M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年5月24日更新事業承継
親族内承継とは?用語の意味、メリット・デメリット、流れ、成功させるポイントも解説
親族内承継とは、経営者の子供をはじめとする親族に会社の事業を引き継ぐことです。親族内承継には周囲から受け入れられやすく後継者の教育期間を確保できるメリットがあるものの、重大なデメリットも存在するため余裕を持って準備したうえで実施することが大切です。
親族内承継とは
親族内承継とは、経営者の子供をはじめとする親族に会社の事業を引き継ぐ行為をさします。「跡取り」と聞くとイメージしやすい方が多い親族内承継ですが、中小企業で最も多く採用されている事業承継方法です。
親族内承継の割合と現状
中小企業で最も採用されているものの、親族内承継の採用割合は年々減少傾向にあります。およそ20年以上前までは、当然のように経営者の子供が跡取りとして修行を積んで事業承継を済ませていました。かつての親族内承継の割合は9割を超えており、なかでも経営者の子供に承継していた割合は8割程度にまで及んでいました。
ところが現在では親族内承継を実施する会社は6割程度まで低下しており、その背景には職業選択の自由化や少子高齢化などが深く影響しています。現在の経営者は、子供に自由に生きて欲しいと思う一方で会社を存続させたいと思うジレンマを抱えています。
従業員や第三者への事業承継が増加傾向にある
親族内承継の採用割合は低下している一方で、従業員や第三者に事業承継するケースが増加傾向にあります。これは、後継者に相応しい親族が不在であったり、子供に好きな職業に就いてほしいと考える経営者が増加しているためです。
しかし、上記の手法のなかでも従業員への親族外承継では基本的に自社株を従業員に買い取ってもらうことになるため、資金不足が大きな問題となりやすいです。たとえ経営者が承継を望んでいても、従業員に拒まれてしまうおそれもあります。
従業員承継における問題に直面したときには、M&Aによる第三者への事業承継を検討してみるのも1つの方法です。当然ですが、M&Aの買収資金を準備するのは買い手である第三者であるため、自社における金銭的負担を軽減できます。
さらにM&Aによる事業承継では会社そのものを売却するため、経営者は売却利益を獲得する可能性もあります。
M&Aによる事業承継をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aによる事業承継をフルサポートいたします。
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親族内承継の4つのメリット
ここまで概要を紹介しましたが、親族内承継にはメリット・デメリットの双方が存在するため実施前に把握しておく必要があります。親族内承継のメリットは、以下のとおりです。
- 周囲から受け入れられやすい
- 教育期間を十分に確保しやすい
- 資産の承継方法を選択できる
- 事業承継税制を活用しやすい
それぞれのメリットを順番に解説します。
①周囲から受け入れられやすい
いかなる承継方法を採用したとしても、経営の跡継ぎが決定したときには金融機関・取引先・会社内の従業員などに挨拶や紹介をします。このときに親族内承継を実施して、現在の経営者の親族を後継者として紹介すると、周囲から心情的に受け入れられやすいです。
現在の経営者に対して周囲から厚い信頼が寄せられている場合には「◯◯さんの子供さんなら安心だ」と捉えられて、金融機関や取引先がこれまでどおり取引を継続してもらえる可能性が高まります。
②教育期間を十分に確保しやすい
親族内承継を実施すると、後継者の教育期間を長く確保できます。そもそも経営者の子供である後継者に経営を任せられるようになるには、10年程度の教育期間が必要です。経営者によっては、子供が生まれた時点で後継者としての育成を開始するケースも存在するほどです。
後継者が早く決まると準備期間に時間を費やせるため、同一業界の他社で経営を積ませるなど時間をかけた教育を実行できます。
③資産の承継方法を選択できる
親族内承継を実施すると、財産や会社の株式などの資産は後継者に引き継ぐのが基本的です。そこで資産を引き継ぐ方法としては、相続・贈与・売買と呼ばれる3つの選択肢が存在します(詳細は後述)。現在の経営者や後継者の資産状況など、さまざまな状況を踏まえながら、最適な承継方法を検討しましょう。
④事業承継税制を活用しやすい
中小企業の株式を承継する場合、事業承継税制を活用することで、贈与税・相続税納付の猶予・免除が認められています。親族内に後継者が存在し周囲からも認められている場合、こうした税制上の優遇措置を活用しやすくなるメリットがあります。
親族内承継の3つのデメリット
親族内承継のデメリットは、主に以下のとおりです。
- 経営の質に問題が生じやすい
- 後継者同士の争いに発展しやすい
- 経営方針に制限がかかりやすい
それぞれのデメリットを順番に解説します。
①経営の質に問題が生じやすい
親族内承継では、親族という限られた選択肢から後継者を選出しなければなりません。後継者として適任の人物が親族内に必ずしも存在するとは限らず、ときには妥協が必要となるケースがあります。
後継者には勉強や経験を積むための努力が必要ですが、潜在的な能力も同じように必要不可欠です。たとえ適任となる後継者がいたとしても、その後継者が「事業を引き継ぎたくない」と考えているケースでは事業承継が困難となります。
適任となる人物に事業承継できないと、経営の質が低下するおそれがあるため注意が必要です。
②後継者同士の争いに発展しやすい
親族内に後継者として適任な人物が複数人存在するケースでは、経営権を巡って争いに発展するおそれがあります。親族内承継だけでなく、優秀な従業員などに対する親族外承継を選択するときも同様のリスクが存在します。
ここで争いに発展してしまうと、後継者を円滑に決定するのは非常に困難です。たとえ後継者を決定できたとしても、争いに敗れて後継者になれなかった人への配慮を心がける必要があります。
③経営方針に制限がかかりやすい
後継者は、これまで親族が経営していた会社をそのまま承継して経営を継続します。しかし、必ずしも今までの経営方針を継続することが適切であるとは限りません。時代の流れに伴って経営方針を柔軟に変更させていくのも、後継者の重要な仕事といえます。
とはいえ、これまで務めてきた会社の経営方針変更に対して、従業員が賛成しない可能性もあります。その結果として、後継者が新しい経営を実施したいと考えても、うまくいかない可能性があるのです。
親族内承継にリスクを感じたらM&Aによる事業承継が有効策
親族内承継で特に注意すべきなのは、適任の人物に事業承継できないおそれがある点です。仮に後継者として不適切な人物に事業承継してしまうと、承継後の業績が急激に落ち込んだり、深刻な経営不振に陥ったりする可能性があります。
とはいえ、後継者候補が存在するにもかかわらず従業員への承継を検討すると、後継者同士の争いに発展しかねません。こうした状況で有効策となり得るのは、M&Aを活用して第三者に対して事業を承継する方法です。
M&Aを活用すれば、適任の後継者を幅広い中から探すことができ、引き継ぎ後の事業発展にも期待できます。しかし、相手探しや交渉などのプロセスではM&Aに関する専門的な知識が必要になるため、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
M&Aによる事業承継を実施される際は、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しております。案件ごとにアドバイザーがつき、相手探し・売却価格の算出・交渉などM&Aによる事業承継をフルサポートいたします。
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親族内承継の方法
親族内承継は、単純に親族に事業承継したことを宣言するだけで済むものではありません。こうした宣言は後継者の心構えを形成するうえでは有効的ですが、資産面の引き継ぎという実務的なプロセスも実施する必要があります。
親族内承継では税務や法務に関するプロセスを済ませなければなりませんが、とりわけ自社に最適な株式移転方法の検討が大切です。そこで株式を移転させる方法は、大きく以下の3つに分けられます。
- 相続
- 贈与
- 売買
それぞれの方法を順番に解説します。
①相続
相続とは、現在の経営者が亡くなった後に後継者に株式を引き継ぐ方法のことです。しかし、遺言など亡くなった経営者の意思を表明するものを準備しておかないと承継が成立しないため、注意が必要です。
経営者が相続による事業承継を選択する際は、遺言状の作成に加えて会社や資産などの引き継ぎ方法をあらかじめ取り決めしておかなければなりません。相続による事業承継では思わぬトラブルに発展するおそれがあるため、専門家に相談しながら十分な対策を講じると良いです。
②贈与
贈与とは、主として経営者の生存中に後継者に株式を贈与する方法のことです。株式を後継者に贈与する際、後継者側では贈与税を支払う必要がありますが、この贈与税が大きな負担になるケースが多いため注意が必要です。
親族内承継によって株式を贈与されると個人の資産として捉えられるため、年間110万円の基礎控除を超えた分は贈与税を支払う必要があります。生前贈与を利用する場合は、後継者以外の遺産の相続人から最低限の資産(遺留分)を要求されるおそれもあるのです。
場合によっては莫大な費用が必要となるため、あらかじめ専門家に相談すると良いです。
③売買
売買とは、後継者が現在の経営者が保持している株式を買い取る方法のことです。贈与とは対照的に、対価の支払いによって経営権を引き継ぎます。遺産として受け継ぐ手法ではないため、遺留分を請求される心配がありません。
しかし、対価として現金を支払う必要があるため、必ずしも贈与よりも少額で済ませられるとは限らず、かえって高額な費用が必要となる可能性も十分にあります。後継者が銀行からの借り入れなどを利用したうえで株式を購入するケースが多いです。
親族内承継を売買で実施するメリットに、贈与税や相続税が不要となる点が挙げられます。売買では遺留分がないため、親族内でトラブルに発展しにくい点もメリットです。とはいえ、対価となる資金準備に手間がかかるのも事実であり、親族内承継で売買が利用されるケースは比較的少ないです。
親族内承継を円滑に済ませる5つのポイント
親族内承継を漠然と実施していると、深刻なトラブルに直面するおそれがあります。親族内承継でトラブルが発生すれば、解決のために時間がかかったり、場合によっては事業承継に失敗してしまったりすることもあるため注意が必要です。
親族内承継を円滑に済ませるポイントは、主に以下のとおりです。
- 周囲から承認を得ておく
- 後継者教育を早期に開始する
- 遺言書を作成しておく
- 個人保証への対応を検討する
- 事業承継の専門家・弁護士などに相談
それぞれのポイントを順番に解説します。
①周囲から承認を得ておく
親族内承継を実施するときは、周囲から承認を得ておくと将来的に経営を円滑化しやすいです。近い親族だけでなく親戚にも承認を得ておかないと、むしろ思わぬトラブルに発展しかねません。
なぜなら、中小企業のなかには親族の大半が会社の株主となっているケースが多く、承認を得ておかないと将来的に経営を乱されるおそれがあるためです。後継者が引き継いだ後も経営しやすい環境を作ってあげることが大切です。
②後継者教育を早期に開始する
親族内承継で最も手間がかかるのが、後継者に対する教育です。後継者の教育には、10年程度の期間を要します。仮に大学卒業後から育成を開始したとすると、相応しい後継者となる頃には30歳を超えていることになる計算です。
問題となるのは、親族内承継を済ませるまでに現在の経営者が経営を継続できるかという観点です。経営者が体調不良などで引退して後継者が不在となってしまう事態を念頭に置いて、後継者の教育を早期に開始しましょう。
③遺言書を作成しておく
相続によって親族内承継を実施する際は、遺言書を準備する必要があります。遺言書を準備しておかないと、経営者の資産が相続人に平等に分配されてしまうためです。
その結果として、後継者が少ない資金で経営する事態になってしまうばかりか、経営権が後継者に集中しないトラブルを引き起こしかねません。後継者が資金不足に陥ればもちろん会社が不安定になり、後継者に経営権が分散してしまうことで事業承継に失敗してしまうリスクも生じます。
④個人保証への対応を検討する
事業承継を実施する際、経営者の個人補償を後継者に引き継ぐケースが想定されますが、金融機関との交渉が難航するおそれがあります。なぜなら、金融機関は現経営者の経営手腕を信頼して、融資を行っていることがほとんどであるためです。
事業承継をスムーズに進めるためには、後継者を周知し、金融機関との信頼関係を構築しておくことが大切です。
⑤事業承継の専門家・弁護士などに相談
事業承継は税務・法務・財務などの専門知識が必要となります。そのため、専門家に相談するのがベストです。事業承継の専門家に相談することで、自社だけでは解決できない問題も解決できます。
商工会議所や、弁護士や税理士、公認会計士などの士業家、事業承継・引継ぎ支援センター、M&A仲介会社など、相談できる機関にはいくつかの選択肢があります。不明点があれば、事業承継を行う際は、専門家に相談してみましょう。
親族内承継のまとめ
親族内承継では後継者の確保が大切ですが、親族内に最適な後継者が存在するとは限りません。状況に応じて親族内承継以外の方法も検討しておくと良いです。もしも最適な後継者が存在する場合には、親族内承継対策としてなるべく早い時期から後継者教育を含めた準備を開始する必要があります。
後継者が親族内承継で会社を引き継いだ後は、自身も事業承継を実施する日がいずれ訪れます。このときには、自分自身の経験も生かしながら親族内承継を円滑に実施できるように心がけることが大切です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。