M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2021年4月21日更新会社・事業を売る
資金調達の方法
経営者が活用できる資金調達方法には様々なものがあり、方法によって、資金調達の可能性や背負うリスクも変わります。そのため、それぞれの手法の特徴やメリット・デメリット、活用場面をしっかり理解したうえで、自社に合った資金調達方法を選択しましょう。
資金調達方法の3大分類
企業を動かす上で資金は必要不可欠なリソースといえます。最近は時代の変化に伴い、資金調達の方法も多様化しており、多くの経営者は安定的な資金調達の実現方法に頭を悩ませています。企業にとって、いかに資金調達を実践するかは非常に重要な課題です。
資金調達方法は、アセットファイナンス、デッドファイナンス、エクイティファイナンスの3つに分類が可能です。
- アセットファイナンス:会社の資産(有形および無形)売却
- デッドファイナンス:企業および個人から借りる負債(銀行借入や債権発行など)
- エクイティファイナンス:会社への投資
この記事では上記の3種における資金調達方法のメリット・デメリットについて、および各々の分類における具体的な資金調達方法についてご紹介します。さらに、上記3種以外の資金調達方法に関しても解説します。
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アセットファイナンス
まずは、アセットファイナンスのメリット・デメリット、具体的な資金調達方法について解説します。
①メリット
アセットファイナンスのメリットは、以下のとおりです。
- 資金を低コストで獲得可能
- 保有資産を貸借対照表から切り離し可能
保有資産の信用力をもとに、企業の信用力が低下している場合でも、低コストで資金が得られることがメリットの1つです。また、資産の売却は、保有する資産を貸借対照表から切り離すことにもなり、財務体質の改善ができることもメリットといえます。
②デメリット
例えば、将来的にキャッシュを生み出すことができるなど、信用力のある資産を保有していなければ、この方法は使えない点がデメリットといえます。
③具体的な資金調達方法
アセットファイナンスの具体的な資金調達方法について解説します。
ファクタリング(売掛債権の売却)
ファクタリングとは、売掛債権を売却して資金調達する方法です。売掛債権とは、企業の営業活動による商品・サービスの売上代金のうち、受け取り予定の代金を請求できる権利のことです。
売掛金が支払われるまで、一般的に1〜数ヶ月の期間が発生します。この売掛金が支払われるより早く、売掛債権を売却することで資金調達をします。ファクタリングを利用すると、手数料は発生してしまいますが、即日の現金化が可能です。
また自社の信用力がなくても、売掛金の支払先の信用力が高ければ利用できる特徴があります。
ただし信用力の高い取引先を持っていることが前提であり、あまり信用力のない取引先の売掛金でファクタリングを使うと、手数料が高額になる可能性があります。
デッドファイナンス
続いて、デッドファイナンスのメリット・デメリット、具体的な資金調達方法について解説します。
①メリット
デッドファイナンスのメリットについては、以下のとおりです。
- 資金調達先が豊富で資金調達しやすい
- 税金の抑制効果がある
他の2つの方法(アセットファイナンス、エクイティファイナンス)と比較すると、資金調達先が豊富で資金を得やすい方法です。また、利息の支払は税務上の損金として扱われるので、税金を抑える効果があります。
②デメリット
デメリットとしては、以下が挙げられます。
- 将来のキャッシュフローが返済と利息の支払いの分だけ減少する
- クライアントなどからの信用を失ってしまう可能性がある
返済と利息の支払いに応じて、将来のキャッシュフローが減少します。また、借入した資金に応じて、自己資本比率が下がるため、資金力がないと判断されてしまい、クライアントなどからの信用を失ってしまう可能性があります。
③具体的な資金調達方法
デッドファイナンスの具体的な資金調達方法についてご紹介します。
金融機関からの融資
銀行や国民政策金融公庫、信用保証協会などの金融機関から融資を受ける方法です。経営者であれば、最初に思いつく資金調達の方法ではないでしょうか。ただし、民間の金融機関だと貸し渋りが発生する懸念もあります。
ところが、最近は、創業する経営者が活用できる創業融資や、自己資本比率を上げられる劣後ローンなど、企業の事情を鑑みた融資が実施されています。
以上のように、融資は借金のイメージから、資金調達の有効的な手段に変化しつつあります。ただし、金融機関からの融資は、借金としてのニュアンスが強いため、中小企業やベンチャー企業にとっては不利になりやすいといえます。
創業したばかりで実績がない、知名度が低いなど、社会的信用度が低い状態だと、金融機関から資金調達できない可能性があります。加えて、規模が小さい企業は、担保や保証人を用意できないことが少なくなく、そうなると金融機関からの信用性を上げるのも困難です。
何より融資の難点は返済にあります。特に、一般的な融資は、返済期間が来れば、経営が赤字になっていようがいまいが関係なく返済を迫られます。そうなれば、資金力が弱いベンチャー企業は窮地に立たされてしまいます。
よって、金融機関から資金調達する際は、自社の状態に合う融資を選択し、なおかつ返済を含め慎重に計画を立てる必要があります。
身近な人からの借入
規模が限られている中小企業にとって、金融機関からの借入より資金調達しやすいといえるのが、友人や親戚など身近な人からの借入です。
融通が利きにくい金融機関からの資金調達と比べ、ある程度条件に都合をつけやすいメリットがあります。借りる相手との信頼関係ができていれば、経営状態が悪くても返済をずらすなど、融通を利かせやすいメリットもあります。
一方で、個人とのお金のやり取りであるため、トラブルが発生するリスクも考えられます。個人からとはいえ借入をする以上、そのお金のやり取りは正式な融資ですので、トラブルが発生しないように、資金調達する際にしっかり協議をしましょう。
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エクイティファイナンス
ここでは、エクイティファイナンスのメリット・デメリットや、具体的な資金調達方法について解説します。
①メリット
エクイティファイナンスのメリットについては、以下の2つが挙げられます。
- 調達した資金の返済義務が発生しない
- 財務基盤が安定する
原則として、調達資金の返済義務が発生しません。また、自己資本が増強されるため、財務基盤が安定します。
②デメリット
デメリットについては、以下のとおりです。
- 会社の経営権が握られる可能性がある
- 配当金を支払う義務が増加する
場合によっては、株式に対する出資者が増えることで、会社の経営権が握られる可能性があります。これにより、会社の組織構成などにも影響が及ぶと、経営の一貫性や安定性が損なわれる恐れもあります。また、株主に対して収益に応じた配当金を支払う義務があります。
③具体的な資金調達方法
ここでは、エクイティファイナンスの具体的な資金調達方法について、2つご紹介します。
投資
株式会社であれば、投資によって資金調達するケースもあります。つまり株式を買ってもらうことで資金を得る方法です。個人投資家に直接投資を持ちかける方法もあれば、エンジェル投資家の力を借りる方法もあります。
いずれにせよ株式を購入してもらい資金を得る方法ですので、返済する必要がない資金調達方法であり、株主を増やせばより多くの資金を獲得することが可能です。しかし投資家を増やす以上、経営のスタンスをある程度変える必要が生じる可能性があります。
そもそも、株式会社は株主の利益を念頭に置く必要があり、株主である投資家の意向をある程度把握しておかなければいけません。また、個人投資家であれば、自身の損得を優先して行動する可能性があります。
その結果、株主である利益が無いと判断された場合、離れてしまう恐れもあります。加えて、経営権に影響を及ぼす普通株式を使う場合、所有する株式の比率によっては経営権が揺らぐ恐れもあります。
日本ではあまり多くありませんが、経営権を強引に獲得する敵対的買収が発生する可能性もあります。その意味では、投資による資金調達を実施する際は、いかに株主との利害を調整するかが重要となります。また、経営権をいかに守っていくかも、経営者が考えるべき課題です。
クラウドファンディング
インターネットの発展により、メジャーな資金調達方法として存在感を増しているのが、クラウドファンディングです。不特定多数の一般人から資金調達する方法で返済は不要です。
また、企画している製品やサービスの注目度が高ければ、いち早く充分な資金を獲得できる可能性が高くなります。従来のクラウドファンディングでは、一定の金額に達してからリターンを提供していました。
しかし最近では、出資と交換で株式取得させる投資型のクラウドファンディングも出てきました。今後もクラウドファンディングを用いた資金調達は、多様化していくと思われます。
他方で、クラウドファンディングは、ダイレクトにユーザーと繋がる資金調達方法でもあります。よって、会社の計画に対する責任を見られます。
必要な資金に達したとしても、その期待に応えられるだけの製品・サービスを提供できなかった場合、ユーザーから猛反発を受ける可能性が高いです。
クラウドファンディングで一般人から資金調達する以上、どれだけのリターンを約束できるのか、そのリターンの実現可能性は十分かを、しっかり見定める必要があります。
支援する一般人からしても、ある程度のリスクを踏まえた上でお金を出してくれます。経営者はその点をしっかり理解したうえで、クラウドファンディングを実施しなければなりません。
M&A・事業譲渡
M&Aを行うことで、会社の事業部門を売却する、子会社を売却するという形で資金調達することも可能です。この方法では、事業の一部、事業部、会社全体を売却することも、株式の一部を売却することもできます。
M&A・事業譲渡をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&A・事業譲渡をフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
会社売却・事業譲渡に関して無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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その他の資金調達方法
アセットファイナンス、デッドファイナンス、およびエクイティファイナンス以外の資金調達方法について、詳細を解説します。
補助金・助成金
公的に実施されている補助金・助成金制度を活かして、資金調達する方法もあります。最近は、設備投資や特定事業の応援を目的とした補助金や助成金が多くなっています。その中には、中小企業に向けて実施されている制度も多く存在します。
補助金・助成金を用いて資金調達すれば、会社の負担を軽減できます。ただし、補助金・助成金は実際の出費が発生した後に、その一部を補填するものです。つまり、投資や融資のように、まずお金が入ってくるわけではなく、最初に必要な経費を出費する必要があります。
また、確実に補助金・助成金を得られるとは限りません。種類によっては審査が必要であり、基準が厳しいものもあります。一部の制度では、補助金・助成金を取得できた会社が、応募総数の3分の1以下であるケースも少なくありません。
そういった意味では、資金調達というより、あくまで企業の負担を軽減する手段として考えるべきといえます。
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まとめ
資金調達は規模を問わず、様々な会社の経営者が考える課題です。手段が限られてしまう中小企業は、より安定的な資金調達を実現するために日々努力しています。
幸いにも最近は、中小企業を支援する公的な制度や、クラウドファンディングなど、新しい資金調達方法も活用可能となりました。様々な方法の中から、自身の会社の状況に合わせた資金調達方法を活用しましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。