M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月23日更新会社・事業を売る
M&Aにおける企業価値と株式価値の違いとは?評価方法や向上施策を解説
M&Aにおいて、企業価値と株式価値は重要な指標です。企業の買収・合併を成功させるためには、それぞれの違いを理解し、適切な評価を行う必要があります。本記事では、企業価値と株式価値の違い、評価方法、そして企業価値を高めるための施策を解説します。
企業価値とは
まずは、企業価値の意味とM&Aにおける企業価値の評価方法を説明します。
企業価値とは?その意味と重要性
企業価値は読んで字のごとく、その企業全体の価値を示すものであり、企業が持つ事業やキャッシュフロー・株式・資産・負債などを総合的に判断して評価されます。端的にいうと、「企業の魅力度」です。
企業価値は株式価値(株式の時価総額)と混同されがちですが、この両者は異なりますので注意しましょう。株式価値はあくまで株主に対する価値であり、株式の発行済み株式数と株価をかけあわせて算出する自己資本価値と呼ばれる部類に入ります。
つまり、企業価値はその自己資本価値だけでなく、負債の価値や事業価値には含まれない資産なども考慮して評価されるため、決して自己資本価値=株式の時価総額のみによって評価されるものではありません。
企業価値は事業の種類や特性によって評価の手法が異なることが多く、一義的に評価するのは難しい側面もあります。
企業価値は近年その重要性が重視されており、企業の倫理観の確立や社会的責任を拡充することが求められ、評価された企業価値をさらに向上させていく取り組みは、規模を問わずあらゆる企業で行われるべき事柄です。
経営者の方にとって自身が経営する企業の企業価値を正確に評価し、それに応じた戦略を組み立てることは必要不可欠です。
M&Aにおける企業価値評価の3つのアプローチ
M&Aにおける企業価値評価は、主に以下の3つのアプローチを用いて行います。
- コストアプローチ:企業が保有する資産の価値に基づいて評価する方法です。
- インカムアプローチ:企業が生み出す将来キャッシュフローに基づいて評価する方法で、M&Aで最も一般的に用いられます。
- マーケットアプローチ:類似企業の市場価値を参考に評価する方法です。
M&Aで企業価値を決定する重要な要素となるのは売り手となる企業の内情ですが、想定した企業価値は売り手と買い手の条件が合っているからこそ実現するものです。
株式価値とは
次に、株式価値の意味とM&Aにおける株式価値の評価方法を説明します。
株式価値(EQV)とは?時価総額との関係
株式価値は別名「EQV」と呼ばれ、株式の時価総額と同じ意味です。株式価値は、その名のとおり株式の価値を示すものです。株式価値はM&AやTOB、事業承継を行う段階になって初めて評価されるケースも少なくありません。
実際、中小企業の経営者の方にとっては、M&A・TOB・事業承継といった場面にならない限り、株式価値を把握していなくても経営には支障がないことが多いため、普段から株式価値を意識しておく必要性はそれほどありません。
しかし、株式価値の評価は企業価値をベースにしており、その評価には時間と手間がかかるので、普段から株式価値を意識しておくことが重要です。
M&Aにおける株式価値の算出方法
株式価値は、基本的に企業価値に株式の保有割合を乗じることで算出されます。少数株主の場合は、保有割合に応じた割引が適用されるケースもあります。
株式価値は企業価値に株式を加えて評価するものであり、企業価値にもとづいて評価される別種の価値です。株式市場での売買をみればわかるように、株式価値は常に変動していきます。
上場企業・非上場企業に関わらず発生し、たとえ市場に出回っていない非公開株式でも株式価値は評価でき、その都度変動する仕組みです。実際、中小企業では非上場企業が多く、そのほとんどが非公開株式を持っています。
株式価値の評価は経営者個人で行うには難しく、コンサルティング会社や税理士、公認会計士などの専門家に依頼するのがベストです。
とりわけ事業承継の際に後継者に株式を譲渡する場合、株式価値がどれくらいかによって税負担が大きく変わるため、場合によっては株式価値を調整する必要があります。
株式価値の具体的な価額を知らなくても、株式価値に関する知識は常日頃持っておくと良いでしょう。
企業価値・株式価値・事業価値の関係
株式価値は企業価値をベースに評価され、その企業価値は企業が有する事業に対する評価である事業価値をベースに評価されるものです。事業価値とは、その事業の収益性やブランド力などの企業特有の要素に基づき評価される価値のことです。「のれん」も事業価値に含まれます。企業価値、株式価値、事業価値の意味をあらためて整理すると、以下のとおりです。
- 企業価値:会社全体の価値
- 株式価値:株式の時価総額
- 事業価値:事業特有の要素に基づく価値
M&Aにおいて株式価値を評価する際には、まず事業価値を評価し、次に企業価値を算出し、最後に株式価値を算出します。このように、事業価値→企業価値→株式価値の順で評価を進めることが一般的です。
まずは事業価値でその企業が有する事業の価値を評価し、その事業に関係ない負債や資産の価値、非事業価値や債権者価値(企業価値のうち、債権者の取り分となる金額。銀行などが貸し付けた借金の残高以上にはならないという原則がある)を加味して企業価値を評価し、最後に株式保有割合をかけあわせて株式価値を評価する流れです。
企業価値、株式価値、事業価値はそれぞれ異なる対象の価値するものでありながら、それぞれが関連して評価されます。企業価値などの評価(バリュエーション)は複雑なため、専門家に依頼するのがおすすめです。その際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&AアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
企業価値・株式価値・事業価値評価の手法
M&Aでは、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチの3つの手法を組み合わせて使用することが多いです。
それぞれの手法のメリット・デメリットを理解したうえで、どの手法との組み合わせが自社に適しているかをしっかり判断しておきましょう。ここでは3つの手法の概要を網羅的に解説します。
①コストアプローチ
対象となる企業が所有している資産の価値(純資産価値)を重視して評価する手法です。イメージとしては貸借対照表を参照することに近い手法だといえます。単独で使われることはほとんどなく、他の手法と組み合わせて使われるケースが多いです。
これに類する代表的な手法に簿価純資産法や時価純資産法が挙げられます。この手法の主なメリット・デメリットは以下のとおりです、
メリット
会社が保有する資産を重視して評価する手法であるため、不動産業など資産そのものに価値を見出すことを前提にしている業種には適しています。
評価のプロセスも会社が保有する資産の価値から負債を差し引くだけと単純で、スピーディーに評価を行えます。
デメリット
会計上の資産の価値が基本的に会計ルールに沿って算定されるため、実際に市場で売却する際の資産の価値とギャップが発生するおそれがある点がデメリットです。
会社の経理がどのように行われているかによって、その都度さまざまな手法を用いらなければならないため、かえって手間がかかることがあります。
会社が保有する資産の価値に注目する手法である以上、その企業の将来性や技術・ノウハウの価値などは評価に含まれず、企業の魅力度それ自体を網羅できないこともあります。
②インカムアプローチ
インカムアプローチは最も使われる評価の手法であり、代表的な手法としてDCF法や配当還元法などがあります。
インカムアプローチの最大の特徴は、その企業が産出する利益やキャッシュフローといった収益性を重視している点です。対象となる企業の収益性を判断し、将来的にどれだけの付加価値が生み出されるかをリスクを差し引いたうえで判断することで企業価値の評価を行います。この手法の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
コストアプローチとは違い、ただ資産の価値を見るだけでは加味できない企業の将来性をベースに置いているため、最も論理的に企業の価値を評価できる手法といえます。
デメリット
不確実な将来に重きを置いている手法であるため、希望的観測が混合してしまう可能性は否めません。下された評価はエビデンスが不足しており、最数字遊びとしての企業価値が出てしまうリスクがあります。この手法を使う場合、事業計画をどれだけ正確に具体的に作るかが重要です。
③マーケットアプローチ
インカムアプローチの次に比較的よく使われる手法であり、対象となる企業と類似した企業の時価総額や買収事例を参照・比較することで評価します。
基本的には一般市場で公開されている上場企業の株式評価をベースに行うことが多く、非上場企業でも自身の企業と似ている企業をピックアップし、参照・比較します。この手法の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
資産の価値に傾倒しがちなコストアプローチや、将来性の判断が主観的になってしまうインカムアプローチと違い、市場で確立している価値をベースに評価するため客観性を担保しやすく、その業界の取引環境が反映されやすくなります。
デメリット
評価する企業の固有の性質やビジネスモデル・コンセプト・成長ステージといった観点を反映させるのは難しく、企業によってはそもそも比較対象になる企業が存在しないケースも考えられます。
企業価値を高める方法
企業価値を高めるためには、多角的な取り組みが必要です。代表的な施策として下記が挙げられます。
- 収益力の向上:売上増加やコスト削減などにより、利益率を高める取り組みです。
- 投資効率の改善:設備投資や研究開発投資などを効率的に行い、ROI(投資利益率)を高める取り組みです。
- 財務の健全化:負債比率の適正化やキャッシュフローの改善などにより、財務基盤を強化する取り組みです。
このうち、企業価値の向上に直結する施策は、財務の健全化です。借入金を返済すれば、負債が減って企業価値の改善が見込まれます。
M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性
M&Aプロセスにおいて、デューデリジェンスは非常に重要な役割を担います。デューデリジェンスとは、買収対象企業の財務状況、事業内容、法務 compliance 等を詳細に調査するプロセスです。これにより、買収後のリスクを最小限に抑え、適切な買収価格を決定することができます。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスでは、買収対象企業の財務諸表、会計処理、税務申告などを精査し、財務状況の正確性を確認します。2025年以降の会計基準の変更も踏まえ、将来の財務リスクを予測することも重要です。
事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスでは、買収対象企業の事業内容、市場環境、競争状況、将来性などを分析します。事業計画の妥当性や実現可能性を評価し、買収後のシナジー効果を検討します。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、買収対象企業の契約書、許認可、訴訟リスクなどを調査します。法令遵守の状況を確認し、潜在的な法的リスクを洗い出します。
企業価値と株式価値の違いまとめ
企業価値と株式価値は同じではありません。双方の視点での事業価値評価が必要です。それぞれの価値の違いを踏まえたうえで、自社のM&Aに最適な評価手法を検討しましょう。
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