2021年4月5日公開事業承継

資産管理会社は事業承継税制の適用外?適用される場合の定義を解説

事業承継税制は、事業承継の際に発生する相続税や贈与税を猶予・免除できる便利な制度です。しかし、資産管理会社の場合は適用に条件があり、適用されないケースもあります。本記事では、資産管理会社の事業承継税制について、適用できる条件などを解説します。

目次
  1. 資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは
  2. 資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義
  3. 資産管理会社判定のフロー
  4. 事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期
  5. 事業承継税制の相談は専門家にお任せ
  6. まとめ
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資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは

資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは

中小企業経営者の高齢化による、廃業の問題が国の大きな課題となっています。経営者が高齢で引退し、後継者がおらず会社を廃業すると、それまで培ってきた会社の財産や技術・ノウハウなどが失われ、日本社会にとって大きな損失となります。

この問題を解決するために国が打ち出したのが、事業承継税制です。事業承継税制とは、中小企業経営者が後継者に事業承継する際に、相続税や贈与税を猶予・免除する制度です。

中小企業の事業承継では、株式などの現金化しにくい資産を贈与・相続した時に、納める税金を別に用意しなければならないのがネックとなり、事業承継したくてもできないケースもあります。

このような中小企業が事業承継税制を活用すれば、事業承継がより活発に行われるようになると期待されます。

ただし、事業承継税制は、資産管理会社のような事業目的でない会社は適用されないことがあります。事業承継税制を利用する際は、承継する会社が資産管理会社に当てはまらないか確認することが重要です。

資産管理会社とは

資産管理会社とは、資産を保有することを目的とする会社のことです。利益を得るための営業活動は、基本的には行いません。

資産管理会社は、主に節税のために設立されます。所得税の最高税率は法人税率より高いので、所得が多い場合は資産を法人に所有させることで税率を下げることができます。

資産管理会社の対象となる特定資産

資産管理会社にあたるかどうかを判定するための、特定資産の定義は下のとおりです。

【資産管理会社の対象となる特定資産】

  1. 有価証券
  2. 持分会社の持分
  3. 使っていない不動産
  4. 会員権
  5. 絵画や骨とう品などの動産
  6. 貴金属や宝石
  7. 現金や貯金

1.有価証券

運用のための株や国債といった、有価証券は特定資産の対象となります。ただし、特別子会社の株式は除外されます。

ここでいう有価証券とは、金融取引商品法で定義されるものを意味します。印紙税法では商品券や小切手なども有価証券と定義されていますが、これらは該当しません。

2.持分会社の持分

持分会社の持分も特定資産の対象になります。ただし、こちらも有価証券と同様に、特定子会社の持分は除外されます

3.使っていない不動産

オフィスや店舗ではなく、ただ保有しているだけの土地などの、使っていない不動産は特定資産の対象となります。これは賃貸で貸している不動産も含まれる場合があるので注意が必要です。

4.会員権

ゴルフやリゾート施設などの会員権は、特定資産の対象となります。ただし事業用に保有しているものは除外されます

5.絵画や骨とう品などの動産

絵画などの芸術品は特定資産の対象となります。こちらも不動産や会員権と同様、事業用の場合は除外されます。

6.貴金属や宝石

貴金属や宝石も、事業用でない場合は特定資産となります。

7.現金や貯金

現金や預貯金も特定資産の対象となります。同族関係者への貸付金や未収金も対象となるのが注意点です。

特別子会社の定義

特別子会社とは、代表取締役とその同族関係者が、議決権の過半数を持っている会社のことです。

同族関係者とは、親族や事実上の婚姻関係にある者、生計を共にしている者などのことで、単なる親族よりも対象が広くなります。

また、同族関係者は法人も対象になる用語で、大まかには同族関係者が過半数の株式を保有している法人という意味になります。

事業承継税制の適用要件

事業承継税制を利用するためには、適用要件を満たす必要があります。適用要件には、会社・後継者・前経営者が満たすべき要件がそれぞれ定められているので、しっかり確認しておくことが大切です。

1.会社が満たすべき要件

事業承継税制の対象となるために会社が満たすべき主な要件は、中小企業者であることと、承継後の雇用を維持することです。

中小企業者の定義は法律ではっきり決められており、業種によって資本金などの条件が異なります。雇用の維持は、事業承継後5年間にわたり平均して8割の雇用を維持することとされています。

ただし、雇用維持の条件については、もし満たせなくなった場合はその理由を都道府県に提出し、認められれば引き続き事業承継税制が適用されます。

実際はこの2つ以外にも、納税額の担保の提供、会社の状況を適宜報告することなどの条件が課されます。

【事業承継税制で会社が満たすべき主な要件】

  1. 中小企業者である
  2. 承継後の雇用を維持する

2.後継者が満たすべき要件

事業承継税制において、後継者が満たすべき要件は以下のとおりです。相続の場合と贈与の場合で要件が変わるのが注意点です。

これ以外の要件としては、後継者が20歳以上であること(贈与の場合のみ)、筆頭株主であることなどがあります。

【事業承継税制で後継者が満たすべき主な要件】

  1. 事業承継後5か月以内に後継者が会社の代表に就く
  2. 相続前の時点で後継者が役員を務めている(相続の場合のみ)
  3. 後継者が3年以上役員に就いている(贈与の場合のみ)

3.前経営者が満たすべき要件

事業承継税制で前経営者が満たすべき主な要件は以下のとおりです。これらの要件は、事業承継を行う直前の時点で、前経営者が満たしていた条件という意味です。

【事業承継税制で前経営者が満たすべき主な要件】

  1. 過半数の議決権を保有し筆頭株主であること
  2. 会社の取締役であること(代表権を持つこと)
  3. 贈与の時点で代表を退いていること(贈与の場合のみ)

【関連】事業承継特例のメリットやデメリット、利用の条件を解説【事例あり】

資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義

資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義

資産管理会社は、基本的に事業承継税制の対象外となりますが、下に示した要件(事業実態要件)を満たす場合は事業承継税制の対象となります。

【資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義(事業実態要件)】

  1. 3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている
  2. 常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる
  3. 事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている

1.3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている

資産管理会社であっても、商品販売や役務提供などの事業実態がある場合は事業承継税制の対象となります。ただし、これらの事業実態が3年以上継続していることが条件となります。

不動産賃貸は、具体的な商品やサービスを提供しているわけではありませんが、事業として賃貸している場合は条件を満たします。

2.常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる

親族ではない従業員が5名以上いることが、資産管理会社が事業承継税制の対象となるため1つの要件となります。よって、従業員がほとんど親族だけの中小零細企業では、この要件を満たすのは難しくなります。

また、従業員は社会保険に加入した常時使用の社員である必要があるので、パートやアルバイトの従業員は除外される可能性があります。

この要件は事業承継税制を利用する間、ずっと満たす必要があるのが注意点です。例えば、事業承継税制を申請した時点で5人以上の従業員がいても、その後4人以下になってしまった場合は適用外とされてしまう可能性があります。

3.事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている

従業員が使用するオフィスや店舗、工場などを保有しているか借りていることが、資産管理会社が事業承継税制の対象となるための条件となります。

従業員が働くためのというのがポイントで、たとえオフィスがあっても事業と関係ないものだと適用外になる可能性があります。また、自宅を事務所にしているケースも適用外となります。

【関連】事業承継税制とは?事業承継税制の要件やメリット・デメリットを解説

資産管理会社判定のフロー

資産管理会社判定のフロー

事業承継税制を申請するにあたって、自社が資産管理会社に該当するか判定するためのフローは以下のようになります。このフローで資産管理会社でないと判定できれば、事業承継税制を適用できる可能性があります。

【資産管理会社に該当するか判定するためのフロー】
質問1.特定資産の割合が70%を超えるか?

はい 質問2へ
いいえ 資産管理会社に該当しない

質問2.事業実態要件を満たすか?
はい 資産管理会社に該当しない
いいえ 資産管理会社に該当する

事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期

事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期

資産管理会社かどうか判定するための条件を、いつの時点で満たせばよいのかを理解することが重要です。

判定の時期は、相続・贈与を開始した年度の、一つ前の年度の開始日が基準になります。そしてその日から納税猶予の期限が確定するまでの間、条件をずっと満たす必要があります。

たとえ相続・贈与した時点で資産管理会社に該当しないとしても、前年度の状況によっては資産管理会社とみなされることもあります。

また、事業承継税制の申請時に一時的に条件を満たしても、納税猶予の期限が確定するまでの間に状況が変わってしまう可能性も考慮しなければなりません。

事業承継税制の相談は専門家にお任せ

事業承継税制の相談は専門家にお任せ

事業承継税制は中小企業にとって非常に有用な制度ですが、条件がやや込み入っているためにあまり浸透していないというもが現状です。そのため、事業承継税制を利用する際は、専門家の相談を受けて進めるほうが安心でしょう。

M&A総合研究所は、中小企業M&Aを主に手がけている仲介会社です。事業承継税制についてのご相談も親身になって対応させていただきます。相談料は無料なので、コストをかけずに疑問を解決することができます。

親族への事業承継が難しい場合は、M&Aによる事業承継もサポートさせていただきます。料金は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。

事業承継税制の活用を検討されている経営者様は、お電話かメールでお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

まとめ

資産管理会社は基本的には事業承継税制の適用外ですが、特定資産の割合が少なく事業実態があれば適用可能となります。資産管理会社の事業承継を行う際は、事業承継税制の条件をよく確認しておきましょう。

【資産管理会社の対象となる特定資産】

  1. 有価証券
  2. 持分会社の持分
  3. 使っていない不動産
  4. 会員権
  5. 絵画や骨とう品などの動産
  6. 貴金属や宝石
  7. 現金や貯金
【事業承継税制で会社が満たすべき主な要件】
  1. 中小企業者である
  2. 承継後の雇用を維持する
【事業承継税制で後継者が満たすべき主な要件】
  1. 事業承継後5か月以内に後継者が会社の代表に就く
  2. 相続前の時点で後継者が役員を務めている(相続の場合のみ)
  3. 後継者が3年以上役員に就いている(贈与の場合のみ)
【事業承継税制で前経営者が満たすべき主な要件】
  1. 過半数の議決権を保有し筆頭株主であること
  2. 会社の取締役であること(代表権を持つこと)
  3. 贈与の時点で代表を退いていること(贈与の場合のみ)
【資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義(事業実態要件)】
  1. 3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている
  2. 常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる
  3. 事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている
【資産管理会社に該当するか判定するためのフロー】
質問1.特定資産の割合が70%を超えるか?
はい 質問2へ
いいえ 資産管理会社に該当しない

質問2.事業実態要件を満たすか?
はい 資産管理会社に該当しない
いいえ 資産管理会社に該当する

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