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2019年12月21日更新
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株主割当増資とは?メリット・デメリット、注意点を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株主割当増資は、新株の発行によって資金調達する方法の一つであり、自社を除いた既存株主に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えるという方法です。株主の構成や持ち株比率を変えずに増資できるメリットがあります。

目次
  1. 会社が資本金を増資する方法
  2. 株主割当増資とは
  3. 株主割当増資のメリットとデメリット
  4. 株主割当増資を行う手順
  5. 株主割当増資の注意点
  6. 株主割当増資と第三者割当増資の違い
  7. 各増資方法のメリット・デメリットの比較
  8. まとめ

会社が資本金を増資する方法

会社が新株を発行して資金を調達する場合、主に以下の3つの方法で増資を行います。

  1. 株主割当増資
  2. 第三者割当増資
  3. 公募増資

これら3つの増資方法は、いずれも新株を発行して株主の出資を受けて資金を調達する方法です。なお、新株の発行は資本金を増加させることから、増資にあたると解釈されています。

株主割当増資は株主割当て、第三者割当増資は第三者割当て、と呼ばれることも多いです。さて、上記の3つの増資方法のうち、今回は株主割当増資(株主割当て)について具体的な増資方法を解説します。

また、株主割当増資をすることのメリットやデメリット、注意点についてもわかりやすく解説します。

 

株主割当増資とは

新株を発行する際に、その株式を発行する会社を除いた既存の株主に対し、新株が割り当てられる権利を付与することが特徴です。ただし、保有する株数に応じた権利であることがポイントです。大まかに言うと、既存の株主(自社を除く)に新株を割り当てて出資を受けるという形で、資金を調達するという方法です。

株主への割り当ては持ち株数に応じて行われるのも、株主割当増資の特徴です。株主割当増資では「既存の株主(自社を除く)」「保有する株数に応じて」という2つが重要なポイントとなります。以下で、それぞれ詳しく整理してみましょう。

ポイント①:既存の株主(自社を除く)

株主割当増資は、既存の株主のみに新株の割り当てを受ける権利を与えるだけで、既存の株主より出資を受けることから、新たな株主は登場しません。ただ、ここでいう「既存の株主」には、自社(自社株)は含まれません

これから当該増資を実施しようとしている会社が自己株保有している場合、株主割当増資で割り当てとなる「既存の株主」に、自社(その株式の発行会社)は含まれず、自社以外の株主のみが対象となります。例えば、A社が自社の株式を保有している場合、本来であればA社自体がA社の既存の株主に含まれます。

しかし、株主割当増資は「自社を除いた既存の株主に対して新株の割り当てを受ける権利を与える」仕組みとなっています。つまり、株主割当増資の場合はA社が自社の株式として保有しているものに対し、新株の割り当てはできないということです。

これは、自分で自分に割り当てることはできないという意味であり、自分自身に出資する意味はないからです。株主から出資を受けることで、はじめて資金調達を実現することになります。自社が自分自身に出資しても、新たな資金調達にはならず、自社以外の株主から出資を受けるからこそ、新たな資金を手に入れることができるのです。

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ポイント②:持ち株数に応じて

株主割当増資では、株主の保有する株数に応じて新株の割り当てを受ける権利が与えられます。例えば、持ち株数20株に対して1株を割り当てるとします。この場合、100株を持つ株主には5株、40株を持つ株主には2株が割り当てられます。

結果として株主は、それぞれ105株と42株を保有することになります。上記の例でいえば、持ち株数20株に対して1株という割合が決まっている通り、新株の割り当ては、それぞれの株主の持ち株数で割合が決められています。

これを株主ごとに変えることはできません。この例でいえば、40株を持つ株主に5株を割り当て、100株をもつ株主に2株を割り当てるということはできないのです。あらかじめ決められた割合を守り、それぞれの持ち株数に応じた株を割り当てなければなりません。

 

株主割当増資のメリットとデメリット

会社は状況や事情に応じて、それぞれ最良の増資方法を選択しますが、選択に際してどのような点に留意しておくべきでしょうか。ここでは、株主割当増資におけるメリットとデメリットについて解説していきます。

株主割当増資のメリット

株主割当増資のメリットは、以下の2点があります。

  • 資金を調達しても返済の必要がない
  • 株主の構成や持ち株比率が変わらない
これら株主割当増資における2つのメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

メリット①:資金を調達しても返済の必要がない

これは第三者割当増資にも共通しているのですが、株主から受ける出資は返済する必要がありません。同じ資金調達の方法には、金融機関などから借り入れする方法もあります。金融機関などから借り入れたお金は、利息とともに返済しなくてはなりません。

しかし、この増資では、実際にお金を借り入れているわけではなく、新株を発行して出資を募るものです。また、株主には配当金を支払うのですが、これは出資してくれたことへの返済や利息ではなく、あくまでも利益の一部を株主に還元する(支払う)ものです。

つまり、出資を受けたからといって株主に返済する義務はありませんし、借りたわけではないため利息がないということであり、会社としては返済しなくてもよい資金を調達できることになります。この点は、金融機関などからの借り入れと比較した場合のメリットです。

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メリット②:株主の構成や持ち株比率が変わらない

株主割当増資は、株主の構成と株主の持ち株比率に変更がありません。この点が、株主割当増資の最大のメリットであると言えるでしょう。

後述しますが、他の増資方法では新株の発行の際に、新たな株主が登場する可能性があります。これにより、新しい株主の出資によって効率的に資金を調達できるというメリットはありますが、その株主に会社をコントロールされてしまう可能性もあります。

保有する株式が多ければ多いほど、その株主は株式会社に対して強い力を持つことになります。株主割当増資の場合は、新たな株主にコントロールされるおそれがなく、また株主の構成に変更がないので、一人の株主だけが突然多くの株式を保有することもありません。

このように、これまでの株主の構成や持ち株比率が今までと変わらずに、効率よく資金調達が可能となります。
 

株主割当増資のデメリット

増資に限らず、物事にはメリットがあればデメリットが存在します。メリットについてはよく認識している人がいる一方で、デメリットについてきちんと認識していないという人は少なくありません。

デメリットの認識が甘かったことで後々にトラブルへと発展してしまうこともありますので、株主割当増資についてのデメリットもよく認識しておくようにしましょう。
 

 

デメリット①:株主の理解を得る必要がある

株主割当増資は株主の持ち株比率が変わりませんが、これは会社としてはメリットになっても、株主としてはあまりメリットがありません。同じ出資をしたとしても、株主割当増資では他の株主との持分比率は変わりません。

持ち株比率が変わらないのなら、株主間での力関係はこれまでと同じです。にもかかわらず、株主は出資をすることになるため、株主にとってはあまり魅力的な手法ではありません。

株主にとって恩恵のある行為でなければ、株主が株主割当増資を拒否して実現しない可能性もあります。株主によっては「持ち株比率が変わらないのに」と考える人もいるでしょう。そのため、株主割当増資を実現するには株主の理解を得る必要があるのです。

ただ、理解を得るために時間がかかってしまうと、資金調達にも時間がかかってしまうことになります。

デメリット②:費用や手間がかかる

これは第三者割当増資でもいえることですが、、株主割当増資にはなにかと費用や手間がかかります。株主割当増資を行うためには、株主総会などの法律上で定められた機関の決議を経る必要があります。また、資本金が増加することにより、登記上の変更手続きを取る必要があります。

これにより、登録免許税や司法書士への報酬などが発生します。増資した額によっては、税額が上がることもあります。このような費用と手間がかかるので、短期間での資金調達が難しい増資方法だといえます。
 

株主割当増資を行う手順

基本的な実務手順は、どのようなものか見ていきましょう。

  1. 募集事項の決定
  2. 株式の申し込み
  3. 株式の引き受け
  4. 割り当てを受けた者が出資を履行

募集事項というのは、株式を募集するにあたって定める条件のことです。この募集事項は、株主総会や取締役会などの決議で決まります。

公開会社の場合

公開会社の場合は、取締役会で募集事項を決定します。決定した募集事項は、株式の引き受け申し込み期日の2週間前までに株主へ通知しなければなりません。

非公開会社の場合

非公開会社の場合は、定款に別段の定めがない場合とある場合とで、決議機関は異なります

定款に別段の定めがない場合

まず、定款に別段の定めがない非公開会社の場合は、株主総会の特別決議で募集事項を決定します。こちらについても、引き受けの申し込み期日の2週間前までに株主へ通知しなければなりません。

定款に別段の定めがある場合

取締役会設置会社でない株式会社では取締役の決定によって、取締役会設置会社では取締役会の決議によって、定款に「募集事項の決定ができる」という定めがあれば、取締役または取締役会の決議で募集事項を定めます。

募集事項の決定後は、上述した場合と同様の日までに、株主に対して通知をします。株主は株式の申し込みをすると、割り当てを受けることができ、出資するという仕組みです。

 

株主割当増資の注意点

ここまで解説してきましたように、株主割当増資には費用と手間がかかるデメリットがあります。また、株主総会や取締役会などでの決議も必要です。株主割当増資を行う場合は、要件を満たしているかどうかも確認しなければなりません

ただ、株主割当増資にはメリットが多いです。株主割当増資を検討する際には、費用や手間とのバランスを考え、実行するかどうかを判断する必要があります。多少の費用や手間がかかっても、それ以上のメリットに期待ができると判断できれば、株主割当増資での資金調達は魅力的です。

なお、株主割当増資を行った際には適切な会計処理も必要となります。M&A総合研究所には会計士が在籍していますので、財務の知識が豊富なアドバイザーがフルサポートをお約束します。

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株主割当増資と第三者割当増資の違い

さて、今度は第三者割当増資との違いについて解説していきます。ここまで株主割当増資について解説してきました。なお、第三者割当増資については下記の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方はご覧ください。

※関連記事

第三者割当増資の手続きとは?契約書や取締役会について解説

第三者割当増資とは

まず第三者割当増資とは、株主割当増資によらない方法で新株の割り当てを受ける権利を与えることです。株主割当増資では既存の株主のみを対象としていましたが、第三者割当増資では既存株主以外にも新株を引き受ける権利を付与できるのです。

第三者割当増資では、既存の株主であるかどうかは関係なく、既存の株主を含めた特定の第三者に新株を割り当てる方法です。

第三者割当増資との違い

第三者割当増資では引き受ける人を募集し、その募集に応じて株式の引受けの申込みをした人に対して新株を割り当てるという流れです。この場合、引受けの申込みをする人は既存の株主だけではなく、新たな株主が登場することがあるのです。これが、割り当ての対象を既存の株主だけとする株主割当増資との大きな違いです。

また、既存の株主に対する割り当てにおいても、持ち株に応じて決まった割合の新株を割り当てることを株主割当増資であるのに対し、第三者割当増資では持ち株に応じて決められる割合はありません。既存の株主に対して割り当てる場合でも、持ち株数に応じた割合となっていない場合は、株主割当増資とはならず、第三者割当増資となります。

例えば、ある会社に3人の株主がいたとします。その中の1人にだけ新株の割り当てを受ける権利を与えてしまうと、それは株主割当増資ではなく第三者割当増資となります。
 

各増資方法のメリット・デメリットの比較

株主割当増資のメリットとデメリットをお伝えしましたが、その他の増資方法にも当然ですがメリットもあればデメリットもあります。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを株主割当増資と比較してみます。

第三者割当増資のメリット・デメリット

第三者割当増資のメリットは、資金調達後に返済が必要ない点は、株主割当増資と同じです。株主割当増資にはないメリットとして、新たな株主が登場することにるいては、例えば、取引先や銀行などの深い関係のある第三者に割り当てられることです。

こうした関係のあるところからの出資は、すでにある程度の信頼を得ているので、資金を集めやすいからです。また、これまで以上に信頼関係を安定させることもできます。

一方で新しい株主が出てくることで、特定の株主に会社をコントロールされてしまう可能性もあります。そこまでいかなくても、持ち株比率が変わるために少なからず影響が出てしまいます。既存の株主の力が弱くなることで、意思決定がスムーズに進まない可能性があります。

費用や手間がかかるという点は、株主割当増資と同様にデメリットとなる点です。

※関連記事

第三者割当増資のメリット

公募増資のメリット・デメリット

公募増資とは、不特定多数の投資家から資金調達することです。新株の発行で増資するというと、むしろこのイメージを持つ人が多いでしょう。公募増資では第三者割当増資と同様に、既存の株主ではない新たな株主が出てきます。

一方で、両者には違いもあります。第三者割当増資では特定の第三者を新株の割り当て先としますが、公募増資は不特定多数の投資家に割り当てることになりますので、広範囲での資金調達が可能となります。

ただ、より広範囲で新しい株主が登場するため、第三者割当増資以上に会社のコントロールを奪われてしまう可能性があります。株主割当増資よりも広範囲での資金調達が可能な点はメリットなのですが、それがデメリットにもなる可能性があることに注意しなければなりません。
 

まとめ

株主割当増資は、新株を発行して資金調達する方法の一つであり、自社を除いた既存の株主に対して、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えるという方法です。既存株主の構成や持ち株比率は今までと変わらずに資金調達できることにメリットがあります。

一方で、費用や手間がかかるデメリットもあります。何事にもメリットがあればデメリットもあるように、株主割当増資にもそれぞれ良いところがあれば、悪いところもあります。これをよく考えたうえで株主割当増資とするのかを事前に検討する必要があります。

また、株主割当増資はあくまでも増資の方法の一つとして、状況に応じて第三者割当増資や公募増資も検討するようにし、自社だけで答えを出すのではなく、専門家に相談することもおすすめします。

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