2021年4月24日更新会社・事業を売る

事業継続の対策と重要性

災害などによって、いつ企業経営が危機に陥るかは誰にもわかりません。 そのため、日頃から前もって災害時でも事業継続できるように対策を立てておく必要があります。 この記事では、事業継続の対策と必要なポイントについて解説します。

目次
  1. 事業継続の対策と重要性
  2. 事業継続の重要性
  3. 事業継続と事業継続マネジメントとの違い
  4. 事業継続と防災の違い
  5. 事業継続を考える上で重要なポイント(その1)
  6. 事業継続を考える上で重要なポイント(その2)
  7. まとめ

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事業継続の対策と重要性

2011年3月に日本全土を震撼させた東日本大震災以降、「事業継続」が注目されています。異常気象や地震等で企業の経営が停滞するのは、経営者にとっては致命的な事態です。よって災害時の事業継続を考えておくのは、非常に重要です。

しかし日々経営に追われている経営者にとって、災害に備えた仕組み作りをするのは、なかなか困難です。今回は事業継続計画を立てる上で役立つ情報を紹介します。

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経営に求められる判断

事業継続の重要性

事業継続はBCPとも呼ばれています。BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、事業継続計画と呼ばれています。災害時のみならず大事故や不祥事等を含めた非常事態の中でも、企業の経営やビジネスを停滞させずに続行させることを指します。

企業は目標とする復旧時間内に重要な機能を再開させることで、業務が中断することに伴う顧客取引の競合他社への流出、市場シェアの低下、企業評価の低下など、自社を守るための経営戦略が必要です。

他にもバックアップシステムの整備、バックアップオフィスの確保、従業員の安否確認の迅速化、人員確保、生産設備の代替などの対策を実施しなければなりません。

イレギュラーな非常事態が起きた際に、企業の損失・被害を最小限に抑えつつ、いかに事業を再開・継続させるかが、事業を継続するうえで重要です。日本は昔から自然災害の多い国ですが、近年は過去にない異常気象や大規模な自然災害による被害は、さらに甚大さが増しています。

その都度企業の経営が中断、多大な損害を受けるケースが珍しくありません。昨今は、メインとなる業務以外はアウトソーシング、クラウドソーシング等を用いている企業が増えています。これらは、平常時であれば効率的な戦略となります。

しかし非常時には、企業全体のローテーションを狂わせる可能性が高く、脆弱(ぜいじゃく)さは否めません。上記のような構造になっている企業は、事業継続を念頭に置いたマニュアルやシステムを備えることが重要な課題となります。

さもないと、非常時に経営が停滞し、復帰までに過剰な損失が発生する恐れがあります。しかし現在の日本には、事業継続について企業ごとにプランを策定させる法律・条令はありません。つまり事業継続は、各々の企業が自発的に取り組むべき課題なのです。

基本的に大企業は、事業継続への取り組みを必ずと言って良いほど実施しています。その流れで大企業の子会社やグループ企業も、それぞれ事業継続計画を持っています。対して多くの中小企業は、十全な事業継続計画を持っていません。

その結果、非常時に致命的な損失を被るケースが多々あります。最近では、大規模な地震や台風などの自然災害で人材や設備を失った中小企業が廃業に追い込まれるケースが多々ありました。中小企業庁も中小企業に向け、事業継続の検討を呼び掛けるようになっています。

このように緊急事態時に素早く対応できるよう、事業継続の重要性は近年高まりつつあります。経営者の方は非常時になってからではなく、事前に事業継続を予測したプランを策定しておきましょう。そしてプランの中にはM&Aを視野に入れておくのも得策です。

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事業継続と事業継続マネジメントとの違い

事業継続について考えられるシーンでは、BCPと同時にBCMという概念があります。事業継続計画を示すBCPに対して、BCMは「Business Continuity Management」の略で事業継続マネジメントを表します。

事業継続マネジメントとは一般的に経営レベルの活動として実施される、企業の事業継続のための総合的な取り組みです。内閣府の事業継続ガイドライン第三版によると、事業継続マネジメント活動には以下のような要件が含まれています。

  • 事業継続計画の策定
  • 事業継続計画を実現するための予算や資源の確保
  • 事業継続計画の教育や訓練、点検、継続的な改善の実施

事業継続マネジメントは単なる計画としてだけではなく、企業・組織全体のマネジメントとして継続的、体系的に取り組むことが大切です。

事業継続マネジメント(BCM)は、事業継続(BCP)をはじめとした非常時の計画を適切に運用するためには欠かせないものではありますが、日本における認知度は低いです。

しかし内閣府の「事業継続ガイドライン」の通り、事業継続計画は単体で機能するものではありません。あくまで事業継続マネジメントの一部分なのです。そのため、自社の事業継続マネジメントが機能しているのか、改めて確認することをおすすめします。

事業継続と防災の違い

事業継続は、防災活動と同じものだとした考えも少なくありません。しかし、事業継続と防災は異なった考え方になります。

従来まで一般的に取り組まれてきた企業における防災活動とも関係が深いですが、根本となる発想やアプローチが異なるのです。危機的事象の発生により、活用できる経営資源に制限が生じることを踏まえ、優先すべき重要事業や業務を絞り込むのが事業継続です。

そして、どの業務をいつまでにどのレベルまで回復させるか、経営判断として決めることが求められます。このような点が事業継続と防災活動で大きく異なります。そのため、事業継続を防災活動の単なる延長として捉えると、その効果が十分に発揮できないおそれがあります。

事業継続とは、あくまで緊急事態が発生した直後に対する機能する施策なのです。そのため発生事象で業務停止を招いた場合には、どのように最速で復旧するのかといった点を重視しているのです。しかし防災の主な効果は「緊急事態による被害の回避」です。

つまり、そもそも緊急事態が起こった直後に発揮する機能が違うのです。

事業継続を考える上で重要なポイント(その1)

事業継続の取り組みと言っても、何をすれば良いか分からない経営者の方も多いのではないでしょうか。ここでは、事業継続を考えるうえで着目すべき重要ポイントをご紹介します。

①知識を蓄える

事業継続を考えるうえで、まずは知識を蓄えましょう。一口に非常時といっても、その種類は多種多様です。例えば自然災害のカテゴリーで見るなら、地震や台風、水害等の災害から、新型インフルエンザなどの感染症の流行も該当します。

それぞれに対して、異なる対応策を用意すべきです。横領やコンプライス違反、設備が稼働している過程で起こり得る事故等、企業内で起こるトラブルはそれぞれの企業で予め想定できます。しかし、自然災害などのトラブルに関しては、ある程度専門的な知識を取り入れる必要があります。

リスクマネジメントの専門家や弁護士に相談し、必要な知識や計画作成のアドバイスを得るのがおすすめです。また政府や自治体、金融機関の非常時の取り組みを知っておけば、事業継続計画の策定もスムーズに進みます。

そうした取り組みを知っておけば、いざという時に活用できるため、事業継続の実現性も高まります。上記の通り、知識やアドバイスは計画を策定する上で重要です。様々なリスクを想定し、多角的な知識を蓄えておけば、事業継続計画のクオリティも高まります。

②広い範囲を想定した計画策定を

事業継続計画は自社だけでなく、より広い範囲を見据えて策定する必要があります。取引している企業、何らかの業務を委託している外部の企業、顧客等自社と繋がりがある利害関係者も網羅しておけば、重要業務を全般的に維持できます。

逆に利害関係全てを網羅していない事業継続計画は、情報や販路等の競合他社への流出や、企業評価の低下、マーケットからの撤退など、最悪な事態を引き起こす要因になり得ます。事業継続は企業単体でなく、利害関係者全てを網羅してこそ真価を発揮します。

事業継続を考える上で重要なポイント(その2)

事業継続を考えるうえで重要ポイントは、他にもあります。

①最新の情報・状態を維持し、情報を共有

事業継続計画を策定した後は、様々な方面に情報の共有をしておくのがおすすめです。まずは企業内で従業員にガイドラインを共有し、啓発・訓練をしっかり実施しましょう。実際にそのような非常事態が起こった際に、従業員が動かなければ、せっかく作った事業継続計画も無意味となります。

ですので、従業員が事業継続計画に沿って適切に対応できるよう、日々訓練しておくことが大切です。そして企業の状況に応じて最新の情報・状態に維持しておく必要があります。日々定期的にチェックし、見直すべき改善点がないか、ブラッシュアップに努めましょう。

そして、完成した事業継続計画を関係各所と共有しておくのも重要です。とりわけ利害関係が強い企業や顧客とは、しっかり共有する必要があります。そうすれば、相手企業や顧客から協力・援助が得られる可能性が高まります。その結果、非常時の連携がより密なものになります。

②日々の交流を大切に

事業継続計画においては、日々の交流を大切にしておくのも重要です。策定した事業計画をプラン通りに進めるためには、企業と利害関係者との連携が重要です。その連携力は、日々の交流の中で育まれます。つまり、日ごろの付き合いが連携を強化するのです。

また、非常時は地域の組織(商工会議所、役所など)との助け合いが必要になる場面もあります。地元の人々との関係性も構築しておけば、いざという時に手を貸してくれる可能性があります。とりわけ災害時は、地元の人々と助け合ってこそ、本来的な意味で事業継続を実行できます。

常日頃多くの人々と良好な関係性を構築しておけば、非常時の事業継続も円滑に進む可能性が高いです。

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まとめ

事業継続とは、非常事態に遭遇した企業が、自身を守る上で重要な要素です。確かに非常事態は、普段経営に取り組んでいる経営者にとって、大きなリスクです。しかし、あらかじめ想定しているかどうかで、非常時の対応は大きく変わります。

大災害はいつ起こるか分かりません。大災害によって事業継続が困難になる可能性は十分にあります。したがって事業継続計画の策定は、いつ始めても早すぎることのない重要なミッションです。

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