2023年8月6日更新業種別M&A

LPガスの買収・M&Aに積極的な企業一覧7選!動向やメリットから課題も紹介!

本記事では、LPガス業界の動向から積極的に買収を行う企業を紹介します。現在、需要の減少・市場規模の縮小・エネルギー間での競争激化・人材不足などの問題を抱えるLPガス業界では、企業買収による業界再編が進んでいます。LPガスのM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. LPガス業界とは
  2. LPガス業界で買収・M&Aが進む3つの理由
  3. LPガスの買収・M&Aに積極的な企業一覧7選
  4. LPガス会社を買収・M&Aする3つのメリットと目的
  5. LPガス会社を買収・M&Aする3つのデメリット
  6. LPガス会社の買収・M&Aの相談先
  7. LPガスの買収・M&Aのまとめ
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ガスのM&A・事業承継

LPガス業界とは

LPガス業界は、LPガスの元売・卸売・小売の3種類の事業者から成り立っています。日本で消費しているLPガスのうち約75%は、アメリカや中東など海外からの輸入品であり、残りの約25%は国内で生産されています。

元売業者のもとで輸入もしくは生産されたLPガスは、卸売業者により家庭用のガスボンベ・タンクローリーなどに詰め替えられ、小売業者に販売されます。家庭用のLPガスは小売業者から消費者に、工業用のLPガスは卸売業者から直接消費者に販売されるケースが多いです。

LPガスの小売業者は全国に1万8,000以上もありますが、人口減少および2017年に開始された都市ガスの完全自由化などによりLPガスの消費量が減少しているため、小売業者間での競争やエネルギー事業者間での競争が激化しています。

LPガス業界の特徴

電力業界と同様、ガス業界は1社が独占している他業界とは違い、特有の性質を持つ業界です。電力は各家庭や企業には必須エネルギーである一方で、ガスはオール電化住宅の増加によって必須のライフラインではなくなってきています。

また、電力および都市ガスの完全自由化の影響を受けて、電力業界の大手企業とガス業界の大手企業の間では、お互いに顧客を奪い合う競合関係が生じており、構造転換が起きています。

LPガス業界の課題・展望

LPガス流通業界の現状

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/carbon_neutral_car/pdf/002_06_00.pdf

LPガス業界が抱える主な課題としては、LPガスの需要減少・市場縮小、エネルギー間での競争激化、人材不足、LPガスの安定供給などが挙げられます。

2017年の都市ガス完全自由化などにより、今後ますます都市ガス利用可能エリアは拡大していくことは確実で、高価なLPガスから安価な都市ガスへの切替えが増えるなど、需要の減少が予想されます。

また、都市ガスやオール電化とのエネルギー間競争は激化している一方で、重労働のLPガス運搬などの仕事は人気がなく、人材不足が大きな問題です。

ただし、LPガスの安定供給は、環太平洋地域でのLPガスの増産体制が整えられ、将来的にはより安定したLPガスの供給体制が確立されると見込まれています。

さらに、スマートエネルギーや再生可能エネルギー(太陽光・風力・波力・潮力・流水・地熱・バイオマスなど、自然の力で定常的に補充されるエネルギー資源より導かれ発電されるもの)が世界的に普及する中で、ガス業界ではこれらの新たな市場における関わり方に課題を抱えています。

スマートエネルギーとは、出力に変動がある持続可能エネルギー資源を柔軟性の高いエネルギー・システムを通じて需要供給に答えることです。

現在は多くの原子力発電所が操業停止に追い込まれており、ガス業界に追い風が吹いている状況であるものの、課題を解決するにはガス業界の自助努力だけでなく、国内のエネルギー政策・環境問題を含めアジアなど海外とのネットワーク構築により地球規模で考える俯瞰的な視点が求められています。

LPガス業界で買収・M&Aが進む3つの理由

エネルギー間での競争の激化・都市ガスの完全自由化などによるLPガス市場の縮小など、LPガス業界ではさまざまな問題を抱えており、それらを解決するために買収M&Aが積極的に行われています。

実際に、伊藤忠エネクスホームライフ関西と大阪ガスLPGの合併や、昭和シェル石油・コスモ石油・住友商事・東燃ゼネラル石油のそれぞれのLPガス事業の統合など、大手企業の間での業界再編が進んでいる状況です。

また、家庭用に電気とガスを合わせて販売することを目的に電力会社によるガス会社の買収なども見られます。本章では、LPガス業界で買収・M&Aが進む理由を詳しく解説します。動画でも解説しておりますので、併せてご覧ください。

  1. 業界全体の高齢化が深刻なため
  2. 経営者の後継者探しに難航しているため
  3. 市場規模の縮小化が進んでいるため

LPガス業界のM&Aについては、下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】LPガス業界はM&Aで生き残りを目指す!動向・手法・事例を解説!

①業界全体の高齢化が深刻なため

近年、LPガス販売業者の経営者だけでなく、従業員の高齢化も進んでいます。高齢を理由に経営を継続できなくなった卸売会社や小売会社では、事業や会社を残すために売却やM&Aを実施するケースが増えている状況です。

②経営者の後継者探しに難航しているため

LPガス業界で後継者探しが難航する理由の1つに、LPガス業界の人気の低さが挙げられます。重労働で低賃金なため、若い労働者からの人気がなく、多くの事業者が後継者となる若く優秀な人材の育成を行えない状況にあります。

そのため、後継者のいない卸売業者や小売業者では、売却やM&Aが頻繁に実施されており、業界再編が進んでいる状況です。

③市場規模の縮小化が進んでいるため

LPガスの市場規模は縮小傾向にあり、特にLPガスの需要の約43%を占める一般家庭用のLPガスの販売業者の市場縮小が深刻です。家庭用LPガスの市場規模の要因として、都市ガスの普及・ガスの自由化・オール電化住宅の増加などが挙げられます。

経営が厳しくなった小売業者などでは、従業員の保護・事業の継続などを目的に、売却・M&Aなどを実施しています。

LPガスの買収・M&Aに積極的な企業一覧7選

市場規模の縮小に備えて、経営基盤を強化のための業界再編が進んでいるLPガス業界では、大手の事業者を中心に積極的に買収やM&Aが行われています。この傾向はLPガス業界内のみに留まらず、エアゾールや太陽光発電・不動産などの他業種にも広がっている状況です。

本章では、LPガス業界内外で積極的に買収を行っている下記の7社と買収事例を紹介します。

  1. 静岡ガス
  2. 日本瓦斯
  3. 東邦ガス
  4. 伊藤忠エネクス
  5. カメイ
  6. 西部ガス
  7. TOKAIホールディングス

①静岡ガス

静岡ガスは、LPガスの販売・発電および電力の販売、リフォーム・ガス機器の販売、ガス工事など、静岡を中心にガス関連の事業を幅広く展開している企業です。

静岡ガスでは、電気・ガスの完全自由化・少子高齢化・生産拠点の再編などによるLPガス業界の競争激化に備えて、積極的に買収やM&Aを行っています。

2013年には御殿場ガスを、2018年には島田瓦斯を、そして2019年には中遠ガスを買収しています。

中遠ガスの買収

静岡ガスは2019年2月、連結子会社であった中遠ガスの買収を行い、完全子会社化しました。中遠ガスは、掛川市を中心にLPガスの販売やガス機器の販売などを行う、地域に根差したガス会社です。

買収により完全子会社とすることで、中遠ガスの主戦場である掛川地域での事業の展開に力を入れ、両社のシナジー効果による事業の拡大を目指しています。

また、中遠ガスとしても、大企業である静岡ガスによる買収で、経営基盤を強化できるうえに、静岡ガスのノウハウを生かした事業展開が可能です。

簡易株式交換による連結子会社(中遠ガス株式会社)の完全子会社化に関するお知らせ

島田瓦斯の買収

2018年3月、静岡県の大手ガス会社「静岡ガス」が、同じく静岡県の「島田瓦斯」というガス会社の株式の過半数(55.8%)を取得しました。これにより、島田瓦斯は静岡ガスの子会社になりました。

島田瓦斯は、1957年に設立された古くからの会社で、静岡県島田市を中心にガスを供給してきました。最近では、静岡ガスからもガスを受け取っています。

静岡ガスの狙いは、島田瓦斯のネットワークを使って、家のリフォームや電気の販売を増やすことです。さらに、島田瓦斯の地域での信頼と、静岡ガスの技術と提案の力を組み合わせることで、もっと多くの家庭で天然ガスを使ってもらいたいと考えています

島田瓦斯株式会社の株式取得に関するお知らせ

②日本瓦斯

日本瓦斯は、関東全域・静岡・山梨・福島に展開しており、ニチガスとして親しまれているLPガス事業者です。家庭用や工業用のLPガスやガス機器の販売・リフォーム事業などを展開しています。

アメリカやオーストラリアのエネルギー関連事業に出資や資本参加を行うなど、海外のエネルギー事業へも積極的に参入し、事業の拡大を続けています。

日本では、地域に根差したガス事業を展開している連結子会社の買収を積極的に行うことで、販売エリアの拡大と経営基盤の強化を実行しています。

東彩ガス・東日本ガス・新日本瓦斯・北日本ガスの買収

日本瓦斯は、2013年12月に、連結子会社であった東彩ガス・東日本ガス・新日本瓦斯(現:新日本ガス)・北日本ガスの4社を買収し、完全子会社化しました。東彩ガスと新日本瓦斯は埼玉県、東日本ガスは千葉県、北日本ガスは栃木県を中心にLPガスの販売を行っています。

本件M&Aは、LPガスの販売エリア拡大と事業基盤の強化を行い、競争が激化するLPガス業界で生き残ることを目的とした買収でした。

沿革|企業情報

③東邦ガス

東邦ガスは、名古屋市に本社を構えるLPガスなどのエネルギー事業やリフォーム事業などを営む会社です。愛知県・三重県・岐阜県などを中心に広いエリアでガス事業を展開しています。

電気の完全自由化を受けて、2016年には小売電気事業にも参入するなど、LPガスの市場縮小に備えた事業計画を進めています。

また、主要事業であるLPガスや都市ガスの強化のために、関連事業者を積極的に買収し事業拡大を実行しています。

ヤマサの買収

2018年12月、東邦ガスは、ヤマサとヤマサの子会社7社(ヤマサ總業・ヤマサ共和ライフ・リピックス・ヤマサリビング・マサハイエース・ヤマサユーランド・ヤマサ総合サービス)を株式譲渡により買収し、完全子会社化しました。

ヤマサグループは、名古屋市を中心にLPガスなどのエネルギー事業やリフォーム事業などを展開している会社です。

同地域で同様の事業を展開しているヤマサグループの買収を実行したことで、相乗効果による将来的な会社の成長更なる地域の発展への貢献を期待しています。

株式会社ヤマサの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

④伊藤忠エネクス

伊藤忠エネクスは、ガス・石油・電気などのエネルギー事業を展開する伊藤忠商事の子会社です。関東や関西、中部地域でのLPガスの卸売、小売事業の強化のため、大阪ガスとの合弁会社エネアークを設立するなど、積極的に業界再編に取組んでいます。

また、電力小売事業への参入や工場向けの電熱供給事業への参入、熱供給事業への参入など、M&Aによる事業の拡大を進めています。他業種の企業買収なども積極的に行っており、伊藤忠エネクスのノウハウを活用した事業展開を行っています。

大阪カーライフグループの買収

伊藤忠エネクスは、2014年5月に大阪カーライフグループの株式51.95%を取得・買収し子会社化しました。大阪カーライフグループは、全国最大規模の日産自動車系カーディーラーである日産大阪を保有しています。

この買収により、伊藤忠エネクスのカーライフ部門で行っている、ガソリン・灯油・軽油などの販売を強化し、カーライフに関わる総合的な事業の展開を目指しています。

大阪カーライフグループ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

⑤カメイ

カメイは、仙台市に本店を構えるLPガスや石油などのエネルギー事業やカーライフ事業を展開する会社です。

LPガスの小売事業を行う最上ガスや、介護事業を展開するオアシーズ、調剤薬局を営むエムシーエスエイやエム・ファーマシーなど、業界内外で買収を積極的に行い、事業拡大を続けています。

最上ガスの買収

2019年1月、カメイは、山形県でLPガスの小売事業を展開する最上ガスの全株式を取得し、完全子会社化しました。山形県でのLPガス販売エリア拡大・強化および、家庭用のLPガス販売事業の強化を図ることを目的としています。

最上ガスは従業員数11人・資本金1000万円・売上130百万円のLPガス小売業者ですが、山形県新庄市を中心にLPガス事業を展開し、地域住民からの安心と信頼がある地域に根差した会社です。

東北一のガスエネルギー事業部を有するカメイによる買収で、カメイの持つ独自のノウハウとのシナジー効果を期待し、経営基盤の強化を図り安定した経営を目指しています。

最上ガス株式会社の株式取得に関するお知らせ

⑥西部ガス

西部ガスは、福岡市に本社を置く、LPガスやガス機器の販売などを行っている会社です。福岡・長崎・熊本を中心にガスを供給しています。

これまでに西部ガスは、LPガスの事業強化のために、久留米ガスや大牟田ガスの株式を取得してきました。

ガス事業以外でも、不動産会社・建築会社・調理職人要請学校などさまざまな業界で買収やM&Aを積極的に行い、事業の拡大を続けています。

他業種の買収により、現在では、ガスエネルギー事業以外の分野での売上げ比率が約半分に高まっています。

古川工務店の買収

現在、西部ガスが特に力を入れているのは、不動産事業の規模の拡大です。2019年2月には、福岡県の都市部でマンション・福祉施設・事務所などの施工を行っている吉川工務店を買収しました。

吉川工務店は、高い施工能力を持つ総合建設業が特徴の地域に根差した優良企業です。この買収により、西部ガスは、不動産事業の強化を図り、今後は賃貸マンション・ホテル・温浴施設の施工などの建築事業・不動産事業を拡大していく予定です。

株式会社吉川工務店、吉祥開発株式会社の 株式取得について

⑦TOKAIホールディングス

TOKAIホールディングスは、LPガスなどのエネルギー事業をはじめ、住宅関連事業・情報通信事業など多角的な経営を行っている会社です。

静岡県に本社を構え、東海エリアを中心にエネルギー事業を展開していますが、LPガスの小売事業に関しては東海エリアだけではなく中国地方や九州地方にまで進出しています。

TOKAIグループとして、岡山県の情報通信事業者や岐阜県の建築事業者など、さまざまな事業者の買収を積極的に実施し、継続的な事業の拡大を進めています。

秋田県にかほ市のガス事業の買収

2019年5月、TOKAIホールディングスの100%子会社で都市ガスやLPガス事業を行っている東海ガスは、秋田県にかほ市が運営するガス事業を譲受け、にかほガスを設立し完全子会社化しました。

これにより、販売エリアの拡大を図り、秋田県でのLPガスや都市ガス事業への参入を果たしています。

これまでに東海ガスは、群馬県下仁田町が運営するガス事業者を譲り受けるなど、積極的に公共のガス事業を譲受し、全国にエネルギー事業網を展開しています。

にかほ市ガス事業譲受 認可取得について

ベトナムLPガス販売事業者の買収

2020年7月、株式会社TOKAIホールディングスの子会社「株式会社TOKAI」が、ベトナムの2つのガス会社、MIEN TRUNG GAS JOINT STOCK COMPANYとV-GAS PETROLEUM CORPORATIONの株式を、それぞれ45%ずつ買い取ることを決定しました。

これらのベトナムのガス会社は、ベトナムの大手ガス販売企業「PETRO CENTER CORPORATION」の子会社です。この取引により、株式会社TOKAIホールディングスはベトナムのガス市場へ進出し、ガス事業の売上をさらに増やし、利益を上げることを目指しています。

LPガス事業のベトナム市場参入について

LPガス会社を買収・M&Aする3つのメリットと目的

ガスのM&A・事業承継
ガスのM&A・事業承継

近年、LPガス業界では、販路の拡大・コストの削減を目的としたLPガス会社同士での買収・M&Aや業界内での合併による組織改編などが積極的に行われています。

特に、都市ガスの完全自由化・オール電化住宅の増加などによる市場規模縮小の影響を受ける小売業者では、経営を安定させるための有効な手段として買収やM&Aを利用しています。本章では、LPガス会社を買収するメリットと目的を詳しく解説します。

  1. 増販が行える
  2. スケールメリットを生かせる
  3. 事業エリアを拡大できる

①増販が行える

LPガス業界内で買収を実施すれば、単純にLPガスの販売契約数が増えるため、より多くのLPガスを販売することが可能です。また、例えば、家庭用のLPガスを販売する小売業者間の買収では、経営・経理・総務のような管理部門の業務を一本化でき、コストの削減を行えます。

さらに、契約数の増加による増販で、売上と利益の増加を期待できます。買収により経営基盤を強化することで、市場縮小の中でも安定した事業を行えるようになります。

②スケールメリットを生かせる

LPガス事業者間での買収では、LPガスの取扱量が増加するため、スケールメリットによるコストの削減が可能です。

特にLPガスの輸入や生産を行う元売業者では、LPガスの保管基地・輸入船など、大型の設備を保有しているケースが多く、管理費・整備費・燃料費など非常に高額なコストがかかっています。

買収後には、基地の相互利用や輸入船の共同運航などによるスケールメリットの活用により、コストの大幅な削減を行えて、経営基盤の安定化を図れます。

③事業エリアを拡大できる

事業エリアの拡大も、LPガス業者間での買収やM&Aで得られる大きなメリットの1つです。買収以前には販売エリアではなかった地域の事業者を買収することで、事業エリアを拡大できます。

買収を行わず独自に新規エリアを開拓するには、地域の住宅事業や都市ガス普及率などの情報が必要となるうえに、LPガスの需要が減る中で契約を取るには大きな労力・コストが必要です。

一方で、地域性を十分に理解し、多くの契約を持っているLPガス小売業者を買収すれば、その会社が持つノウハウを生かしつつ、事業エリアを拡大できます。

実際にLPガスの小売事業者の中には、社歴が長く地域に根差した経営を継続している優良な企業が数多くあり、M&Aの相手として高い評価を得ています。

LPガス会社を買収・M&Aする3つのデメリット

LPガス会社の買収には販売エリアの拡大など、さまざまなメリットがあることを解説してきましたが、下記のようなデメリットがあることも忘れてはいけません。

  1. 顧客離れが増える可能性がある
  2. 担保価値が低い
  3. 追加の投資が必要になる可能性がある

本章では、それぞれのデメリットの詳細を解説します。デメリットを理解し、大きなリスクを回避することが買収成功の大きなポイントです。

①顧客離れが増える可能性がある

LPガス業者買収のデメリットの1つに、買収後の顧客離れによる収益性の低下が挙げられます。家庭用のLPガスは、都市ガスと比べてガス料金が高いため、多くの既存顧客には「LPガスから安価な都市ガスやオール電化に切り替えたい」といった潜在的なニーズがあるのです。

そのため、買収による体制の変更・料金の変更・サービス内容の変更などがあれば、顧客離れが進む可能性があり注意が必要です。

②担保価値が低い

LPガス工場などの買収には多額の資金が必要になる一方で、不動産としての担保価値が低いため、資金リスクが高いこともLPガス業者買収のデメリットの1つです。担保価値が低い主な理由としては、土壌汚染の可能性などが考えられます。

例えば、豊洲にある東京ガスの都市ガス製造工場跡地では、ベンゼンなどによる深刻な土壌汚染が大きな問題となりました。万が一LPガス工場の跡地に土壌汚染が発見されれば、土壌の除染には多額の費用がかかることから地価が路線価よりも大幅に低くなるために、担保価値が低くなると考えられます。

③追加の投資が必要になる可能性がある

買収される会社の中には、設備管理や設備投資に資金を費やせないようなLPガス業者もあります。ずさんな設備管理によるガス設備の劣化や設備の老朽化などの問題を抱えている場合は、買収後に多額の設備投資費用が必要となる可能性もあるため、設備投資用の資金計画を立てたうえで買収しなければなりません。

また、設備を健全化するために、予想以上の資金が必要となる可能性もあるため、設備面を買収前に十分に確認しておくことが重要です。

LPガス会社の買収・M&Aの相談先

LPガス会社の買収には、販売エリアの拡大やスケールメリットなどさまざまなメリットがある一方で、買収による顧客離れ・高い資金リスクなどのデメリットには要注意です。リスクを避けて、円滑なLPガス会社の買収・M&Aを実施するには、専門家のサポートを得ることがおすすめです。

M&A総合研究所には、M&Aの豊富な経験と知識を有するM&Aアドバイザーが多数在籍しており、理想のLPガス買収・M&A成約を目指し徹底的にサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

相談料も無料なので、LPガス会社の買収をお考えなら、お気軽にご相談ください。

LPガス会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

LPガスの買収・M&Aのまとめ

本記事では、LPガス会社の買収を解説してきました。多くの会社が積極的にLPガス会社の買収を実施しており、今後もLPガス業界での買収・M&Aは増えていくことが予想されます。

LPガス会社の買収にはさまざまなメリットもありますが、深刻な問題を引き起こすようなデメリットもあるので、専門家に相談して慎重に進めていくようにしましょう。

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