M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年11月4日公開事業承継
警備会社の事業承継とは?承継方法や流れ・成功のポイントを徹底解説!
警備業界では、厳しい価格競争や人手不足などの理由で、事業承継が難しいと廃業を検討する経営者も増加しています。しかし、警備会社の事業承継方法は身内へ承継する方法以外にも選択肢があります。この記事では、警備会社の事業承継について 流れや注意点を解説します。
警備業の事業承継動向
警備業界では、後継者問題や人手不足などの問題が深刻で、会社の将来的な存続に不安を感じている経営者が増加しています。この記事では、警備会社での事業承継を成功させるために、事業承継の流れや成功のポイントなどについてみていきましょう。
まずは、近年の警備業界での事業承継の動向についてです。
事業規模拡大を目的とするM&Aが増加傾向
近年は、大手警備会社が地方の中小零細の警備会社をM&Aで買収する事例が増加しています。
大手警備会社としては、地方の警備会社を傘下に納めることで、その地域での拠点を作り、業務を拡大させることができる上に、人手不足が深刻化している警備業界で人材を確保できるというメリットが大きいことから、同業他社の買収が頻繁にみられます。
異業種による警備業参入が増加傾向
近年、ビジネスの環境の変化が早くなる中で、多くの企業がリスク分散や長期的に安定した利益を確保するために、事業の多角化を進めています。
そのような中で、警備業というのは新型コロナ禍での経済縮小の中でも売上高が減少しなかったことから、他業種から注目を集め、新規参入が増加しています。
警備会社を異業種の会社がM&Aで買収する事業承継も増加しているようです。
警備業の異業種参入も増加傾向
異業種からの警備業界への新規参入だけでなく、警備会社が事業の多角化を進めるために、異業種の会社を買収する動きもみられます。
警備会社による事業の多角化では、人材派遣業や介護業界、不動産業、情報通信業、保険業などへの進出が多いようです。
事業承継を目的とした売却・事業譲渡の増加
中小の警備会社では、経営者の高齢化が進んでいます。さらに、後継者不足や人手不足などで、廃業の危機にある警備会社が増加しています。
そのような中で、買収を希望する大手警備会社や異業種の会社からの申し出を受けて、株式譲渡などのスキームで会社を売却する事業承継が多くみられるようになってきました。
警備会社の事業承継が重要な理由
警備会社で事業承継をするべき理由をみていきましょう。
跡継ぎ不在問題の解決
現在、警備業界に限らず、日本では約6割の会社の経営者が60歳以上と高齢化しており、さらに約4割の会社には社内に適切な後継者がいない後継者問題が深刻化しています。
もしも、後継者問題を解決できなければ、その会社は将来的に廃業することになるでしょう。事業承継には、経営者の身内以外にも、従業員や他社に事業承継する方法もあります。
事業承継ができれば、後継者問題を解決して、会社を存続させることが可能です。
従業員の雇用継続が可能
後継者問題や事業の悪化などの理由で廃業することになると、従業員は全員解雇することになります。廃業により解雇されると、すぐに再就職できる人もいれば、なかなか次の仕事が見つからない人もいて、生活に困ってしまう人も出てしまうでしょう。
従業員承継やM&Aで事業承継できれば、従業員の雇用は継続できます。事業承継は従業員の生活を守るための手段でもあるのです。
大手警備グループの傘下に入れる
現在、警備会社のM&Aによる事業承継は、ALSOKやセントラル警備保障といった大手企業による買収が盛んです。
M&Aによる事業承継で、大手警備会社の傘下に入ることで、大手企業のブランド力やリソースを活用することが可能になります。
中小企業では難しかった業務のDX化による効率化や事業の多角化など、大手企業のノウハウを利用できるようになるメリットも大きいのです。
債務の解消が可能
中小零細の警備会社では、会社の債務に対して経営者が個人保証を付けていることが多く、身内から後継者が現れない原因ともなっています。
もしも、債務を解消しないまま廃業してしまうと、廃業後に担保に設定していた自宅が差し押さえられてしまったり、廃業後も返済が続いたりします。
M&Aや従業員承継で事業承継ができれば、債務も承継者に引き継いでもらえるので、経営者は債務の負担から解放されます。引退するのであれば、まとまった売却益も手に入り、債務の負担もなくなり、余裕のあるリタイア生活を送ることができるでしょう。
警備会社の事業承継の方法とその流れ
警備会社を事業承継する方法は、経営者の子供や孫などの親族が後継者となる親族承継、会社の役員や従業員が後継者となる従業員承継、他社への売却であるM&Aの3つの方法があります。それぞれの方法の流れについてみていきましょう。
親族・従業員へ事業承継をする場合
社内での事業承継である親族承継と従業員承継は同じ流れになります。
 
- 事業承継の必要性の認識
 - 事業承継計画の策定・後継者の育成開始
 - 経営権・資産などの後継者への承継の実行
 
親族承継と従業員承継での事業承継では、まずは経営者自身が事業承継の必要性を認識することから始まります。事業承継の必要性を認識して、後継者を選び、経営者としてふさわしい知識や態度を習得させるための育成を始めます。
さらに、いつ、誰に、何を、どのように承継させるのかをまとめた事業承継計画を作成して、時期を見て徐々に経営権などの移行を進めていきます。
M&Aで事業承継をする場合
M&Aで他社に事業承継する場合の流れです。
- M&Aの専門家への相談
 - 売却先探し
 - トップ面談と交渉
 - 基本合意書締結
 - 買収側がリスクなどを調査するデューデリジェンスの実施
 - 最終交渉と最終契約書締結
 - クロージング(経営権の引き渡し)
 
M&Aでは、契約する前に基本合意書を締結してから、買収側の調(デューデリジェンス)が入ります。この調査で買収しても問題ないと判断されたら、最終交渉へと進むのです。
警備会社の事業承継を成功させるポイント
警備会社の事業承継を成功させるための注意ポイントです。
計画を立てて準備を進める
事業承継には長い時間がかかることに注意しましょう。親族承継と従業員承継では、後継者の育成に5年から10年必要です。
M&Aの場合は、社内での承継ほど長い時間は必要ありませんが、M&Aの専門家に相談してからクロージングに至るまで1年以上の期間がかかることも珍しくありません。
経営者が引退する時期から逆算して計画を立てて、前もって準備を進めるように注意しましょう。
地域性の高さや顧客リストをアピール
特に、M&Aでの事業承継を希望するのであれば、警備会社として事業を展開している地域での信頼の高さや、その地域での顧客の数や質をアピールできるように事前に整理しておきましょう。
M&Aで地方の警備会社を買収したいと考えている大手企業の目的は、その地域でのエリア開拓です。買収側にとっては、新規にエリア開拓をするよりも、すでに顧客を持つ警備会社を買収したほうがコストがかからないというメリットがあります。
買収側へアピールできるようにすることが、M&Aでの事業承継成功のための注意ポイントです。
事業承継完了後に関係者への報告を行う
M&Aで事業承継を行う場合には、最終契約書締結後にM&Aの実施を公表するようにして、事前に情報が漏れないように注意しましょう。
事前にM&Aの情報が売却側の会社内で漏れてしまうと、不安に駆られた従業員の退職や、取引先からの取引停止を招く恐れがあります。
事前の情報流出がないように、M&Aの実施の公表のタイミングにはよく注意してください。
M&Aの専門家に相談を行う
事業承継を考え始めたら、最初に事業承継全般に詳しいM&Aの専門家に相談することをおすすめします。
専門家なら、会社の状況を判断した上で、最適な事業承継方法や、法律や財務についての専門的な知識が必要な事業承継やM&Aの手続きのサポートをしてくれるでしょう。
事業承継計画の策定や、M&Aの売却先探しやデューデリジェンスへの対応など、事業承継には多くの難しい関門があります。ぜひ、M&Aの専門家のサポートを受けて、スムーズに進められるように準備しましょう。
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警備業の事業承継事例5選
警備会社で事業承継が実施された事例を5つ紹介します。
共栄セキュリティーサービスが警備業のセキュリティを事業承継した事例
2023年10月17日に、幅広く警備業務を展開している共栄セキュリティーサービス株式会社が、埼玉県所沢市に拠点を置き、施設警備や交通誘導警備などを主に請け負っている株式会社セキュリティの全株式を取得して子会社化することを発表しました。
この事業承継により、共栄セキュリティーサービスとしては人員数とエリアを拡充し、スケールメリットを得られるようになるとしています。
共栄セキュリティーサービスが警備業の東神産業を事業承継した事例
2023年10月2日に、共栄セキュリティーサービス株式会社が、神奈川県に本社があり、施設警備、交通誘導警備などを請け負っている東神産業株式会社の全株式を取得して、子会社化することを発表しました。
この事業承継により共栄セキュリティサービスとしては、規模の強さによる料金改定など、企業価値向上が可能になるとしています。
ALSOKが警備事業のShield-On Serviceを事業承継した事例
令和5(2023)年6月12日に、警備、ビルなどの総合管理、介護事業など幅広く展開する綜合警備保障株式会社(以下、ALSOK)が、インドネシアで人材派遣業や警備事業を営むPT. Shield-On Service Tbk(以下、SOS)の発行済株式の51.23%を取得して子会社化することを発表しました。
SOSはインドネシアで人材派遣や警備を営む会社として唯一インドネシア証券取引所に上場しており、大手財閥であるSinarmasグループが大口顧客です。
この事業承継により、今までは日系企業に提供してきたALSOKの安心安全のためのサービスを、インドネシア国内企業などにも提供できるようになるとしています。
セントラル警備保障が東亜警備保障を事業承継した事例
2023年4月25日に、常駐警備や機械警備などに定評のあるセントラル警備保障株式会社が、栃木県宇都宮市に本社のある警備会社である東亜警備保障株式会社の発行済株式74.7%を取得して、子会社化することを発表しました。
栃木県はセントラルの営業拠点がないエリアであり、この事業承継により、地域補完ができるとのことです。
共栄セキュリティーサービスが警備業の合建警備保障を事業承継した事例
2023年2月17日に、共栄セキュリティーサービス株式会社が、徳島県に本社があり、四国と関西で施設警備や交通誘導警備などを展開している合建警備保障株式会社の全株式を取得して子会社化することを発表しました。
この事業承継により、共栄セキュリティーサービスとしては四国を含む広域展開が可能になり、人的警備事業の体制を強化できるようになるとしています。
警備業の事業承継まとめ
警備会社では後継者問題や他社との厳しい競争などで、将来的な事業の継続に不安を感じる経営者も増えているようです。しかし、廃業してしまったら、路頭に迷う従業員が出てしまうかもしれません。
会社の将来に不安があるのなら、まずは事業承継の可能性について、事業承継やM&Aの専門家に相談してみることがおすすめです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。