有利発行とは?意味や非上場会社/M&Aでの活用、税務を解説

有利発行は、第三者割当増資などを円滑に進めるうえで有効的な手段といえます。M&Aにおいて第三者割当増資を実施すれば、有利発行を行うことでより確実に経営統合を成立させ、シナジー効果が得られるでしょう。本記事では、有利発行の概要をお伝えするとともにM&Aにおける活用方法まで解説します。

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2019年12月23日更新

目次
  1. 有利発行
  2. 有利発行と第三者割当増資による新株発行
  3. 非上場会社の株価算定方法と有利発行
  4. 有利発行とM&A
  5. まとめ

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有利発行

有利発行という言葉をご存じでしょうか?第三者割当増資や新株発行の際に行われ、これらのプロセスに役立ちます。しかし、有利発行はほかの株主の利益を損なう恐れがあり、安易に利用できるものではありません。

その仕組みをよく知らなければ、かえって不利益を被ってしまうリスクもあります。今回は、有利発行の意味や税務などについてお伝えしていきます。

有利発行とは何か?その意味について

有利発行は、第三者割当増資や新株発行する際に、株価を株主以外の第三者に対して有利な価格にする手続きです。第三者割当増資や新株発行(新株予約権/ストックオプション)の際に行われる行為です。

無償で付与する場合もありますが、基本的には乖離幅10%を目安とした常識的な価格以下で付与することをさします。株式の安売りと捉えればわかりやすいでしょう。有利発行は、経営陣の判断で勝手に実行できるものではありません。

有利発行は割安で株式を発行する行為であるため、株式の希薄化を招きます。最悪、ほかの株主が損失を被るなど不利益が発生する恐れがあります。そのため、有利発行を行う際には株主総会を開催し、有利発行が必要な理由を説明したうえで特別決議を得なければなりません。

もし、特別決議を行わず株主の意向を無視して有利発行を行った場合、株主の反発を受けるだけでなく、発行差し止めを請求されることがあります。第三者割当増資や新株発行で有利発行を行う際には、株主の意向を尊重し、株主総会の特別決議を通じて承諾を得ましょう。

有利発行の税務

一般的に増資を行う際には課税は生じないため、あまり税務を意識することはありませんが、有利発行を用いて行う第三者割当増資の税務に関しては注意しなければなりません。

有利発行を行った既存株主の株式価値が新しい株主へ移転した際、法人・個人などの立ち位置によって以下のような税金が発生します。

  • 法人:有利発行によって発生した受贈益に対して法人税が発生。
  • 個人:有利発行によって発生した給与所得、退職所得、一時所得に対して所得税が発生。
  • 個人(親族):親族に有利発行を行った場合は贈与税が発生。

この際、注意しておきたいのが、有利発行による第三者割当増資や新株割当における課税です。有利発行を用いて第三者割当増資や新株割当を行う際、その増資効果に有利発行を行ったときと同様の経済価値があれば、同額の税金が課せられるので留意しておくべきでしょう。

有利発行と第三者割当増資による新株発行

ここでは、有利発行と第三者割当増資による新株発行についてまとめました。まずは、第三者割当増資の意味からお伝えします。

そもそも第三者割当増資とは?

第三者割当増資は資金調達の方法の一つであり、特定の第三者に向けて新株や会社が処分する自社株式を発行する手法です。新株などを特定対象に発行することで取引先や業務提携企業との連携を強化したり、経営悪化によって株価が低下した状態で増資を行う際に活用されます。

第三者割当増資の代表的な対象として既存株主があげられます。既存株主と関係ない第三者でも問題ありません。ただ、新株を発行する対象は、取引先の法人や取引がある金融機関、自社の役職員など縁故者であることが多く、第三者割当増資は縁故募集とも呼ばれます。

また、第三者割当増資は未上場の会社で使われるケースが多い傾向です。上場している会社であれば公募増資という形で新株発行を行えますが、市場に株式を公開させていない未上場会社の場合は、第三者割当増資のほうが有効的な手段といえます。

有利発行で株式取得のコストを減らせる

第三者割当増資はM&Aで用いられることがあります。企業買収のケースでは、買収対象の運転資金が不足しているようであれば、資金を増やすと同時に買収を行う目的で第三者割当増資が行われます。

この方法なら第三者割当増資によって会社の財務基盤を強化できるうえに、有利発行を行えば株式取得のコストを減らせます。増資によって財務基盤を強化できれば、経営を安定化させられるだけでなく、新たな事業を実行するだけの余力を持てるようになります。

加えて、M&Aを通じて得られるシナジー効果が最大限発揮しやすくなる点も見過ごせないポイントです。もし、有利発行を意識したうえでM&Aを行いたい場合は、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。また、費用に関しても国内最安値水準なので、安心してご依頼いただけます。

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※関連リンク

第三者割当増資のメリット

非上場会社の株価算定方法と有利発行

この項では、非上場会社の株価算定方法と有利発行についてお伝えします。有利発行が行われることが多い第三者割当増資は、未上場の会社で多用される傾向です。未上場会社で第三者割当増資を行う際にネックになりやすいのが株価です。

未上場会社は市場に株式を公開していないため、市場価格を参照して株価を算定することができません。そのため、株価の算定から始める必要があります。株価の算定は素人では簡単にできるものではなく、会社を多角的に分析することが大切です。

また、株価の算定には大きく分けて3つの方法があり、それぞれを会社の実情に合わせて使用していきます。それぞれの株価算定方法は以下のとおりです。

①マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、実際にあった類似会社の取引や一定期間の株価を参照して自社の株価を算定する方法です。マーケットアプローチに該当するものとして、市場株価法や類似会社比較法(マルチプル法)、類似取引比較法などがあります。

いずれも自社に類似した会社の取引や株価を参照し、自社に近いデータで検討する方法です。そのため、マーケットアプローチは客観性の高い株価を算定できます。一方、マーケットアプローチは良くも悪くも自社と類似する会社や取引があることが前提になります。

そもそも財務状況や業種などをふまえて自社と類似した会社を見つけるのは簡単ではなく、全くサンプルが見つけられない可能性も少なくありません。もし、サンプル会社が見つからなければ、マーケットアプローチは成立しないことになります。

また、市場株価法のように市場株価を参照する際にも注意が必要です。市場株価は短期的に変動することがあり、いつ発生するか予測するのは難しいです。加えて、株価変動は業績の向上・低下が原因であるとは限らず、国際情勢や景気の変化に左右されることも珍しくありません。

そのため、参照すべき株価が適切でない可能性もあります。さらに、マーケットアプローチの中にはM&Aに使えない手法もあるなど、活用できるシチュエーションが限られていることにも注意が必要です。

②インカムアプローチ

インカムアプローチは、株価算定方法の中で最も多用される方法です。DCF法やAPV法、ECF法、収益還元法、配当還元法などが該当します。最大の特徴は、対象会社の将来的な収益性やキャッシュフローをベースにして株価算定を行う点です。

つまり、対象会社がどれだけ成長できるかを加味したうえで、株価算定を行うことができます。DCF法やAPV法、ECF法などは、対象会社が設備投資や事業投資などを行った場合の将来性や成長性を株価に反映させられます。

しかし、インカムアプローチにも難点はあります。インカムアプローチは将来的な収益性やキャッシュフローを評価しつつ、発生し得るリスクを差し引くことで対象の会社を評価し、株価を算定していきます。

ただ、株価算定で評価する点はいずれも未来の事柄であり、不確実性があることは否定できません。したがって、未来のことを主観的に判断して算定することになります。

そのため、インカムアプローチは株価算定を行う会社の恣意性に左右されることが多く、下手すれば会社の実情からかけ離れた結果が出てしまう恐れもあります。このような事態を避けるには、インカムアプローチをなるべく第三者の手で行うことがおすすめです。

③コストアプローチ

コストアプローチは、対象となる会社の総資産に注目することで株価算定を行う方法です。コストアプローチに該当する手法として、簿価純資産法や時価純資産法、修正簿価純資産法などが挙げられます。

いずれも、対象会社の総資産を簿価(帳簿上の価額)と時価のいずれかで評価して株価算定します。コストアプローチは純資産を調査し、簿価を時価で評価すれば完結するため、専門家の特別な協力は不要です。

短時間で算定終了することから、余計な手間やコストをかけずに済む点がコストアプローチの長所といえるでしょう。しかし、コストアプローチはあまり株価算定に用いられることが少ない方法です。

コストアプローチは、対象の会社にある現状の総資産だけを用いて評価する方法なので、会社の将来性や成長性を加味できず、その会社が将来的に事業を継続していることを前提にしていないからです。

では、どのような場合にコストアプローチが活用されるのでしょうか。具体的には、清算・解散など会社が存続しないシチュエーションで使用される機会が多い傾向です。株価算定でも使われることはありますが、コストアプローチだけで算定するケースはほとんどありません。

有利発行とM&A

M&Aでは第三者割当増資を組み合わせることがありますが、その際に有利発行が活用されるケースも見受けられます。有利発行ならば、新株発行や自社株式発行で発生するコストを減らし、スムーズにプロセスを進められるようになるでしょう。

しかし、第三者割当増資を行う際にはいくつか注意点があります。まず、第三者割当増資をM&Aに組み合わせる場合、対象会社を株式100%取得による完全子会社化できなくなり、株式の過半数取得による経営権獲得が限度になります。

また、有利発行を伴う第三者割当増資は、株式の希薄化を招き、ほかの株主の不利益を生み出してしまう恐れがあります。有利発行で新株を獲得した新株主と、既存株主の間に摩擦が生じかねません。そのため、有利発行における株価の設定には十分注意しましょう。

加えて、株式会社は株主の権利や利益を保護しなければならず、それらを侵害するような設定で有利発行を行うとかえって株主の反発を招くことにつながります。税務の面も含め、有利発行を行う際には株主への影響になるべく配慮したほうがいいでしょう。

※関連記事リンク

第三者割当増資における希薄化

まとめ

有利発行は第三者割当増資などを円滑に進めるうえで有効的な手段といえます。M&Aの際に第三者割当増資を実施すれば、有利発行によって確実に経営統合を成立させ、シナジー効果を得られることでしょう。

しかし、有利発行は株主の不利益を招くリスクがあり、経営陣の都合を優先して行うと逆効果になるかもしれないので注意が必要です。有利発行を行う際には、株主への影響を最大限考慮するようにしましょう。

もし、有利発行をふまえて経営統合をお考えであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所にはM&Aに精通したスタッフが在籍しているので、M&Aに関する疑問にていねいにお答えします。無料相談を受け付けているので、ぜひお問い合わせください。

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