2021年4月28日更新会社・事業を売る

買収価格とは?買収価格決定プロセスと買収価格の交渉

買収価格の決定は、M&Aを実施するうえで重要な要素のひとつであり、複雑な算定プロセスを経て決まります。この記事では、買収価格の算定プロセスや買収価格を導くアプローチの手法、買収価格決定におけるポイントなどについて解説します。

目次
  1. M&Aにおける買収価格とは
  2. 買収価格の算定プロセス
  3. 買収価格を導く3種類のアプローチ手法
  4. 買収価格決定におけるポイント
  5. まとめ
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M&Aにおける買収価格とは

M&Aとは「ビジネスの売買(買収)」「複数のビジネスを1つに統合(合併)」するための手法のことをいいます。M&Aには会社の未来がかかっているため、実施する際は当然重要な決定事項が数多く存在します。その中でも「買収価格」は、特に重要な決定事項です。

買い手側にとって、適切な価格で買収することは、M&Aを成功させるうえで重要な要素であることは言うまでもありません。一方、売り手側にとっても買収価格は重要な項目です。これまで経営していた会社を手放すのですから、高値で買収したい気持ちが強いでしょう。

買収価格の決定は、M&Aのプロセスの中で大変重要な要素であり、買収価格は複雑な算定プロセスを経て決まります。そのため、買収価格を決定するには、さまざまな手続きや専門的な知識が必要になります。

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買収価格の算定プロセス

ここでは、買収価格の算定プロセスを説明します。買収価格を決める際は、3つのステップに沿って算定します。

  1. スタンドアローンバリューの算定
  2. バイヤーズバリューの算定
  3. 買収価格の交渉

①スタンドアローンバリューの算定

はじめのステップは、「スタンドアローンバリューの算定」です。スタンドアローンバリューとは、対象会社の企業価値を意味します。M&A実施後のシナジー効果(相乗効果)や買収プレミアム(買収価格と時価での企業価値との差額)などを考慮していない「素の企業価値」ともいえるでしょう。

スタンドアローンバリューは、下記の3種類のアプローチ方法を用いて算出できます。

  • インカムアプローチ
  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ

各アプローチ方法については、後ほど詳しく解説します。

②バイヤーズバリューの算定

次のステップは、バイヤーズバリュー(買い手側が妥当だと考える価格)の算定です。算定にはまず、デューデリジェンスを実行する必要があります。デューデリジェンスとは、売り手企業の財務や法務などの状況を精査する手続きです。

財務や法務以外にも、ビジネスの将来性や人事、ITなどの分野も調査します。デューデリジェンスによって、売り手側企業の持つリスクや、想定できるシナジー効果などを洗い出します。

その後、リスクやシナジー効果などをスタンドアローンバリューに加味します。また、各種のプレミアムも加味していきます。具体的には、全株式を買収する際に加算される「支配権プレミアム」や、TOBによる買収で加算される「TOBプレミアム」を加えます。

一方、場合によってはスタンドアローンバリューから価値を減らすケースもあります。非上場企業の買収ならば、非流動性ディスカウントを考慮する必要があります。非流動性ディスカウントとは、非上場株式の換金のしにくさのことで、非流動性ディスカウントを考慮したうえで価値を減額する必要があるのです。

スタンドアローンバリューは、誰が算定してもある程度同じ金額となりますが、バイヤーズバリューは、買い手によって大きく変化する可能性があります。なぜなら、買い手によって魅力的であると感じる価値が異なるからです。

③買収価格の交渉

3つ目のステップは「買収価格の交渉」です。バイヤーズバリューが算定されたら、買収価格の交渉を実施します。最終的には、売り手・買い手による交渉によって、買収価格が決まります。

はじめは、買い手側の希望価格を基に交渉が行われます。そして、交渉によって双方が合意したら、買収価格が正式に決定しますが、双方の合意が得られない場合はM&A自体が白紙になるケースもあります。

M&Aの交渉には知識や経験も不可欠であり、希望条件に合った相手先を探すためには幅広いネットワークも必要となるため、M&A専門家のサポートを得ることをおすすめします。

M&A総合研究所では、独自ネットワークを活用して条件に合った相手先をお探しいたします。M&Aの知識・経験豊富なアドバイザーがフルサポートいたしますので、スムーズなM&A進行が可能です。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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買収価格を導く3種類のアプローチ手法

回収価格を算定する代表的な方法には、3つのアプローチ方法があります。ここでは、以下の3つのアプローチについて紹介していきます。

  1. インカムアプローチ
  2. コストアプローチ
  3. マーケットアプローチ

①インカムアプローチ

はじめにインカムアプローチについて紹介します。

インカムアプローチの特徴

インカムアプローチとは、将来の収益予測に着目し価額算定をする方法です。具体的には、将来的に得られるであろうキャッシュフローや利益を用いて算出します。その企業の将来的な収益性が加味された算定方法であるため、企業の価値に値段をつける上で合理的な方法であるといえます。

一方で、インカムアプローチは、他の手法と比べると専門的な知識が必要になります。具体的な手法にはDCF法や配当還元法などがあり、とりわけDCF法は、M&Aで非常に多用されている価格算定手法です。

インカムアプローチのメリットとデメリット

インカムアプローチの一番のメリットは、企業の将来性を買収価格に反映できる点です。企業同士の相乗効果(シナジー効果)や事業規模の拡大によって得られる将来的な収益性を目的にM&Aを行うため、説得力のある買収価格を算定することができます。また、インカムアプローチは、設備投資や事業投資など企業経営の重要な場面で幅広く活用することができます。

一方、インカムアプローチでは、将来のキャッシュフローや収益性などを事業計画に依拠して算出します。そのため、算出した結果は未来予想に過ぎず、非常に主観的なものとなってしまいます。つまり、事業計画を作った企業の希望的観測に偏ってしまうリスクがあるのです。

②コストアプローチ

次にコストアプローチについて紹介します。

コストアプローチの特徴

コストアプローチは、主に中小企業で使用されており、「ネットアセット・アプローチ」とも呼ばれています。コストアプローチとは、貸借対照表の純資産価値に着目した算定方法で、M&Aの実行可否を判断するために用いられることもあります。とりわけ、長い社歴を持つ中小企業のM&Aや企業が廃業や清算する場面で用いられる手法で、新しいベンチャー企業や将来性を重視したM&Aには不向きな手法です。

コストアプローチのメリットとデメリット

コストアプローチは算出が簡単に行える方法です。そのため、スピーディーに買収価格を評価できる点がメリットであるといえるでしょう。コストアプローチは貸借対照表の記載事項をもとに計算するだけで完了するため、余計な手間がかかりません。ただし、貸借対照表の記載事項が正確であることが大前提であるため、貸借対照表の数字が不正確であれば結果が大きく狂ってしまいます。

またコストアプローチは、企業の事業継続を前提に置いた方法ではないため、企業の将来的な収益性が評価に加味されません。そのため、コストアプローチを使用した場合、買取価格が低くなる傾向にあります。M&Aの売り手にとって買収価格が低いことは大変不利になるため、注意が必要です。

③マーケットアプローチ

最後に、マーケットアプローチについてご紹介します。

マーケットアプローチの特徴

マーケットアプローチでは市場取引の観点から買収価格を算定します。評価対象となる企業を、同業界の会社や類似業種の会社と比較して価値を計算します。これまでマーケットアプローチは、上場企業が活用するケースが大半でした。しかし、最近では中小企業の活用例も増加しています。また、マーケットアプローチでは、類似する企業や事例をいかに見つけられるかが重要です。

マーケットアプローチのメリットとデメリット

マーケットアプローチでは、同業となる類似業種や会社と比較して評価を実施します。つまり、偏った評価にならず客観的で平等性を保った方法であるといえます。また、計算式に当てはめるだけで評価が完了する手軽さも大きなメリットです。

一方で、マーケットアプローチは、あくまで市場との比較による算定のため、市場に振り回される可能性があるというデメリットがあります。また、M&Aによるシナジー効果や経営改善効果などが加味されてない数字であるため、M&Aに使用する企業価値としてはそのまま流用することができません。

このように、どのアプローチを使用して買収価格を算出するかは企業ごとに異なるため、専門家に相談することをおすすめします。

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買収価格決定におけるポイント

最後に、買収価格決定における4つのポイントを解説します。

  1. プレミアムやディスカウントの加減算
  2. シナジー効果は慎重に検討
  3. 買収価格の交渉方法
  4. 売り手側の買収価格

①プレミアムやディスカウントの加減算

買収価格には「プレミアム」や「ディスカウント」が加味されます。どの程度加味するかによって、買収価格は大きく変動します。そのため、売り手側は非流動性ディスカウントによって、買収価格が減額されるリスクを考慮しなくてはいけません。

また、買い手側もプレミアムやディスカウントを想定内に収められるように、条件の合う売り手を選ぶ必要があります。

その際には、ぜひM&A総合研究所のM&Aプラットフォームをご利用ください。そこには独自のAIがあり、買収ニーズを登録するだけで条件の合う売り手をマッチングします。そのため、買収ニーズを登録するだけで自動的に条件の合う案件が紹介され、効率的にM&Aの候補探しをすることができます。

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②シナジー効果は慎重に検討

プレミアムだけでなく「シナジー効果」も買収価格に加えられます。シナジー効果は、のれん代として買収価格に加えられます。のれん代が大きすぎると、後々の財務状況に大きな損害を与える恐れがあるため、注意が必要です。

のれん代は、現実的に獲得できる利益額を基に決定することが重要です。最悪の場合、のれんの減損によって、多額の費用計上が生じる場合があります。

③買収価格の交渉方法

買収価格の交渉方法は、主に2種類です。1つ目は「個別交渉」です。「個別交渉」は、売り手と買い手が一対一で交渉する方式です。2つ目は、「オークション方式」です。「オークション方式」は、1つの売り手に対して、多数の買い手が買収価格を提示する方式です。オークション方式では、原則最も高い買収価格を提示した買い手と交渉が開始されます。

また、基本的にはオークション方式のほうが買収価格が高くなるため、安く買収したいならば、極力「個別交渉」を選ぶ必要があります。ただし、オークション方式でも、独占交渉権を設定すれば売り手側と独占的に交渉可能です。

一方、売り手側は1円でも高く売りたいと考えるため、極力「オークション方式」を選択したいところでしょう。しかし、オークション方式は人気企業が取れる手法です。現実的には、個別交渉によって買収価格が決定されるケースがほとんどです。

④売り手側の買収価格

売り手側にとっても買収価格は重要です。売り手側は、極力高値で売却できるよう対策する必要があります。具体的に実行できるのは、「会社の磨き上げ」と「シナジーが期待できる企業探し」の2つです。

「会社の磨き上げ」とは、企業価値を高める対策の総称です。具体的には、ブランド力や従業員のスキルアップが有効です。また無駄な在庫の削減も、会社の磨き上げとして効果的です。会社の磨き上げによって、高い価格で買収してもらえる可能性が高まります。

一方、実際に会社を売却する相手探しも重要です。買い手企業は、自社事業とのシナジー効果を期待して買収します。

つまり、シナジー効果が期待できる企業に対して、会社売却を提案することが重要です。場合によっては、想定よりも断然高い価格で買収される可能性もあります。

シナジー効果が期待できる相手先を探すためには、専門家のネットワークを活用する方法がおすすめです。

M&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをフルサポートいたします。

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まとめ

今回は、買収価格に関してご紹介しました。買収価格は、最終的には売り手と買い手の交渉によって決定します。交渉には、基準となるスタンドアローンバリュー(買収価格)を算定する必要があります。

スタンドアローンバリューの算定方法には3種類の手法があり、その中から状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。

また、買収価格を考慮する際には、いくつかのポイントがあります。しっかりと重要なポイントを押さえて理想の買収価格を実現しましょう。

要点をまとめると、下記になります。

【買収価格とは】

  • 買収する際の「買収価格」は、特に重要な決定事項である

【買収価格算定における3つのステップ】

  1. スタンドアローンバリューの算定
  2. バイヤーズバリューの算定
  3. 買収価格の交渉

【買収価格を導く3種類のアプローチ手法】

  1. インカムアプローチ
  2. コストアプローチ
  3. マーケットアプローチ

【買収価格決定における4つのポイント】

  1. プレミアムやディスカウントの加減算
  2. シナジー効果は慎重に検討
  3. 買収価格の交渉方法
  4. 売り手側の買収価格

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