2024年3月11日更新会社・事業を売る

M&A・会社売却・事業譲渡が増加している理由とは?経営者が会社売却を決断する理由も紹介

近年、M&A・会社売却・事業譲渡の件数が増加傾向にありますが、その背景には何があるのでしょうか。当記事では、M&A・会社売却・事業譲渡が増えている理由や経営者が会社売却を決断する理由、会社売却の仲介会社を紹介します。

目次
  1. M&A・会社売却・事業譲渡とは
  2. M&A・会社売却・事業譲渡が増加している理由
  3. M&A・会社売却・事業譲渡を経営者が決断する理由
  4. M&A・会社売却・事業譲渡で見られる最も多い理由
  5. M&A・会社売却・事業譲渡における買収側の理由
  6. M&A・会社売却・事業譲渡がうまく進まない理由
  7. M&A・会社売却・事業譲渡を成功させるコツ
  8. M&A・会社売却・事業譲渡の実例と理由
  9. M&A・会社売却・事業譲渡の際におすすめの相談先
  10. M&A・会社売却・事業譲渡が増加している理由まとめ

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M&A・会社売却・事業譲渡とは

近年、M&Aによる会社売却や事業譲渡を行う件数が増加傾向にありますが、その背景にはどのようなものがあるのでしょうか。当記事ではM&A・会社売却・事業譲渡が増えている理由、成功のコツや仲介会社などを解説しますが、まずはM&A・会社売却・事業譲渡の概要を把握しておきましょう。

M&Aとは

M&Aとは「merger and acquisition」を略したもので、日本語では合併買収を意味する言葉です。M&Aには多くの手法があり、代表的なものには株式譲渡・事業譲渡・吸収合併などがあります。

買収や合併はかつて大企業が行うことが主流でしたが、最近では中小企業や個人がM&Aを行うケースも増加中です。M&Aが行われる理由には、事業規模や販路の拡大・新規業界への参入・事業承継などがあり、企業はそれぞれの目的に合った手法を選択して実施します。

会社売却とは

会社売却とは、企業が持っている資産・ノウハウ・人材などのすべてを第三者へ譲渡することで、資産には負債も含まれます。

会社売却で多く用いられる手法は株式譲渡であり、企業が発行するすべての株式を譲渡し経営権を第三者へ移転させます。株式譲渡のメリットは簡便な手続きで経営権の移行ができる点で、非上場企業のM&Aでも活用されるケースが多いです。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業のすべてあるいは一部など範囲を決めて譲渡する方法です。資産・負債・営業権など、譲渡の対象になるものを当事者間で話し合って決めることが可能で、買収側にとっては自社に必要なもののみを得られるメリットがあります。

買収側は負債などを引き継がなくてもよい点も大きなメリットですが、従業員の雇用契約や権利義務は改めて手続きを行わなければならないため、株式譲渡に比べると手間がかかる点はデメリットです。

【関連】M&Aの手法・やり方とは?分類一覧・選ぶ際のポイント・メリット・デメリット、税金も解説

M&A・会社売却・事業譲渡が増加している理由

近年はM&A・会社売却・事業譲渡が行われる件数は増えていますが、その背景にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、M&A・会社売却・事業譲渡が増えている5つの理由を解説します。

  1. 経営者の高齢化
  2. 後継者不在問題の深刻化
  3. M&A・会社売却・事業譲渡が以前からの目的
  4. 事業が好調でも引退したい
  5. 事業売却を経て新規事業へ参入する

①経営者の高齢化

近年は60歳を超える中小企業経営者の割合が多くなっており、東京商工リサーチのデータをもとにした中小企業庁の発表によれば、2017年度における休廃業・解散企業の経営者の平均年齢は68.4歳でした。

多くの中小企業経営者が引退を検討する年齢に達している現状であり、事業承継を目的としてM&A・会社売却・事業譲渡を選択するケースが増加しています。

参考:中小企業庁「2018年版中小企業白書」

②後継者不在問題の深刻化

現在は、少子化などの影響で後継者不足に悩む中小企業の割合が増えています。個人の意思を尊重する思想・風潮が高まっているなどの理由により、事業承継が困難なケースも少なくありません。

また、身内・自社の従業員に後継者となる人物がいても経営者としての能力が十分ではなかったり、長期間の育成が必要であったりするケースもあります。このような背景により、事業承継を目的としてM&A・会社売却・事業譲渡を選択する経営者が増加中です。

③M&A・会社売却・事業譲渡が以前からの目的

もともとM&A・会社売却・事業譲渡を目的として経営を行っていたケースもあります。経営者がリタイアする理由にはさまざまなものがありますが、創業者利益を得て早期リタイアを図るケースも多いです。

【関連】早期リタイアとは?メリット・デメリット 年代別で必要な貯金・資金

④事業が好調でも引退したい

成長期を過ぎて業績が下降に転じてしまうと、買い手からのアプローチ数が減少するため、好調を維持できている間にM&A・会社売却・事業譲渡の実施を検討するケースもあります。近いうちに市場環境の変化が予想されている業種なら、業界再編の波が押し寄せる前に資本力のある企業へ譲渡すれば、業界で生き残る可能性を高めることが可能です。

事業が好調であっても引退したいと考える経営者も多く、経営状態が良好なうちにM&A・会社売却・事業譲渡を行えば、より多くの利益を得て引退できます。

⑤事業売却を経て新規事業へ参入する

いかなる業種でも、市場の飽和・新たな規制の登場・技術革新などにより、今後の成長が見込めなくなるケースもあります。既存の事業では経営を維持できないとすれば、他の事業に目を向ける必要も出てきますが、その際は資金を用意しなければなりません。

自社の事業を売却すればまとまった対価が得られて、事業の資金に充てるなどして新規事業への参入も可能です。

【関連】事業譲渡・事業売却の戦略策定方法まとめ!成功・失敗ポイントは?【事例あり】

M&A・会社売却・事業譲渡を経営者が決断する理由

経営者がM&A・会社売却・事業譲渡を決断する理由には、どのようなものがあるのでしょうか。理由はさまざまですが、高齢・病気・リタイアなどの経営者自身の問題によるもの、会社の存続や発展を目的とするものなどが事例として多いです。ここでは、M&A・会社売却・事業譲渡を経営者が決断する理由を解説します。

  1. 後継者不在問題を解決するため
  2. 引退後の生活費を確保するため
  3. 高齢に伴う健康問題に対応するため
  4. アーリーリタイアを実現するため
  5. 転居するため
  6. 取引先との関係・雇用を維持するため
  7. 新規事業を推進するため
  8. 別事業に集中するため
  9. 自社を存続させるため
  10. 自社を成長させるため
  11. 不採算事業を切り離すため
  12. 資金調達を行うため
  13. 開発費を確保するため
  14. 企業再生を図るため
  15. 代理経営に限界を感じたため

①後継者不在問題を解決するため

M&A・会社売却・事業譲渡などを決断する理由としてまず挙げられるのは、後継者不在問題の解決です。経営者が引退を考えるタイミングになっても親族や自社の社員などに後継者が見つからない場合も多く、株式譲渡や事業譲渡などのM&Aにより会社・事業の経営権を譲り渡すケースは多く見られます。

近年は社外の第三者への事業承継が増えています。親族の意見を尊重したり、経営者としての能力が不十分であったりといった理由で、経営権を社外の第三者に譲るケースも少なくありません。

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②引退後の生活費を確保するため

引退後の生活費を確保するために、M&Aで自社を売却するケースも少なくありません。株式譲渡では経営者(株主)、事業譲渡では会社が売却益を受け取りますが、後者の場合でも経営者は退職金としてまとまった現金を得られるため、引退後の生活費を確保できます。

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③高齢に伴う健康問題に対応するため

自身の年齢や健康を理由にM&A・会社売却・事業譲渡などを決断することも少なくありません。経営者の体力・気力が減退すると、経営の維持自体が難しくなるケースも多いです。

そのようなケースではM&A・会社売却・事業譲渡が有効な手段のひとつであり、会社の業績が保たれているならば、買い手も見つかりやすくなります。高齢などを理由とする会社売却は、新しい分野へ参入を考える企業にとって魅力的に映る案件ともいえるでしょう。

④アーリーリタイアを実現するため

アーリーリタイア(早期リタイア)も、M&A・会社売却・事業譲渡の決断理由の1つです。経営者の中には、将来に不安を感じる場合や、やる気やモチベーションの低下が見られる場合があり、そのような理由で40・50代のうちに会社売却など実施して経営から退くケースもあります。

また、アーリーリタイア生活で第二の人生を楽しむために、会社売却などを行うケースもあります。業績が安定していれば買い手も見つかりやすいため、会社の成長途中で売却を決める経営者も少なくありません。

⑤転居するため

M&A・会社売却・事業譲渡への決断理由として、経営者の転居を理由とするケースもあります。例えば、海外への移住を計画する際、日本国内にある会社経営のすべてを把握することが困難なのは明白です。

そういった理由からM&A・会社売却・事業譲渡を実行されるケースもあります。買収先の候補として、事業譲渡後も社員の雇用を安定させつつ継続してもらえる会社が選ばれるのが一般的です。

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⑥取引先との関係・雇用を維持するため

M&Aによる会社売却や事業譲渡を選択する場合、「取引先との関係や社員の雇用を維持する」理由もあります。株式譲渡によって自社を売却した場合は包括承継となるため、取引先との契約や社員の雇用もそのまま買い手に引き継がれます。

また、事業譲渡の場合は個別承継となるため、買い手と取引先・社員との間で同意が得られれば、新たに契約をする形で引き継ぐことが可能です。

⑦新規事業を推進するため

新規事業などを推進する際の資金調達も理由の1つです。業績が上向きの時に会社を売却できれば、高い売却益が見込めるケースもあります。

会社が大きくなる前に手放すことで資金獲得を狙う場合もあり、得られた売却益を元手に新規事業を始めることも可能です。

経営者のなかには、会社の創設から利益を上げるまでの期間に限り会社経営に携わる方法を取る人もおり、シリアルアントレプレナー(serial entrepreneur)と呼ばれています。

シリアルアントレプレナーは欧米ではポピュラーですが、近年は日本でも徐々に増えてきており、市場を開拓して安定した業績を出すと会社を売却・譲渡し、得られた売却益を元手に新規事業を始めるスタイルを取るのが一般的です。

⑧別事業に集中するため

M&Aにより事業譲渡を行う理由には、別事業への路線変更もあります。第三者へ事業承継し、自社では別の事業に取り組むケースです。これには、競争激化により将来・先行きが読めないことに不安を感じる、労働力不足などの理由が挙げられます。

別事業への転換を望む経営者は、会社に留まった状態で新事業を立ち上げます。このケースは、先のシリアルアントレプレナーとは一線を画すものですが、会社売却や事業譲渡によって新事業のための利益を得る点には変わりありません。

⑨自社を存続させるため

M&Aによる事業承継を選択する理由には、経営者の引退後も会社を存続させることも挙げられます。将来への業界の見通しが不透明では、経営維持にも不安が募ります。そうした理由から、資本力の豊富な大企業、将来への成長が見込めるベンチャーなどを相手先とする売却に注目するケースが多いです。

自身の会社売却を提案して事業承継が成立すれば、買い手企業の力を得られ、会社存続への希望が持てます。

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⑩自社を成長させるため

会社をさらに発展させるために、M&Aで会社売却や事業譲渡を行うケースも多いです。例えば、大手買い手企業の傘下に入れば、資金力を生かした事業展開ができる場合もあります。中小企業には、技術力があっても十分な資本を持っていないことも少なくありません。しかし、大手企業に加われば、その技術を発揮できる環境が整うでしょう。

会社売却により自社の弱点補完を目指すことは、相乗効果を期待しての経営戦略です。関係企業や顧客へのパイプ、商品やサービスの販売力などを手に入れられれば、自社のさらなる成長も見込めます。

⑪不採算事業を切り離すため

M&A・会社売却・事業譲渡を決断する理由の1つとして、不採算事業を売却することも挙げられます。中小企業では豊富な資本を持ち合わせていない場合が多いうえに、不採算事業を抱えることは経営悪化のリスクが高くなることを意味します。

不採算事業の譲渡を行うことで、今後の成長が見込める事業に資本を集中させられ、経営の安定や立て直しを図ることが可能です。そういった理由から、利益の少ないノンコア事業(非中核事業)を売却するケースも少なくありません。

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⑫資金調達を行うため

資金調達のためにM&Aを活用することも可能です。例えば、事業譲渡で会社を存続させつつ、事業の一部を売却するケースが挙げられます。この場合、設備投資や事業拡大などで資金不足が生じた場合でも、事業を売却することで資金の捻出が可能です。

経営危機の局面では第三者割当増資で資金を得ることもあり、新株を発行することで買い手に株を買ってもらう同業者や取引先などから出資を得ることが可能です。これにより、同業者などは経営権の取得により発言を強め、自社の利益を高められます。さらに、大口株主になれば関係強化も実現できるため、双方に利益があるM&Aスキームとなる可能性もあります。

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⑬開発費を確保するため

中小規模の企業では開発費用を十分な確保が難しいケースもあるますが、継続したい事業は残して事業譲渡で特定事業を売却すれば譲渡益を得られます。事業譲渡の場合は会社が譲渡益を受け取る形となるため、得られた資金をそのまま開発費に充てることが可能です。

⑭企業再生を図るため

企業再生もM&A・会社売却・事業譲渡への決断理由です。赤字が続いて資金調達が難しくなった場合、株式譲渡などで企業再生を図る場合もあります。

しかし、買収を行う企業側としては、業績回復が見込める判断ができなければ自社が魅力的には映りません。会社売却が成立するには、事業のテコ入れをすることで収益を見込める会社でなければなりません。

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⑮代理経営に限界を感じたため

経営者がM&A・会社売却・事業譲渡を決断する理由には、代理経営への将来性に限界を感じることも挙げられます。これは、死別した夫(経営者)の代理で、妻などが経営者を務めているケースです。

これまで直接的な経営に携わっていない人物が代表を務めているために、業績が伸びなくなったり低下したりと不振が続いてしまっている状態も見られます。第三者に経営を任せる道を取るために、株式譲渡などの事業承継を通じて同業者などに会社売却を行う場合は少なくありません。

事業譲渡・会社売却のご相談はM&A総合研究所にお任せください!

経営者が個人でM&A・会社売却・事業譲渡を実施するには、非常に手間がかかります。専門的な知識を必要とする場面も多く、望んだM&Aが叶わないこともあるでしょう。

M&A総合研究所では、M&A・会社売却・事業譲渡に精通した経験豊富なアドバイザーが一貫サポートをし、満足できる結果になるようにお手伝いいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、事業譲渡・会社売却をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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M&A・会社売却・事業譲渡で見られる最も多い理由

M&A・会社売却・事業譲渡で見られる最も多い理由は、雇用の維持と確保です。雇用している社員数や企業規模を問わず、買い手に求めるのは社員の契約を引き継いでもらうことだとされています。

2番目に多い理由は会社の規模によって異なり、大手企業の場合は事業や自社の発展中小企業の場合は売却益の獲得です。中小企業では、事業や自社の発展より売却益の獲得を理由とする割合が若干高くなっています。

選択されるM&A手法を見ると、中小企業では事業譲渡を選ぶケースが高い傾向にあり、取引対象を選べることがその理由だと考えられています。不要な資産・負債・契約などを引き継げば買い手の経営にも影響が及ぶため、事業譲渡によってリスクを回避するケースが多いです。

M&A・会社売却・事業譲渡における買収側の理由

ここでは、M&A・会社売却・事業譲渡を行う買収側の理由を3つ紹介します。

①新規事業に参入するため

M&Aによる会社売却や事業譲渡は、買い手にも大きな利点があります。特に、新しい分野に事業を拡大しようと考えている企業にとって、M&Aを利用して事業を買収する方法は、一から新規事業を立ち上げるよりもリスクやコストを低く抑えることが可能です。

この方法を選べば、既に成功している事業から技術や専門知識、顧客網、さらには優秀な人材まで、必要なリソースを一度に得ることができます。

②既存事業を強化するため

自社の事業とよく合う会社や事業を買収することによって、今ある事業を強化することができます。このような買収を通じて、自社のサービスに関連する分野を手に入れることが可能になります。これにより、生産性を高めたり、優秀な人材を確保したり、新しい取引先を通じて事業をさらに発展させたりできます。

③スケールメリットを得るため

他の企業の資産や社員を自社に取り込むことで、自社の大きさを増やすことが期待できます。会社が大きくなると、交渉時の力やブランドの影響力が強まります。これは、大きな規模の利点、いわゆるスケールメリットを享受できることを意味します。たとえば、大量に仕入れることでコストを下げたり、知名度が上がることで広告費を抑えたり、より多くの優秀な人材を引きつけたりすることが可能になります。

M&A・会社売却・事業譲渡がうまく進まない理由

M&A・会社売却・事業譲渡の実施件数は増えていますが、必ずしも成功するとは限りません。この章では、M&A・会社売却・事業譲渡がうまく進まない理由を解説します。

  1. 業種の需要がなくタイミングが悪い
  2. 簿外債務や偶発債務がある
  3. 役員や従業員・取引先が反対している

①業種の需要がなくタイミングが悪い

M&A・会社売却・事業譲渡が成功するためには、業種の需要があるタイミングで実施することが重要です。時期によって買い手の需要が高い業種は異なるため、需要の低い業種だったり需要の低いタイミングに行ったりすると、想定していた結果を得られないだけでなく、買い手自体が見つからない可能性もあります。

②簿外債務や偶発債務がある

貸借対照表に計上されない簿外債務には、未払いになっている退職金・賞与・給与などがあります。偶発債務とは、損害賠償に対する請求や債務保証などです。

売り手が簿外債務や偶発債務を抱えている状態では、買い手は買収後にリスクを負うことが明白になるため、買収を中止するケースが一般的です。簿外債務や偶発債務を抱えているのであれば、M&A・会社売却・事業譲渡は円滑に進まない可能性が高いでしょう。

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③役員や従業員・取引先が反対している

譲渡制限株式を譲渡する際、取締役会を設けている会社では取締役会の承認、取締役会を置かない会社では株主総会で承認を得なければなりません。事業譲渡を行う場合でも取締役会の決議が必要であり、場合によっては株主総会の特別決議も必要です。

取締役会の決議は、取締役の半分以上が出席したうえで過半数の賛成が必要になり、株主総会の特別決議では議決権を有する出席株主2/3以上の賛成が必要です。つまり、一定数の反対意見がある場合は、M&A・会社売却・事業譲渡を行えません。

M&Aが成立する前に情報が漏れてしまうと、従業員の離職や取引の解消などが起こる可能性もあります。役員や従業員・取引先が反対しているケースでは、M&A・会社売却・事業譲渡が円滑に進まない可能性が高いです。

M&A・会社売却・事業譲渡を成功させるコツ

M&A・会社売却・事業譲渡を成功させるためには、どのような点を意識して進めれば良いのでしょうか。この章では、M&A・会社売却・事業譲渡を成功させる5つのポイントを紹介します。

  1. M&A・会社売却・事業譲渡までの準備を入念に行う
  2. 需要がある時にタイミングよく売却を行う
  3. 会社の経営状態が良く、将来性もある
  4. 明確な理由がある
  5. 専門家に相談して実行する

①M&A・会社売却・事業譲渡までの準備を入念に行う

M&A・会社売却・事業譲渡が成立するまでには、事前検討・交渉先の探索と調査・基本合意・買収監査・最終契約など、非常に多くの行程を経なければなりません。スムーズにM&A・会社売却・事業譲渡を進めるためには、企業価値を高めたり・各段階で必要となる強みやデータを資料にまとめたりなど、事前に準備をしておく必要があります。

企業価値評価を行ったり、財務状況を整理・把握したり、個人保証や担保の確認なども行っておかなければなりません。これらの手続きを実際にM&A・会社売却・事業譲渡に動き出してから行うのは効率が悪く、改善ができる部分でも対応が遅れるため、念入りに準備しておくことが大切です。

【関連】M&Aの流れ・手順とは?検討〜クロージングまで図解で徹底解説【M&A担当者・経営者向け】

②需要がある時にタイミングよく売却を行う

M&A・会社売却・事業譲渡を成功させるためには、実施するタイミングも重要なポイントです。先述したように、需要がある時にタイミングよく売却しなければ、希望に合った買い手が見つからなかったり、売却価格が下がってしまったりすることも考えられます。

自社の希望に合ったM&A・会社売却・事業譲渡にするためには、需要がある時にタイミングよく売却が行えるよう、専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。

③会社の経営状態が良く、将来性もある

買い手は、健全な財務状態を維持している企業や、現在はそれほど利益をあげていなくても今後の成長が見込める企業を買収対象に考えます。当事者が同意すればM&Aは成立するとはいえ、特別な事業・技術・ノウハウなどを保有していない限り、債務超過があるなど経営状態が良くない会社は敬遠されがちです。

そのため、売却M&A・会社売却・事業譲渡を行う前に、できる限り財務状況を改善させることも成功のコツといえます。

④明確な理由がある

売却する理由が不明確なまま交渉に臨めば、買い手に対しての説明に一貫性がなかったり、優先条件を見誤ったりする可能性があります。

M&A・会社売却・事業譲渡を行う理由を明確にしておけば、優先すべき条件も見えてくるため、交渉もスムーズに進みやすいです。

⑤専門家に相談して実行する

M&A・会社売却・事業譲渡をスムーズに進めるためには、専門的な知識や正確な動向の把握、状況に合わせた交渉力など、さまざまな要素が必要です。経営者自身が準備をしてM&Aを行うことも不可能ではありませんが、M&A・会社売却・事業譲渡は大きなリスクも伴うため、M&A仲介会社などの専門家に相談して実行しましょう。

M&A仲介会社であれば交渉先探しから・交渉・クロージングまでの一貫したサポートが受けられるため、M&A・会社売却・事業譲渡が成功する確率も高まります。

M&A・会社売却・事業譲渡の実例と理由

ここでは、実際の経営者が行ったM&A・会社売却・事業譲渡の実例を紹介します。

  1. コスミックダイニング(事業規模の拡大・業績向上)
  2. シャープ産業(企業の存在意義・価値の維持)
  3. 富士通エレクトロニクス(競争激化や環境変化への対応)
  4. パイオニア(コア事業への資本集中)
  5. アットフリーク(人材と経験不足の補完)
  6. 森田工産(税金対策)
  7. 雅洞(個人保証の解消)

①コスミックダイニング(事業規模の拡大・業績向上)

とんかつ専門店「かつや」のチェーン展開事業などを行っていたアークランドサービスホールディングスは、2020(令和2)年5月に、冷凍食品製造・販売のコスミックダイニングの全株式を取得して子会社化しました。本件M&Aは、コスミックダイニングが株式90%を保有する清和ヤマキフードの全株式の取得を前提して実施されたものです。

コスミックダイニングが売却に至った主な理由は、アークランドサービスホールディングスの事業基盤の活用や清和ヤマキフードが持つ販路開拓により、事業規模が拡大と業績アップにつながると判断したことが挙げられます。

コスミックダイニング株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

②シャープ産業(企業の存在意義・価値の維持)

2020年4月に、スポーツ用品の製造・販売を行う美津濃(ミズノ)が、スポーツ大会・チーム等の記念品、観戦グッズなどの製造や販売を行うシャープ産業の株式を取得し、子会社化することを発表しました。昨今のスポーツ観戦機運が高まるなか、シャープ産業が美津濃の傘下となることで、事業の規模拡大やブランド向上、両社の研究開発力や製造技術力を生かせるとしています。

シャープ産業株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

③富士通エレクトロニクス(競争激化や環境変化への対応)

半導体や電子部品を取り扱う商社の加賀電子は、2019年の1月に同じ業種の富士通エレクトロニクスを買収して子会社化しました。会社売却でのスキームは、株式譲渡によるM&Aです。富士通エレクトロニクスが会社売却を選択した理由は、近年の業界での競争激化・環境変化とされています。経営統合を図ることで、シェア拡大や経営の効率化を狙った案件です。

④パイオニア(コア事業への資本集中)

2018年の9月、カーナビゲーションシステム、カーオーディオなど車載機器に特化した電機メーカーのパイオニアは、連結子会社が所有する東北パイオニアEGの株式を全てデンソーに譲渡すると発表しました。株式譲渡を決めた理由は、コア事業へ資本を集中させるためです。力を入れているカーエレクトロニクス事業への影響を考慮し、本株式譲渡に至っています。

連結子会社(東北パイオニアEG株式会社)の株式の譲渡に関するお知らせ

⑤アットフリーク(人材と経験不足の補完)

Webサイトの制作や、Webマーケティング業を営むアットフリークは、2017年9月に求人広告業を営むクリエイトへの株式譲渡を行いました。アットフリークが株式譲渡を選択したのは、人材と経験不足を補完し、求人広告業であるクリエイトが求めるWebサービスを補完できると判断した結果です。営業面の強化とシナジー効果を期待し、本件M&Aに踏み切りました。

⑥森田工産(税金対策)

2015年4月に、建設用の資材や器材を製造・販売するエスイーは、有限会社の森田工産から全株式を取得して子会社化しました。森田工産は、同年にエスイーの子会社であるエスイー鉄建に吸収合併されています。森田工産が事業承継を行った理由は、株の相続から起きる高い税負担を回避するためです。そのために経営者は親族内での事業承継ではなく、M&Aによる会社売却に踏み切りました。

有限会社森田工産の株式の取得(子会社化) および同社商号変更に関するお知らせ

⑦雅洞(個人保証の解消)

和菓子の製造販売を行う雅洞は、2011年9月に和食レストランを展開する坂東太郎への経営引継ぎを行いました。現在は、同グループ企業として、各店舗に和菓子の販売コーナーを設置し、売り上げを伸ばしています。雅洞が会社売却を選んだ理由は、個人保証を解消するためです。経営者が高齢になっても後継者が現れず、個人への保証負担に不安を感じていたため、M&Aによる売却で個人保証の解消を実現しました。

M&A・会社売却・事業譲渡の際におすすめの相談先

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M&A・会社売却・事業譲渡が増加している理由まとめ

今回は、M&A・会社売却・事業譲渡が増えている理由や、うまく手続きを進められない理由、手続きを進めるコツなどを紹介しました。M&A・会社売却・事業譲渡はメリットがある一方でリスクも存在するため、専門家のサポートを受けながら適切なスキーム・タイミングで行うことが大切です。

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