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私的再生とは?意味や手続きの流れ、メリット・デメリットをご紹介

私的再生とは?意味や手続きの流れ、メリット・デメリットをご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    私的再生

    私的再生は会社整理の手法の一つであり、裁判所の監督を得ずに関係者同士で協議し、会社の再建を目指すというものです。

    しかし会社整理全般、とりわけ私的再生の意味や手続きはよくわからないという人は少なくありません。

    私的再生はあまり表に出ない言葉であり、実態がわかりづらいものです。

    今回は私的再生の意味や手続きの流れ、メリット・デメリットなどをお伝えしていきます。

    私的再生とは?私的再生の意味と種類

    私的再生の種類

    私的再生は冒頭でもお伝えしたように、会社整理の手法の一つであり、「私的整理」とも呼ばれることがあります。

    そもそも会社整理は破産に代表される清算型と民事再生に代表される再建型の二種類があります。

    私的再生は民事再生と同様に再建型に該当するものです。

    私的再生は民事再生の違い

    しかし私的再生は民事再生と異なり、裁判所の監督を受けずに当事者である会社などの債権者と債務者同士で協議し、再建を図っていきます。

    つまり私的再生は裁判所の力を借りずに自助努力で会社の再建を図っていくというものだといえます(もちろん弁護士のような専門家の協力を得ることは可能です)。

    私的再生は民事再生と違って公的な機関の力を借りないため、表立って公表されるようなことはありません。

    そのため私的再生を行っているという情報は公開されません。

    私的再生は債権者と和解し、権利を変更してもらいながら会社を再建していくことが最終的な目標になります。

    私的再生を行う会社は民事再生を行う会社と比べて再建の見通しが立ちやすいことが多く、将来性はあるものの、目先の負債で破綻の危機に陥っているという状態の会社が私的再生を選ぶ傾向にあります。

    私的再生の方法

    私的再生にはいくつか方法があり、いずれかを採択することで実行していきます。

    また、いずれかの方法を使わずに任意の話し合いを行うことも可能です。

    ここでは私的再生の方法をそれぞれご紹介します。

    ①私的整理ガイドライン

    私的整理ガイドラインは私的再生を行う際に債権者と債務者同士が合意し、権利放棄などを行っていくための手続き規定のことをいいます。

    私的整理ガイドラインは経団連や全国銀行協会などが委員となっている私的整理ガイドライン研究会が公表しているものです。

    法律ではないので法的拘束力はありませんが、私的整理ガイドラインは私的再生を行う際の一般的コンセンサスとして認知されています。

    ②事業再生ADR

    事業再生ADRは私的再生の際に中立的な第三者機関であるADR事業者が私的再生に協力するというものです。

    ADRとは裁判外紛争解決手続きのことであり、民事再生と同じように債権者には債権放棄にかかわる損失の無税償却が認められています。

    また債務者の方にも債務免除を行った際に発生する免除益に税制上の優遇措置が得られるようになります。

    ③中小企業支援協議会スキームによる手続き

    中小企業であれば中小企業支援協議会スキームによる手続きを用いて私的再生を行うことができます。

    中小企業支援協議会は中小企業の再生を支援する組織であり、全都道府県に設置されているものです。

    中小企業支援協議会も中立的な第三者機関として私的再生に協力してくれます。

    ④特定調停手続

    一般的には個人の債務整理に使われることが多い特別調停ですが、会社のような法人でも特定調停手続を行うことで私的再生を進めることができます。

    これは金融円滑化法の終了に伴って日本弁護士協会が行った対応策の一つであり、弁護士のような専門家の協力を得て会社の再生を目指していきます。

    弁護士などが関わるため裁判所が監督する民事再生に近いイメージがありますが、特定調停手続はあくまで私的再生に該当する方法です。

    私的再生の手続きと流れ

    私的再生の手続きの流れには決まった形というものはありません。

    私的再生はあくまで当事者である会社などの債権者・債務者同士の任意の話し合いがメインになっており、法的に定められた手続きが存在しません。

    基本的に私的再生は債権者に対して債務者が「支払いを待ってほしい」「元金の支払いを後回しにしてほしい」という話し合いからスタートします。

    もちろんどの債権者から話し合うかは債務者の意向で決めることができます。

    いずれにせよ、あくまで債権者と債務者同士の任意で私的再生は進められることになります。

    ただし、債務者だけが債権者と話し合うとなるとなかなかうまくいかないケースも少なくないですし、債権者にある程度支払いを待ってもらうことができたとしても経営再建が順調に進むとも限りません。

    それに私的再生の際に立案した再生計画は債権者全員の同意を得なければ効力が発生しません。

    そのため債権者の反対が発生してしまうと私的再生はできなくなります。

    債権者全員を納得させるだけの再生計画の策定は決して容易ではないものです。

    債権者と債務者同士での話し合いだけでは難しいと判断した場合は弁護士などの専門家を外部から呼び、協力してもらいながら、手続きを進めていくというケースが多くなっています。

    私的再生のメリットとデメリット

    私的再生は民事再生と違う手法であるため、民事再生とは違うメリットとデメリットがあります。

    ここでは私的再生のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。

    ①私的再生のメリット

    私的再生には以下のようなメリットが挙げられます。

    社会的認知を避けられる

    私的再生の最大のメリットの一つとして挙げられるものが、「社会的認知を避けられる」という点です。

    民事再生や破産のような裁判所に監督してもらう法的再生はどうしても会社が経営難に陥っているという事実が知れ渡ってしまうことになります。

    これは実質的に経営破綻に陥っていることを外部に公開しているのも同然であり、会社へのイメージや信頼性が低下してしまうことはどうしても避けられません。

    最悪な場合は金融機関や顧客、取引先との取引が停止してしまうことになり、いくら経営再建を目指していても、さらに経営が悪化してしまうこともあるでしょう。

    私的再生は基本的に非公表のまま手続きを進めていくため、外部に経営状態を知られるような事態を防ぐことができます。

    その結果イメージ・信頼性の低下や風評被害を回避できるため、事業再建がよりスムーズに進むようになります。

    柔軟かつ迅速な再生ができる可能性が高い

    私的再生は裁判所を介さない会社整理であるため、柔軟かつ迅速な再生ができる可能性が高まります。

    民事再生や破産のような裁判所を介した会社整理の場合、監督委員や管財人が主導権を持つため、彼らの同意がなければ再建の取り組みを行えないことがままあります。

    さらに法的に定められたスケジュールに則って手続きを進めていくうえに全ての債権者を平等に扱う必要があるため、民事再生は迅速な再生に向いていません。

    これに対して私的再生は法的なスケジュールがないため、債権者と債務者同士の合意さえあれば柔軟なスケジュールを設定することができます。

    返済方法や条件の設定も自由であるため、経営者が望む効率的な事業再建を実現することも可能になっています。

    会社整理に必要な費用を選らせる

    民事再生や破産といった裁判所を介する会社整理は裁判所に予納金を支払う必要があり、一定のコストがどうしてもかかってしまいます。

    予納金は裁判所によって設定は違いますが、負債総額に応じて数百万円~1000万円強の設定がされており、資金に限界がある中小企業にとってはなかなか厳しい金額になっています。

    また民事再生は会計士や弁護士に依頼しなければ進めにくいプロセスもあり、その気になれば当事者だけで実行できる私的再生と比べて専門家への依存度も高いものです。

    そのため専門家へ依頼する際に発生する報酬も合わせれば、かなりの負担になってしまうでしょう。

    これに対して私的再生は裁判所を介さないため予納金の支払いは必要ありません。

    もちろん弁護士のような専門家の力が必要となる場面は依頼しておくべきですが、それでもトータルのコストは民事再生よりは抑えられるでしょう。

    ②私的再生のデメリット

    私的再生のデメリットはメリットの裏返しになっているものが多いことが特徴です。

    メリットだけ聴くと私的再生は欠点がないように感じますが、私的再生の特徴がかえって債権者などの不信感を買うこともあるので注意しておきましょう。

    手続きが不透明になりやすい

    私的再生は社会的認知を避けられるうえに法的なスケジュールがないため、当事者同士が任意で行えるというメリットがありますが、それがかえって「手続きが不透明になりやすい」というデメリットを生むことがあります。

    債権者を平等に扱わなければならない民事再生と違い、私的再生は当事者同士の任意で行い、ある程度債務者(経営者)の意向に沿って行うことができます。

    しかしその結果一部の債権者の扱いが不公平になってしまう恐れがあり、また経営者の再生計画の根拠が不確かであるため手続きの全貌が不透明になり、不信感を得てしまうことがあります。

    それでも強引に債務者の意向を通してしまうと、債権者が反発して再生計画が実行できなくなるどころか、一部の債権者が強引に法的手続きを要求し、民事再生に移行してしまう恐れがあります。

    私的再生の際に立案した再生計画は債権者全員の同意を得る必要があるものです。

    債務者の都合で対応する債権者にある程度の優先順位がついてしまうのはやむを得ないですが、それでも債権者全員をカバーできるように再生計画を立てておくようにしましょう。

    担保権は止められない

    これは銀行のような金融機関が債権者になっている際に注意しておきたいことですが、私的再生だとは担保権を止めることはできません。

    民事再生や破産では手続きが開始されると差し押さえや処分を中止することができるようになっており、ある意味法律に守ってもらっている状態になります。

    しかし私的再生は当事者である債権者と債務者同士が行うものであるため、そのような法的な制約がなくなるため、担保権を止めることはできません。

    そのため、もし金融機関が私的再生に反発して担保の差し押さえを実行した場合は中止させる術はありません。

    私的再生・法的再生は専門家に相談しよう

    何度か触れていることでもありますが、私的再生や法的再生を行う際には専門家に相談することがおすすめです。

    何より法的再生は裁判所とのやり取りが多いため、弁護士の協力が必要不可欠といっても過言ではありませんし、法的再生のプロセスの中には財務状況をまとめて提示することがあるため、公認会計士の協力を得た方がスムーズに進められることがあります。

    そのため法的再生は弁護士や会計士に依頼して進めていくケースがほとんどです。

    私的再生の場合、裁判所のやり取りが必要ないため、その気になれば当事者である債権者と債務者同士だけで進めていくことが可能です。

    しかし、私的再生の際に立案した再生計画は債権者全員の同士を得なければ効力が発生せず、債権者との話し合いがこじれるようなことになれば法的再生への強硬的な移行や訴訟に発展してしまう恐れもあります。

    そういった事態を避けるためにも弁護士に協力を依頼しておいた方が無難でしょう。

    弁護士は法律の専門家ですし、交渉にも長けているためトラブルを未然に防止しながら私的再生を進めることができます。

    また弁護士と連携している経営コンサルティング会社から協力を得られれば、よりよい再生計画を策定できるようになるでしょう。

    ただ、弁護士や経営コンサルティング会社のような専門家でも得手不得手はあるものです。

    弁護士の中には私的再生や法的再生の対応をしてくれない法律事務所もあるため、実績や評判をチェックし依頼しましょう。

    まとめ

    私的再生は複数いる債権者間の利害を調整し、会社再建を実現するまで返済を待ってもらうように納得させることがひとつの重要な作業になります。

    そのため債務者の都合だけで進めてしまうと私的再生は失敗してしまいます。

    ただ、私的再生は民事再生と違って法的拘束力がないため、柔軟かつ迅速に会社再建を実現できる可能性が高まります。

    私的再生を行う際は債権者に納得してもらえるように入念に準備をしましょう。

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