M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月22日更新会社・事業を売る
企業存続率(生存率)の実態
企業存続率(生存率)とは、起業・開業された会社が廃業や倒産をせずに存続し生き残って経営を続けていける状態の確率値のことです。経営者に向けた警鐘の際によく使われます。企業存続率(生存率)の具体的な数値情報を確認しつつ、その実態を探ります。
企業存続率(生存率)とは
経営者にとって、あまり見聞きしたくない言葉が、企業存続率(生存率)かもしれません。会社経営に限らず、世の中の事象全てに永遠はないと言われています。しかし、そのような後ろ向きの精神で起業する人は皆無のはずです。誰もが希望と野心を持って会社を設立したことでしょう。
しかし、社会の厳しい現実から目をそむけてしまうことは経営者には許されません。起業・開業された会社が、廃業や倒産してしまうことなく生き残っていく確率を示す言葉である、企業存続率(生存率)についても正面から受け止め、実態を見据えることが肝要です。
場合によっては、企業存続率(生存率)の話から得られる情報が、自社にとって何らかの助けとなる可能性もあります。廃業率ではなく、企業存続率(生存率)と表現している意味合いも踏まえ、分析をしてみましょう。
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企業存続率(生存率)の捉え方
企業存続率(生存率)と表現する以上、それは数値データです。数値で事象を表すには、基となる統計がなくては計算ができません。企業存続率(生存率)の場合は、中小企業庁や国税庁などの官公庁と、民間では帝国データバンクの発表資料に掲載が見られます。
しかしながら、それらの資料において企業存続率(生存率)の数値に一定性が見いだせません。端的に言えば、発表資料ごとに違う企業存続率(生存率)が記載されています。この原因としては、年代や調査対象が異なっている点が問題です。
年代が異なれば結果が変わるのは当然ですし、サンプルが上場企業のみであったり、特定の業種に偏っていたり、といった具合になっています。そこで、本記事では中小企業庁発表の中小企業白書のデータを用いて話を進めることとします。
中小企業白書の企業存続率(生存率)
2011(平成23)年版の中小企業白書に掲載されている企業存続率(生存率)は、1年後が約97%、5年後が約82%、10年後が約70%と徐々に下がっていき、約50%まで下がるのが22年後とされています。
この企業存続率(生存率)が高いか低いかは当人の感覚次第ですが、一点、注意点があります。それは、この企業存続率(生存率)は帝国データバンクの統計を基に作成されており、その統計は比較的企業規模の大きい会社が調査対象であると想定できます。
つまり、国内に数多くある小規模事業者については調査対象に含まれていない可能性が高いのです。そこで、さらに年代が古くなってしまうのですが、2006(平成18)年版の中小企業白書に掲載されている企業存続率(生存率)を見てみましょう。
中小企業白書の企業存続率(生存率)2006
2006(平成18)年版での企業存続率(生存率)は、1年後が約73%、5年後で約42%、10年後で約26%です。ただし、この数値は経済産業省の資料に基づいているものの、製造業に限られ、従業員規模4人以上の事業所が対象の統計になっています。
業種は限定されていますが、かなり厳しい現実を突きつけられたような数値です。今後、企業存続率が著しく低下する可能性は十分に考えられます。2006(平成18)年であれば、まだリーマンショックや東日本大震災が起こる前です。
1991(平成3)年のバブル崩壊後、経済が復調していた時期の統計という意味でも、この企業存続率(生存率)はショッキングに感じた人も多いでしょう。ただし、逆に考えると、経済好調期ゆえに起業者が多くいたために、その分廃業率も高まったという分析もできます。
このように、1つの事象について一面的に断じてしまうのではなく、多面的に受け止め分析することが大事です。また、年代が離れたデータでは、そもそも現在の経営者の参考にはならないという考え方もできます。業種が違えばなおさらでしょう。
いずれにしても、企業存続率(生存率)のような統計資料を目にする際には、データの出どころや年代、調査方法などをよく確認し、実態を見極めるようにするべきです。
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企業存続率(生存率)に影響を与える事象
企業存続率(生存率)は廃業・倒産率と対をなす数値です。端的に言えば、廃業・倒産が増えれば企業存続率(生存率)は下落し、廃業・倒産が減れば逆に上昇します。その廃業・倒産に直接的につながる原因こそが、企業存続率(生存率)に影響を与える事象です。
数多くある廃業・倒産原因の中から、代表的な4つの事象について取り上げます。
①資金繰りの悪化
企業の倒産理由の中でも多数を占めるのが、資金繰りの悪化です。資金繰りの悪化は、不景気など外部的要因によるものと、経営者の資金の使い方・配分の仕方のミスなどの内部的要因、そして、その両方が複合されて起こる事象です。
資金繰りが悪化したまま改善できないでいると、やがてそれは、従業員への賃金未払いや税金や社会保険の滞納などに発展します。そうなると日常業務も満足に行える状態ではなくなるという負のスパイラル状態になり、倒産へとつながってしまうことにもなりかねません。
対策案
資金繰り対策は、とにかく早め早めで手を打たなければジリ貧になってしまいます。人間、追い込まれてしまうと正しい判断能力も発揮できない可能性が高くなります。
融資による資金調達が難しいのであれば、思い切ってM&Aで会社を売却し、大手企業の傘下に入ることを検討してみるのも合理的な対策の1つです。
M&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つアドバイザーが専任につき、ご相談からクロージングまでフルサポートいたします。
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②人手不足
近年、人手不足が企業存続率(生存率)に影響を与えるケースも少なくありません。社会の少子化傾向があるうえに、働き方改革による長時間労働の是正なども加わって、特に中小企業を中心に慢性的な人手不足に悩まされています。
人手不足のままでは会社の業務効率は下がるばかりです。深刻な課題の1つと言えるでしょう。
対策案
中小企業の場合、大企業と人材の取り合いを競っても、分が悪い勝負です。それならば、人手不足の解消には、採用ターゲットを変えてみることが早道の1つと言えます。つまり、育児から現職復帰したい女性、高齢者、外国人労働者などを新たな採用枠として考えてみましょう。
それと合わせて人事制度や福利厚生制度など、社内の労働環境について大企業と変わらないレベルの職場環境づくりに着手するべきでしょう。
③後継者問題
企業存続率(生存率)にダイレクトな影響を及ぼす問題が、中小企業における後継者難です。創業者が高齢となり、いざ代替わりしようにも身内に適する後継者がいない、ということが全国レベルで発生しています。少子化は、ここでも影響を及ぼしています。
身内に後継者がいない場合、役員など社内で後継者を探すことになりますが、それでも決まらないケースも多いようです。そして、やむなく廃業を選択するということも過去には幾度となく行われてきています。
対策案
最近になって、後継者難で廃業するぐらいなら、会社を売却して老後資金にするというM&Aを用いて後継者問題を解決しようという動きが活発化しつつあります。これを第三者への事業承継と言い、国も積極的に奨励しています。
第三者に会社を売却するには、経営者の心の踏ん切りが必要です。そのようなときは頭の中を整理する意味も含めて、一度M&Aの専門家に話を聞いてみることをおすすめします。
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④経営戦略の失敗
企業存続率(生存率)の変動のみならず、企業の倒産そのものに影響する要因の代表格が、経営戦略の失敗です。かつては、経営戦略の失敗は単純に経営者の能力不足として断じられてきました。しかし、昨今の時世を鑑みると一概にそうとも言えなくなっています。
それは、テクノロジー、とりわけインターネット環境の日進月歩のごとき革命的進化が、それを取り込めるか取り込めないかによって、企業の運命を変えていると言ってもいいような状況だからです。つまり、ITがビジネススタイルやビジネスモデルが変えてしまったと言えるでしょう。
ITをうまく取り込んだ小さなベンチャー企業がどんどんと成長していく場合もあれば、かつて一世を風靡したり、業界内で多大な影響力を与えた大企業が、大幅な赤字を出して事業を解体したり、海外企業の傘下に入るなどの出来事が起こっています。
頑固さを徳とし変化しないことで企業評価を上げるか、積極的に新しいものを取り入れ時代に合わせて企業価値を得ることを目指すか、経営者の決断は大きな岐路に立っています。
対策案
企業存続率(生存率)を向上させるためにも、経営者が見誤ってはいけないのが顧客のニーズです。今後、世の中をAIが席巻していくのは誰もが予想していることですが、そういう時代に合わせて、おそらく人の需要の中身も変質していくと考えられます。
経営者はアンテナをとがらせて、その需要の変質の時期や内容の方向性を察知すべく情報収集に徹しましょう。異業種も含めしっかり最新情報をチェックし、時には同業者の戦略を参考にしながら、今の時代に合わせた経営を実施すべきです。
現在の日本は、アベノミクスの効果である程度好景気になっています。また、中小企業をサポートしてくれる税制の整備により、経営環境は悪くない状態です。しかし、この経営環境が何らかの理由で激変すると、企業の倒産が続出し、企業存続率(生存率)がすさまじく悪化する可能性は十分にあります。
経営戦略次第で、そのような事態を乗り換えられるかが決定します。経営戦略は同じスタンスを堅持し続けるのではなく、時代に合わせてフレキシブルに変更するのが望ましいやり方です。
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まとめ
企業存続率(生存率)は1つの指標でしかありません。その数値が、自社の運命の確率を表しているわけではないのです。正しい知識と情報を得る努力を怠らなければ、少なくとも間違った判断は避けられるでしょう。その間違わない姿勢が自社の企業存続率(生存率)を上げてくれるはずです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。