M&Aとは?目的・メリットから手法、最新動向までわかりやすく解説
2025年12月17日更新業種別M&A
空調工事のM&A動向【2025年最新】| 事例や費用相場、成功のポイントを解説
空調工事会社のM&Aは、後継者問題や競争激化を背景に増加傾向です。本記事では、2024年最新の業界動向や成功事例、費用相場を解説します。M&Aを成功させるためのポイントを知りたい経営者の方はぜひご覧ください。
目次
空調設備工事会社とは
はじめに、本章では空調設備工事会社を対象とするM&Aを実施する際に把握しておくべき基本情報をまとめました。
空調設備工事業界の定義
空調設備工事業界とは、一般住宅やオフィスビル、工場などを対象に、冷暖房設備の設置・保守・修理を手掛ける企業の集合体を指します。工事は、発注者から直接受注する「元請け工事」と、元請け企業から受注する「下請け工事」の2種類に大別されるのが特徴です。
空調設備工事会社の業務内容
空調工事は、給排水や電気といった他設備と密接に関連するため、電気設備工事などを兼業する会社も少なくありません。業務内容は冷暖房設備の設置にとどまらず、設計・施工、保守点検まで一貫して手掛ける企業も見られます。このように事業領域が広いため、M&Aによる関連事業への進出やサービス展開が比較的行いやすい業界です。
空調設備工事業界の規模
国土交通省の「令和6年度建設投資見通し」によると、2024年度の建設投資全体は73兆200億円(前年度比2.7%増)となる見通しです。このうち、空調工事を含む設備工事市場も、都市再開発や老朽化更新需要により堅調に推移しています。
参考:国土交通省「令和6年度建設投資見通し」
空調工事会社のM&Aにおける4つの主要動向
近年、さまざまな業界でM&Aの活発化が見られますが、この傾向は空調設備工事業界も例外ではありません。M&Aを行うと後継者不足問題の解決や事業規模の拡大などのメリットが期待できますが、空調設備工事業界でもこれらのメリットを目的にM&Aを行う事例が多く見られます。
また、空調設備工事業界では競争が激しい傾向が強いですが、こうした動向に対応するためにもM&Aは有効策です。例えば、同業者同士のM&Aによって相互の事業基盤を生かし、競争力強化や事業エリアの拡大を図るケースが典型的です。
ここからは、空調設備工事業界のM&Aについて、業界の特徴や動向も踏まえながらポイントを紹介します。
動向1:同業M&Aによる競争力強化
空調工事の業界は中小企業が多く、競争が激化しやすい環境です。この状況を打開するため、M&Aによる競争力強化が有効な手段となります。例えば、関東に強い企業と関西に強い企業が統合すれば、相互の顧客基盤や営業網を活用して一気に事業エリアを拡大できます。また、互いの技術力やノウハウを共有することでサービス品質が向上し、受注単価の上昇や顧客満足度の向上にもつながります。
動向2:スケールメリットを目的とした事業規模拡大
競争力の強化と関連し、M&Aにより事業規模の拡大をスムーズに進めるケースも見られます。特に競争が激しい空調設備工事業界では、事業規模の拡大によって競争力を強化できる点は大きなメリットです。
また、事業規模の拡大により、利益の向上や知名度の向上などのスケールメリットを享受することもできます。
規模が拡大すれば知名度も向上しやすく、多くの人材が集まる傾向があるので、優秀な従業員の確保につながる点がメリットです。
つまり、会社を買収することで優秀な人材が確保できるだけでなく、事業規模の拡大によるスケールメリットによって人材が自然に集まる可能性が高くなります。
もちろん空調設備工事会社では技術力が求められるため、優秀な技術者を多く抱えるに越したことはありません。
そのため、事業規模の拡大を目的としたM&Aは、近年の空調設備工事業界で比較的多く見られます。
動向3:サービス拡充のための周辺事業買収
空調工事は電気設備や給排水設備などと関連が深く、周辺事業をM&Aで取り込む動きも活発です。関連事業を買収することで、企画から設計、施工、保守点検までワンストップで提供できる体制を構築できます。これにより、顧客の利便性が高まるだけでなく、一括受注による単価アップや、新たな収益源の確保といったメリットが期待できます。
動向4:深刻化する後継者問題の解決策
空調設備工事企業には中小企業が多く、後継者不足問題が深刻化しています。経営者が高齢になり引退を考える場合は早急に後継者を見つけなくてはなりません。
M&Aは後継者不足問題を解決する効果的な手段のひとつです。信頼できる会社に自社を売却し経営を任せられれば、自分の手を離れた後でも会社を存続させられます。
後継者不在に悩んでいる場合や、事業承継やM&Aを検討している場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。
M&Aは交渉から成立まで半年から1年程度かかるのが一般的ですが、M&A総合研究所はスピーディな対応を実践しており、最短3カ月での成約実績を持っている点も強みです。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
空調工事会社がM&Aを行うメリットと注意点
空調工事会社のM&Aは、売り手・買い手双方に大きなメリットをもたらす可能性があります。しかし、成功のためには注意すべき点も存在します。
売り手側(譲渡企業)のメリット
売り手にとって最大のメリットは、後継者不在でも事業と従業員の雇用を維持できる点です。また、創業者利益の獲得により、経営者は引退後の生活資金を確保できます。大手企業の傘下に入ることで、個人保証や担保の解消につながるケースも少なくありません。
買い手側(譲受企業)のメリット
買い手は、M&Aによって新たな事業エリアへの進出や、有資格者・熟練技術者の獲得を短期間で実現できます。ゼロから人材を採用・育成するコストと時間を削減できるため、効率的な事業拡大が可能です。さらに、譲渡企業が持つ取引先や優良顧客を引き継げる点も大きな魅力です。
M&A実施時に注意すべきデメリット
一方で、M&Aには注意点もあります。特に、企業文化の違いから、M&A後に従業員の離職が相次ぐリスクが考えられます。また、買い手は、譲渡企業の財務状況や潜在的なリスク(簿外債務など)を事前に見抜けず、想定外の損失を被る可能性も否定できません。これらのリスクを回避するためには、専門家によるデューデリジェンス(企業調査)が不可欠です。
空調設備工事会社のM&Aの成功事例6選
ここでは、空調設備工事会社のM&Aの成功事例を紹介します。当事会社の概要やM&Aの目的も紹介しますので、M&Aの検討にお役立てください。
①九電工と中央理化工業の事例
2021年8月、九電工は中央理化工業の株式過半数を取得し、子会社化しました。本件M&Aの取得価額および取得割合は非公開です。
買収側の九電工は、福岡県福岡市南区を拠点に、電気設備工事・空調給排水衛生工事を主な事業として手掛けている企業です。
売却側の中央理化工業とその子会社8社は、消防・防災の専門企業として、快適な消防・防災システムや各種サービスを長年にわたり提供し続けてきました。
本件M&Aにより、九電工は、自社の営業ネットワーク・技術ノウハウと売却側の既存得意先との良好な関係・優れた営業・技術力を融合し、事業規模のさらなる拡大を図っています。
②ジーネクストとBPMの事例
2021年7月、ジーネクストは、BPMとの間で資本業務提携を締結しました。
ジーネクストは、東京都千代田区を拠点に、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」の開発・販売、顧客接点データを活用したBI・AIの開発、ミャンマーにおけるIT関連のオフショア開発などを手掛けている企業です。
対するBPMは、建物・設備メンテナンス業務のDXを推進するクラウド型CMMS(設備保全管理システム)の開発を手掛けています。
本件M&Aにより、ジーネクストでは、双方の有するデータを連携させることで、現場の設備点検・修繕履歴データ・従事者データなどを一元管理し、管理者の現場ナレッジマネジメントの強化を図っています。
そのほか、両社の経営資源を相互に活用しシナジーを創出させて、建物・設備メンテナンス業界全体のDX推進を目指すと発表しました。
③アウトソーシングとCalPacの事例
2021年4月、アウトソーシングは、連結子会社「アメリカンエンジニアコーポレイション」を通じて、CalPacを子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、東京都千代田区に本社を置き、静岡県静岡市葵区に静岡本部を置く人材派遣業者です。技術系・製造系・サービス系のアウトソーシング事業などを手掛けています。
対する売却側は、グアムおよび周辺地域において、米軍・米国地方政府・通信業界を中心とした民間企業向けに、IT・弱電設備のシステム構築などを手掛けている企業です。
本件M&Aにより、買収側では、公共系アウトソーシング事業拡大に資するシナジーの獲得を図っています。具体的にいうと、アメリカンエンジニアコーポレイションではグアムでのIT・弱電設備市場への円滑な参入や業容拡大が目指されます。
また、環太平洋地区の拡大・米国本土での本格展開を視野に入れ、米軍施設向け事業の成長を加速することで、アウトソーシンググループの事業安定化と業容拡大の両立を図っていくと発表しています。
④協和エクシオグループとWinner Engineeringの事例
2019年10月、協和エクシオのグループ会社でアジア地域の事業運営を統括するEXEO GLOBAL Pte. Ltd.が、シンガポールで空調設備工事を扱っているWinner Engineering Pte. Ltd.の全発行済株式を取得しました。
協和エクシオグループは、グループ総力を集めたトータルソリューションで、新しい成長ステージに向かうことへとつなげています。日本だけでなく海外でも、情報通信インフラの構築を始めとする通信インフラ事業に取り組み、さらに都市インフラ、システムソリューション事業の拡大も推進しています。
Winner Engineeringは、新築ビルや既存ビル用のACMV装置の設置、製造、保守などを提供するサービスに力を注いでいる設備工事会社です。
協和エクシオは、Winner Engineeringと協和エクシオグループのLAE、DeCloutグループでICTソリューション事業を手掛けるBEAQON Pte. Ltd.と提携することで、データセンターの設備工事をワンストップで提供できる構造づくりを図っています。
⑤日立製作所と日立コンシューマ・マーケティング・日立アプライアンスの事例
2018年10月、日立製作所は、日立コンシューマ・マーケティングと日立アプライアンスを合併して新会社を2019年4月1日付けで発足すると発表しました。日立コンシューマ・マーケティングは、家電・空調・設備機器の販売・エンジニアリングや保守サービスを行う会社です。
また、日立アプライアンスは、冷蔵庫や洗濯機といったキッチン・家電製品、LED照明や住宅設備機器などを通じたソリューションを提供しています。両社の合併は、近年の社会構造やライフスタイルの多様化といった変化に合わせ、より適したソリューションを提供するための新会社を発足するという目的が掲げられました。
そして、2019年3月1日、日立コンシューマ・マーケティングと日立アプライアンスを合併した新会社の社名は「日立グローバルライフソリューションズ」と発表されました。
日立グループは、この日立グローバルライフソリューションズについて、日立グループが注力する「ヒューマン・ライフ」分野におけるデジタル時代の家電・空調事業をリードする新会社として、2019年4月1日に発足しています。
このように、時代の変化やニーズに対応するため、子会社同士を合併させる事例も少なくありません。この事例では、家電事業と空調事業を合わせる形で、より良質なソリューションの提供などを目指す点が特徴的です。
家電事業も空調事業も、日々の生活に深く関係する分野です。こうした関連事業を合わせたソリューションサービスの在り方が、空調設備工事業界にどのような影響を与えるのか、今後の動向にも注目されます。
⑥四電工による有元温調の買収
2018年2月、四国電力系の四電工は、空調・管関連工事に強い有元温調(神戸市)を子会社化しました。これによって、四電工は四国外の事業エリアの拡大を実現し、総合設備企業としての基盤強化につなげています。
四電工は四国電力のグループ会社となり、配電・送電・土木・計装などの電気設備工事を主な事業内容としています。空調・管・情報通信工事なども手掛けていますが、事業としては電気設備工事が目立っていました。
また、四国以外の拠点もありましたが、事業エリアとしては四国が中心となっていました。こうした状況の中、兵庫県神戸市の有元温調の子会社化により、四電工は事業エリアの拡大を実現しました。また、空調・管関連工事に強みがある有元温調のノウハウを生かすことで、電気設備以外の事業領域の強化にもつなげています。
当時の四電工は、2020年東京オリンピック後の建設市場の縮小を踏まえ、環境・海外などの新たな収入源の育成を図っていました。2020年度を目標年度する中期経営指針では、将来に備えて100億円規模のM&A向け投資枠を設けています。
そして、四電工初のM&Aとなった事例が、今回の有元温調の買収です。一方の有元温調としても、強みのある空調・管関連工事分野を強化するほか、四電工のネットワークを生かした事業拡大などのメリットを獲得しています。
空調機器製造業界のM&A情報については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
空調設備工事会社のM&Aの費用の相場
空調設備工事会社は中小企業が多いですが、空調設備工事業界のM&A当事会社は中小企業だけではありません。M&Aによっては、企業規模や対象事業の規模が大きく異なる場合もあります。そのため、現段階ではM&Aの相場・費用を一概に提示することは非常に困難です。
ただし、M&Aを実行する以上、相場と費用をまったく考慮しないわけにはいきません。ある程度の目安をつけておかなければ、想定外の費用が発生することもあるためです。そのため、類似する事例は徹底的に分析し、買収金額や費用をある程度把握しておく必要があります。
具体的には、M&Aの目的・M&Aの当事者となる会社の規模・対象事業の規模・会社の業績・従業員の数・M&Aのスキームなどをチェックし、自社と似たものがあればこまめにチェックすることが重要です。
なお、相場と費用をより正確に把握するには、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に相談するのがベストです。空調設備工事会社のM&Aの成約実績が豊富な業者であれば、相場や費用に関する情報も得やすくなります。
M&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、クロージングまで丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
空調設備工事会社を買収するメリット
空調設備工事会社の買収事例には、同業者による買収や関連事業を行う会社による買収などがあります。これらのケースは、事業規模や事業エリアの拡大・競争力の強化といった目的のために行われます。
同業者同士のM&Aであれば、自社が対応していないエリアに強みのある空調設備工事会社を買収することで、自社の空調設備工事事業を強化するケースが考えられます。
また、ある空調設備工事会社が自社にはない技術を持っている場合や優秀な人材が多く在籍している場合なども、その会社を買収することで自社の事業強化につなげることが可能です。
さらに、今後の競争激化が予想される中で、競争力やサービス体制の強化などを目的に、関連事業も含めたM&Aが増加する可能性もあります。
このように、関連事業を展開する会社にとっても、空調設備工事会社の買収には大きなメリットがあるといえるでしょう。
空調会社の事業譲渡については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
空調設備工事会社を売却するメリット
M&Aによる会社の売却は、後継者不足問題の解決・経営基盤の安定化・創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消・従業員の雇用の維持などのメリットがあります。空調設備工事会社の売却でも、こうしたメリットを享受できます。
競争が激化しやすい空調設備工事業界のため、特に中小・中堅の空調設備工事会社同士のM&Aが増加する可能性もあります。こうしたM&Aを成功させるには、買い手にとって魅力的なサービスをアピールする必要があります。
競争力の強化などにつながると判断されれば、さまざまな空調設備工事会社が名乗り出る可能性があります。また、売却は自社にとってもメリットが期待できるものでなければなりません。経済効果の高いM&Aを実現するためにも、最適な対象企業を探す必要があります。
空調設備工事会社のM&Aを行う際の注意点
空調設備工事会社のM&Aを行ううえで、さまざまな注意点が挙げられますが、特に大きなポイントは「管工事の建設業許可の取り扱い」に関してです。管工事の建設業許可は、空調設備工事会社が事業を展開するうえで必要不可欠の許可です。
数あるM&Aスキームの中でも事業譲渡を採用する場合、買収側企業に対して管工事の建設業許可を承継できないケースがほとんどです。事業譲渡とは、会社(譲渡会社)が事業の全部または一部を他社(譲り受け会社)に譲渡する手法です。
株式譲渡・会社分割・合併などのM&Aスキームとは違い、契約によって譲渡の対象となる事業を選択でき、資産や負債についても契約によって比較的自由に選別可能です。
しかし、事業譲渡は個別承継であるため許認可を引き継ぐことはできません。つまり、管工事の建設業許可は承継できないため、譲受側が必要な許認可を取得していない場合は事前に取得する必要があります。
空調工事会社の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
空調設備工事会社のM&Aについてまとめ
空調設備工事業界でも、近年M&A事例が活発化しています。中小企業が多く、競争の激化も見られる空調設備工事業界では、競争力の強化・事業エリアの拡大・事業規模の拡大・サービス体制の強化など、さまざまな目的のためにM&Aが活用されています。
また、空調設備工事業界では、関連事業の会社とのM&A事例も見られます。こうしたM&Aも、空調設備工事会社がサービス体制を強化するうえで意義のある事例です。
自社のM&Aを成功に導くためにも、各事例のM&Aの目的・スキーム・会社や事業規模を確認し、さまざまな視点から事前に分析しておくことが大切です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。