2024年8月27日更新会社・事業を売る

デューデリジェンスとは?種類や流れ、費用の相場、注意点をわかりやすく解説

デューデリジェンスとは、投資対象の価値やリスクを調査する活動のことです。M&Aでは、最終契約書の締結前に対象企業を調査することで不確定要素を減らせます。本記事では、デューデリジェンスの種類やM&Aでの流れ、注意点などについて解説します。

目次
  1. デューデリジェンスとは?
  2. M&Aにおけるデューデリジェンスの流れ
  3. M&Aでのデューデリジェンスの進め方
  4. デューデリジェンスを実施する際に必要な資料
  5. デューデリジェンスの期間
  6. デューデリジェンスの費用
  7. M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性
  8. デューデリジェンスを実施する際の5つの注意点
  9. デューデリジェンスを成功させる3つのポイント
  10. デューデリジェンスの相談先
  11. デューデリジェンスのまとめ

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デューデリジェンスとは?

M&Aは高額取引になることが多いため、成功率を上げるために入念に準備を進めましょう。特にM&A対象の価値やリスクはM&A交渉の土台になるので、売却側と買収側の認識を一致させなくてはなりません。そのための準備の一環として重要な流れがデューデリジェンスです。

デューデリジェンスとは、投資対象の価値・リスクを調査する活動のことです。該当分野に対応する専門家が実地調査をすることで、資料と実態に差異がないか徹底的に確認します。

さまざまなビジネスシーンで活用されていますが、特に多いのはM&Aや不動産売買です。基本的にどちらも高額取引になるため、対象企業調査や物件精査を行って公正な取引の実現を目指します。

【関連】M&Aのデューデリジェンスとは?目的や注意点、費用、種類、進め方を解説| M&A・事業承継の理解を深める

デューデリジェンスの目的とM&Aとの関係性

デューデリジェンスはM&Aの成否を分けるといっても過言ではないほど関係性があります。特に深い関係性がみられるのは以下の5点です。

【デューデリジェンスの目的とM&Aの関係性】

  1. 会計帳簿をチェックした企業価値評価
  2. M&Aの必要性を示す目安
  3. 問題の分析
  4. 最終契約の内容に結果を反映
  5. 買収後の経営についての確認

会計帳簿をチェックした企業価値評価

企業価値評価とは、特定企業の価値やその株式価値を計算するための評価方法のことです。企業価値はM&Aの価格交渉の土台になるので、適切な企業価値評価が必要になります。

会計帳簿は会社の資金の流れを詳しく記載している帳簿なので、企業価値評価に必要な資産・負債を把握するのに最適な資料です。

M&Aの必要性を示す目安

M&A取引の最終決断を行う前に本当にM&Aの必要性があるのか確認しておくことも大切です。そこで、デューデリジェンスで企業経営に必要な利害関係者を明確にさせます。

M&Aにおける利害関係者は株主や顧客、従業員などです。これらの関係性を維持したまま実行できるM&Aでなければ、M&Aを行う必要性は低い判断がくだされます。

M&Aの対象会社について客観的な調査を行うことで、対象会社の利害関係者を明確にでき、M&Aで得られるメリットやリスクを浮き彫りにできるのでM&Aの必要性を示せるのです。

問題の分析

デューデリジェンスの重要な役割の一つに、M&A対象が抱える潜在リスクを見つけることがあります。ここまで見えていなかった問題点が見えるので、M&A成約に向けて進める際に、具体的な対処法を考えるのに役立つでしょう。

M&Aにおける問題点の代表格としては、簿外債務があります。現金主義の会計処理を行っている場合は経常的に簿外債務が発生するため、M&A対象会社の簿外債務の有無およびその内容を正確に把握しましょう。

最終契約の内容に結果を反映

M&A対象の価値・リスクを把握した後は、M&Aの交渉内容に反映させます。M&Aの中盤で作成・締結している基本合意書に結果を反映させることで、M&Aの最終契約書が完成します。

具体的な修正内容は、許容できるリスクに関しては取引価格の引き下げ、許容できないリスクに関しては遮断(拒否)などです。M&Aが成立してからでは交渉できませんので、最終契約書の締結前に正確な価値・リスクを把握して契約内容を確定させましょう。

買収後の経営についての確認

精度の高い調査で収集した客観的な情報は、買収後の統合プロセスにおいて有効に活用できます。統合プロセスがうまくいけば、M&Aのシナジー効果を発揮しやすくなり、M&A買収の目的が達成される確率も高まります。

しかし、問題点を把握しないままM&Aを実行すると、買収後の方針を定められないため統合プロセスの成功も期待できません。M&Aに求めていたシナジー効果も弱まってしまいます。結果として、M&Aが失敗に終わる確率も高くなるでしょう。

デューデリジェンスによって把握できた問題点については、事前に対策を講じられます。基本的に問題やリスクを全く抱えていない会社はないので、買収後の経営安定のためにデューデリジェンスは欠かせません。

デューデリジェンスの種類一覧

デューデリジェンスは調査の目的や視点によってさまざまな種類に分類されています。全てを実施する必要はありませんが、関連性や必要性のあるものを選択して効率的に進めていくことが大切です。

【デューデリジェンスの種類一覧】

  1. ビジネスデューデリジェンス
  2. 財務デューデリジェンス
  3. 税務デューデリジェンス
  4. 法務デューデリジェンス
  5. 人事デューデリジェンス
  6. ITデューデリジェンス
  7. セルサイドデューデリジェンス
  8. その他のデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンス

対象会社が属する市場全体を考慮したうえで行う調査です。市場全体における対象会社のポジションを把握することで、将来性を判断します。

マーケット分析やビジネスモデル分析などいろいろな分析を行いますが、特に重要なのはSWOT分析です。外的脅威に対する「外部環境分析」と、内的脅威に対する「内部要因分析」を徹底することで課題を浮き彫りにして、方向性を定めます。

財務デューデリジェンス

対象会社の財務状況についての調査です。貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を参考にし、経理処理ミスあるいは不正取引がないかを確認します。

財務諸表が正常であることが確認できれば、正常な収益力や将来的に期待できる収益を明確にできます。正確な財務データは、取引価格の調整やM&A手法の立案などに役立てられるでしょう。

税務デューデリジェンス

対象会社の税務リスクに関しての調査です。M&A前の税務申告が適正に行われているか、M&A後に課せられる税金はいくらになるかという観点から調査を行います。

M&A以前の申告漏れがM&A後に発覚した場合はペナルティが課せられることもあるので、成約前に確認しておく必要があります。

節税効果の高いM&A手法を選択するための意味合いも強いです。M&A手法次第では繰越欠損金を引継ぎできないこともあるため、適正な調査で正確に把握しましょう。

【関連】M&Aで税理士が担う役割とは?業務内容、報酬相場、相談するメリット、選び方も徹底解説| M&A・事業承継の理解を深める

法務デューデリジェンス

対象会社の法務リスクに関する調査です。事業に関する許認可や債権・債務、紛争訴訟などの分野において重大な法的リスクを抱えていないかを確認します。

法的リスクを認識しないままM&Aを成約してしまうと、M&A後の対応に多大な時間と費用を要します。事前に法的リスクを認識し、許容範囲や対応について協議しましょう。

人事デューデリジェンス

対象会社の人事制度や人材マネジメントに関する調査です。従業員数や人件費などの基本内容、評価制度や教育、昇進昇格など人事にかかわること全てが調査対象となります。

人事領域のリスクを把握しておくことで、M&Aで獲得した人材を有効活用しやすくなります。特に会社経営には人材が必要不可欠なので、重要性が高く準備を整えておくことが重要です。

ITデューデリジェンス

対象会社の情報・管理システムに関する調査です。IT資産の状態を把握することで、システム改修や、将来的に実施するシステム統合に必要な情報を確保できます。

M&Aにおいてはシステムのライセンス費用などにも注意が必要です。企業向けシステムのライセンス費用は会社の規模で変わる形態が一般的であるため、M&Aによりライセンス費用が高くなり、全体のコストが増加することも珍しくありません。

セルサイドデューデリジェンス

売却側が費用を負担して行う調査です。

セルサイドデューデリジェンスでは、買収側が行うデューデリジェンスと同じく専門家へ依頼し、売却側が資料を準備したり質問事項に前もって対応したりして、スムーズにM&A成立が進むよう対策します。

セルサイドデューデリジェンスにより、売却側は自社における問題点なども把握できるでしょう。

その他のデューデリジェンス

ここまで取り上げてきたもの以外で、M&Aシーンで行われることが多いのは、不動産デューデリジェンスです。企業の資産には土地・建物などの不動産が含まれていることが多いため、不動産に関する調査も欠かせません。

不動産の利用価値はさまざまですが将来的な収益に大きく貢献することがほとんどです。不動産の時価は周囲環境や地価などにより常に変動しますので、専門家による物件精査を行い、リスク確認を行いましょう。

他には、土壌汚染や大気汚染、アスベストなど環境周りの調査です。近隣とのトラブルを招きやすいほか、汚染を発生させた企業に汚染回復責任が問われてしまいます。

環境問題への対応コストは肥大化することが多いです。適切な対応を取るためにも、必要となるコストを事前に把握しなくてはなりません。

M&Aにおけるデューデリジェンスの流れ

デューデリジェンスにはいろいろな目的や役割がありますが、具体的な進行方法はどのようになっているのでしょうか。この章では、M&Aの流れの中でデューデリジェンスに関連する手続きに関して解説します。

【M&Aの中でデューデリジェンスが必要な流れ】

  1. 買収先への資料の開示請求
  2. 買収先の資料から事前分析
  3. 買収先によるマネジメントインタビュー
  4. 契約書の作成

買収先への資料の開示請求

まずは、買収側は売却側に対してデューデリジェンスの判断材料となる資料の開示請求を行います。現段階では調査対象に関連する資料がまったくないため、円滑に進行するために資料を提供してもらうのです。

M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性は売却側も認識しているとはいえ、資料準備には大変な苦労を伴います。売却側より対応する資料を受け取ったら第一段階目は完了です。

買収先の資料から事前分析

関連資料を受け取ったら、資料に不備や不足がないか資料精査を行います。請求した資料に対応するものが足りない場合は、早期に再度請求しておくとスケジュールの遅れを最小限に抑えられるでしょう。

資料が整ったら、M&Aのシナジーやリスクに重点をおいて事前分析を行います。ここで行う分析は、M&Aの取引価格や最終契約書の作成に大きく影響を与えるでしょう。

買収先によるマネジメントインタビュー

デューデリジェンスの大まかな方向性が定まったら、買収側が売却側に対してマネジメントインタビューを実施します。提供資料だけでは判断しかねる情報に関して、M&A担当者や該当分野の役員を中心としてインタビューで補完します。

直接の質疑応答は不確定要素を減らすことにもつながるので、M&A後の統合プロセスに具体性を持たせられるでしょう。

契約書の作成

ここまでの調査が完了すると、専門家により調査報告書が作成・提出されます。受け取った調査報告書を基にM&Aの条件等を煮詰めて最終交渉に臨むのです。

最終交渉がまとまったら、調査・分析で得られた内容を基に契約内容を見直して最終契約書を作成します。基本合意書の内容から、取引価格の見直しや交渉内容の修正を行いましょう。

基本合意書は法的な効力は持たせないのが一般的ですが、最終契約書は全ての条項において法的効力を持たせます。締結後は一方的に破棄できないので慎重に協議してください。

契約書の作成と同時に、M&A後の事業展開に関しても運営方針を固めておくことが大切です。計画性が不十分の場合は、事業展開がうまくいかずシナジー効果を得られにくくなります。

M&Aでのデューデリジェンスの進め方

デューデリジェンスの進め方に関しては、まずはM&Aの全体の流れを把握することが大切です。一般的なM&Aにおいて、デューデリジェンスの位置づけは下記になります。

【一般的なM&Aの流れ】

  1. M&Aの専門家に相談
  2. M&A先の選定・交渉
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング

M&A先との交渉を経て基本合意書の締結に至り、デューデリジェンスを実施してM&A対象の価値・リスクを調査します。

デューデリジェンスは大がかりな調査になるので、売却側と買収側の協力が必要不可欠です。基本合意書の締結段階で、独占交渉期間やデューデリジェンスの協力体制について取り決めなくてはなりません。

多大な費用と時間を要することからも、双方の意思確認やスケジュール進行の共有を図っておく必要があります。これらの調整を行うタイミングは、基本合意段階が適切です。

調査が完了したらデューデリジェンスの調査結果を基本合意書に反映させて最終契約書を作成します。後は最終契約書の内容に従ってクロージングを実施し、M&A完了です。

【関連】M&Aのプロセスとは?準備から交渉・PMIに至るまでわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

デューデリジェンスを実施する際に必要な資料

M&Aのデューデリジェンスを円滑に進行させるためには、関連資料が必要不可欠です。売却側は買収側の資料請求に速やかに対応することが求められるので、事前に必要資料を用意しましょう。

デューデリジェンスの必要な資料は実施するデューデリジェンスの種類によって変わりますが、おおむね共通して必要になる資料は下記です。
 

書類名 備考
会社案内 会社方針や事業内容などの簡単な概要
会社沿革 会社のこれまでの歩みを簡潔にまとめたもの
役員経歴書 役員以外の重要な役職も対象になることがある
商業登記簿謄本 商人に関する取引上重要な一定の事項が記載されたもの
法務局で取得可能
定款 法人の目的・組織・活動などの基本規則を定めたもの
法務局・公証役場で取得可能
組織図 会社の規模が一定を超えると必須
株主名簿 株主に関する基本情報が記載されたもの
従業員名簿 従業員に関する基本情報が記載されたもの

上述した資料は必要最低限の資料です。実際のM&Aにおけるデューデリジェンスでは上記資料に加え、実施するデューデリジェンスに対応する資料が別途必要になります。

財務デューデリジェンスであれば、貸借対照表や損益計算書など財務諸表のほか、出資証券や保険証券、固定資産税課税明細書などの資産勘定に関する資料が必須です。

事業デューデリジェンスであれば、原価・経費に関する管理資料や、顧客別の売上高帳簿などの販売に関する管理資料などが必須です。

デューデリジェンスの範囲に応じて必要な資料も変化しますので、M&A戦略策定段階から専門家を交えたうえで検討しておくなどの対策も必要でしょう。

デューデリジェンスの期間

M&Aにおけるデューデリジェンスは基本合意書の締結後に実施されます。現段階までの交渉内容を参考に、調査が必要な分野や必要コストを考慮したうえで最終的な範囲を決定します。

デューデリジェンスの調査自体は短期間で終わることもありますが、長引くこともあるでしょう。財務や法務などの各分野を同時進行するのが一般的なので、事前準備が十分にできている場合は2週間もあれば全て完了します。

ただし、デューデリジェンスに必要な資料の準備が不十分であったり、対象会社の規模が大きかったりする場合は、必要以上に期間を要することもあります。

詳細なスケジュールに関してはM&Aの状況や調査を担当する専門家によって変わるので、相談先の専門家と打ち合わせを進めておくと計画的にM&Aを進行できるでしょう。

【関連】買収監査(デューデリジェンス)とは?意味やM&Aでの活用、必要書類を解説

デューデリジェンスの費用

デューデリジェンスは該当分野における専門的な知識が必須なので、弁護士や会計士などの専門家に依頼するのが一般的です。そのため、依頼する専門家に応じた費用がかかります。

デューデリジェンスの費用に関しては、専門家によって異なるうえ、会社の規模によっても調査範囲が変動するため、定額費用ではなく時給制を提示している専門家も少なくありません。

弁護士の法務デューデリジェンスの相場は、一人当たり時給2万円~5万円です。1日8時間の調査を依頼すると法務リスク調査だけで16万円~40万円の費用がかかり、実際には複数の弁護士でデューデリジェンスを行うので、非常に費用がかかります。

法務以外の調査も必須であることを考慮すると、中小企業のM&Aにおけるデューデリジェンス費用は安く抑えても50万円~300万円前後はかかると予測されます。

M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性

M&Aにおけるデューデリジェンスの目的は、M&A対象の適正な価値を把握することです。客観的な情報により価値・リスクを把握して買収価値があると判断されれば、心置きなくM&A買収に踏み切れます。

中には、かかる期間や費用の面から、デューデリジェンスの省略を検討する企業も少なくありません。しかし、潜在的なリスクが含まれていた場合に受ける被害は、デューデリジェンスの費用とは比較にならないほどの規模になることが多いです。

全種類のデューデリジェンスを実施するのは負担が大きすぎるので、相談先の専門家との打ち合わせにより必要な分野に絞って可能な範囲で実行しましょう。

デューデリジェンスを実施する際の5つの注意点

デューデリジェンスを円滑に進行させるためには、いくつかの注意点に気を付ける必要があります。特に注意するべきポイントは以下です。
 

  1. チェックリストを活用する
  2. デューデリジェンスを実施するタイミング
  3. 事前の計画を立案する
  4. 買収額に見合った規模・費用で行う
  5. 開示された情報の管理を徹底する

チェックリストを活用する

デューデリジェンスの調査範囲は多岐に渡ります。無計画に調査を行っても、時間や費用をかけた割に成果を得られなかったというケースも少なくありません。

また、専門家に支払う報酬が時給制の場合は調査期間が長引くほど費用も増大してしまいます。M&A成約前に軍資金が尽きてしまう恐れがあるので、円滑な進行を心掛けなくてはなりません。

その際は、チェックリストの活用が効果的です。デューデリジェンスはある程度標準化されたチェックリストがあるので、それを基にして調査・分析を行うと円滑に進行できます。

デューデリジェンスを実施するタイミング

デューデリジェンスの重要性を考えると早期に実施した方がよいと考えるケースもあります。しかし、デューデリジェンスの実施タイミングが早すぎると、いくつかの不都合によってM&Aが失敗に終わる可能性があるでしょう。

デューデリジェンスは実地調査が伴うため、従業員や取引先に察知される可能性が高まります。交渉が落ち着いていない段階で誤った情報が出回ってしまうと、憶測を招いてしまいM&Aの進行を妨げてしまいます。

デューデリジェンスの実施タイミングは、基本合意書の締結後が最適です。M&Aに対する双方の意思確認や今後の進行について考えを共有できているので、デューデリジェンスに関しても協力して臨めます。

事前の計画を立案する

デューデリジェンスは基本的に買収側の主導で進行しますが、売却側にも買収側が求めている資料を迅速に提供する大切な役割があります。

迅速に対応するためには、事前計画を立案して必要となる資料の予測を立てることが大切です。買収側から請求を受ける前に準備を進めれば、早期に資料を提供することが可能となり、デューデリジェンスが完了するまでの期間を短縮できます。

買収額に見合った規模・費用で行う

デューデリジェンスを行う際、買収側は、M&Aの規模と費用を考慮してください。買収額に対して調査費用がかなり低い場合は、調査が足りず、リスクを負ってしまうこともあるでしょう。

逆に費用が高すぎる場合は、M&Aが本当に必要なのかが問われます。無駄な買収をしないためにも、買収額に見合った規模・費用で行いましょう。

開示された情報の管理を徹底する

買収側と売却側は秘密保持契約を結び、デューデリジェンスに必要な売却側の情報を得るため、買収側は売却側の内情を知ります。その内容の取り扱いは、慎重に行わなければなりません。

情報が漏れると、秘密保持契約に反したとして、売却側から損害賠償を請求されることもあるでしょう。情報の漏洩が不安な場合は、デューデリジェンスにかかわる専門家や社員も、秘密保持契約を結ぶと良いでしょう。

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デューデリジェンスを成功させる3つのポイント

M&Aの成否はデューデリジェンスの進行にかかっているといっても過言ではありません。デューデリジェンスを成功させるために押さえておきたいポイントは以下の3つです。
 

  1. 正確な情報を資料にまとめる
  2. 顧問税理士などに協力してもらう
  3. M&Aの専門家に相談する

正確な情報を資料にまとめる

デューデリジェンスで提供する資料はM&Aの判断材料になります。売却側が提供する情報が正確ではない場合、M&Aの判断資料にできず、デューデリジェンスの目的は達成されません。

買収側の判断次第ではM&A買収を見送る結果になることもありえるため、客観的なデータを提供するためにも正確な情報をまとめるように努めましょう。

顧問税理士などに協力してもらう

デューデリジェンスは該当分野の専門知識が必要になります。税務や法務などの専門的知識がなければ、調査・分析作業を満足に実施できず、価値・リスクを洗い出すこともできません。

専門家にあてがない場合は、顧問税理士などに相談することをおすすめします。中小企業の場合は日常の税務処理で税理士と顧問契約していることが多いので、会社の内情もよく把握しています。

税理士は財務・税務・事業などのデューデリジェンスに幅広く対応できるので、相談先の候補として最適です。

M&Aの専門家に相談する

デューデリジェンスは、M&Aの専門家に相談する方法も有効です。完全に外部の専門家であれば客観性も高く保てるので、デューデリジェンスで収集する情報の信憑性を高める効果も期待できます。

M&A買収後の事業展開も見据えることが大切です。M&Aの専門家であれば、統合プロセスは得意分野なので具体性のある計画を立案できます。

特におすすめの相談先はM&A仲介会社です。デューデリジェンスの手配を含めた一貫したM&Aサポートが特徴的であり、財務・税務・法務などのあらゆる分野に対応できる専門家です。

【関連】M&Aの費用と相場はどのくらい?仲介の手数料体系や計算方法を解説!

デューデリジェンスの相談先

デューデリジェンスは高い専門性が求められます。該当分野に対応できる専門家でなければ、適切な調査・分析の実施は極めて難しいといえます。

入念な準備や実施タイミングなどの注意点もあります。M&Aの進行はデューデリジェンス以外にも多岐に渡りますので、M&Aの専門家に依頼すると良いでしょう。

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デューデリジェンスのまとめ

デューデリジェンスはM&Aを成功させるうえで欠かせない工程です。M&A対象の適正な価値を調査することは、M&A後の経営を安定化させることにもつながるため、計画的に臨む必要があります。

デューデリジェンスを円滑に進行するためには専門的な知識や入念な準備が必要です。その際は、外部の専門家に相談し、協力を仰ぐことをおすすめします。

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