M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年10月27日更新会社・事業を売る
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係を解説します。
現在価値とは?現在価値の意味
現在価値とは何か、どのように計算するのか気になりお調べですね。現在価値への理解を深めておくことで、将来の利益を期待して行う、取引・契約・投資・M&Aなどでより合理的な判断を下せるようになります。
しかし、計算を知らず曖昧な状態では、思わぬリスクを招いてしまいかねません。正しく価値を理解することは、適性かつ公平な取引のためにも必要不可欠ですから、本記事をぜひ参考にしてください。
ここでは、まず現在価値の意味を解説していきます。現在価値とは、将来受け取ることができるお金について、現時点の価値に計算し直した金額のことです。
例えば、1年後に手に入れられる110万円は、現在価値に換算すると必ずしも110万円であるとは限りません。金利が年間10%あるとするなら、1年後の110万円は現在価値に直すと100万円ということができます。
このように、お金は時間軸によって価値が変わるのです。この年率10%の増加を時間価値といいます。投資やM&Aの際に将来のある時点におけるお金が現在価値に直すとどれくらいの金額になるのかを計算できるようになれば、合理的な判断を下せるようになるでしょう。
もしも、すぐに現在価値を調べて欲しい場合、M&A総合研究所までご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに関する豊富な知識を持つアドバイザーによるフルサポートを実施しております。相談料は無料となっておりますので、お気軽にご連絡ください。
将来価値とは?将来価値の意味
将来価値とは、現在保有しているお金について、将来のある時点での価値に計算し直した金額のことです。
先ほどの例でいえば、現在持っている100万円は、将来価値に換算すると100万円であるとは限りません。金利が年間10%あるとするなら、現在持っている100万円は将来価値に直すと110万円となります。
現在価値と将来価値の計算式
現在価値と将来価値がどういったものか理解いただけたかと思いますので、ここからはそれぞれの算出方法を見ていきましょう。
現在価値の計算式
現在価値は将来価値を割り引くことで算出するので、下記の計算式となります。
- 現在価値=将来価値÷(1+金利)^n ※「^」は乗数、nは年数を表します。
例えば金利10%であるケースでは、1年後〜3年後に受け取れる100万円を現在価値として表すと下記になります。
- 1年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.1)^1≒90.9万円
- 2年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.1)^2≒82.6万円
- 3年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.1)^3≒75.1万円
上記の計算式のとおり、年数が経てば経つほど現在価値は減少していきます。そのため現金を受け取る場合は、できるだけ早く受け取るとお得ということです。
将来価値の計算式
将来価値の計算式は、現在価値の計算式「将来価値÷(1+金利)^n」を変形することで導き出せます。将来価値を実際に算出する際には、下記の計算式を用いましょう。
- 将来価値=現在価値×(1+金利)^n
例えば金利10%であるケースでは、現時点で保有する100万円を1年後〜3年後の将来価値として表すと下記になります。
- 今保有している100万円の1年後の将来価値=100×(1+0.1)^1=110万円
- 今保有している100万円の2年後の将来価値=100×(1+0.1)^2=121万円
- 今保有している100万円の3年後の将来価値=100×(1+0.1)^3=133.1万円
計算式のとおり、年数が経てば経つほど将来価値は上昇していきます。そのため現金を支払う場合は、できるだけリターンを受け取る時期を遅くするとお得ということです。
継続価値とは?
事業価値を求めるとき、現在価値から発展して、継続価値の算出が求められる場合もあります。継続価値とは、予測事業年度以降の利益あるいはフリー・キャッシュ・フローの現在価値の総和のことです。今後生み出すキャッシュフロー・利益・配当などをベースにして算出します。
キャッシュフロー(現金の流れ)については後の章で詳しく紹介します。なお、継続価値は、例えば「毎年継続的に80万円を受け取れる金融商品の現在価値が知りたい」といった場合などにも算出が求められるという点を把握しておきましょう。
継続価値の計算式
継続価値の計算式を以下にまとめました。
- 継続価値=毎年継続的に受け取れる金額÷金利
先ほど取り上げた、毎年継続的に80万円を受け取れる金融商品の金利を10%と仮定すると、計算式は以下のとおりです。
- 80÷0.1=800万円
上記のように、継続価値は毎年受け取るお金を金利で割ると算出できます。なお、継続価値は非常に大きな額になるケースがほとんどであり、事業価値などの算出に多大な影響を及ぼすものです。そのため、事業価値などを算定する際には、予測最終事業年度の予測値の信頼性が重要となります。
企業価値とは?
企業価値とは、企業全体の価値のことであり、M&Aや事業・設備投資を進める場面において実行可否を判断する材料として役立ちます。企業の外からみると、企業価値は「株主にとっての価値」と「債権者にとっての価値」の合計値です。
企業価値は企業の事業活動がもたらす事業価値に投資有価証券・遊休資産をはじめとする非事業用資産の価値を足して算出されるのが一般的ですが、これまでに紹介してきた現在価値・継続価値の考え方を活用すれば企業価値の算出も可能となります。
企業価値の計算式
企業価値の簡単な計算式を以下にまとめました。
- 毎年継続的に生み出すことが期待されるキャッシュフロー÷割引率
ここでいう割引率とは、実際にはキャッシュフローを生み出せないリスクを考慮するための調整値のことです。割引率の詳細は後ほど詳しく紹介します。
ここからは、先ほど継続価値で取り上げた例を応用し、毎年継続的に80万円のキャッシュフローを生み出すことが期待されている企業を例に上げて企業価値を算出します(割引率を10%と仮定)。
- 80÷0.1=800万円
また、上記の企業が生み出すキャッシュフローが毎期継続的に5%ずつ成長すると考えられる場合には、以下のような式で企業価値を算出できます。
- 80÷(0.1-0.05)=1,600万円
企業価値および事業価値の詳しい計算方法は後ほど詳しく紹介します。
企業価値と資本構成の関係
企業価値は、資本構成に影響を受けます。元本返済を約束されていない資本調達の利回りは高くなることが多いです。対して、金融機関などの借入金で資金調達した場合の利回りは、元本返済を約束しているため一般的には低くなります。
負債利用は企業価値向上の観点からすれば、重要な要素のひとつです。しかし、過度な負債を抱えてしまうと倒産などのリスクが高まり、企業価値を毀損(きそん)してしまう恐れもあります。
割引率次第では株価が大きく変動するため資本構成は企業価値に影響を与えるといわれ、財務健全性の観点からよいと考えられるのは、一般的に自己資本比率40%以上、フリーキャッシュフローで10年以内に返済できる規模です。
また、企業価値は投資の影響も強く受けるといわれています。有利な投資機会が発生した際に、必要な投資金額を素早く調達できるようにしておくことがベストです。企業ステージやビジネスの安定性なども考慮し、企業価値を最大化できる財務戦略の構築が不可欠といえます。
現在価値の割引率
この項では、現在価値の割引率について解説します。
割引率とは
現在価値を計算する際には、「割引率」と呼ばれる指標を用います。割引率とは、将来受け取る現金を現在価値に計算し直すときに用いる金利などの割合のことです。
割引率の数値次第で、現在価値の大きさは変動します。例えば1年後に100万円受け取れるとして、金利が10%・20%・30%だったときの現在価値を計算してみましょう。このときの割引率に金利を設定し、以下のように計算します。
- 【金利が10%の場合】1年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.1)^1≒90.9万円
- 【金利が20%の場合】1年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.2)^1≒83.3万円
- 【金利が30%の場合】1年後に受け取る100万円の現在価値=100÷(1+0.3)^1≒76.9万円
現在価値の計算式の構造上、割引率が大きいほど現在価値は小さくなります。また、割引率として用いるケースの多い金利は、インフレの進行度が鈍化している経済では低くなりやすいですが、逆にインフレの進行度合いが早いと高くなる傾向にある点が特徴的です。
なお、割引率は必ずしも金利を設定するわけではなく、さまざまな種類があります。
割引率の種類
割引率には、金利以外にもさまざまな種類があります。
例えばM&Aや事業に対する投資では、「株主資本コスト」や「WACC」などの指標を割引率に用いるケースがあります。株主資本コストとは株主が要求する最低限の利益(支払い)のことであり、WACCとは株主と債権者の双方を考慮した割引率のことです。
「どの割引率を用いるのか」という議論に正解はないため、複数の割引率を用いて計算しながら、その中で比較検討すると良いでしょう。
割引率とリスク
割引率について理解を深めるために、割引率とリスクの関係も見ていきましょう。
現在価値を求めるために使われる割引率は、投資のリスクによって変動します。つまり、リスクが高い投資ほど割引率を大きく設定する必要があり、リスクが小さい投資ほど割引率を小さく設定する必要があるのです。
上記を踏まえると、割引率は投資のリターン率であるとも考えられます。例えば、以下の2つのケースを検討してみましょう。
- ケース1)100万円を年利10%の銀行に1年間預ける
- ケース2)見ず知らずのおじさんに「1年後に110万円にして返すから100万円貸して欲しい」といわれた
多くの人は、ケース1)を選択するのではないでしょうか。なぜならば、ケース2)の方がリスクが高いと明確に判断できるためです。このままでは、ケース2)に投資する人は現れません。
それでは、以下のケースだとどうでしょうか。
- ケース3)見ず知らずのおじさんに「1年後に150万円にして返すから100万円貸して欲しい」といわれた
これならば、ケース3)を選ぶ人も現れる可能性があります。つまり、リスクが高い投資をさせるときには、その分だけリターン(割引率)も大きくする必要があるということです。
このリターンを、資本コスト(=割引率)ともいいます。投資のリスクが高いものと低いものでは資本コストが変わってくるため、将来価値が同じものでも現在価値は異なるのです。
- リスクが高い:現在価値=将来価値100万÷(1+0.1)^1=90.9万円
- リスクが低い:現在価値=将来価値100万÷(1+0.3)^1=76.9万円
このように、割引率を決める際には、金利やリスクも大きく関わっていることを理解しておきましょう。
キャッシュフローと現在価値
この項では、キャッシュフローと現在価値の関係について解説します。
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは現金の流れを意味する言葉です。現金が入ってくることを「キャッシュイン」と呼び、現金が出ていくことを「キャッシュアウト」と呼びます。
キャッシュインからキャッシュアウトを差し引けば、キャッシュフローを算出可能です。
- キャッシュフロー=キャッシュイン−キャッシュアウト
会計上の利益では売掛金なども含めますが、キャッシュフローの計算では売掛金の収入は含めません。つまりキャッシュフローとは、実際に出入りした現金の量を表します。そのため、キャッシュフローは会社の資金繰りや将来的な収益などに影響される指標です。
特にM&Aでは、売り手の内情がどのようになっているのかが重要なファクターだといえます。より良いキャッシュフローの売り手を見つけ出すなら、M&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所のM&Aプラットフォームは豊富な案件を保有しており、買収ニーズを登録するだけで理想的なマッチングをご提案できるようになっています。
キャッシュフローを用いた事業価値の計算
キャッシュフローは、事業価値の計算でも用いられます。事業価値とは、会社の事業活動で上げられる経済的な価値の総和のことです。事業価値と事業以外の資産価値を足して、企業価値を評価します。
事業価値の算出方法にはいくつかの方法がありますが、一般的に最もよく使われる算出方法はDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)です。
DCF法は、事業価値などを将来のキャッシュフローにもとづきながら時間・リスクを加味して算出する計算方法です。つまり、DCF法では、将来のキャッシュフローを現在価値に直して全て合計した数値を求めます。
DFC法のメリットは、具体的な数字をロジカルに算出できる点です。本記事では計算方法などをお伝えしましたが、数字である程度ロジックを組んで企業価値を算出できる唯一の方法ともいえます。
その一方で、デメリットは、計算に利用する情報によって算出される金額が大きく異なってくる点です。割引率を正確に設定できればかなり具体的な数字を出すことができますが、将来の情報はあくまで今現在ある情報をもとにした予測でしかなく、必ず正しいとはいい切れません。
正確な情報を必ず算出できるわけではありませんが、事業価値を算出するときには最も広く使われている方法です。ここからは、具体的な計算方法として3STEPを見ていきましょう。
STEP①今後のフリーキャッシュフローの予測
フリーキャッシュフローは、税引後の営業利益と減価償却費の合計額から運転資本増加額と設備投資費用を差し引いた金額であり、企業が制限を受けずに使えるキャッシュを表します。
つまり、企業が将来的に制限なく使える資産をどれくらい持っているのかを表した数値のことです。計算式に起こすと以下のようになります。
- フリーキャッシュフロー=営業利益×(1ー法人税率)+減価償却費ー運転資本増加額ー設備投資額
フリーキャッシュフローの予測は、基本的に5年先まで計算して出すようにしましょう。なぜ5年までかというと、細かい事業計画となるとおよそ5年分までしか予測を立てにくいためです。
STEP②WACCの算出
WACCとは、「Weighted Average Cost of Capital」の略であり、ワックと呼ばれます。日本語に直すと加重平均資本コストといい、割引率に使われる指標です。簡単にいうと、企業が資金を調達する際にかかるコストを意味します。
WACCを算出する式は、以下のとおりです。
- WACC={E×rE+D×rD×(1−t)}÷E+D
※記号の意味
- E→株主資本総額
- D→有利子負債総額
- rE→株主資本コスト
- rD→負債コスト
- t→法人税率
STEP③事業価値の計算
最後に、STEP①と②の数値を使用して具体的な事業価値を求めます。 計算式は複雑なので、ここでは説明を省きます。
大まかにいうと、フリーキャッシュフローをWACCで割り引いて導き出す仕組みです。ただし、STEP①では5年目までのキャッシュフローしか計算していないので、5年目以降の計算も必要となります。
もともとDCF法には、永遠に企業のキャッシュフローは持続するという前提があります。しかし、永遠に続くキャッシュフローを予測するのは並大抵なことではなく、ほぼ不可能です。そのため、5年などの一定期間を対象とし、それ以降は継続価値を用いて計算します。
以上の手順により、事業価値を計算することが可能です。とはいえ、先ほどもお伝えしましたが、事業がどれほど継続するのか決定していないため、曖昧な数字となります。計算式を用いながら論理的に企業価値を算定できますが、必ずしも正しいものであるとは限りません。
正味現在価値法(NPV法)
最後に、正味現在価値法について解説します。
正味現在価値法(NPV法)とは、プロジェクトが生み出すと予想される将来のキャッシュフロー(CF)の現在価値合計と投資額を比較し、投資額をキャッシュフローが上回れば投資する意思決定法です。
下記の計算式で算出したNPVがプラスの数値であれば、プロジェクトに投資する意思決定を下せます。NPVを算出する計算式は、以下のとおりです。
- NPV=1年目のCF÷(1+金利)^1+2年目のCF÷(1+金利)^2+・・・n年目のCF÷(1+金利)^n−初期投資額
正味現在価値法の理解を深めるために、下記の例を示します。
- 例)1年目CF:10万円、2年目CF:100万円、3年目CF:200万円、初期投資:250万円、割引率5%
正味現在価値法を用いると、下記のとおりNPVが算出されます。
- NPV=10÷(1+0.05)^1+100÷(1+0.05)^2+200÷(1+0.05)^3−250=23万円
上記の例ではNPVがプラスとなったので、このプロジェクトには投資するとの意思決定を下せます。正味現在価値法以外の投資の意思決定手法としては、「IRR法」や「回収期間法」などが代表的です。
とはいえ、正味現在価値法はキャッシュフローの時間的な価値を考慮しているため、最も合理的な投資評価手法とされています。
現在価値のまとめ
M&Aや投資において、現在価値の理解は大事になります。事業や設備への投資・証券投資・M&Aを実施する際などには、現在価値の理解が必要不可欠です。ぜひ理解を深めて有効活用しましょう。
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