赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
2020年12月7日更新会社・事業を売る
株式取得による税金
株式取得を行うと売却時に税金が課税されます。その際、正確に算出しなければ、追加でペナルティ分の税金が課される可能性があるため注意が必要です。また、税金によって支払うタイミングが異なる点にも気を付けましょう。ここでは、株式取得による税金について解説します。
株式取得とは?
株式取得とは、文字通り「株式を取得する行為」をさします。株式取得は、M&Aや証券投資目的で実施され、株価上昇による利益獲得が主な目的です。株式取得によって得た利益には、税金が発生します。しかし、株式取得の税金に関して、詳しく理解している方は意外と少ないでしょう。
そこで今回は、株式取得による税金に関して詳しく解説します。株式取得で失敗しないためにも、税金に関する知識を身に付けましょう。
株式譲渡による取得費
はじめに、株式取得による税金を計算する上で、基礎となる「取得費」について解説します。
①取得費とは
取得費とは「株式取得する際に必要になった費用」をさします。基本的には、株式取得の購入費や払込代金が該当し、購入に要した手数料や名義の書き換え費用も取得費に含まれます。M&Aで株式取得を行った場合は、専門家への報酬も取得費に含まれます。
もし、報酬の金額を抑えたければM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。相談は無料で、着手金もかかりません。お気軽にお問い合わせください。
②購入・払込み以外による取得費
株式取得のほとんどは購入や払込によって実行されますが、購入や払込以外の手段によって株式取得するケースもあります。ここでは、各ケースにおける取得費についてご紹介します。
相続・遺贈・贈与による株式取得
相続・遺贈・贈与による株式取得では、事業承継による株式取得の事例が最も多いです。相続・遺贈・贈与による株式取得の場合、被相続人や遺贈者、贈与者の取得費を引き継ぎます。
新株予約権、新株引受権による株式取得
新株予約権(ストックオプション)や新株引受権の行使による株式取得です。このケースでは、権利行使日の価額が取得費になります。
新たな払込みを要さない株式取得
新たな払込みを要さない、つまり無料で株式取得する際には、当然ながら取得費は0となります。
③取得費の調整
取得費は、株式取得に要した株価に株数を乗じて計算することで求まります。また、下記のケースに該当する場合は、取得費の計算に用いる株価を調整します。
- 株式分割または株式併合によって株式取得する
- 同じ種類の株式を株主割当により取得する
- 適格合併により、合併会社の株式取得を行う
- 適格分割型分割により、分割承継法人の株式取得を行う
- 株式分配によって、完全子会社から株式取得する
- 適格株式交換または株式移転を理由に株式取得する
つまり、適格組織再編や株式分割・併合などによる株式取得であれば、取得費の調整を実行することになります。
➃概算取得費の適用
相続による株式取得や株式を購入した時期が古い場合、取得費が判明しない可能性があります。その際には、「概算取得費」として株式売却代金の5%を取得費として適用できます。また、実際の取得費が5%未満だった場合でも、概算取得費を適用可能です。
株式を譲渡した場合の税金(申告分離課税)
次に、株式を譲渡した際に課される税金について説明していきます。
①株式の譲渡益課税
株式譲渡(売却)では、売却金額から取得費を差し引いた部分に税金が課せられます。この部分は、「譲渡益」や「譲渡所得」と呼ばれます。「譲渡益」には「申告分離課税」と呼ばれる課税制度が適用され、他の所得と分離した上で、税金の計算が実施されます。
また、申告分離課税は、譲渡益の中でも「上場株式等に係る譲渡所得」と「一般株式等に係る譲渡所得」で区別されており、別々に申告分離課税を実施する必要があります。
また、「譲渡所得」の場合はすべてを合計して税金を計算できるわけではありません。片方の譲渡損失を、もう片方の譲渡所得から控除することも認められていません。同じ譲渡所得でも、上場株式と一般株式は、別々に税金を計算するため注意が必要です。
②「株式等」「上場株式等」および「一般株式等」の定義
株式取得の税務では「株式等」「上場株式等」「一般株式等」によって対応が異なるため、それぞれの定義について理解しておく必要があります。ここでは、それぞれの定義を抜粋して解説していきます。
「株式等」の定義
主に下記に該当するものは、「株式等」とみなされます。
- 株式そのもの
- 株主または投資主になる権利
- 特別の法律により創立された法人の出資者持分
- 合名・合資・合同会社社員の持分
- 投資信託の受益権
「上場株式等」の定義
上場株式等には、主に下記資産が該当します。
- 金融商品取引所に上場されている株式
- 特定投資法人の投資口
- 国債および地方債
- 公募投資信託の受益権
- 店頭転換社債型新株予約権付社債
「一般株式等」の定義
株式等に該当する資産の内、上場株式等に該当しないものを「一般株式等」と呼びます。
③「上場株式等」や「一般株式等」に関する譲渡所得の計算方法
「上場株式等」か「一般株式等」かに関係なく、譲渡所得の計算方法は同じで、下記の計算式で算出されます。
- 譲渡所得(譲渡益)=譲渡価格(総収入金額)−必要諸経費(取得費や委託手数料など)
「委託手数料」とは、株式売却の際に起用した専門家などに支払う費用です。M&Aであれば、M&Aアドバイザリーに支払った手数料が当てはまります。この手数料を抑えたい場合は、一度M&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所は、独自のM&Aプラットフォームからの情報によって短期間でマッチングを行い、人件費の削減を可能にしているため、他社よりも低価格でM&Aの成立を目指せます。
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➃株式譲渡の税率
株式譲渡(売却)の税率においても、「上場株式等」と「一般株式等」の間に違いはありません。株式譲渡では、譲渡所得に対して20,315%(所得税15,315%、住民税5%)の税金が生じます。M&Aや事業承継であっても、株式投資であっても支払う税金は変わりません。
株式投資にかかる税金
ここでは、投資目的の株式取得における税金について解説します。
①「譲渡益課税」と「配当課税」
株式投資では「譲渡益課税」と「配当課税」が生じます。譲渡益課税とは、株式や不動産などの資産を売却(譲渡)したときの利益(譲渡益)に対する課税のことで、一律20,315%の税金が課されます。
一方、配当課税とは、配当金を受け取る際に課される税金です。配当所得は原則総合所得として、他の所得と合算された上で税金が計算されます。特例によって、上場株式等に関する配当金であれば、申告分離課税を選択することも可能です。
②株式売却による損失
株式投資では損失が発生することもあり、購入時より売却時の株価が下がっていれば損失となります。この場合、利益ではなく損失であるため、税金は課されません。
株式取得で生じた損失は、他の譲渡所得や配当金と相殺できます。また、相殺しても損失が残った際には、確定申告によって損失を来期に繰り越すことも可能です。つまり、譲渡損失を利用すれば、税金の支払いを抑えられます。一方、上場株式と一般株式との間では相殺処理はできません。
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株式譲渡所得について解説します
株の売却益と税金の支払い
最後に、株式取得で生じた税金の支払いについて解説します。
①税金の支払い方
株式取得で生じた税金は、基本的に確定申告を経て支払います。税率が一定かつ分離課税であるので、税金の額は簡単に算出できます。しかし、税金の支払いに関しては、所得税と住民税の支払うタイミングが異なるため注意が必要です。
所得税は翌年3月15日までに確定申告を行い、納税します。一方、住民税は、確定申告を実施した年度の6月に、自治体から納税の案内が届きます。双方の税金をしっかりと支払うためには、計画的に資金を残しておく必要があります。
②特定口座による源泉徴収
基本的には確定申告によって税金を支払いますが、投資目的であれば、源泉徴収ありの特定口座を利用することもできます。投資目的で株式取得する場合、普通は証券会社に口座を開設します。口座を開設する際、下記3つの口座から選択できます。
- 源泉徴収なし特定口座
- 源泉徴収あり特定口座
- 一般口座
特定口座で株式取引を実行すると、年間の取引記録を書類で送付してもらえます。年間取引記録の書類を参照することで、確定申告で簡単に税額を計算できます。
また、特定口座の中でも源泉徴収ありを選択すれば、さらに手間が省けます。源泉徴収ありを選ぶことで、株式売却時に自動的に税金が差し引かれるからです。つまり、確定申告が不要となります。
③特定口座(源泉徴収あり)を選ぶデメリット
特定口座(源泉徴収あり)を選べば、面倒な確定申告が不要です。しかし、特定口座を用いる場合にもデメリットがあります。
株式投資の年間利益が20万円以下の場合、確定申告(税金の支払い)は不要です。しかし、特定口座(源泉徴収あり)を選んでしまうと、株式投資の年間利益が20万円以下であっても税金が支払われてしまいます。そのため、大きな利益を見込めないのであれば、源泉徴収なしの特定口座を選ぶことをおすすめします。
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株式譲渡と確定申告
まとめ
今回は、株式取得による税金について解説しました。株式取得を行うと、売却時に税金が課税されます。その際、株式取得の税金を正確に計算しなければ、ペナルティとして追加の税金が課される場合もあります。
また、税金によって支払うタイミングが異なる点にも注意が必要です。所得税の支払いで安心せず、住民税の支払いにも備えることが重要になります。要点をまとめると下記のとおりです。
・株式取得の取得費とは?
→株式取得時に必要となった費用
・購入・払込み以外による取得費
→相続・遺贈・贈与による株式取得、会社から与えられた権利行使による株式取得、新たな払込みなどを要さない株式取得
・譲渡益課税とは?
→株式や不動産などの資産を売却(譲渡)したときの利益に対する課税
・「上場株式等」や「一般株式等」に係る譲渡所得の計算方法
→譲渡所得(譲渡益)=譲渡価格(総収入金額)−必要諸経費(取得費や委託手数料など)
・株式投資にかかる税金
→譲渡益や配当に対して課税
・株式売却による損失
→他の譲渡所得や配当金と相殺できる(税金は発生しない)
・株式取得における税金の支払い方
→基本的には確定申告を経て支払う
・特定口座による源泉徴収
→確定申告が不要になる
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