2023年11月16日更新業種別M&A

空調設備工事会社のM&Aの現状は?動向や事例から費用の相場を解説!

本記事では、空調設備工事会社のM&Aの現状や動向から事例、売買方法、費用の相場を紹介します。競争の激化も見られる空調設備工事業界では、さまざまな目的でM&Aが活用されています。空調設備工事業界のM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 空調設備工事会社とは
  2. 空調設備工事会社のM&Aの現状と動向
  3. 空調設備工事会社のM&Aの成功事例6選
  4. 空調設備工事会社のM&Aの費用の相場
  5. 空調設備工事会社を買収するメリット
  6. 空調設備工事会社を売却するメリット
  7. 空調設備工事会社のM&Aを行う際の注意点
  8. 空調設備工事会社のM&Aについてまとめ
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空調工事のM&A・事業承継

空調設備工事会社とは

はじめに、本章では空調設備工事会社を対象とするM&Aを実施する際に把握しておくべき基本情報をまとめました。

空調設備工事業界の定義

空調設備工事業界とは、「冷暖房などの空調設置工事を手掛ける企業群」を指し、空調設備工事業により工事を手掛ける建物の対象は、一般の住宅・会社・工場などが一般的です。

また、空調設備工事会社の工事は2種類あり、発注者によって「元受け工事」と「下請け工事」に分かれます。

空調設備工事会社の業務内容

空調設備工事は、給排水設備や電気設備などとも関係します。そのため、電気設備などの関連事業を行っている空調設備工事会社も比較的多いです。

また、空調設備工事業界では、冷暖房の設備工事や、建物設計・施工、電気・ガス工事、建物の保守点検などの事業を行う会社もみられます。関連事業が多いため、関連事業への進出や展開が比較的行いやすい点が特徴です。

空調設備工事業界の規模

国土交通省の調査によると、2020年における空調設備工事業界の市場規模は約1兆4,022億円と報告されています(前年度比1.4%減、民間工事のみ)。

空調設備工事業界は中小企業が比較的多く、後継者不足などの問題を抱えている企業も少なくありません。近年は国内の他業種同様、空調設備工事業界でも後継者不在の問題が深刻化している状況です。

参考:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)」

空調設備工事会社のM&Aの現状と動向

近年、さまざまな業界でM&Aの活発化が見られますが、この傾向は空調設備工事業界も例外ではありません。M&Aを行うと後継者不足問題の解決や事業規模の拡大などのメリットが期待できますが、空調設備工事業界でもこれらのメリットを目的にM&Aを行う事例が多く見られます

また、空調設備工事業界では競争が激しい傾向が強いですが、こうした動向に対応するためにもM&Aは有効策です。例えば、同業者同士のM&Aによって相互の事業基盤を生かし、競争力強化や事業エリアの拡大を図るケースが典型的です。

ここからは、空調設備工事業界のM&Aについて、業界の特徴や動向も踏まえながらポイントを紹介します。

①競争力強化のためのM&A

空調設備工事業界では、中小企業が多い特徴があります。そのため、中小企業同士の競争が激化しやすいです。こうした状況では、競争力の強化を図る必要があり、このときにM&Aが1つの効果的な方法として位置付けられます。

ここで同業者同士がM&Aを行ったケースを想定すると、お互いの企業が持つ顧客基盤や事業基盤を活用すれば、それぞれの企業のサービス体制を強化できます。

例えば、関東エリアに強みがある空調設備工事会社と、関西エリアに強みがある空調設備工事会社がM&Aによって提携すれば、お互いの事業基盤を活用することで事業エリアを拡大し、競争力の強化につなげることが可能です。

同業者同士のM&Aでは、お互いの技術力やノウハウを生かすことも可能です。より良質なサービスを提供できれば、それだけ競争力の強化につなげられます。

②事業規模の拡大

競争力の強化と関連し、M&Aにより事業規模の拡大をスムーズに進めるケースも見られます。特に競争が激しい空調設備工事業界では、事業規模の拡大によって競争力を強化できる点は大きなメリットです。

また、事業規模の拡大により、利益の向上や知名度の向上などのスケールメリットを享受することもできます。

規模が拡大すれば知名度も向上しやすく、多くの人材が集まる傾向があるので、優秀な従業員の確保につながる点がメリットです。

つまり、会社を買収することで優秀な人材が確保できるだけでなく、事業規模の拡大によるスケールメリットによって人材が自然に集まる可能性が高くなります。

もちろん空調設備工事会社では技術力が求められるため、優秀な技術者を多く抱えるに越したことはありません。

そのため、事業規模の拡大を目的としたM&Aは、近年の空調設備工事業界で比較的多く見られます

③関連事業・周辺事業の買収も積極的に行われる

空調設備工事事業には、電気設備・給排水設備などの関連事業・周辺事業が多い点も特徴です。これらの関連事業の買収により、一括したサービスを提供できるようになります。例えば、企画から保守点検まで一体的にサポートするといったサービス体制の構築を狙えるのです。

また、総合設備企業であれば、強化したい設備事業を買収することで、サービスの質向上も図れます。後ほど紹介しますが、四電工による有元温調の買収は、この典型例と考えられています。

④後継者不足問題の解決としてのM&A

空調設備工事企業には中小企業が多く、後継者不足問題が深刻化しています。経営者が高齢になり引退を考える場合は早急に後継者を見つけなくてはなりません。

M&Aは後継者不足問題を解決する効果的な手段のひとつです。信頼できる会社に自社を売却し経営を任せられれば、自分の手を離れた後でも会社を存続させられます。

後継者不在に悩んでいる場合や、事業承継やM&Aを検討している場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。

M&Aは交渉から成立まで半年から1年程度かかるのが一般的ですが、M&A総合研究所はスピーディな対応を実践しており、最短3カ月での成約実績を持っている点も強みです。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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空調設備工事会社のM&Aの成功事例6選

ここでは、空調設備工事会社のM&Aの成功事例を紹介します。当事会社の概要やM&Aの目的も紹介しますので、M&Aの検討にお役立てください。

①九電工と中央理化工業の事例

2021年8月、九電工は中央理化工業の株式過半数を取得し、子会社化しました。本件M&Aの取得価額および取得割合は非公開です。

買収側の九電工は、福岡県福岡市南区を拠点に、電気設備工事・空調給排水衛生工事を主な事業として手掛けている企業です。

売却側の中央理化工業とその子会社8社は、消防・防災の専門企業として、快適な消防・防災システムや各種サービスを長年にわたり提供し続けてきました。

 本件M&Aにより、九電工は、自社の営業ネットワーク・技術ノウハウと売却側の既存得意先との良好な関係・優れた営業・技術力を融合し、事業規模のさらなる拡大を図っています。

②ジーネクストとBPMの事例

2021年7月、ジーネクストは、BPMとの間で資本業務提携を締結しました。

ジーネクストは、東京都千代田区を拠点に、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」の開発・販売、顧客接点データを活用したBI・AIの開発、ミャンマーにおけるIT関連のオフショア開発などを手掛けている企業です。

対するBPMは、建物・設備メンテナンス業務のDXを推進するクラウド型CMMS(設備保全管理システム)の開発を手掛けています。

本件M&Aにより、ジーネクストでは、双方の有するデータを連携させることで、現場の設備点検・修繕履歴データ・従事者データなどを一元管理し、管理者の現場ナレッジマネジメントの強化を図っています。

そのほか、両社の経営資源を相互に活用しシナジーを創出させて、建物・設備メンテナンス業界全体のDX推進を目指すと発表しました。

③アウトソーシングとCalPacの事例

2021年4月、アウトソーシングは、連結子会社「アメリカンエンジニアコーポレイション」を通じて、CalPacを子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、東京都千代田区に本社を置き、静岡県静岡市葵区に静岡本部を置く人材派遣業者です。技術系・製造系・サービス系のアウトソーシング事業などを手掛けています。

対する売却側は、グアムおよび周辺地域において、米軍・米国地方政府・通信業界を中心とした民間企業向けに、IT・弱電設備のシステム構築などを手掛けている企業です。

本件M&Aにより、買収側では、公共系アウトソーシング事業拡大に資するシナジーの獲得を図っています。具体的にいうと、アメリカンエンジニアコーポレイションではグアムでのIT・弱電設備市場への円滑な参入や業容拡大が目指されます。

また、環太平洋地区の拡大・米国本土での本格展開を視野に入れ、米軍施設向け事業の成長を加速することで、アウトソーシンググループの事業安定化と業容拡大の両立を図っていくと発表しています。

④協和エクシオグループとWinner Engineeringの事例

2019年10月、協和エクシオのグループ会社でアジア地域の事業運営を統括するEXEO GLOBAL Pte. Ltd.が、シンガポールで空調設備工事を扱っているWinner Engineering Pte. Ltd.の全発行済株式を取得しました。

協和エクシオグループは、グループ総力を集めたトータルソリューションで、新しい成長ステージに向かうことへとつなげています。日本だけでなく海外でも、情報通信インフラの構築を始めとする通信インフラ事業に取り組み、さらに都市インフラ、システムソリューション事業の拡大も推進しています。

Winner Engineeringは、新築ビルや既存ビル用のACMV装置の設置、製造、保守などを提供するサービスに力を注いでいる設備工事会社です。

協和エクシオは、Winner Engineeringと協和エクシオグループのLAE、DeCloutグループでICTソリューション事業を手掛けるBEAQON Pte. Ltd.と提携することで、データセンターの設備工事をワンストップで提供できる構造づくりを図っています。

⑤日立製作所と日立コンシューマ・マーケティング・日立アプライアンスの事例

2018年10月、日立製作所は、日立コンシューマ・マーケティングと日立アプライアンスを合併して新会社を2019年4月1日付けで発足すると発表しました。日立コンシューマ・マーケティングは、家電・空調・設備機器の販売・エンジニアリングや保守サービスを行う会社です。

また、日立アプライアンスは、冷蔵庫や洗濯機といったキッチン・家電製品、LED照明や住宅設備機器などを通じたソリューションを提供しています。両社の合併は、近年の社会構造やライフスタイルの多様化といった変化に合わせ、より適したソリューションを提供するための新会社を発足するという目的が掲げられました。

そして、2019年3月1日、日立コンシューマ・マーケティングと日立アプライアンスを合併した新会社の社名は「日立グローバルライフソリューションズ」と発表されました。

日立グループは、この日立グローバルライフソリューションズについて、日立グループが注力する「ヒューマン・ライフ」分野におけるデジタル時代の家電・空調事業をリードする新会社として、2019年4月1日に発足しています。

このように、時代の変化やニーズに対応するため、子会社同士を合併させる事例も少なくありません。この事例では、家電事業と空調事業を合わせる形で、より良質なソリューションの提供などを目指す点が特徴的です。

家電事業も空調事業も、日々の生活に深く関係する分野です。こうした関連事業を合わせたソリューションサービスの在り方が、空調設備工事業界にどのような影響を与えるのか、今後の動向にも注目されます。

⑥四電工による有元温調の買収

2018年2月、四国電力系の四電工は、空調・管関連工事に強い有元温調(神戸市)を子会社化しました。これによって、四電工は四国外の事業エリアの拡大を実現し、総合設備企業としての基盤強化につなげています。

四電工は四国電力のグループ会社となり、配電・送電・土木・計装などの電気設備工事を主な事業内容としています。空調・管・情報通信工事なども手掛けていますが、事業としては電気設備工事が目立っていました。

また、四国以外の拠点もありましたが、事業エリアとしては四国が中心となっていました。こうした状況の中、兵庫県神戸市の有元温調の子会社化により、四電工は事業エリアの拡大を実現しました。また、空調・管関連工事に強みがある有元温調のノウハウを生かすことで、電気設備以外の事業領域の強化にもつなげています。

当時の四電工は、2020年東京オリンピック後の建設市場の縮小を踏まえ、環境・海外などの新たな収入源の育成を図っていました。2020年度を目標年度する中期経営指針では、将来に備えて100億円規模のM&A向け投資枠を設けています。

そして、四電工初のM&Aとなった事例が、今回の有元温調の買収です。一方の有元温調としても、強みのある空調・管関連工事分野を強化するほか、四電工のネットワークを生かした事業拡大などのメリットを獲得しています。

空調機器製造業界のM&A情報については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】空調機器製造業界のM&A情報!メリット・デメリットや注意点を解説| M&A・事業承継の理解を深める

空調設備工事会社のM&Aの費用の相場

空調工事のM&A・事業承継
空調工事のM&A・事業承継

空調設備工事会社は中小企業が多いですが、空調設備工事業界のM&A当事会社は中小企業だけではありません。M&Aによっては、企業規模や対象事業の規模が大きく異なる場合もあります。そのため、現段階ではM&Aの相場・費用を一概に提示することは非常に困難です。

ただし、M&Aを実行する以上、相場と費用をまったく考慮しないわけにはいきません。ある程度の目安をつけておかなければ、想定外の費用が発生することもあるためです。そのため、類似する事例は徹底的に分析し、買収金額や費用をある程度把握しておく必要があります。

具体的には、M&Aの目的・M&Aの当事者となる会社の規模・対象事業の規模・会社の業績・従業員の数・M&Aのスキームなどをチェックし、自社と似たものがあればこまめにチェックすることが重要です。

なお、相場と費用をより正確に把握するには、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に相談するのがベストです。空調設備工事会社のM&Aの成約実績が豊富な業者であれば、相場や費用に関する情報も得やすくなります。

M&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、クロージングまで丁寧にサポートいたします。

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空調設備工事会社を買収するメリット

空調設備工事会社の買収事例には、同業者による買収や関連事業を行う会社による買収などがあります。これらのケースは、事業規模や事業エリアの拡大・競争力の強化といった目的のために行われます。

同業者同士のM&Aであれば、自社が対応していないエリアに強みのある空調設備工事会社を買収することで、自社の空調設備工事事業を強化するケースが考えられます。

また、ある空調設備工事会社が自社にはない技術を持っている場合や優秀な人材が多く在籍している場合なども、その会社を買収することで自社の事業強化につなげることが可能です。

さらに、今後の競争激化が予想される中で、競争力やサービス体制の強化などを目的に、関連事業も含めたM&Aが増加する可能性もあります。

このように、関連事業を展開する会社にとっても、空調設備工事会社の買収には大きなメリットがあるといえるでしょう。

空調会社の事業譲渡については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】空調会社の事業譲渡・売却と株式譲渡はどちらが節税できる?手法の違いを解説!| M&A・事業承継の理解を深める

空調設備工事会社を売却するメリット

M&Aによる会社の売却は、後継者不足問題の解決・経営基盤の安定化・創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消・従業員の雇用の維持などのメリットがあります。空調設備工事会社の売却でも、こうしたメリットを享受できます。

競争が激化しやすい空調設備工事業界のため、特に中小・中堅の空調設備工事会社同士のM&Aが増加する可能性もあります。こうしたM&Aを成功させるには、買い手にとって魅力的なサービスをアピールする必要があります。

競争力の強化などにつながると判断されれば、さまざまな空調設備工事会社が名乗り出る可能性があります。また、売却は自社にとってもメリットが期待できるものでなければなりません。経済効果の高いM&Aを実現するためにも、最適な対象企業を探す必要があります。

空調設備工事会社のM&Aを行う際の注意点

空調設備工事会社のM&Aを行ううえで、さまざまな注意点が挙げられますが、特に大きなポイントは「管工事の建設業許可の取り扱い」に関してです。管工事の建設業許可は、空調設備工事会社が事業を展開するうえで必要不可欠の許可です。

数あるM&Aスキームの中でも事業譲渡を採用する場合、買収側企業に対して管工事の建設業許可を承継できないケースがほとんどです。事業譲渡とは、会社(譲渡会社)が事業の全部または一部を他社(譲り受け会社)に譲渡する手法です。

株式譲渡・会社分割・合併などのM&Aスキームとは違い、契約によって譲渡の対象となる事業を選択でき、資産や負債についても契約によって比較的自由に選別可能です。

しかし、事業譲渡は個別承継であるため許認可を引き継ぐことはできません。つまり、管工事の建設業許可は承継できないため、譲受側が必要な許認可を取得していない場合は事前に取得する必要があります。

空調工事会社の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】空調工事会社の事業承継マニュアル!相談先や成功事例を解説!| M&A・事業承継の理解を深める

空調設備工事会社のM&Aについてまとめ

空調設備工事業界でも、近年M&A事例が活発化しています。中小企業が多く、競争の激化も見られる空調設備工事業界では、競争力の強化・事業エリアの拡大・事業規模の拡大・サービス体制の強化など、さまざまな目的のためにM&Aが活用されています。

また、空調設備工事業界では、関連事業の会社とのM&A事例も見られます。こうしたM&Aも、空調設備工事会社がサービス体制を強化するうえで意義のある事例です。

自社のM&Aを成功に導くためにも、各事例のM&Aの目的・スキーム・会社や事業規模を確認し、さまざまな視点から事前に分析しておくことが大切です。

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