私的再生とは?意味や手続きの流れ、メリット・デメリットをご紹介

私的再生は会社整理の手法の一つであり、私的整理とも呼ばれます。私的再生は民事再生と違い法的拘束力がないため、柔軟かつ迅速に会社再建を実現できる可能性が高まります。ここでは私的再生の意味や手続きの流れ、メリット・デメリットを解説します。

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2020年3月28日更新

目次
  1. 私的再生
  2. 私的再生とは?私的再生の意味と種類
  3. 私的再生の方法
  4. 私的再生の手続きと流れ
  5. 私的再生のメリットとデメリット
  6. 私的再生か法的再生か選択するには?
  7. 私的再生・法的再生は専門家に相談しよう
  8. まとめ

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私的再生

私的再生は会社整理の手法の一つで、裁判所の監督を得ずに関係者同士で協議し、会社の再建を目指します。しかし会社整理全般、とりわけ私的再生の意味や手続きがわからない人は少なくありません。私的再生はあまり表に出ない言葉であり、実態がわかりづらいです。

今回は私的再生の意味や手続きの流れ、メリット・デメリットなどをお伝えしていきます。

私的再生とは?私的再生の意味と種類

私的再生は会社整理の手法の一つであり、私的整理ともいいます。会社整理は破産に代表する清算型と民事再生に代表する再建型の2種類があります。私的再生は民事再生と同様、再建型に該当します。

私的再生と民事再生の違い

私的再生は民事再生と異なり、裁判所の監督を受けずに当事者である会社などの債権者と債務者で協議し、再建を図ります。つまり私的再生は、裁判所の力を借りずに自助努力で会社の再建を図ります。弁護士などの専門家の協力を得ることは可能です。

私的再生は民事再生と違い公的な機関の力を借りないため、表立って公表されません。そのため、私的再生を行う情報は公開されません。私的再生は債権者と和解し、権利を変更しながら会社を再建することが最終的な目標です。

私的再生を行う会社は、民事再生を行う会社と比べて再建の見通しが立ちやすいことが多いです。将来性はあるが、目先の負債で破綻の危機に陥った会社が、私的再生を選ぶ傾向にあります。

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私的再生の方法

私的再生にはいくつかの方法があり、いずれかを採択して実行します。これらの方法を使わず、任意の話し合いを行うことも可能です。ここでは私的再生の方法をそれぞれご紹介します。

私的整理ガイドライン

私的整理ガイドラインは私的再生を行う際に債権者と債務者同士が合意し、権利放棄などを行うための手続き規定です。経済団体連合会(経団連)や全国銀行協会などが委員である私的整理ガイドライン研究会が、公表しています。

法律ではないため法的拘束力はありませんが、私的整理ガイドラインは私的再生を行う際の一般的コンセンサスとして認知されています。

事業再生ADR

事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)は、私的再生の際に中立的な第三者機関であるADR事業者が私的再生に協力するものです。ADRとは裁判外紛争解決の手続きのことで、民事再生と同じく債権者には債権放棄に関わる損失の無税償却が認められます。

また債務者も債務免除を行った際に発生する免除益に、税制上の優遇措置が得られます。

中小企業再生支援スキームによる手続き

中小企業であれば、「中小企業再生支援スキーム」による手続きを用いて私的再生を行えます。スキームの手順や要件を定めた中小企業再生支援協議会は、中小企業の再生を支援する組織で全都道府県に設置してあり、中立的な第三者機関として私的再生に協力します。

特定調停手続

個人の債務整理に使うことが多い特別調停ですが、会社のような法人でも特定調停手続を行うことで私的再生を進められます。中小企業金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)の終了に伴い日本弁護士連合会が行った対応策の一つで、弁護士などの専門家の協力を得て会社の再生を目指すものです。

弁護士などが関わるため裁判所が監督する民事再生に近いイメージがありますが、特定調停手続はあくまで私的再生に該当する方法です。

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私的再生の手続きと流れ

私的再生の手続きの流れに決まった形はありません。私的再生は当事者である会社などの債権者・債務者同士の任意の話し合いがメインで、法的に定める手続きは存在しません。基本的に私的再生は債権者に債務者が「支払いを待ってほしい」「元金の支払いを後回しにしてほしい」という話し合いからスタートします。

どの債権者から話し合うかは債務者の意向で決めます。いずれにせよ、債権者と債務者同士の任意で私的再生は進められます。ただ、債務者だけが債権者と話し合うとうまくいかないケースがよくあり、債権者にある程度支払いを待ってもらえても、経営再建が順調に進むとは限りません。

さらに私的再生の際に立案した再生計画は、債権者全員の同意を得なければ効力が発生しないため、債権者の反対が発生すれば私的再生はできなくなります。債権者全員を納得させる再生計画の策定は、容易ではないでしょう。

債権者と債務者での話し合いでは難しいと判断した場合は、弁護士などの専門家を外部から呼び協力を得ながら手続きを進めるケースが多いです。

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私的再生のメリットとデメリット

私的再生は民事再生と違う手法であるため、民事再生とは異なるメリットとデメリットがあります。ここでは、私的再生のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。

私的再生のメリット

私的再生には以下のメリットがあります。

社会的認知を避けられる

私的再生の最大のメリットの一つが、社会的認知を避けられる点です。民事再生や破産のような裁判所が監督する法的再生は、会社が経営難に陥った事実を知られてしまいます。実質的に経営破綻に陥ったことを外部に公開するのと同然であり、会社のイメージや信頼性が低下することを避けられません。

最悪な場合は金融機関や顧客、取引先との取引が停止し、経営再建を目指してもさらに経営が悪化することもあるでしょう。私的再生は基本的に非公表のまま手続きを進めるため、外部に経営状態を知られる事態を防げます。

その結果、イメージ・信頼性の低下や風評被害を回避できるため、事業再建がよりスムーズに進みます。

柔軟かつ迅速な再生ができる

私的再生は裁判所を介さない会社整理であるため、柔軟かつ迅速な再生ができる可能性が高まります。民事再生や破産のような裁判所を介した会社整理の場合、監督委員や管財人が主導権を持つため、彼らの同意がなければ再建の取り組みを行えないことがあります。

また、法的に定めたスケジュールに則って手続きを進めていくうえ、全ての債権者を平等に扱う必要があるため、民事再生は迅速な再生に向いていません。

私的再生は法的なスケジュールがないため、債権者と債務者の合意さえあれば柔軟なスケジュールを設定できます。返済方法や条件の設定も自由であるため、経営者が望む効率的な事業再建の実現が可能です。

会社整理に必要な費用を選べる

民事再生や破産といった裁判所を介する会社整理は裁判所に予納金を支払う必要があり、一定のコストがかかります。予納金は裁判所によって設定は違いますが、負債総額に応じて数百万円から一千万円強の設定で、資金に限界がある中小企業には厳しい金額です。

また民事再生は会計士や弁護士に依頼しなければ進めにくいプロセスもあり、その気になれば当事者だけで実行できる私的再生と比べて専門家への依存度も高いです。そのため、専門家へ依頼する際に発生する報酬を合わせれば、かなりの負担になるでしょう。

一方、私的再生は裁判所を介さないため予納金の支払いはありません。弁護士など専門家の力が必要となる場合は依頼するべきですが、トータルコストは民事再生より抑えられます

私的再生のデメリット

私的再生のデメリットは、メリットの裏返しが多いことが特徴です。私的再生の特徴が債権者などの不信感を買うこともあるので注意しましょう。

手続きが不透明になりやすい

私的再生は社会的認知を避けられるうえに法的なスケジュールがないため、当事者同士が任意で行えるメリットがありますが、それがかえって手続きが不透明になりやすいデメリットを生むことがあります。債権者を平等に扱う民事再生と違って私的再生は当事者同士の任意で行い、ある程度債務者(経営者)の意向に沿って行います。

その結果、一部の債権者の扱いが不公平になる恐れがあり、また経営者の再生計画の根拠が不確かなため手続きの全貌が不透明になり、不信感を得ることがあるのです。

それでも強引に債務者の意向を通せば、債権者が反発して再生計画が実行できなくなるどころか、一部の債権者が強引に法的手続きを要求し、民事再生に移行する恐れがあります。私的再生の際に立案した再生計画は、債権者全員の同意を得る必要があります。

債務者の都合で対応する債権者にある程度の優先順位がつくのはやむを得ませんが、債権者全員をカバーできるように再生計画を立てましょう。

担保権を止められない

銀行などの金融機関が債権者になる際に注意することですが、私的再生では担保権を止めることができません。民事再生や破産では手続きが開始すれば差し押さえや処分を中止でき、法律に守られる状態になります。

しかし私的再生は当事者である債権者と債務者が行うものであるため法的な制約がなく、担保権を止めることはできません。金融機関が私的再生に反発して担保の差し押さえを実行した場合は、中止する術はありません。

私的再生か法的再生か選択するには?

私的再生は法的再生よりも短期間で整理ができますが、手続きが不透明です。そのため、債権者が再建計画に同意する条件に、再建の見通しだけでなく、破産などの法的再生による再建より私的整理で債権放棄を行い、事業を継続する方が多くの回収を見込むことが必要になります。

この条件を充たさない場合は、法的再生を選びましょう。また原則として、私的整理は債権者全員の合意が前提なので、強靭な債権者などが法的手続きを強行すれば債権者間の公平が図られません。そのため、このケースでも法的再生を選ぶべきです。

私的再生・法的再生は専門家に相談しよう

私的再生や法的再生を行う際は、専門家に相談することをおすすめします。法的再生は裁判所とのやり取りが多いため、弁護士の協力が必要不可欠といっても過言ではありません。また、法的再生のプロセスは財務状況をまとめて提示することがあるため、公認会計士の協力を得た方がスムーズに進められます。

そのため、法的再生は弁護士や会計士に依頼して進めるケースがほとんどです。私的再生の場合、裁判所のやり取りが必要ないため、当事者である債権者と債務者同士だけで進めることが可能です。

しかし、私的再生の際に立案した再生計画は債権者全員の同士を得なければ効力が発生せず、債権者との話し合いがこじれれば、法的再生への強硬的な移行や訴訟に発展する恐れもあります。そのような事態を避けるためにも、弁護士に協力を依頼するほうが無難でしょう。

弁護士は法律の専門家で交渉にも長けているため、トラブルを未然に防止しながら私的再生を進めます。また弁護士と連携する経営コンサルティング会社から協力を得れば、より良い再生計画を策定できるでしょう。

ただ、弁護士や経営コンサルティング会社などの専門家でも、得手不得手があります。私的再生や法的再生の対応を行わない法律事務所もあるため、実績や評判を確認して依頼してください。

まとめ

私的再生は複数の債権者間の利害を調整し、会社再建を実現するまで返済を待つよう納得させる重要な作業です。そのため、債務者の都合だけで進めれば私的再生は失敗してしまいます。ただ、私的再生は民事再生と違い法的拘束力がないため、柔軟かつ迅速に会社再建を実現する可能性が高まります。

私的再生を行う際は、債権者が納得するよう入念に準備を行いましょう。

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