2021年4月25日更新節税

相続の方法を徹底解説【完全保存版】

相続には種類があり、手順も相続の方法によって変わる可能性があります。相続手続きにはそれぞれ期限が定められており、期限に遅れてしまうとトラブルが起こる恐れもあります。相続が発生する前に流れを抑えておくのがおすすめです。ここでは相続の方法について詳しく解説します。

目次
  1. 相続の方法
  2. 相続の全体スケジュール一覧
  3. 相続における3つの形式
  4. 相続の手続き一覧
  5. 相続財産とは
  6. 遺産分割の進め方
  7. 遺留分減殺請求
  8. まとめ

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相続の方法

家族を持つ人ならいずれ考えなければならないことが相続です。相続は亡くなった人の財産を大切な人に渡す大切なプロセスです。相続は、遺産がたくさんある方だけに関係するとイメージする方も多くいますが、そうではありません。

遺産が少ない場合でも、相続をめぐって遺族が揉めることもあります。相続が開始されたとき、正しい知識や方法を知っていれば、トラブルに対して適切に対応することが可能です。そして遺産を法律に則りきちんともらうことができるのです。

今回はさまざまな相続の方法を徹底解説します。内容をよく理解し、円満に相続ができるよう役立ててください。

相続の全体スケジュール一覧

人が亡くなった後に、相続に関してにどのようなスケジュールで手続きが必要となるのかを紹介していきます。全ての手続きが必要となるとは限りません。また期限が決まっておらず、目安の手続きをするものもあります。必要に応じて参考にしてください。

<適宜(目安2日以内)>

  • 死体火葬許可申請書、親族等への連絡、葬儀の準備

<死亡を知ったときから7日以内>  

  • 死亡診断書の受け取り
  • 死亡届の提出

<死亡から10日以内>

  • 葬儀(適宜)
  • 年金受給権者死亡届(年金受給停止手続き)
<死亡から14日以内>
  • 被相続人の介護保険資格喪失届
  • 世帯主の変更届
  • 健康保険の資格喪失届の提出、介護保険の資格喪失届の提出
  • 生命保険金の受け取り
  • 金融機関への連絡
  • 公共料金やその他各種サービスの変更と解約
<できるだけ速やかに(目安1ヶ月以内)>
  • 遺言書の有無の確認
  • 遺言書の検認
  • 法定相続人の確定
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議の開始
<自己に相続があったことを知った時から3ヵ月以内>
  • 相続放棄の申述
  • 限定承認の申述

<死亡から4ヵ月以内>

  • 所得税の準確定申告
<死亡から10ヵ月以内>
  • 各種の相続手続き
  • 相続税申告と納付手続き
<速やかに>
  • 遺産分割協議書の作成

<相続の開始、減殺すべき贈与、遺贈があったことを知ったときから1年以内、相続開始から10年以内>
  • 遺留分減殺請求
<適宜>
  • 相続登記
<死亡から5年10ヵ月以内>
  • 相続税の申告
<相続の開始を知った日の翌日から4か月以内>
  • 準確定申告の還付請求
<被相続人の死亡の翌日から5年以内>
  • 遺族年金等の請求
<死亡日の翌日から2年以内>
  • 国民年金の死亡一時金の請求
<還付の対象となる支払い月から2年間以内 >
  • 高額療養費の還付請求
このように基本的には上記のスケジュールで進んでいくことになります。大まかにすると以下のようになります。
  1. 相続を手放す手続きは3ヶ月以内
  2. 遺産相続による所得税の申告は4ヶ月以内
  3. 相続財産に対する相続税の申告は10ヶ月以内
  4. 遺留分に関する請求は1年以内
  5. 相続税軽減に関する申告は3年以内
  6. 相続登記に関する期限は特にありません

相続における3つの形式

相続する方法は一つではありません。相続にあたって相続人は単純承認、限定承認、相続放棄の3つの方法からいずれかを選ぶことになります。そして相続人は相続開始日から3ヶ月間発生する「熟慮期間」の間に相続する方法を決定しておく必要があります。

もちろんそれぞれの相続する方法によって相続のプロセスは変化しますし、中には相続する財産そのものが変化することもあります。ここではそれぞれの方法についてお伝えしていきます。

①単純承認

単純承認は一番シンプルな相続の方法で、すベてを引き継ぐ相続です。単純承認は法定手続きをする必要がなく、何もしない限り相続は自動的に単純承認になります。この選択が許容される期限は、相続人が相続の事実を知ったときから3ヶ月です。

3ヶ月以内に選択をしなかった場合は、単純承認を選択したものとみなされるのが原則です。通常、財産には単純にプラスとなる現金や不動産だけでなく、借金やローンなど相続人にとってマイナスとなる財産も含まれます。

そのため単純承認で相続を行った場合、借金やローンを含めた相続人の財産を全て引き継ぐ形になってしまいます。もし相続人の財産に相続したくないものが含まれている場合、単純承認という方法は選ばない方がいいでしょう。

②限定承認

限定承認は単純承認とは違い、相続人にとってプラスになる財産の範囲内でマイナスの財産を相続するという方法です。

例えば相続する現金が100万円あり、同時に相続可能な債務が300万円あった場合、限定承認を使えば債務を相続する額を相続する現金と同じ100万円まで抑えることができます。

さらに限定承認を使えば先買権と呼ばれる制度が利用できるようになり、これを使えば取得したい不動産財産の取得額分にあたる金額を支払うことによって取得可能になります。このように限定承認であれば相続する財産や負債をある程度コントロールできるようになります。

しかし限定承認は簡単には使えず、また手続きが面倒なのが難点です。限定承認を使いたい場合、まずは共同相続人の許可を得る必要があります。もし共同相続人の中で1人でも限定承認を使用することに反対する声があった場合、その段階で限定承認は使えないことになります。

加えて限定承認は相続債権者や受遺者に対する清算手続きや準確定申告といった手続きが必要になり、単純承認のように簡単に済ませることができません。さらに限定承認を使うかどうかは熟慮期間中に決定しなければならず、3ヶ月を過ぎると使用できなくなります。

そのため、迅速に限定承認を使うかどうかを決め、さらに各種手続きをやっておかなければならないというわけです。このように手間がかかることもあって限定承認はあまり使われることはないようです。

ただ何かしらの費用を負担する必要はなく、相続する財産を調整したい際には相続の方法の選択肢として持っておいてもよいでしょう。

③相続放棄

相続放棄はその名のとおり、相続それ自体を放棄してしまう方法です。せっかくの財産を放棄するなんてもったいない、と思うかもしれませんが、相続放棄を使うケースは決して少なくありません。

前述したように相続される財産の中には借金やローンのような負債も含まれます。そして中にはマイナスである負債の方がプラスの財産より多いケースもあります。そういった場合、そのまま財産を受け継いでしまうと相続人はかえって損をしてしまうことになります。

そのため相続放棄という方法を使えば財産の相続権それ自体を放棄できるようになります。しかし相続放棄は限定承認同様、使用するかどうかを熟慮期間中に家庭裁判所に申し出る必要があります。

相続放棄を使うかどうかは相続人の意志一つで決められますが、家庭裁判所に申し出をしない限り相続放棄は発動しないため、もし申し出を怠ると単純承認という形で相続してしまいます。限定承認同様、相続放棄も使用するなら早めに申し出ることがおすすめです。

相続の手続き一覧

ここでは相続の手続きについて紹介していきます。相続の各プロセスを一つずつお伝えしていきますので参考にしてみてください。

①死亡届の提出・火葬の実行

まず相続をする前に故人の死亡届の提出や火葬を実行しておきましょう。死亡届の提出は法律で義務付けられており、相続を行う前に実行しておかなければならないものです。

死亡届はその人が亡くなってから7日以内に行わなければならないものなので、その期間内に行っておくようにしましょう。もちろん死亡届の提出は早ければ早いほどよいものです。

そして火葬も必要ですが、原則として24時間が経過してから実行するようにしましょう。

ただ誰かが亡くなった場合はまずは葬儀などを行う必要があるので、実際の流れは死亡届の提出し、葬儀そして火葬といった流れになります。

ちなみに火葬は火葬許可証を得てから行うものですが、火葬許可証が役所から交付された段階で火葬場の予約ができることもあるようです。

②遺言書と相続人の確認

相続をする前に確認しておくべきもう一つのことは遺言書と相続人の確認です。まず遺言書に関して個人が書いたものがあるかどうかを確認しましょう。遺言書がなければ民法の規定に則って財産を分配し、然るべき相続人に相続させることになります。

しかし遺言書がある場合はその書かれているとおりに相続を実施する必要があります。よくあるパターンとしては遺言書があるかどうかをちゃんと確認しないまま財産分割協議を進めてしまい、後から遺言書があることが発覚し、財産分割協議を最初からやり直さなければならないという状況です。

相続において遺言書は財産分割協議を方向付ける最も重要なファクタ―といっても過言ではありません。後から遺言書を探す手間を考えると、故人の生前から遺言書があるかどうかをしっかりチェックしておくことがおすすめです。

そして相続人に関しては民法に規定された相続人(つまり法定相続人)を確認しておく必要があります。相続人も相続を決めるうえで重要であり、財産分割協議で法定相続人が1人でも欠けているとその協議は成立しなくなってしまいます。

たとえ相続人が把握できている状態でも故人の戸籍謄本を確認したり、遺言書に把握している人物以外の相続人がいないかどうかを入念にチェックしたりしておけば相続が円滑に進むでしょう。

遺言書、相続人を確定させておけば、後は相続する財産の調査を行い、相続すべき財産がどれだけあるのかをしっかりチェックしておきましょう。凍結されてしまう銀行口座が良い例ですが、人が亡くなるとその財産は自由に処分することが難しくなります。

もし初動が遅れてしまうと財産分割協議が滞ってしまう可能性があるので要注意です。遺言書の種類には以下のようなものがあります。 

  • 自筆証書遺言の場合は裁判所の検認手続きが必要
  • 公正証書遺言の場合は相続人の調査と確認
  • 秘密証書遺言の場合は裁判所の検認手続きが必要
このように遺言書がある場合、それぞれの遺言書の種類に応じて処理されなければなりません。

③相続する財産の調査

相続が発生すると被相続人の財産の調査が必要になってきます。相続財産(プラスの財産)になるものは主に以下が挙げられます。

  • 家、土地などの不動産
  • 貴金属などの未登録動産
  • 預貯金、生命保険積立金、債権
  • 株式、投資信託などの有価証券
 
プラスの財産だけでなく、借入や住宅ローンなどのマイナスの財産は以下になります。
  •  住宅ローン、クレジットの未払い分など

④相続する方法を選ぶ

相続発生から3ヶ月以内に相続する方法を選択しましょう。もちろんこの場合における相続する方法は単純承認、限定承認、相続放棄の3つから選択することです。

限定承認、相続放棄は相続発生から3ヶ月以内、つまり熟慮期間以内にしかるべき手続きを終えなければなりません。

単純承認であれば熟慮期間中に何か特別なことをする必要はありませんが、限定承認や相続放棄といった方法を使用する場合はなるべく早めに手続きをしておいた方がいいでしょう。

⑤財産分割協議を行う

相続する方法とほぼ同じタイミングで行うプロセスは財産分割協議、つまり財産をどうやって分配して相続するかを決定することです。

基本的に財産分割協議は遺言書に則って進められるうえに、相続人同士の協議をしてどれだけ財産を分配するかを決定するものです。そのため民法上のルールに則っておかなければならないというものではありません。

法定相続人と相続財産が分かったら、相続人全員で相続について協議します。遺産分割は、相続人全員の合意がないと成立しません。一人でも反対する方がいたり、非協力的な相続人がいたりすると財産分割協議は進みません。

遺産分割協議には期限がないため、被相続人の死亡後何年も協議がされていな場合もあります。しかしその状況が続いてしまうと、相続財産が散逸したり、相続人が増えたりするなどの可能性があります。

財産分割協議では遺留分も含めて、遺言書に書かれた内容を尊重しつつ、円満な結果になるようにしていきましょう。

⑥相続税の申告を行う

相続すべき財産が決定した後は相続税の申告を行います。相続税は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に申告を行わなければいけません。

相続する方法を決める熟慮期間と比べるとある程度ゆとりのある期間が設けられていますが、相続税を計算する手間を踏まえると迅速に対処しておいた方がいいでしょう。相続税は相続される財産の内、現金だけでなく不動産や株式なども課税対象になるものです。

単純に現金だけを相続する場合は相続税の計算が楽ですが、株式や不動産なども財産として相続する場合はそれらの価値を改めて算出したうえで相続税を計算する必要があります。そういった財産を相続する場合は個人で計算するのは難しくなります。

そのため、税理士や会計士といったプロフェッショナルの力を借りておくのも一つの手です。万が一相続税の支払いが遅れる、支払った分が足りないという事態になった場合は延滞税など追加徴税が発生するので気をつけてください。

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相続の流れと手続き

相続財産とは

ここでは一度相続財産について確認してみましょう。さきほどもお伝えしたように相続財産は被相続人に属していた一切の権利義務をさすものです。相続財産には現金はもちろん、不動産や株式、公社債、不動産賃借権、投資信託、知的財産権などさまざまなものが対象となります。

基本的に遺産分割ではこの相続財産を分配する形で行われます。また被相続人が持っている負債なども相続財産に含まれます。代表的なものとしては可分債権(損害賠償請求権など)や被相続人が抱えていた借金などです。

こういった負債は基本的に遺産分割の対象にはなりませんが、遺産分割にすること自体は相続人全員の了承さえ得られれば遺産分割の対象になります。ただし、債権者の合意を得なければならないので注意してください。

また、被相続人に属した一切の権利義務という定義づけがされていても相続財産に含まれないものもあります。相続財産に該当しないものにはさきほどお伝えした代償財産、遺産から生じた収益、さらに遺産の管理費用が被相続人の葬儀費用といったものです。

ただし、これらは相続人全員の合意さえ得られれば遺産分割の対象にできます。しかし相続人の合意があっても遺産分割の対象にできないものもあります。遺族年金の遺族給付、生命保険、祭祀財産、遺骨などは各相続人の固有の財産になります。

このように相続財産と遺産分割の対象となる財産は含まれる財産の種類が異なっています。相続財産に含まれていないから相続できないわけではないので、しっかり確認しておくことがおすすめです。

相続財産と遺産分割の対象となる財産の違い

前述のとおり、遺産分割にすること自体は相続人全員の了承さえ得られれば遺産分割の対象になります。財産分割協議を行う場合、相続財産と財産分割の対象となる財産の違いを意識しておく必要があります。それを理解しておけば遺産分割協議を円滑に進めることができるでしょう。

まず相続財産とは被相続人に属していた一切の権利義務をさすものであり、不動産や現金、株式などさまざまなものが含まれます。そして基本的に遺産分割はその相続財産を元に進めていくことになります。しかし遺産分割の対象となるのは相続財産だけではありません。

相続人全員の同意さえ得られれば相続財産に含まれないものも遺産分割の対象にできます。例えば遺産から転化した財産である代償財産や遺産から生じる収益などは相続財産の中には含まれないですが、相続人全員の合意さえ得られれば遺産分割の対象にできます。

相続財産や遺産分割の対象となる財産の確認は素人がやっても手間がかかることが多く、また相続人同士の協議にも時間がかかります。弁護士や税理士などのプロフェッショナルの力を借りておけば円滑に進むようになるでしょう。

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相続の相談は誰に?弁護士、税理士、司法書士、行政書士、銀行を紹介

遺産分割の進め方

ここでは遺産分割の進め方をお伝えしていきます。遺産分割は故人の遺言、あるいは民法の規定や相続人同士の合意に則って遺産分割協議で進められます。

遺産分割協議の期間

基本的に遺産分割協議は特定の期間中に終わらせなければならないといった規定はなく、あくまで相続人同士の自由なタイミングで行うことができます。

しかし相続する方法の決定を熟慮期間中に終えなければならない、相続税のように一定の期間内に申告を済まさなければならないなど、相続に関する事柄の中には特定の期間内に終わらせなければならないものがあります。

そういった点を考えると、なるべく早く相続人同士でアポイントを取り、遺産分割協議を行う方がいいでしょう。遺産分割協議は遺言書があるならそのとおりに、遺言書がなければ参加している相続人同士が合意を得ることで遺産の分配を決定します。

遺産分割協議から遺産分割調停に移行する場合

また遺産分割協議では逆に特定の相続人を財産が引き継がせないといった決定も行うことが可能です。ただ、相続がスムーズに進んだらそれにこしたことはありませんが、中にはなかなか合意が取れず、遺産分割が進まなくなるというケースも考えられます。

考えられるケースとしては「相続人が相続する遺産に不満を感じている」、「遺言書に相続分の遺産しか記載されておらず他の遺産の記載がない」、「そもそも遺言書に不満を持っている相続人がいる」といったものが挙げられます。

万が一こういった事態になった場合は遺産分割協議から遺産分割調停に移行します。遺産分割調停は各相続人が家庭裁判所に申し出ることで行われるものであり、調停員や調停員といった第三者が介入することで遺産分割の合意を取っていきます。

ここで遺産分割が決定した場合、その決定は判決と同じだけの効力を持ちます。ただ、この遺産分割調停でも合意が取れないようなら遺産分割裁判に移り、そこで最終的な審判が下されます。

相続人と被相続人同士の合意をとっておく

こういった遺産分割のプロセスにおいて大事なことは決して争いに持ち込まず、なるべく穏便に解決することです。遺産分割協議がこじれると遺産分割調停、遺産分割裁判とどんどん長期化していきます。

そうなると相続人同士の関係が悪くなりますし、無駄に労力を費やしてしまうことにもなりかねません。こういった事態を防ぐためにはなるべく被相続人が生前から相続の準備をしっかり進めておくことが大事です。

被相続人の遺言書は遺産分割を進めていくうえで非常に重要なファクタ―になります。あらかじめ遺言書をしっかり作成し、相続人の指定、相続の方法の明記、相続する財産の整理をしておけば相続が発生した際に相続人もスムーズに承継を進めることができます。

できることなら被相続人は生前からプロフェッショナルの力を借りるなどして丁寧な遺言書を作成しておいた方がいいでしょう。相続人の方も後々遺産分割協議で問題になるような財産がないか、相続人は誰になるかをしっかりチェックしておくようにしましょう。

生前の被相続人に相続のことを確認するのは気が引けることだと思いますが、後々のトラブルを回避するためにもできるだけ行っておくことがおすすめです。

万が一被相続人が病気や事故で突然死亡したり、健康状態の悪化で正常な判断能力を失ってしまったりすると遺言書の作成が難しくなりますし、相続に関する当人の趣向の確認もできなくなってしまいます。

実際に被相続人からしっかり相続の確認ができずに相続人同士が衝突してしまったというケースは少なくありません。相続後の無用なトラブルを避けるためにも、遺産分割をスムーズに進めるためにも相続人と被相続人同士のコンセンサスは取っておくようにしましょう。

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相続における遺言とは?遺留分との優先順位も解説

遺留分減殺請求

遺産分割協議を進める際に、抑えておきたいものが遺留分減殺請求です。これは遺産分割の過程で遺留分すらもらえないという事態が発生した場合に使えるものです。例えば被相続人が遺産を全て社会団体に寄付したり、別の相続人に全て渡すといったケースなどが挙げられます。

その際に遺留分減殺請求を行えば、最低限の財産を確保することができます。しかし遺留分減殺請求を使用できる相続人は一定の条件が定められており、全ての相続人が使用できるわけではありません。

遺留分減殺請求が使用できるのは被相続人の配偶者、子供、直系の存続にのみに限られています。ただし、当然のことなら相続放棄をした相続人は遺留分減殺請求を使うことはできません。加えて相続放棄をした相続人は遺留分の獲得資格すらないので気をつけてください。

また、意外なものでは被相続人の兄弟や姉妹も遺留分減殺請求を使うことがきません。そもそも被相続人の兄弟・姉妹は相続関係の中でも遠い位置にいることが多く、独立して生活しているため被相続人の財産形成に対する貢献度も低いと認識されています。

そのため兄弟・姉妹は遺留分減殺請求を使うことができなくなっています。ただ、遺留分減殺請求とは違いますが、寄与分と呼ばれる形で相続財産を受け取ることができます。

寄与分とは被相続人の財産形成に寄与した人の寄与度を金銭的に評価し、その分を法定相続分に上乗せする形で相続財産を相続するという方法です。

被相続人の兄弟・姉妹が被相続人の財産形成に寄与していた場合は、この寄与分を主張することで遺留分を受け取ることに近い要領で財産を相続できる可能性があります。

しかし寄与分は遺言書より効力が弱く、基本的に遺産分割は遺言書を優先して行われます。そのため遺言書の内容によっては寄与分が認められないことがあり、その場合は寄与分を受け取れなくなります。

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株式相続の注意点

まとめ

相続の方法はさまざまな種類があり、相続手続きにはそれぞれ期限が決まっています。遺族同士のトラブルが発生しないよう、被相続人の意志や相続するべき財産の内容について事前に話し合っておくことが大切です。要点をまとめると下記になります。

・相続の全体スケジュール
→相続が発生した際には、基本的なスケジュールで進めていくことが必要

・相続における3つの形式
→単純承認、限定承認、相続放棄の3種類

・相続の手続き一覧
→死亡届の提出・火葬の実行、遺言書と相続人の確認、相続する財産の調査、相続する方法を選ぶ、財産分割協議を行う、相続税の申告を行う

・相続財産とは
→被相続人に属していた一切の権利義務をさすもの

・遺産分割の進め方
→遺産分割協議の期間は自由、合意が取れない場合は遺産分割調停に移行する、事前に相続人と被相続人同士の合意をとっておく

・遺留分減殺請求
→遺留分減殺請求を行えば、最低限の財産を確保できる

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