2023年12月5日更新会社・事業を売る

M&Aにおけるブリッジローン(Bridging loan)とは?メリットやデメリット・活用法を紹介

ブリッジローンとは個人法人問わず緊急時の資金調達方法とされる特殊な融資です。限定的ながら便利さのあるブリッジローンには留意すべき点も多々あり安易な借入はリスクを伴います。ブリッジローンを有効活用するためにメリット、デメリットを知っておきましょう。

目次
  1. ブリッジローンは救世主?
  2. ブリッジローンの基礎知識
  3. ブリッジローンの具体的流れ
  4. ブリッジローンの具体的内容
  5. ブリッジローンのメリットとデメリット
  6. ブリッジローンの効果的な活用法
  7. M&Aにおけるブリッジローンまとめ

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ブリッジローンは救世主?

会社経営に必要な資金を誰もが持ちあわせているわけではありません。個人事業ならば自己資金のみで経営が成り立つ可能性もあります。しかし、法人を運営していくとなれば個人事業と比べ、はるかに莫大な資金が必要となるのが常です。

したがって、会社経営者は常時、資金調達に心を砕く必要が生じます。自己資金以外の資金調達方法として、一般的には銀行等の金融機関から融資を受けることが中心でしょう。しかし、銀行等からは中々簡単に借入ができません。

あるいは、銀行から借入できるとしても、審査を受け結果が出るまで一定の時間を要するものです。会社経営の局面では突如、急ぎで資金が必要になることもままあります。

そんな時、手元に資金が無いと、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまったり、また、最悪の場合、倒産危機に陥ってしまう可能性すらあります。そのような急ぎの状況で借入可能な融資が「ブリッジローン」です。

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ブリッジローンの基礎知識

資金調達に悩む会社経営者にとっては、まるで魔法の玉手箱のような響きのあるブリッジローンですが、果たしてその実態はどのような融資商品なのでしょうか。順次、ひも解いていきましょう。

⑴ブリッジローンとは

ブリッジローンとは、法人だけでなく個人向けも含め、通常の資金調達の入金タイミング前に資金ショートしてしまうような短期間に限定した融資のことです。

ブリッジとは日本語で橋のことであり、「次の融資までの橋渡し」という意味合いでブリッジローンと呼ばれています。また別名で「ブリッジファイナンス」とも言われますが、特に個人向けには「つなぎ融資」という表現が使われます。

ブリッジローンは短期間限定の特別融資という性格上、銀行等の一般的融資よりも金利や手数料が高く設定されているのが特徴です。融資する側としては短期間の貸付でそれなりの利益を取る必要がありますから、これは止むを得ないでしょう。

会社が借入を実施するブリッジローンの意図としては、大体、運転資金不足解消が主たるものです。しかし、それ以外でも、M&A実行にあたってブリッジローンを利用する場合があります。

M&Aをご検討中ブリッジローンが必要となりそう場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーがご相談からクロージングまでをフルサポートいたします。

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⑵ブリッジローンを利用する理由

通常融資よりも金利や手数料が高いブリッジローンを利用するのなら、銀行からの借入等通常の融資を利用すべきだと思われるかもしれません。しかし、緊急の資金調達を叶えてくれるのは、ほぼブリッジローンだけというのが現実なのです。

具体例をいくつか、様々な業種で考えてみましょう。例えば卸売業をしている会社のケースです。後日、入金される売掛金がいくら帳簿にあっても、現在、手元に現金があるわけではありません。

この状態で新規契約を結べたとしても、手元に現金が無いために在庫入手が不可能です。だからこそ、このような局面でブリッジローンを利用し、短期間限定で資金を借り、売掛金が入ったら返済をします。

次はゲームソフト会社の場合です。ゲームソフトは完成して発売や配信が開始されるまで一切、売上はありません。しかし、ゲームソフトが完成するまでは多くの人員と期間を要します。

その人件費を賄うために経営者は資金繰りをしていますが、ソフトウェアの開発には予期せぬバグの発生等により、遅延という事態が起こることがあります。その緊急事態を繕うためにブリッジローンを利用し、完成まで漕ぎつかせるのです。

不動産業のケースも見てみましょう。不動産業では物件の買い付けを行いますが、良い物件はすぐに買い手がついてしまいます。会社の予算を上回る物件もあるでしょう。

そんな時、不足分の資金調達を銀行等の金融機関に求めても、審査に時間を要してしまい間に合いません。良い物件はライバル会社に取られてしまうでしょう。この状態をカバーできるのがブリッジローンです。

ブリッジローンを活用して急ぎで資金を調達することによって、優秀な物件を入手し大きな商材を確保できることになります。  

なお、多くの場合、ブリッジローンの借入期間は3ヶ月程度で一括返済が主流です。また、資金用途が明確であることが求められます。当然ながら返済できる根拠が認められなければ融資は出ません。担保の差し入れが必要な場合もあります。

急ぎの融資対応をしてくれるとはいえ、その審査が甘いわけではないのは銀行等と変わりません。

⑶M&Aにおけるブリッジローン用途

M&Aでは通常、買収に必要となる現金や株式はあらかじめ確保されているのが普通です。しかし買収先が予想を上回る現預金を持っている等、高い企業価値があった場合、準備していた資金だけでは足りないという事態も起こり得ます。

一般の金融機関からの融資に頼れずとも、債権を利用したり増資を行うなどの手立ても可能ですが、それでも時間的に間に合わないでしょう。そこで利用するのがブリッジローンです。

M&Aに要する多額の資金にも応えられるというのもブリッジローンの強みでしょう。そうしたM&Aでのブリッジローン利用の場合、返済は新株を発行して捻出したり、買収された会社が持っていた現預金が充てられます。

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ブリッジローンの具体的流れ

実際にブリッジローンで融資を受ける場合について、その流れをシミュレーションしてみましょう。わかりやすい例として、個人が住宅を建てる場合で考えます。一戸建ての家を建てたいと考えた時、注文住宅を選択したとします。

その資金は個人にとっては巨額です。建物だけではなく、土地の購入代金や工事費用もかかります。それなら住宅ローンを組めばいいじゃないか、と思われるでしょう。ところが、住宅ローンは家が完成してからしか申し込みができないのです。

そこで、ブリッジローンの登場です。家が完成するまでの間は、不足している必要資金をブリッジローンで借入するしかありません。 

  1. 土地の売買契約締結 
  2. 金融機関に住宅ローンとブリッジローンをそれぞれ申し込む
  3. 先行して借りれるブリッジローンで土地購入代金や工事費用を支払う 
  4. 住宅完成 
  5. 住宅ローンの融資が可能となる 
  6. 住宅ローンでブリッジローンを返済する 

これが、ブリッジローン利用シーンの流れになります。あくまでも個人の場合での一例にはなりますが、ブリッジローンの用い方や利便性とは、このようなものです。 

ブリッジローンの具体的内容

ブリッジローンには、借入の条件や上限金額、詳細な金利、返済期間等について厳密な法規定がありません。各ブリッジローンを実施している融資機関によって様々なのが実状です。

そこで、具体的な社名は伏せますが、代表的な4社のブリッジローン商品を紹介します。

⑴D社(建築関連会社向け)

  • 条件:指定の企業に対して建築工事請負契約を締結している 。融資の元となるアパートローンがすでに決定している。
  • 融資期間:1年以内 
  • 金利:短期プライムレート+年1%の固定金利 
  • 遅延損害金:年14% 
  • 返済方法:元利一括返済 
  • 連帯保証人:原則不要 
  • 上限金額:着工時金は4億5千万、建方時金は3億円まで
  • 特徴:ブリッジローン利用者を介さず直接使用したい企業への振込みが可能なので手間が短縮

⑵J社(個人ベンチャー向け)

  • 条件:J社の指定する組合に登録している 
  • 融資期間:3ヶ月
  • 金利:3.6%
  • 特徴:借入額を一括で支払いしてくれる。1万円単位からでも借り入れが可能 。審査から最短25日で借り入れが可能

⑶T社(不動産)

  • 条件:目的を住宅ローンとする 
  • 融資期間:最長1年 
  • 金利:2.5%(見直し制) 
  • 遅延損害金:14.6% 
  • 返済方法:元金一括返済
  • 連帯保証人:原則不要 
  • 上限金額:8000万円まで 
  • 特徴:契約手数料が月額1万円かかるが、解約手数料は無料 。利用対象が明確なので、審査に住宅ローン利用であると証明するものが必要

⑷A社(不動産)

  • 条件:対象となる営業地区内に住んでいる、又は事業を実施している 
  • 融資期間:1年 
  • 金利:2.6%〜3.6%(固定金利型) 
  • 返済方法:一括返済 
  • 連帯保証人:原則不要 
  • 上限金額:3億円 
  • 特徴:借入上限金額が比較的に高めの設定になっている。融資事務手数料に5万円かかる

以上4社の例でも明らかなように、ブリッジローンの利用には明確な目的が必要です。つまり、お金が足りないから少しの期間借りておきたい等の曖昧な動機では審査が下りません。

また、ブリッジローンの金利に関しては2%〜4%程度が平均であると考えられます。そして、原則として保証人が不要であることがブリッジローンの大きな特徴です。保証人の選出がないため、より短期間で融資を受けられるわけです。  

上限金額はブリッジローンの融資期間や目的によって各社異なりますが、いずれにの場合も返済方法は基本的に一括返済となっています。きちんとした返済の手立てがないと審査は通らないでしょう。

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ブリッジローンのメリットとデメリット

ブリッジローンのメリットとデメリットについて改めて抽出します。 自身でブリッジローンを検討する場合には、メリットとデメリットをよく吟味し間違いの無い選択をして下さい。

また、本当にブリッジローンに頼らざるを得ないのか、他の方法を探す努力も行いましょう。

⑴メリット

  • 保証人が不要 
  • 多額の資金が入手可能
  • 審査が短時間
他の融資ローンでは絶対的に必要な存在である保証人が不要である点は特筆できます。

⑵デメリット

  • 具体目的が必要 
  • 通常の融資よりも金利が高い 
  • 一括返済なので、返済を確約できる根拠を示す必要がある 
  • 遅延損害金が高い
  • 融資会社によっては高い事務手数料が必要になる

上記のように、簡単に借りられる分、金利が高く万が一、返済ができなかった場合のリスクも大きいです。 

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ブリッジローンの効果的な活用法

ブリッジローンの効果的な活用法として、3つのポイントを解説します。

明確な目的・返済の根拠を用意

ブリッジローンは短期的な大額資金調達の手段で、明確な返済計画や目的が必要です。

例えば、融資や債権の目途が立っているが入金までには時間がかかる場合、将来的な入金が見込めるが金融機関から融資が受けられない場合などに活用されます。目的や返済の根拠を示せない場合、ブリッジローンを活用できない場合もあるため注意しましょう。

専門家からアドバイスを受ける

不明点がある場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめめします。特にM&Aの経験が豊富な専門家は、適切な資金調達方法を提案してくれる可能性があります。

その他の融資も検討

主に、未来の確実な収益や融資を受けるために使われますが、高い金利や遅延損害金が伴うため、リスクが高いです。他の資金調達方法と比較して検討することが重要です。例えば、第三者割当増資や公募増資、金融機関からの借り入れ、LBO(レバレッジド・バイアウト)などがあります。

M&Aにおけるブリッジローンまとめ

短時間審査や保証人不要と聞くと、ブリッジローンのハードルは低いように感じてしまうかもしれません。しかし、実際は具体的な目的と明快な返済根拠が無ければ借入は不可能です。

現状分析と今後の収支予測等を厳密にシミュレートした上で、ブリッジローンを申し込むかどうか判断しましょう。上手く活用すれば事業を円滑に進め、業績を発展・拡大する力ともなるのがブリッジローンです。

個人での利用の場合も含め、全ては自身の判断力が全てを決めることになります。

本記事の要点は以下のとおりです。

  • ブリッジローンは救世主?

 →急ぎの状況で借入可能な融資 

  • ブリッジローンとは

 →短期間の融資と返済が特徴 

  • ブリッジローンの具体的内容

 →申し込みには具体的動機と返済根拠の提示が必要

  • ブリッジローンのメリット

 →保証人が不要、多額の資金が手に入る 

  • ブリッジローンのデメリット 

→高金利、遅延損害金が高い、一括返済

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