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2022年10月14日更新会社・事業を売る
フリーキャッシュフローとは?意味、重要性、算出方法、分析例をわかりやすく解説
フリーキャッシュフローを把握すると、企業の価値を左右する財務状況がわかり、将来的な成長見とおしを立てられます。本記事では、フリーキャッシュフローの意味や重要性、算出方法、分析例などについてわかりやすく解説するので参考にしてください。
フリーキャッシュフローとは
まずは、フリーキャッシュフローの意味や重要性について解説します。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは、会社が生み出した利益の中で資金提供者に自由に分配できる利益をさし、「会社が自由に使用できる資金」というとわかりやすいでしょう。
フリーキャッシュフローは直接的な売上高に関連する指数として考えられることもありますが、フリーキャッシュフローは売上高そのものではありません。
しかし、フリーキャッシュフローは会社に残しておける資金なので、フリーキャッシュフローがプラスとなっている会社は、基本的に、財務体質は良い会社といえます。
フリーキャッシュフローの重要性
フリーキャッシュフローを多く生み出せる会社は、単純に考えると資金に余裕がある会社といえるので、安定度の高い事業活動を行っていると分析できます。不測の事態が発生してもそれに対応できる体力があるでしょう。
一方で、フリーキャッシュフローを生み出せない、またはマイナスとなっている会社は余裕資金がないため資金繰りがうまくいきません。また、思うように投資できず事業の安定化や拡大を行うことが難しくなります。
フリーキャッシュフローには経営状態が顕著に表れるため、できるだけ多くのフリーキャッシュフローを生み出している状態が理想であり、少なくともプラスになっていることが望ましいです。
フリーキャッシュフローの最大化
昨今の経済は急に変わるため、いざというときは手元資金があると心強いです。フリーキャッシュフローのプラスが大きければ、そのぶん手元資金を大きくできる可能性が高くなり、安定度のある会社とみられるでしょう。
事業活動の目標は、フリーキャッシュフローの最大化ともいわれるほど、事業活動の分析では基本の指標になります。
キャッシュフローの三大要素
フリーキャッシュフローの算出・分析をするうえで、まずはキャッシュフローの基本を知らなくてはなりません。キャッシュフローは、以下3つの要素で構成されます。
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
①営業キャッシュフロー
会社を経営するためには、それぞれの分野に特化した商品やサービスが必要です。営業キャッシュフローは、会社が提供する商品やサービスによっていくら儲けているかを表し、売上などのプラス金額から税金や仕入れなどのマイナス金額を引いた指数です。
通常の事業活動における指数であるため、営業キャッシュフローはプラスになっていることが望ましく、マイナスになっている会社は業績が良くないでしょう。
②投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローとは、会社が行った投資によってどのくらい資金の増減が発生しているかを表します。投資の対象となるのは有形の固定資産と無形の固定資産であり、通常は設備投資を行いながら事業を行っていきます。
投資を行ったことによる効果はすぐに反映されないため、基本的に投資キャッシュフローはマイナスとなるでしょう。しかし、過去に設備投資していたものを売却した場合はその分投資キャッシュフローをプラスにできます。
③財務キャッシュフロー
資金繰りや設備投資のために金融機関から借入して資金調達を行う会社もありますが、それを返済することで資金は減少します。また、増資を行うことで資金調達できますし、株主へ配当金を支払えば資金は減少するでしょう。
このように、営業活動を行っていくうえで必要となる資金調達やその支払いの増減を表すのが財務キャッシュフローです。
フリーキャッシュフローの算出方法
フリーキャッシュフローの算出は、営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを足すことで求められます。たとえば、営業キャッシュフローがプラス100、投資キャッシュフローがマイナス50である場合、フリーキャッシュフローはプラス50です。
冒頭でもお伝えしましたが、フリーキャッシュフローはプラスであることが望ましいため、この例の会社は自由に使用できる資金に余裕があることから業績が良い会社といえます。この会社の投資キャッシュフローがマイナス150である場合は、余裕資金がなく財務体質に問題がある会社でしょう。
財務キャッシュフローは分析の際に活用
フリーキャッシュフローはプラスになっていることで、単純に業績が良い会社といえます。しかし、ケースによってはフリーキャッシュフローが良いからといって必ずしも業績が良いとはいえません。
そのため、フリーキャッシュフローと財務キャッシュフローから対象会社を分析する必要があります。財務キャッシュフローも用いて分析することで、フリーキャッシュフローだけではわからない会社の状況を予想できるのです。
フリーキャッシュフローの分析ケーススタディ
この章では、フリーキャッシュフローの分析について、ケーススタディをとおして解説していきます。
業績好調である一般的な状態
まずは業績が良好なケースを見ていきましょう。業績が良好な会社は、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスであることが多く、投資キャッシュフローが適度にマイナスです。これにより、通常の営業活動でしっかりと利益を確保していることが見えます。
営業活動に必要な投資も適度に行っており、借入による資金調達をしていても返済が財務を圧迫していないことが予想できます。経営においては、このケースが理想的な形といえるでしょう。
キャッシュフローがひっ迫している状態
次に、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがマイナスで、投資キャッシュフローがプラスになっているケースを分析してみます。このケースでは、営業キャッシュフローがマイナスになっていることから、本来の営業活動において思うように利益を得られていないことがわかります。
投資キャッシュフローがマイナスではなくプラスになっていることから、投資をしたのではなく反対に設備などを売却したのでは、という予想もできるでしょう。設備などを売却したことで現金が得られ、それに伴って財務キャッシュフローがプラスになっているとも予想できます。
営業キャッシュフローがマイナスになっていることからも業績は良くないと予想できますが、設備などの資産を売却しなければならないほど財務状況が悪い会社の可能性があるのです。
数値で例を挙げると下記になります。
- 営業キャッシュフローはマイナス50
- 投資キャッシュフローはプラス90
- フリーキャッシュフローはマイナス50+プラス90=40
過大投資を実施している状態
次に、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスであり、投資キャッシュフローが大幅にマイナスになっているケースを分析してみます。このケースでは、一見すると理想的なフリーキャッシュフローの形と思うでしょう。
しかし、投資キャッシュフローが大幅にマイナスになっていることは、会社の規模に対して大きすぎる投資を行った可能性があるのです。このケースでは、プラスになっている財務キャッシュフローの数値も大きいことがあります。
財務キャッシュフローも大幅にプラスになっている場合、大きすぎる投資を行うために高額な借入を行ったと予想できます。つまり、大きな投資を行った効果を注意深く見ていかなくてはならない会社であり、結果次第では今後の営業キャッシュフローや財務キャッシュフローが悪化する可能性があるでしょう。
数値で例を挙げると下記です。
- 営業キャッシュフローはプラス70
- 投資キャッシュフローはマイナス150
- フリーキャッシュフローはプラス70+マイナス150=マイナス80
- 財務キャッシュフローはプラス100
長期的成長が見込みにくい状態
最後に、営業キャッシュフローはプラスであり、投資キャッシュフローがゼロ、財務キャッシュフローが大幅にマイナスとなっているケースを分析します。このケースでは、通常の営業活動では利益を得られているが、適切な投資ができていないと判断できます。
また、財務キャッシュフローが大幅なマイナスになっていることで、借入による返済が財務を圧迫していると予想できるでしょう。今後も投資を行うのが難しく、会社としての成長性は低いといえます。
数値で例を挙げると下記です。
- 営業キャッシュフローはプラス60
- 投資キャッシュフローは0
- フリーキャッシュフローはプラス60+0=60
- 財務キャッシュフローはマイナス300
複数経年分の分析が望ましい
ここまで、いくつかのケースを挙げて分析してきましたが、実際に会社の分析を行う際は数年分で行うのが望ましいです。会社の業績は毎年変わり、大幅に改善することもあれば大幅に悪化することもあります。
そのため、1年だけのキャッシュフローで分析しても本来の姿を知るのは難しいです。できるだけ詳細に分析するためには、少なくとも3年分は分析しましょう。多くの年数を分析することで会社の安定性も把握できます。
フリーキャッシュフローのまとめ
フリーキャッシュフローは会社の財務状況を知るうえで重要な指数であり、基本的にはプラスであることが望ましいです。しかし、フリーキャッシュフローがプラスになっているからといって、必ずしも業績好調な会社であるとはいい切れません。
財務キャッシュフローを用いて、その会社の財務体質についてより詳細な分析をする必要があります。キャッシュフロー分析は、将来的な経営の見とおしを立てる際にも役立ちますので、経営者は算出方法や分析方法を把握しましょう。
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