M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年9月22日更新会社・事業を売る
ノンネームとは?意味や役割、作り方の流れ・注意点をわかりやすく解説
ノンネームとは、譲渡対象の企業名を伏せたまま概要を要約したものです。ノンネームは、売却を検討している企業を特定させないため、業種や企業規模、譲渡理由などのポイントに絞って記載します。本記事では、ノンネームの役割や作り方を解説します。
ノンネームとは?
M&Aが成約するまでには、譲渡側・譲受側の意思確認や交渉内容の取り決めなどを目的として、さまざまな書面や契約書を取り交わします。
M&Aの初期段階で作成・提出する書面のなかに、ノンネームと呼ばれるものがあります。その名の通り、匿名性を持つ書面ですが、企業概要を要約したものでM&Aの進行を手助けする重要な役割を持っています。
ノンネームとは、M&Aの譲渡対象の企業名を匿名状態にしたまま簡単な企業概要を記載したものです。
企業名を特定されることを防止するため内容を簡潔に1ページに収めることが多く、「一枚もの」と呼ばれることもあります。
ノンネームはM&A仲介会社を介して、譲渡企業より譲受企業に対して提出します。詳細な内容を記載すると譲受企業から特定されるリスクがあるため、簡潔にまとめつつ自社の特徴を分かりやすく伝えることがポイントになります。
社名特定によるデメリットは、情報漏洩リスクが高まることです。M&Aによる売却を検討していることが外部に漏れてしまうと、従業員や取引先に要らぬ憶測を呼んでしまう恐れもあります。
ノンネームを通して譲受企業が興味を示したら、秘密保持契約を締結したうえでネームクリアします。秘密保持契約とは、取引で開示する秘密情報の目的外使用を制約するために締結する契約書です。
ノンネームの目的
ノンネームを用意するのは、候補先会社への初期提案として交渉を打診するためです。この時点では実際にM&Aの交渉へ進むかは不明なため、譲渡希望会社は情報漏えいするリスクを考え概要のみを記載します。
大まかな内容のみ記載するのは、譲渡企業が特定されるリスクを下げるためです。もし、自社を売却しようと考えていることが初期の段階で周囲へ伝わってしまうと、従業員流出や顧客との取引中止にもつながりかねません。また、自社の企業価値評価が下がる可能性もあります。
ネームクリアとは
ネームクリアとは、ノンネームで伏せていた企業名を譲受企業に対して開示することです。M&A交渉を進めるためには詳細な企業情報が必要になるため、秘密保持契約により安全性が担保された段階でネームクリアします。
ネームクリアは、譲受企業がM&A買収に対して前向きな姿勢であることを意味していますが、M&Aの成約が確定したものではありません。ネームクリアで公開される企業概要や以降の交渉次第では、M&Aが破断になることもあります。
IM(企業概要書)との違い
IM(企業概要書)とは、譲渡企業の詳細な概要を記載したものです。ノンネームで興味を持った譲受企業がさらに検討を進めるために、譲渡企業側はIM(企業概要書)で詳細な情報を提供します。
IM(企業概要書)には、社名や売上高などの会社概要から、会社資産や譲渡理由まで幅広く記載します。譲渡企業の強み・魅力をアピールする役割があるため、通常は開示しないような情報も記載されることが多いです。
独自に保有する技術・ノウハウなども載せるため、秘密保持契約で秘密情報の扱いについて取り決めておくことが大切です。
数十ページにも及ぶ書類となるので、1ページ分のノンネームと比較すると、作成に労力や時間がかかります。事前に会社資料がまとまっている場合は1〜2週間で作成できることもありますが、通常は1ヵ月前後かかることが多いです。
M&Aにおけるノンネームの役割とは
ノンネームの役割は、秘匿性を持ったまま譲受企業にM&Aを打診することです。M&Aの売却先を探すためには、なるべく多くの譲受企業とコンタクトを取る必要がありますが、打診段階で社名を公開すると情報漏洩のリスクが高くなってしまいます。
そのため、M&A仲介会社などのM&Aの専門家を介して、ノンネームで情報公開範囲を限定しながら複数の譲受企業に買収検討を行ってもらいます。
ノンネームによる買収検討で反応を示す譲受企業が現れたら、秘密保持契約を締結した後、IM(企業概要書)を提供します。ノンネームで伏せていた社名や詳細な概要を記載している書類なので、本格的な交渉を開始できます。
ノンネームの作り方・手順
ノンネームは、匿名状態で譲受企業にM&Aを打診するための書面です。譲渡企業と譲受企業が直接やり取りするわけにはいかないので、まずM&A仲介会社の仲介サポートを依頼することから始めます。
M&A仲介会社とM&A仲介のアドバイザリー契約を締結したら、M&Aの方針を決定します。M&Aの目的や条件、譲渡希望価格などの情報を共有してM&A戦略を策定します。
M&Aの大まかな方向性が定まったら、M&A相手を探すために譲受企業に提出するノンネームを作成します。
【ノンネームの作り方・手順】
- M&A仲介会社へ相談
- M&A仲介会社とアドバイザリー契約の締結
- M&A戦略の策定
- ノンネームの作成
- ノンネームの提出&M&A相手の選定
ノンネームの記載事項
ノンネームは、譲渡候補会社へ興味を持ってもらうための重要な書面です。情報漏えいのリスクを考慮し、ノンネームには自社が特定される内容は記載しませんが、ノンネームによって相手先候補が決まるため自社の強みや魅力を伝える必要があります。
以下は、ノンネームシートに記載する項目です。
- 業種
- 所在地
- 資本金
- 業歴
- 売上高
- 経常利益
- 従業員数
- 譲渡の理由
- 企業の特徴
- 希望するM&A手法
- 希望する譲渡額
ノンネームが活用されるタイミング
ノンネームの活用タイミングは、本格的なM&A交渉に入る直前です。匿名状態で譲受企業を探すために活用するので、M&A仲介会社に委託した直後に作成します。
ノンネームに記載するの概要のみなので短時間で作成できますが、直後に必要になるIM(企業概要書)は詳細な情報を記載するため、1ヵ月前後の作成期間を要することが多いです。
ノンネームで買収検討した譲受企業より反応が得られた場合は、IM(企業概要書)を提供することになります。即座に提供できる状態が望ましいので、ノンネームと一緒にIM(企業概要書)も準備しておくとよいでしょう。
ノンネームを作成する際の注意点
ノンネームを作成する際の注意点を解説します。
自社の特定につながる情報は記載しない
ノンネームは匿名状態で譲受企業を探せるメリットがある一方、複数の企業に対して情報提供することになるため、業種や企業規模などから社名を特定されるリスクもあります。
特に地方の場合、業種によっては事業者数が限定されることも多いため、限られた情報だけで特定されてしまうケースも考えられます。
特定されるのも防ぐためには、都道府県を明記するのではなく、地方(近畿地方、東北地方など)で記載するなど、あえて内容をぼかす方法が有効です。
ただし、内容が曖昧すぎるとM&A相手から関心を持たれにくくなるという問題もあります。M&Aが長期化すると売却するタイミングを失ってしまう可能性もあるので、なるべく早い段階で交渉プロセスに移行するのが望ましいです。
ノンネームでは、特定されない範囲に情報を抑えつつ、自社の魅力・強みを伝える必要があります。記載内容に関しては、M&A仲介会社と相談しながら決定することをおすすめします。
M&Aスキームを限定する
ノンネーム作成際は、M&Aスキームを限定しましょう。ノンネームシートに希望の譲渡方法が記載されていないと、譲受側は会社を売る意思がまだないと考えてしまう可能性もあります。ノンネームにはM&Aスキームを記載しておくと譲受側がよりイメージしやすくなるでしょう。
ノンネームの提出先を絞る
多くの企業にノンネームシートを提示すればM&Aが成功しやすくなるかもしれませんが、一方で情報漏えいのリスクを高めることにもなります。したがって、ノンネームの提出先を絞ると情報漏えいのリスクを下げられ、結果的に円滑な売却にもつながるでしょう。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
ノンネームは、譲渡企業と譲受企業の橋渡し役を務める大切な書面です。適正な内容に仕上げなければ交渉の場に進めることも難しくなるため、M&A仲介会社のサポートを受けることをおすすめします。
M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介を行っているM&A仲介会社です。中堅・中小規模の案件を得意としており、M&A仲介における豊富な実績を持っています。
M&Aの経験・知識が豊富なアドバイザーがご相談からクロージングまで丁寧にフルサポートいたします。
当社には弁護士も在籍しておりますので、ネームクリア直前の秘密保持契約の締結や各種契約書の締結など、法務が関わる場面でも安心して進めていただくことができます。
なお、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談は随時お受けしています。M&Aにお悩みの際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。M&A経験豊富なスタッフが親身になって対応させていただきます。
ノンネームのまとめ
ノンネームは、M&Aを進めるうえで欠かすことができない書面です。初期段階で必要になるので、早急に作成しなくてはなりませんが、内容が不完全だとM&A相手がみつかりにくくなる可能性もあります。
ノンネームの効果を最大限に発揮するためには、簡潔な内容ながらも相手に魅力が伝わる内容にする必要があります。作成の際は、専門家のサポートを受けつつ進めるとよいでしょう。
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