2021年12月19日更新会社・事業を売る

M&Aに強い弁護士に依頼する場合の費用相場は?

M&Aは仲介会社に依頼するのが一般的ですが、弁護士に依頼する方法もあります。ただし、弁護士のM&A業務の費用相場はわかりにくい部分もあるので、よく理解して依頼することが大切です。本記事では、M&Aに強い弁護士の費用相場などを解説します。

目次
  1. M&Aに強い弁護士に依頼する場合の費用相場は?
  2. M&A実行時の弁護士の役割と必要性
  3. M&Aのセカンドオピニオンは仲介会社がおすすめ
  4. まとめ

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M&Aに強い弁護士に依頼する場合の費用相場は?

M&Aを行う際の相談先としてはM&A仲介会社が一般的ですが、M&Aに強い弁護士事務所を知っているなら弁護士に依頼するのもよい方法です。

弁護士にM&Aの依頼をする際は、費用相場に注意する必要があります。弁護士のM&A費用相場はM&A仲介会社と同じとは限らないので、費用を把握したうえで相談することが大切です。

この章では、弁護士にM&A業務を依頼した際にかかる主な費用とその相場について解説します。

【弁護士にM&Aを依頼した際にかかる費用】

  1. 相談料
  2. 着手料
  3. 顧問契約料
  4. 契約書作成料
  5. デューデリジェンス料
  6. 成功報酬

1.相談料

相談料とは、弁護士と業務契約を結ぶ前に行う初期相談の費用です。相談料の費用相場は、1時間につき数千円から数万円程度、平均としては1万円くらいとされています。

ただし、弁護士事務所の相談料は無料のことも多いので、費用を節約したい場合は無料相談できる弁護士を探すのもおすすめです。

2.着手料

着手料または着手金とは、弁護士と業務契約を結ぶ際に発生する費用のことです。費用相場は業務内容にもよりますが、例えば離婚や遺産相続の場合は30万円程度、交通事故の示談や裁判では着手金をとらないことが多いといわれています。

M&A関連業務にかかる着手金の費用相場は公開されている情報が少ないですが、M&A仲介会社の着手金の費用相場が数十万円程度であるため、弁護士事務所の費用相場も同程度だと考えられます

【関連】M&Aの着手金とは?相場や会計処理、損金算入できるかどうかを解説

3.顧問契約料

顧問契約料とは、弁護士にM&Aなどの業務を依頼した際に毎月支払う費用のことです。日弁連のデータによると、弁護士の顧問契約料の費用相場は月3万円から5万円程度だとされています。

なお、M&A仲介会社はほとんどが顧問契約料(月額報酬)無料となっており、一部のM&A仲介会社が設定しているのみとなっています。

M&A仲介会社の月額報酬の費用相場は30万円程度といわれており、弁護士の費用相場よりも割高な傾向があると考えられます。

4.契約書作成料

基本合意書や最終契約書など、M&Aに必要な各種契約書の作成を弁護士に依頼した場合は、契約書作成料がかかります。

契約書作成料は取引金額が大きいほど高額になることが多く、費用相場は数万円から30万円程度とされています。

なお、契約書の内容を弁護士立会いのもと当事者に説明をした場合は、その費用が別途1時間数万円程度かかることがあります。

また、弁護士と顧問契約を結んでいない場合は、契約書作成料の費用相場が多少高くなることもあります。

5.デューデリジェンス料

M&Aでは、買い手が売り手企業の詳細を調査するためにデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスには財務・税務などがありますが、法的リスクを調査する法務デューデリジェンスもあります。

法務デューデリジェンスには弁護士のサポートが必要であり、それに伴うデューデリジェンス費用が発生します。

法務デューデリジェンスの費用相場は、調査内容やM&Aの規模などによって変わりますが、おおむね数十万円から数百万円程度とされています。

【関連】デューデリジェンスとは?M&Aでの流れや進め方、必要な資料・期間・費用をわかりやすく解説

6.成功報酬

弁護士の成功報酬は、民事裁判などの場合は回収金額から一定の割合が請求されますが、M&Aの仲介業務を依頼した場合は「レーマン方式」というシステムで料率が決めるのが一般的です。

レーマン方式とは、M&A成約による譲渡価格や移動総資産から、下の表に示したような料率で費用が発生するものです。大規模なM&Aになるほど、手数料率が低くなります。

【一般的なレーマン方式の料率】

譲渡価格・移動総資産 手数料率
5億円以下の部分 5%
5億円超から10億円以下の部分 4%
10億円超から50億円以下の部分 3%
50億円超から100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

M&A実行時の弁護士の役割と必要性

M&A業務を弁護士に依頼する際は、M&Aにおける弁護士の役割と必要性を踏まえて、費用に見合うサポートが受けられるようにすることが大切です。この章では、M&A実行時の弁護士の役割と必要性について解説します。

M&A実行時の弁護士の役割

M&A実行時の弁護士の役割には、法の専門家としてのアドバイス・各種契約書の作成など、以下の4つが挙げられます。

弁護士からこれらのサポートを十分に受けるにはそれなりの費用がかかりますが、M&Aを成功させるためには積極的に活用することが大切です。

【M&A実行時の弁護士の役割】

  1. 法の専門家としてのアドバイス
  2. 各種契約書の作成
  3. 法務デューデリジェンス
  4. M&Aの包括的なサポート

法の専門家としてのアドバイス

M&Aを行うためには、さまざまな法律を遵守する必要があります。各種法律に違反していないか確認し、滞りなくM&Aが行えるようにアドバイスするのは、弁護士の重要な役割の1つです。

例えば、従業員の雇用に関して労働法上の問題がないか確認したり、金融証券取引法にのっとった情報開示がされているかのチェックを行います。また大規模なM&Aの場合は、独占禁止法にのっとっているか確認することも重要です。

こういった法律面でのサポートは、弁護士と顧問契約を結んで依頼する方法のほか、雇用契約を結ばず単発でアドバイスのみ求めることもできます。費用面ではアドバイスのみ求めるほうが安くなります。

各種契約書の作成

M&Aの手続きでは、秘密保持契約や最終契約書など法的拘束力のある書類を作成するので、弁護士のサポートを得ることが不可欠です。

各種契約書類の作成には、別途費用がかかるのが一般的です。費用相場は契約書類により違いますが、おおむね数万円程度のことが多く、書類の種類や内容によっては十万円以上の費用がかかることもあります。

弁護士と顧問契約を結んでいる場合は、契約書類の作成費用が免除されたり、減額されることもあります。費用相場は弁護士事務所により違うので、利用する弁護士事務所に問い合わせて確認するようにしましょう。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは弁護士でなければ行うことが難しいので、しっかりと費用をかけて実施する必要があります。

デューデリジェンスの費用相場は安くても数十万円程度、場合によっては100万円以上かかるのでコスト面で大きな負担になりますが、M&Aを成功させるためのポイントとなる行程なので、無理な節約はしないことが大切です。

一般的なM&Aでは、法務デューデリジェンスは買い手が売り手に対して行うので、費用は買い手企業が負担することになります

M&Aの包括的なサポート

弁護士はM&A仲介会社ではないので、仲介業務は基本的に行いません。また、全ての弁護士が必ずしもM&Aの専門家というわけではありません。

しかし、弁護士事務所のなかにはM&Aに力を入れていたり、M&Aに強い弁護士が在籍しているところもあります

法律の専門家である弁護士によるM&Aの包括的なサポートは、M&Aを行う経営者にとって非常に力強い存在となります。

【関連】M&Aにおける弁護士の役割

M&A実行時の弁護士の必要性

M&Aは必ずしも弁護士に依頼する必要はなく、M&A仲介会社や事業引継ぎ支援センターを利用したり、マッチングサイトを利用して自分で行うことも可能です。

しかし、法律の専門家である弁護士のサポートを受けることは、M&Aを行ううえで大きなメリットを得ることができます。

【M&A実行時の弁護士の必要性】

  1. 法の専門家としてのサポートが得られる
  2. 弁護士としての交渉力が得られる
  3. ネットワークを活用できる

法の専門家としてのサポートが得られる

M&A仲介業務は公認会計士や税理士が行うことが多いですが、法律全般についての知識はやはり弁護士のほうが優れています。

M&Aはたとえ良い売買相手に出会えても、独占禁止法や労働法といった法律面で問題が発生してしまうと、M&Aを成功させることはできません。

M&Aを行う際は弁護士費用をしっかりとかけて、法の専門家としてのサポートを得ることが不可欠といえます。

弁護士としての交渉力が得られる

弁護士は普段から債権回収や紛争解決など、交渉力が求められる業務を行っています。

M&Aにおいても弁護士の交渉力を活用すれば、活用しない場合に比べて有利に交渉を進めることができます。

ネットワークを活用できる

弁護士は顧客やM&A仲介会社などのネットワークを持っているので、M&Aにおいてこれらのネットワークを活用することができます

弁護士は基本的にM&A仲介業務は行いませんが、もし優良なM&A仲介会社とネットワークがある場合は、その仲介会社を紹介してもらえることもあります。また、M&Aに強い公認会計士や税理士を紹介してもらえる場合もあります。

M&Aのセカンドオピニオンは仲介会社がおすすめ

弁護士にM&A業務を依頼するのもよい選択肢ですが、弁護士は必ずしもM&Aの専門家とは限らないため、適切なサポートが受けられない可能性も考えられます。

このような事態に備えて、別なM&A仲介会社にも同時に依頼してセカンドオピニオンを得ておくと、リスクを軽減することができます。

M&A総合研究所は、セカンドオピニオンとしてもご活用いただけるM&A仲介会社です。さまざまな業種でM&A実績のあるアドバイザーが在籍しておりますので、最適なアドバイスを提供するとともに、豊富な案件から条件に合ったM&A先をお探することもできます。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談は随時受け付けておりますので、M&Aのセカンドオピニオン先をお探しの経営者様は、お電話かメールでお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

M&Aのサポートは弁護士にも依頼できますが、M&Aに強い弁護士に依頼した場合の費用相場は各事務所によって違い、非公開のところもあります。

弁護士にM&Aを依頼する場合は、まず電話で問い合わせるか初期相談を利用するなどして、その事務所の費用相場を確認しておくことが大切です。本記事の概要は以下のようになります。

・弁護士にM&Aを依頼した際にかかる費用
→相談料、着手料、顧問契約料、契約書作成料、デューデリジェンス料、成功報酬

・M&A実行時の弁護士の役割
→法の専門家としてのアドバイス、各種契約書の作成、法務デューデリジェンス、M&Aの包括的なサポート

・M&A実行時の弁護士の必要性
→法の専門家としてのサポートが得られる、弁護士としての交渉力が得られる、ネットワークを活用できる

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