M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル

2019年11月21日更新
この記事は、約2分で読めます。

株主割当増資とは?メリット・デメリット、注意点を解説

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株主割当増資は、新株の発行による資金調達方法の一つです。既存の株主(自社を除く)に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えるという方法になり、株主の構成や持ち株比率を変えずに増資をすることができます。

目次
  1. 株主割当増資
  2. 株主割当増資とは
  3. 株主割当増資と第三者割当増資の違い
  4. 株主割当増資のメリットとデメリット
  5. 各増資方法のメリット・デメリットの比較
  6. 株主割当増資を行う手順
  7. 株主割当増資の注意点
  8. まとめ

株主割当増資

株主割当増資とは

会社が新株を発行して資金を調達する場合、主に株主割当増資、第三者割当増資、公募増資の3つの方法があります。いずれも、新株の発行によって株主の出資を受け、資金を調達するという流れになります。

会社が資本金を増やすことを「増資」といいますが、新株の発行は資本金を増加させるので、しばしば「増資」と表現されます。上記の3つの方法も、いずれも「増資」と表現されています。

一方で、株主割当増資と第三者割当増資は、それぞれ「株主割当て」「第三者割当て」と呼ばれることも多いです。

さて、これらの3つの方法のうち、株主割当増資(株主割当て)について詳しく整理してみましょう。

株主割当増資とは、新株を発行する際に、既存の株主(その株式の発行会社を除く)に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えることです。大まかに言うと、既存の株主(自社を除く)に新株を割り当て、その株主から出資を受け、資金を調達するという方法です。この場合、割り当ては持ち株数に応じて行われます。

株主割当増資の重要なポイントは、「既存の株主(自社を除く)」「持ち株数に応じて」の部分です。以下、それぞれ詳しく整理してみましょう。

・既存の株主(自社を除く)

株主割当増資は、既存の株主のみに新株の割り当てを受ける権利を与えます。新たな株主は登場せず、既存の株主から出資を受けることになります。そして、この既存の株主には、自社が含まれていません。この意味について考えてみましょう。

会社が自社の株式を保有するというケースがあります。この場合、株主割当増資の対象となる「既存の株主」には、自社(その株式の発行会社)は含まれません。

例えばA社がA社の株式を保有している場合、A社自体が、A社の既存の株主に含まれます。しかし、株主割当増資は「既存の株主(自社を除く)に対し、新株の割り当てを受ける権利を与える」という仕組みです。つまり株主割当増資の場合、A社がA社に対し、新株の割り当てを受ける権利を与えることはできません。

これは、自分で自分に割り当てることはできないという意味です。自分が自分に出資する意味はないからです。

株主割当増資は、あくまで資金調達の方法の一つです。株主から出資を受け、資金を調達するという仕組みです。自社が自社に出資しても、新たな資金調達にはなりません。自社以外の株主から出資を受けるからこそ、新たな資金調達が可能になるのです。

・持ち株数に応じて

株主割当増資では、新株の割り当てを受ける権利は、株主の持ち株数に応じて与えられます。この意味について、具体的に考えてみましょう。

例えば、持ち株数10株に対して1株を割り当てるとします。この場合、50株を持つ株主には5株、30株を持つ株主には3株が割り当てられます。結果として、この場合の株主は、それぞれ55株、33株を保有することになります。

このように、株主割当増資による新株の割り当ては、それぞれの株主の持ち株数に応じています。上記の例でいえば、50株を持つ株主に5株、30株を持つ株主に3株のように、持ち株数10株に対して1株という割合が決まっています。

これを株主ごとに変えることはできません。この例でいれば、30株を持つ株主に5株を割り当てることはできないのです。10株に対して1株という割合を守り、3株を割り当てなくてはなりません。

株主割当増資と第三者割当増資の違い

ここまで、株主割当増資の意味をご紹介しました。次に、株主割当増資と第三者割当増資の違いを整理してみましょう。

・第三者割当増資とは

第三者割当増資とは、株主割当増資によらない方法で新株の割り当てを受ける権利を与えることです。株主割当増資のように既存の株主だけを対象とするのではなく、新たに第三者に新株を引き受ける権利を与えることが可能です。

第三者割当増資は、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を割り当てると考えるとイメージしやすいです。

・株主割当増資と第三者割当増資の違い

両者の違いをさらに詳しく整理しておきます。

第三者割当増資は、新株を引き受ける人を募集し、その募集に応じて株式の引受けの申込みをした人に対し、新株を割り当てるという流れです。この場合、引受けの申込みをする人は既存の株主だけではありません。つまり、新たな株主が登場することがあるのです。この点が、既存の株主だけを対象とする株主割当増資との大きな違いです。

また、既存の株主に対する割り当てにおいても、株主割当増資と第三者割当増資には違いがあります。

既存の株主に対して新株の割り当てを受ける権利を与える場合でも、持ち株数に応じていなければ、それは株主割当増資ではありません。

この場合、株主割当増資によらない方法として、第三者割当増資となります。

例えば、ある会社の株主がA、B、Cの3人だったとします。このうち、Aのみに新株の割り当てを受ける権利を与えた場合、これは第三者割当増資となります。BとCには新株が割り当てられないことになり、それぞれの株主の持ち株数に応じた割り当てにならないからです。

つまり株主割当増資ではなく、第三者割当増資となるのです。

既存の株主に対する割り当ては、全てが株主割当増資になるわけではありません。

持ち株数に応じた割り当てでないのなら、それは第三者割当増資となります。

株主割当増資のメリットとデメリット

ここまで、株主割当増資の意味や第三者割当増資との違いについてご紹介しました。

次に、これらの点も踏まえ、株主割当増資のメリットとデメリットを整理しておきましょう。

株主割当増資のメリット

・資金を調達しても返済の必要がない

これは第三者割当増資にも共通していますが、重要なポイントなので説明します。

株主から受ける出資は、返済の必要がありません。お金を借り入れているわけではないからです。株主は株式を保有することで配当金を得ることができますが、これは返済や利息ではありません。

つまり、株主の出資に対しては、返済義務や利息がないということです。会社としては、返済の必要がない資金を調達できることになります。この点は、銀行からの借り入れなどと比較したメリットです。

・株主の構成や持ち株比率が変わらない

株主割当増資は既存の株主(自社を除く)に対する割り当てとなるので、株主の構成が変わりません。また、持ち株数に応じた割り当てのため、それぞれの株主の持ち株比率も変わりません。

株主の構成や持ち株比率を変えることなく増資が可能になるという点が、株主割当増資の最大のメリットです。このことについて、詳しく整理してみましょう。

新株の発行の際に、第三者割当増資によって新たな株主が登場するとします。新しい株主の出資によって効率的に資金を調達できるというメリットはありますが、その株主に会社の支配権を奪われる可能性もあります。

保有する株式が多ければ多いほど、その株主は株式会社に対する力を強めることができるからです。

一方で、株主割当増資の場合、株主の構成が変わらないので、新たな株主に支配権を奪われるおそれがありません。また、持ち株数に応じた割り当てとなるので、一人の株主だけが突然多くの株式を保有することもありません。

このように、これまでの株主の構成や持ち株比率を変えることなく、効率的な資金調達が可能となります。

株主割当増資のデメリット

・株主の理解をしっかりと得る必要がある

株主割当増資は株主の持ち株比率が変わりませんが、これは株主としてはあまりメリットがありません。出資して持ち株比率が上がれば、会社に対する影響力が強くなるので、株主としてもメリットがあります。

しかし、持ち株比率が変わらないのなら、会社に対する影響力はこれまでと同じです。それにもかかわらず、株主は出資をすることになるのです。つまり、株主にとってあまりメリットのある手法ではありません。

株主にとって魅力がなければ、株主割当増資が実現しない可能性があります。「持ち株比率が変わらないのになぜ出資しなければならないのか」と考える株主もいるでしょう。そのため、株主割当増資を実現するには、しっかりと株主の理解を得る必要があります。

ただ、理解を得るために時間がかかってしまうと、スムーズな資金調達は難しくなります。

・コストや手間がかかる

これは第三者割当増資とも共通しますが、株主割当増資を行う場合、何かとコストや手間がかかります。

株主割当増資を行うには、株主総会や取締役会など、法律上で定められた機関の決議を経る必要があります。また、資本金が増加することにより、必ず変更登記をしなくてはなりません。

登録免許税や司法書士への報酬などが発生します。資本金の増加額によっては、税額が上がる場合もあります。このようなコストと手間がかかるので、必ずしも短期間で資金調達ができるとは限りません。

各増資方法のメリット・デメリットの比較

上で例に挙げた株主割当増資のメリット・デメリットに関連し、第三者割当増資と公募増資のメリット・デメリットについても触れておきます。

・第三者割当増資のメリット・デメリット

資金を調達しても返済の必要がないという点は、株主割当増資と同様のメリットです。また、新たな株主が登場するという点にも、様々なメリットがあります。

例えば、取引先や銀行など、つながりの深い第三者に割り当てを行い、出資を受けることもできます。すでに深い関係のある会社・銀行からの出資は、より効率的な資金調達となります。すでにある程度の信頼を得ているので、資金を集めやすいからです。

また、これまで以上に信頼関係を安定させることもできます。

一方で、第三者割当増資は新しい株主が登場するので、特定の株主に支配権を奪われる可能性もあります。また、支配権までは奪われなくても、持ち株比率が変わる以上、会社の意思決定に影響が及びます。

既存の株主の権限が弱まるため、意思決定がスムーズに進まない可能性があります。この点は、株主割当増資と比較したデメリットとなります。

また、コストや手間がかかるという点は、株主割当増資と同様のデメリットです。

・公募増資のメリット・デメリット

新株の発行には、株主割当増資と第三者割当増資以外に、公募による方法があります。これは公募増資とも呼ばれ、不特定多数の投資家から資金調達をすることができます。

第三者割当増資と同じく、公募増資では新たな株主が登場します。一方で、両者には違いもあります。

第三者割当増資は、特定の第三者に新株を割り当てることが基本です。例えば取引先や銀行など、関連の深い特定の第三者が割り当ての対象となります。

一方で、公募増資は不特定多数の投資家が対象となり、より幅広い層からの資金調達が可能となります。この点は公募増資のメリットです。

ただし、より広範囲で新しい株主が登場するため、意思決定に影響が出ること、さらには支配権が奪われる可能性があることなど、デメリットもあります。

株主割当増資を行う手順

株主割当増資は、募集事項の決定→株式の申し込み→株式の引き受け→割り当てを受けた者が出資を履行するという流れになります。

募集事項というのは、株式を募集するにあたって定める具体的な条件のことをいいます。この募集事項の決定は、株主総会や取締役会など、法律上で定められた機関の決議を経て行います。具体的な決議機関は、以下の通りです。

・公開会社の場合

常に取締役会によって募集事項を決定します。

・非公開会社の場合

定款に別段の定めがない場合

株主総会の特別決議によって募集事項を決定します。

定款に別段の定めがある場合

取締役会設置会社でない株式会社では取締役の決定によって、取締役会設置会社では取締役会の決議によって、募集事項の決定ができるという定款の定めがあれば、それぞれ取締役の決定または取締役会の決議によって募集事項を定めます。

募集事項が決定したら、株式の引き受けの申し込みの期日の2週間前までに、割り当てを受ける株主に所定の事項を通知します。

株主は株式の申し込みをすると、割り当てを受けることができます。

その株式を引き受け、出資を履行するという仕組みです。

株主割当増資の注意点

先ほども見たように、株主割当増資にはコストと手間がかかるというデメリットがあります。株主総会や取締役会など、法律上で定められた機関の決議も必要です。

株主割当増資を行う場合、所定の要件をきちんと満たしているかどうか、慎重に確認しなければなりません。

ただ、株主割当増資にはメリットが多いことも事実です。株主割当増資を検討する際には、コストや手間とのバランスを考え、実行するかどうかを判断する必要があります。

多少コストや手間がかかってもメリットが多いと判断できれば、株主割当増資を実行する意味は大きいです。

まとめ

株主割当増資は、新株の発行による資金調達方法の一つです。既存の株主(自社を除く)に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えるという方法になり、株主の構成や持ち株比率を変えずに増資をすることができます。

一方で、コストや手間がかかるというデメリットもあります。これらの点も踏まえ、株主割当増資を実行するかどうか、事前に検討する必要があります。また、第三者割当増資や公募増資も含め、増資の方法の一つとして、それぞれメリット・デメリットを比較することも大切です。

これらのポイントを把握したうえで株主割当増資を実行すれば、効率的な資金調達が可能となります。

その仕組みや手順、メリット・デメリットを分析し、有意義な資金調達につなげてみてください。

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談WEBから無料相談
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05
ご相談はこちら
(秘密厳守)