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黄金株のメリット・デメリット

黄金株のメリット・デメリット

目次

    黄金株のメリット・デメリット

    黄金株とは株式の一種であり、他の株式より強力な権限が付加されている株式です。

    黄金株はただ一つだけ持っているだけでも会社経営に大きな影響を及ぼすものであり、様々な場面で活用できる株式でもあります。

    しかし黄金株は強力な権限が付加されているため、使い方を注意しなければ会社が進めているプロジェクトや戦略に悪影響を与えるリスクがあるものです。

    今回は黄金株の特徴やメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

    ぜひ参考にしてみてください。

    黄金株とは

    まずは黄金株がどういったものかについて解説します。

    「黄金」と聴くととても価値の高い株式のように感じますが、黄金株は決して価値が高い株式を示すものではありません。

    黄金株は種類株式の一種であり、正式名称は「拒否権付種類株式」と呼ばれています。

    黄金株の最大の特徴は株主総会の決議への拒否権を有している点です。

    黄金株が発行されている場合、その会社は株主総会に加えて種類株主総会を開催することになります。

    そしてそこで黄金株を持っている株主が株主総会の決議を拒否すれば、拒否は不成立になります。

    つまり黄金株が一つだけ発行されていた場合でもその黄金株を持っている株主がイエスと言わない限り、株主総会の決議は成立しなくなるわけです。

    このように黄金株は単純に高い価値を持つ株式というわけではなく、持っているだけで株主総会の決議を覆すことができる強力な権限そのものだといえます。

    ちなみに黄金株それ自体の価値は通常の株式と変わらないものです。

    黄金株は2006年の会社法の改正で種類株式が導入された際に発行できるようになったものであり、その歴史はまだまだ浅いものです。

    詳細は後述しますが、黄金株は事業承継やM&Aにおいて使われるものであり、使い方次第では有益な効果を発揮します。

    黄金株以外の種類株式

    黄金株は種類株式の一つであり、黄金株以外にも種類株式が存在しています。

    種類株式は全てで9つあります。

    それぞれ独立しているものではなく、一つの株式にそれぞれの株式の規定を複数付加することも可能です。

    ここでは9つの株式をそれぞれ簡単に紹介していきます。

    それぞれの種類株式は以下の通りです。

    • 剰余金の配当規定

    剰余金の配当に関する優劣が定められている株式です。

    優先株式は配当が有利な地位にあると認知されているものを指し、地位が一般的なものであれば普通株式、地位が劣っているものであれば劣後株式と呼称されます。

    • 残余財産の分配規定

    残余財産の分配に関する優劣が定められている株式です。

    こちらも優先株式や劣後株式と呼称されるため、①と混同しないように注意しておきましょう。

    • 議決権制限規定

    その名の通り株主総会での議決権が制限されている株式です。

    中には無議決権株式もあり、これを持っている株主は株主総会での発言権を持つことはできなくなります。

    ただ、種類株主総会では議決権が行使されると解釈されることが多いです。

    一般的には優先株式が買収防衛策のために議決権制限規定を設けられていることが多いです。

    議決権制限規定は株式公開会社であれば発行されている株式総数の2分の1以下に留めておかなければならないことになっていますが、株式非公開会社であればその制限はありません。

    • 譲渡制限規定

    譲渡制限規定は譲渡制限株式とも呼ばれるものであり、文字通り他者への譲渡が制限されているものです。

    譲渡制限規定が付加されている株式は会社の承認を得なければ譲渡できなことになっています。

    • 取得請求権規定

    通常の株式にもある取得請求権を持っている株式ですが、取得の対価に他の種類株式を設定できるという点が最大の特徴です。

    過去に存在した転換予約券付株式や償還株式はこの一種だいえるでしょう。

    • 取得条項規定

    こちらも取得請求権規定同様、取得の対価に他の種類株式を設定できるものです。

    ただ取得請求権を行使するのが株式であるのに対し、取得条項規定は会社が取得を行うことを前提にしている点が異なります。

    • 全部取得条項規定

    全部取得条項規定はその会社の全てを取得できるように規定されている株式を指します。

    • 拒否権規定

    株主総会の決議に対し拒否権が規定されている株式です。

    黄金株はこれに該当します。

    • 役員選任権規定

    種類株主総会において、取締役か監査役を選任できる株式です。

    ただし、委員会を設置している、あるいは株式公開をしている会社は発行することができません。

    黄金株の利用場面

    黄金株の利用場面は大きく分けて2つあります。

    それは「事業承継」と「買収防衛策」です。

    それぞれ全く違う場面ではありますが、黄金株を活用することで会社の存続に利する可能性があります。

    ①黄金株と事業承継

    事業承継における黄金株はある意味で「手綱」といえます。

    事業承継は株式を後継者に取得させることで経営権を譲渡するものですが、引退する経営者にとっていきなり後継者に会社の経営権を丸ごと渡すことは不安にも感じられるものです。

    知識やノウハウ、経験値が未熟な後継者が会社の全権を得ている場合、かじ取りを誤った際に軌道修正をすることが難しくなります。

    前任の経営者でも株式を全て後継者に取得させてしまった場合だと権限はなくなってしまいますし、たとえいくつかの株式を保有していたとしても、後継者がより多くの株式を持っていれば後継者の決定を覆すことはできなくなります。

    そんな時に役立つのが黄金株です。

    黄金株は株主総会の決定を覆せるだけの強力な拒否権が付加されているため、例えほとんどの株式を後継者に渡していたとしても、引退する経営者が黄金株を持っていれば、もし後継者が誤ったかじ取りをした際でも黄金株の拒否権を行使することでブレーキをかけることができます。

    その意味では黄金株を所有することは前任の経営者に会社の経営権をギリギリまで残しておくことだといえるでしょう。

    詳細は後述しますが、そもそも黄金株は事業承継を円滑化するために認可されたものであり、恐らく事業承継が黄金株を最も使う場面だといえます。

    一般的には後継者に株式の譲渡を行いながら、黄金株を発行して経営者が所有しておくという形式が取られます。

    この形式を生かし、後継者に経験を積ませる意味合いを含めて自主的な経営を行わせると同時に、万が一後継者が誤った判断をした際の予防線として黄金株を行使していくという事業承継が可能になります。

    ②黄金株と買収防衛策

    黄金株は買収防衛策でも活用できるものです。

    買収防衛策は主に敵対的買収を仕掛けられた際に行使する手段を指します。

    敵対的買収とは読んで字のごとく経営陣の合意を得ないまま行われる買収を指し、過去には村上ファンドやライブドアなどといった企業が行っていた事例があります。

    敵対的買収は株式をどんどん買収していくことで達成されるものであり、相手が高い資金力を持っている会社であれば一気に経営権を掌握されてしまう可能性があります。

    そういった事態に対して黄金株は有効的に働きます。

    さきほどもお伝えしたように黄金株は株主総会の決議を成立させない強力な拒否権を持っています。

    だから万が一敵対的買収によって相手が経営権を掌握するだけの株式を取得したとしても、黄金株さえ守り抜けば相手の会社が経営陣に取って代わるという株主総会の決定を拒否することが可能となります。

    ただ、敵対的買収はそもそも日本のM&A、とりわけ中小企業でのM&Aではあまり発生しないものです。

    過去には確かに敵対的買収が集中的に発生した事例はありますが、敵対的買収は買収する側にとっては情報が得られるうえに買収防衛策で買収が難航することもあるため、積極的に行われること自体少ないものです。

    その点を踏まえると、事業承継と比べて買収防衛策として黄金株を使うケースは少ないといえるでしょう。

    黄金株のメリット

    黄金株は事業承継・買収防衛策それぞれの場面で使用する場合においても、やはりその拒否権の強さがメリットだといえるでしょう。

    通常株主総会の決議は覆すことは簡単ではありません。

    経営者の意向に沿わない株主が一定以上の株式を保有していれば経営権に影響を及ぼしてきますし、譲渡制限がかかっていない通常株式は売買しやすいものであるため、万が一その株主が他の株主の株式を取得しはじめれば経営権を逆転される可能性すらあります。

    しかし、黄金株を経営者が保有しておけば株主総会の決議を成立させない強力な拒否権が手に入るため、取得された株式に数に関わりなく経営権を防護する橋頭保を得ることが可能になります。

    そのため敵対的買収のような経営者にとって喜ばしくない状況でも抵抗力を得ることが可能になりますし、事業承継の場面であれば後継者が前任の経営者の意向を無視するような事態になった際にもブレーキとして機能させることができます。

    これだけでなく、黄金株は事業承継を円滑に進めるうえでも役に立つものです。

    さきほどもお伝えしたように、黄金株は後継者に株式の取得を進行させながら、経営者は黄金株を保有することで会社の手綱をしっかり握っておくことが可能になります。

    そもそも事業承継は一定以上の期間を要するものです。

    後継者の選定や育成、株式の移譲やその他の手続き全般を含めると、会社によってはトータルで10年もかかるケースがあります。

    中でも相続税対策や後継者に株式を買収できるだけの資金力がない場合に採択される株式の移譲の方法の一つである生前贈与はとりわけ時間がかかるものです。

    もし事業承継で時間がかかることが見込まれた場合、黄金株は経営者が長い時間をかけて後継者に経営権を掌握させつつ、会社のブレーキ役として一定以上の発言権を保持するうえで有効的なものになるといえます。

    黄金株のデメリット

    黄金株のデメリットは大きく分けて2つあります。

    そしていずれのデメリットも黄金株が持つ強力な拒否権に根付いたものだといえます。

    その意味では黄金株は会社にとって諸刃の剣になってしまうことを十分に理解しておいた方がいいでしょう。

    黄金株のデメリットはそれぞれ以下の通りです。

    ①黄金株の注意点

    黄金株のデメリットというより、一番避けなければならない事態が「不都合な相手に黄金株が譲渡されてしまう」です。

    黄金株は強力な拒否権を持つため、不都合な相手に渡ってしまうようなことになれば大変なことになります。

    もし敵対的買収をしかけている会社に黄金株が渡ってしまうような事態になれば実質的に経営権の掌握を止められなくなってしまいますし、事業承継でも経営者や後継者にとって不都合な株主に黄金株が渡るような事態になれば事業承継が滞ってしまうだけでなく、経営者や後継者が構築した体制自体が脅かされるようなことになってしまいます。

    ただ、通常黄金株を発行する際にはそういった事態を避けるために、黄金株を譲渡制限株式として発行するのが通例ですので、簡単に譲渡されないように設定されているケースがほとんどです。

    また黄金株に付加する拒否権の規定を細かく設定しておくことで、経営者や後継者の経営権や発言権を脅かさないようにしておくことも有効駅な手段です。

    ただ、気を付けてほしいのがこういった手段を行使しても不都合な相手に黄金株が渡ってしまう可能性がある場面が存在することです。

    それは相続です。

    もし不都合な相手が親族であり、相続で事業承継を完了させる事態になった際、その分配の過程で黄金株が渡ってしまう可能性は否めません。

    とりわけ相続による事業承継は遺留分減殺請求などが発生することもあるため、前任の経営者が遺言を残していても、相続の全てをコントロールすることは難しいものです。

    だから相続での黄金株が不都合な相手に渡らないように、経営者が亡くなった際に黄金株を会社が取得できるように取得条項付株式として規定しておくことがおすすめです。

    ②黄金株の乱用

    黄金株のもう一つのデメリットが「乱用は危険」だということです。

    黄金株の強力な拒否権は経営者の発言権を守るものではありますが、裏を返せば円滑な経営を妨害し得るものともいえます。

    もし前任の経営者が誤った判断で黄金株を行使するようなことになれば、正しい経営や判断をしている後継者や株主にとっては邪魔でしかないでしょう。

    また前任の経営者が黄金株を有していることで後継者や従業員に「全権をまだ前任の経営者」というネガティブなイメージを持たれることになれば、会社の雰囲気の悪化や経営者の信頼を失うだけでなく、最悪事業承継自体に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

    その意味でも黄金株はあくまで万が一の手段に留め、乱用を避けることがおすすめです。

    また、将来的に上場を考えているような場合、黄金株の発行は避けた方がいいでしょう。

    上場している会社は株主の意向をある程度重視しなければならず、株式の立場からしても株主総会の決議を覆すことができる黄金株は疎ましいものだといえます。

    実際上場している会社で黄金株を発行している会社はごく少数であり、黄金株を発行していないこと自体がスタンダートだといえます。

    東京証券取引所も黄金株の発行を控える見解を示しているため、上場を見越して経営を進めていくなら黄金株の発行は選択肢に含めない方がいいでしょう。

    その点を踏まえると、黄金株は上場を想定していない中小企業が活用しやすいものだといえます。

    まとめ

    今回の記事をまとめると以下のようになります。

    • 黄金株は所有しているだけで株主総会の決議を覆せる強力な拒否権を有している株式。
    • 黄金株を含め、種類株式は全てで9つある。
    • 種類株式の規定は一つの株式に複数付加することができる。
    • 黄金株は事業承継・買収防衛策として使える。
    • 黄金株のメリットはその拒否権を生かして後継者の手綱として機能させたり、敵対的買収に対して会社の経営権を守る際に使用される。
    • 黄金株のデメリットは不都合な相手に譲渡されてしまう可能性がある点と乱用すると危険であるという点。
    • 上場企業では黄金株を発行しないことがむしろスタンダートであり、黄金株はどちらかというと上場を想定してない中小企業で活用できる手段だといえます。

    株主総会の決定を覆せる黄金株は使い方によっては会社の事業承継を円滑に進め、他の会社の敵対的買収から経営権を守るための有効的な手段となり得るものです。

    株主に会社の意向と対立する人がいたり、敵対的買収を仕掛けてきそうな会社がいた場合には黄金株を発行しておけば、経営者の方も安心できるでしょう。

    しかし黄金株はその強力な拒否権ゆえに、かえって会社の信頼を失い、悪影響を及ぼすリスクを孕んでいるものです。

    乱用すれば事業承継が成立しなくなる可能性もありますし、万が一不都合な相手の手に渡る事態になれば会社の経営権が脅かされてしまうことになるでしょう。

    だから黄金株を発行する場合はその影響力を大きさを鑑み、冷静に扱うことが肝要だといえます。



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