比率

    M&Aや投資・融資を成功させる為には、経営分析が必要です。

    経営分析ではROEやROAといった様々な指標を用います。

    有利子負債比率も経営分析に役立つ指標の一つであり、企業の安全性を図る上で有用です。

    この記事では、有利子負債比率に関して詳しく解説します。

    有利子負債比率とは?有利子負債比率の意味

    まず最初に、有利子負債比率の意味について解説します。

    有利子負債とは、利息を付けて返済する負債(有利子負債)と自己資本のバランスを示す経営指標です。

    主な有利子負債には、銀行等からの借入金や社債が該当します。

    営業上生じた買掛金や未払金は利息が発生しない為、有利子負債に含みません。

    大抵の中小企業は社債を発行していない為、有利子負債と言ったら「短期借入金」と「長期借入金」の合計と考えて差し支えありません。

    有利子負債比率は財務状況の安全性を表す指標であり、有利子負債比率は低いほど安全性が高い(投資するリスクが低い)と言えます。

    有利子負債は毎月(毎年)金融機関等に金銭を支払う為、その分だけキャッシュが流出します。

    有利子負債が多いほど流出するキャッシュも多くなる為、資金繰りが悪化する可能性が高まり、資金繰りの悪化が進行すると、倒産するリスクも高まります。

    今現在業績の良い企業でも有利子負債比率が高いケースでは急激に経営が悪化するリスクがあります。

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    有利子負債比率の計算式

    有利子負債比率の意味が分かった所で、有利子負債比率を求める為の計算式をご紹介します。

    有利子負債比率は、下記の計算式により算出できます。

    • 有利子負債比率=有利子負債÷自己資本(株主資本)×100%

    理解を深める為に、2つの計算例により理解を深めましょう。

    • 例1)有利子負債:15億円、自己資本:30億円
    • 例2)有利子負債:50億円、自己資本:200億円

    それぞれの有利子負債比率は、下記の通り計算されます。

    • 例1)有利子負債比率=15億円÷30億円×100%=50%
    • 例2)有利子負債比率=50億円÷200億円×100%=25%

    有利子負債の金額自体は例2の方が多いものの、有利子負債比率は例2の方が低い(安全性が高い)です。

    有利子負債の金額だけでは安全性を測ることは困難であり、自己資本との比率により安全性を判断できる訳です。

    財務状況の安全性を測る際は、有利子負債の金額ではなく、有利子負債比率を確認しましょう。

    有利子負債比率の適正水準と目安

    次に、有利子負債比率の適正目安をお伝えします。

    低い方が良いとされる有利子負債比率ですが、具体的にはどの程度が適正目安なのでしょうか?

    一般的な中小企業であれば、100%以下が適正目安と言われています。

    100%を超えると自己資本よりも有利子負債の方が多い状態となり、資金繰り悪化や経営不振に陥るリスクが一気に高まります。

    余程の理由がない限り、有利子負債比率は100%以下を維持しましょう。

    100%以下が適正目安と言っても、低いほど良いという訳ではありません。

    全く負債が無ければリスクはない一方、事業を成功させる資金が不足する可能性が高まります。

    事業の成長を図る為には、数百万円〜数千万円規模の投資が必要となる場合があります。

    中小企業が自己資本のみで数百万円〜数千万円を確保する事は困難である為、銀行から大規模な資金調達を行う必要があります。

    事業の維持・成長を目指す上でも、最低限の借入は必要でしょう。

    有利子負債比率の平均

    この項では、有利子負債比率の平均について解説します。

    適正目安は100%以下ですが、有利子負債比率の平均はどの程度なのでしょうか?

    2013年に「商工総合研究所」が調査した結果によると、中小企業の有利子負債比率は平均で190%程度でした。

    このデータは、経営状態が著しく悪い企業も含んでいます。

    優良な生存企業に限定すると、有利子負債比率の平均は顕著に低くなります。

    生存企業の有利子負債比率平均は、約75〜80%程度と言われています。

    つまり会社経営を維持し続ける為には、80%程度の有利子負債比率が理想であると言えます。

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    有利子負債比率とD/Eレシオの違い

    有利子負債比率と似た指標に、「D/Eレシオ」が存在します。

    この項では、有利子負債比率とD/Eレシオの違いについて解説します。

    (1)有利子負債比率とD/Eレシオの違いとは

    D/Eレシオとは、負債(Debt)が自己資本(Equity)の何倍に当たるかを表す倍率であり、「負債資本倍率」とも呼ばれています。

    D/Eレシオは有利子負債を株主資本で割ることで算出でき、低倍率の方が財務能力が安定していると判断できます。

    D/Eレシオは下記計算式により算出されます。

    • D/Eレシオ(倍)=有利子負債÷自己資本

    お気づきかと思いますが、式自体は有利子負債比率とほぼ同じです。

    有利子負債比率とD/Eレシオの違いは、財務状態の安全性を「パーセンテージ」で表すか「倍率」で表すかにあります。

    表し方こそ違うものの、表す意味自体は基本的には同じです。

    (2)ネットD/Eレシオとは

    D/Eレシオの発展的な指標に、「ネットD/Eレシオ」と呼ばれるものがあります。

    ネットD/Eレシオとは、有利子負債から現預金を差し引いたものを用いたD/Eレシオであり、純有利子負債比率とも呼べる指標です。

    下記の計算式により、ネットD/Eレシオは算出可能です。

    • ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)÷自己資本

    手元に現金がある場合、実質的な返済額は有利子負債から手元の現預金を差し引いた金額となります。

    D/Eレシオが悪くてもネットD/Eレシオが良い場合には、経営上のリスクは小さいと判断できます。

    ネットD/Eレシオが0倍であれば、手元の現預金の方が有利子負債よりも多いので実質的には無借金と言えます。

    事業にレバレッジを効かせる目的で借入しているケースでは、ネットD/Eレシオが0倍となる場合もあります。

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    営業キャッシュフロー対有利子負債比率とは

    有利子負債比率の発展的な経営指標に、「営業キャッシュフロー対有利子負債比率」と呼ばれるものがあります。

    この指標は、営業活動で得られるキャッシュフロー(営業CF)によって、有利子負債をどの程度賄えるかを表す指標です。

    支払能力を表す財務指標であり、比率が高いほど返済能力が高いと判断出来ます。

    営業キャッシュフロー対有利子負債比率は、下記の計算式により導き出せます。

    • 営業キャッシュフロー対有利子負債比率=(営業CF÷有利子負債×100%

    例えば営業キャッシュフローが30億円、有利子負債が15億円の場合は、以下の様に営業キャッシュフロー対有利子負債比率が計算されます。

    • 営業キャッシュフロー対有利子負債比率=(30億円÷5億円)×100%=200%

    有利子負債の2倍もの営業キャッシュフローを得られる為、非常に返済能力が高いと言えます。

    有利子負債比率が企業の安全性を表す一方で、こちらは企業の支払能力を表す指標であり、両者は全く異なる意味合いを持ちます。

    名前こそ似ているものの、何を表すかは全く異なるのでご注意ください。

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    有利子負債比率の業種別ランキング

    最後に、有利子負債比率の業種別ランキングをご紹介します。

    今回は、「EDIUNET」が2014年に発表したデータを参考にします。

    「EDIUNET」によると、有利子負債比率の業種別ランキングは下記になります。

    1. 旅館業(584.88%)
    2. 木材・木製品製造業(376.32%)
    3. 証券業(351.31%)
    4. 電気業(292.80%)
    5. 繊維工業(274.29%)

    全企業を調査した訳では無いので現実との差異はあるものの、ランキング上位の業種は非常に有利子負債比率が高いです。

    有利子負債比率が100%を切る業種も存在します。

    鉄鋼業や通信業、卸売業等は、有利子負債比率が100%を切っており、比較的安全性の高い業種であると言えます。

    まとめ

    今回は、有利子負債比率に関して解説しました。

    有利子負債比率は財務状況の安全性を表す指標であり、比率は低い方が安全性が高いと判断可能です。

    中小企業であれば100%以下が有利子負債比率の適正目安と言われており、70〜80%であれば理想的です。

    有利子負債から現預金を差し引いた値を用いる場合もあり、こちらは事実上の借金額を表しています。

    有利子負債比率は非常に役立つ経営指標ですので、是非とも活用してください。

    要点をまとめると下記になります。

    • 有利子負債比率とは

    →利息を付けて返済する負債と自己資本のバランスを示す経営指標であり、財務状況の安全性を表す

    • 有利子負債比率の計算式

    →有利子負債÷自己資本(株主資本)×100%

    • 有利子負債比率の適正目安

    →100%以下であれば安全性が高い

    • 有利子負債比率の平均

    →生存企業の有利子負債比率平均は約75〜80%程度

    • 有利子負債比率とD/Eレシオの違い

    →パーセンテージで表す場合は有利子負債比率、倍率で表す場合はD/Eレシオを用いる。意味合い自体は同じ

    • ネットD/Eレシオ(純有利子負債比率)とは

    →有利子負債から現預金を差し引いたものを用いたD/Eレシオ(有利子負債比率)

    • 営業キャッシュフロー対有利子負債比率とは

    →「営業キャッシュフロー÷有利子負債」で算出できる指標であり、企業の支払い能力を表す

    • 有利子負債比率の業種別ランキング(2014年)
    1. 旅館業(584.88%)
    2. 木材・木製品製造業(376.32%)
    3. 証券業(351.31%)
    4. 電気業(292.80%)
    5. 繊維工業(274.29%)

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