M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月24日更新会社・事業を売る
M&Aに欠かせないマッチング
人と人との出会いと同様に企業間のM&Aでもマッチングが重要です。マッチングの妙があってM&Aが成り立つと言っても過言ではありません。M&Aマッチングの仕組みや方式、注意しておきたい点、こだわるべきポイントなどをご案内します。
M&Aにおけるマッチング
近年、以前にも増してM&Aの需要は高まっています。その理由は、M&Aでの売却側の目的の変化が大きいと考えられます。かつては、経営不振に陥った会社が、窮余の策としてM&Aに頼るという構図が多かったという実情でした。
しかし、現在では、スタートアップやベンチャー企業が台頭してきたことにより、M&Aの現場の様相も一変しました。彼らの中には、事業を立ち上げて軌道に乗せた会社をM&Aで売却することにより、大きな創業者利益を得ようという目的を持っている場合が多々あるのです。
このようなM&A売却側の構造変化に対し、買収側もそれを敏感に察知し、より積極的にM&Aで企業買収を行っていく姿勢に転じることとなり、現在のM&A市場の活性化を呼ぶことになりました。
そのようにM&Aの売り手、買い手とも積極姿勢で臨んでいるとはいえ、最終的にM&Aを成功させる鍵は、企業同士の相性です。それは人間関係の場合と一緒で、マッチングの初期段階において、大方の結果は見えているとも言われています。
つまり、マッチングのあり方がM&Aの結果を左右しているのです。辞書には、マッチング(matching)という英語の名詞としての日本語訳は、「組み合わせること」となっています。また、形容詞としての意味は、「調和している」、「ぴったり合った」です。
そして、M&Aでマッチングと言う場合には、一般語としての意味に加えて、売り手と買い手それぞれの企業の希望や条件に沿った仲介を行うという意味合いになります。それは時には、M&Aの仲介の仕組みや方式そのものをさして、マッチングとも表現します。
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M&Aの方式①仲介マッチング
M&Aの現場で行われるマッチングは、大きく分けて2通りあります。そのうちの1つが仲介方式のマッチングです。仲介という言葉のとおり、M&Aの専門仲介会社が売り手と買い手の間に立ち、それぞれの希望・条件に合った企業をマッチングしていきます。
具体的な手続き・手順としては、会社の売却を希望する側、会社の買収を希望する側それぞれが、希望する条件を添えてM&A仲介業者に登録を行います。M&A仲介会社は、その条件を照らし合わせてマッチングを行い、それぞれの会社に候補先を紹介します。
ただし、この紹介の時点では具体的な会社名は明かされません。具体的なM&Aの候補先として、本格的な調査・交渉を開始することを決定した段階で開示されます。また、会社名の開示後も、登録した企業には守秘義務が課されており、公表される心配はありません。
また、M&A仲介会社が行うのは仲介業務だけではありません。売却側企業で用意しなければならない会社の様々な資料作成のフォローや、買収側企業が行うデューデリジェンスでのバリュエーション作業のサポートなど全ての手続きに立ち会います。
ちなみに、M&Aでのデューデリジェンスとは相手企業の調査のことをさし、バリュエーションとは企業価値の評価方法という意味です。このように、M&A仲介会社がサポートしてくれる仲介マッチングは、M&Aに慣れていない企業にとっては、とても安心できる方式と言えます。
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M&Aの方式②オークションマッチング
M&Aで用いられるマッチングのもう1つの方式がオークションです。売却を希望する会社の企業価値が高く、買い手候補が沢山いると想定されるケースで用いられます。オークションですから、売却候補企業に対して、買収を希望する企業が入札する形式です。
売却側企業は入札金額その他の条件を比較・検討したうえで、自社にとって一番望ましい内容の入札をした相手とM&Aの具体交渉に入ります。交渉の結果、支障がなければM&Aが成立する運びとなりますが、双方ともある程度M&Aに慣れていないとスムーズに進まないかもしれません。
いずれにしても、買い手候補が多数存在しているような場合には、一般のオークションと同様に買収価格が高額化することが見込まれます。売却側企業として、自社がそれに該当すると思ったら、試す価値のあるM&Aの方式と言えるでしょう。
ただし、一般的な中小企業がオークション方式を利用しても、入札をする買い手候補が現れるかどうかは難しいところです。その場合、諸手続き等が無駄になってしまいますので、自社の価値を客観的に考えてオークション方式を選択するかどうかの判断をしましょう。
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マッチング方式の必要性
中小企業庁では、M&A実施の際、オークション方式の利用を推奨しています。その理由は、M&Aの結論がスピーディーに出ることと、M&Aの成功率が高いことだといいます。しかし、それは買い手がつきやすいケースに限定した話です。
実際に、現状としても成約数という観点で見れば、仲介マッチング方式が上回っています。M&Aで会社を売却しようという場合、その事情は様々です。業績が落ち込んでしまっている場合もあれば、後継者がいないケース、別事業を起こす資金調達などもあるでしょう。
また、買収を考えている側も思惑はそれぞれ違います。新事業を安価に立ち上げたい場合や、自社の既存事業とのシナジーを重視する考え方なら、売却企業の業績はさほど問いません。高収益事業を新たに加えたい場合や、株主からの承認を重視するのなら、その逆が考えられます。
M&A仲介会社は、それら売却側企業と買収側企業の思惑が合致するマッチングを行うこと自体も業務です。M&A仲介会社のマッチングに託すことによって、M&Aの成約率は格段に上昇すると言われています。つまり、M&Aの現場ではマッチングの必要性はマストに近いものなのです。
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M&Aマッチングの際に重視すべき事項
M&Aの実施に向け、M&A仲介会社へマッチングを依頼する時に必須となるのは、当然ながら、自社の希望・条件を伝えることです。ただし、ひと口に希望・条件と言っても色々なことが考えられます。M&Aのマッチング条件として、特に重視しておくべき事項をおさえておきましょう。
⑴具体条件の明示
売却側企業であれば売却希望価格、買収側企業であれば買収希望価格、言わずとも知れた最重要項目です。しかし、その希望金額決定にあたって、冷静で客観的判断が求められます。あまりにも吹っ掛けた売却価格や、出し渋りの買収価格では、マッチングの機会さえ失ってしまうでしょう。
M&Aも取引の1つですから、そこに交渉はあります。しかし、交渉の優位性を意識するあまり、本来の目的を見失った希望価格を設定してしまうと、M&Aという目的が達成されなくなってしまうので充分に留意しましょう。やはりマッチングを行うM&A仲介会社に相談することをお勧めします。
また、売買価格以外でもマッチングに際して挙げておきたいポイントがあります。それは、売却側企業としては、経営者の去就、従業員の処遇です。経営者は会社を売却して去るつもりなのか、子会社社長として経営に携わるつまりなのか明確に表明しておきましょう。
そして、これまで会社を支えてくれた従業員の雇用継続確約も求めるべきです。一方、反対側の立場である買収側企業も、この問題については考えを明らかにしておきましょう。買収した会社を吸収合併するのか、子会社として存続させるか、その時、代表にどうしてほしいかなどです。
また、買収側企業としては、M&Aをするほとんどの場合、人材込みで会社を買収するという考え方のはずですから、売却側企業にはM&A後、従業員が大量に退職したりすることのないよう、マッチング段階から求めておくことがお勧めです。
⑵マインドの相互理解
マッチング後のM&A交渉過程のポイントとして挙げられるのは、売却側企業も買収側企業もお互いの立場を尊重した交渉姿勢です。売却側企業に対してバリュエーションを用い、デューデリジェンスを行っていると、どうしても数値面だけで物事をとらえがちです。
しかし、特に売却側企業においては、事情はさておき、長年経営してきた会社を手放すという、数値には表れない心情、マインドというものがあります。それに対して買収側企業としては、極力、上から目線とならないように努め、ヒアリングやインタビューでマインドのくみ取りを行ってください。
そのことによって、両者のマッチングがベストマッチングとなり、お互い納得度の高いM&Aの成立を迎えることになるでしょう。
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まとめ
M&Aによる会社の売却も、会社の買収も大きな決断です。そこには、多額の費用が動くだけでなく、そこで業務に従事する社員やその家族にも影響を与えるものでもあります。したがって、気安くマッチングを受け入れて、安易な妥協や打算で成約してしまってはいけません。
しかし、M&Aの買い手と売り手とでは、どうしてもそこに利害は発生します。どちらも100%の納得となるのは難しいことです。したがって、妥協できることとできないことを始めから心の中で決めておき、しかるべき時には、相手に折れる気持ちも持って交渉に臨みましょう。
本記事の要点は、以下のとおりです。
M&Aのマッチングとは- M&Aの売り手と買い手を仲介する行為、M&Aの方式を指す。
- マッチング方式とオークション方式がある。
- M&Aの成功可能性を高める上で重要であり主流。
- 具体的な売却・買収条件を明示することと、お互いのマインドの理解をすること。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。