M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月24日更新会社・事業を売る
M&Aを活用した起業
M&Aを活用し起業することで、起業に伴うリスクを軽減し、経営をスタートできます。一方、M&Aによる起業にはデメリットも存在します。この記事では、主にM&Aを用いた起業方法、それにに伴うメリットとデメリットについて解説します。
M&Aを活用した起業
M&Aと聞くと、既存企業による一経営戦略という印象があります。しかし、M&Aを用いた「起業」は、効率的に事業をスタートすることができることから、増加傾向にあります。そこで今回は、M&Aを活用した起業の方法や、メリットやデメリット等を解説します。
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M&Aの起業がなぜ増えているのか
近年の働き方は、自由度が急速に高まっており、既存企業へ就職するだけでなく、自ら起業することも以前に比べれば一般的な選択肢となっています。しかしながら、起業の成功率は決して高くはありません。
国税庁の調査によれば、起業した会社の5年後の生存率は1~2割程度というのが現実であるなか、実績のある事業を買うM&Aを活用して起業する方法が注目を集めています。このように、M&Aを利用した起業が増えている背景にはどういった要因があるのでしょうか。
後継者問題に悩む企業が増加している
中小企業では「後継者問題」が大きな問題となってます。中小企業庁の調査によれば、20年前までは約9割が親族内承継でしたが、年々と減少し、昨今の調査では4割以下となっています。
これにはいろいろな要因が考えられますが、後継者自身に会社を維持存続させる自信がなかったり、後継者が企業の事業に将来性がないと判断している場合もあります。他にも、親とのしがらみや借金を背負いたくない、別の人生を歩みたいという場合もあるでしょう。
多様な趣向が許容される昨今、後継者不在の中小企業は、昨今では6割を超えると言われています。
市場の競争環境が激化している
「法改正」の影響によって、コストが増加してしまい経営が続けられないという理由で、売却を決めてしまうケースも増えてます。業界の例でいえば、人材派遣、介護、運輸、調剤薬局が挙げられます。
また別の理由で、逆に許認可申請が厳しくなった金融関連事業等などでは、業績や業容に限らず高値で取引されるケースもあります。このように業界の競争の激化によってM&Aが活用されているのです。
経営者が事業意欲を失うことがある
自ら創業した経営者によっては、事業を始めて長年事業は安定しているけれども、「そろそろ引退したい」「将来は海外でのんびりしたい」と悩んでいる経営者も多いです。
事業意欲が低いまま経営を続けるよりは、会社をM&Aなどで売却して、余生を楽しみたいというケースもあります。
事業売却が注目を集めている
中古不動産を購入してリノベーションするのと同じ発想で、少し修正すれば生き返る事業や会社、組織はたくさんあります。そうしたなか、新規事業に既存の事業をM&Aを活用して取り入れるというのは、自然な流れかもしれません。
そうした市場に注目が集まり、事業はゼロベースから始めるものではなく、買って伸ばすもの、という新たな常識が生まれつつあります。
成功までの時間を短縮し、事業投資リスクを軽減する手段としたM&Aを利用して起業に注目が集まっているのです。
M&Aを活用して起業する方法
基本的にM&Aは、会社を売買する取引です。自社を売りたいと考える会社の多くは、後継者不足や業績不振等の理由で、M&Aを検討します。そのため、権限の移動だけではなく、会社丸ごと売買する方法をとるケースも多いです。
起業の際には、様々な手続きが必要です。まず個人事業主として事業を始めるのであれば、開業届を提出すれば済みます。しかし会社を設立する場合は、各所への申告や店舗・従業員の確保等、沢山の作業や準備期間が必要になってきます。
しかしM&Aを活用してビジネスを始めると、初日からサービスや売り上げが立っているのです。つまりゼロベースでビジネスを始めるのではなく、既存企業を譲り受けての会社経営の形となります。
M&Aによる起業を考えている場合は、譲り受ける企業が持つ個別事情に対処する必要があるため、継承する上での課題を見極める段階から、M&A仲介会社やアドバイザリーに実務をサポートしてもらうとよいでしょう。
M&A総合研究所では、知識・経験豊富なアドバイザーがご相談からクロージングまでをしっかりサポートいたします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
M&Aを活用して起業するメリット
M&Aを利用して起業するメリットは様々あります。
①会社およびサービスを引き継ぐことができる
M&Aを利用して起業した場合、会社はすでに出来上がっています。何もない状態から起業するとなると、手続きの時間や初期費用がかかります。サービスを立ち上げ、軌道にのり、経営に至るまで膨大な時間が必要となります。
これは、売り上げについても同様です。ゼロから起業すると、当然売り上げは0円でのスタートになります。M&Aを利用して起業すると、既に過去の売り上げや固定資産があります。よって、少ない時間で安定した経営を実施できます。
また、売り上げを生み出すルーティンも確立されていますので、経営者として新たに頭を悩ませる必要はありません。過去の実績から売り上げを予測できるため、経営戦略も立てやすいでしょう。とはいえ、M&Aで譲り受ける会社は、基本的に業績が悪化しているケースが大半です。
そのためM&Aを用いた場合、いきなり赤字経営から起業するパターンも珍しくありません。M&Aの後、時間をかけて黒字経営へと成長させる起業家がほとんどです。裏を返せば、既存企業に自分なりの新たな経営方法を導入できるメリットがあります。
②優秀な人材を引き継ぐことができる
昨今は働き方もが自由になり、優秀な人材の確保が難しくなっています。M&Aの活用により起業した場合、そのまま既存企業の従業員を引き継ぐことが可能です。起業したからといって、新たな人材を採用する必要がないのです。
M&Aによる起業では、既にノウハウを熟知した従業員を活用できます。採用にかかる広告費や面接官の拘束時間、募集等にかかる費用等が不要となるのは、M&Aを用いた起業の大きなメリットです。
③企業文化を引き継ぐことができる
長く経営している企業ほど、歴史やノウハウが存在し、業界ごとに暗黙のルールが存在する場合があります。一方、ゼロから起業すると、次々に起こるトラブルや課題に対処するため、経営方針が不安定なってしまいがちです。
M&Aを活用した起業では、既に市場での地位やその企業ならではの企業文化がしっかりと存在していることもあり、安定的な事業運営をスタートできる可能性があります。
④許認可を引き継ぐことができる
M&A手法の中でも株式譲渡を用いて起業した場合、許認可をそのまま引き継げます。許認可とは、会社に限定された特定の商品やサービスや技術を指しており、会社の重要な財産です。許認可の他者への引き継ぎは可能ですが、手続きに時間を要します。
そのため、許認可のみ承継するケースは少なく、株式譲渡によってM&Aを行い、許認可ごと引き継ぐケースが増加しています。しかし許認可は、責任と歴史の積み重なったものです。慎重に扱う必要があります。仮に違反等が起きてしまうと、一気に信頼をなくすので注意しましょう。
しかし許認可を引き継げば、起業後の経営を支える大きな武器になります。つまりM&Aを活用して起業すると、あらかじめ必要なものが用意されている状態で経営をスタートできるのです。
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M&Aを利用して起業するデメリット
一方でM&Aを活用した起業では、デメリットが発生する可能性もあります。
① 急激な業績不振が発生する可能性がある
M&Aを活用して起業しても、必ず経営が成功するとは限りません。前述の通り、会社を売却する理由の殆どは経営不振です。そのため、基本的に起業後は会社の経営が安定しません。ましてや経営者が変わったことで、取引を中止されるリスクもあります。
経営を安定させるのはとても難しく、M&Aの取引金額は、小さな会社であっても決して安くありません。よってM&Aを実施する際に、融資を受けるケースが大半です。もし起業をして失敗した場合、融資の返済が滞り、結果的に廃業に追い込まれる可能性もあります。
②有能な従業員を喪失する可能性がある
基本的にM&Aを実施する際には、従業員も引き継げます。従業員の雇用契約を新しい経営者の下に引き継ぐ形で従業員は変わらず雇用できるのです。一方で従業員は、自分の意向次第で雇用契約を破棄し、会社を辞められます。
よって経営者が変わるタイミングで、退職する従業員が出てくる可能性があります。また起業したとしても、従業員が経営者として信頼してくれない場合も、同様の結果になります。経営者が変われば会社に残る必要がない、と考える従業員もいるでしょう。
過度な従業員の損失は、経営上かなりの痛手となりますので、M&Aを利用して起業する際は、従業員とこまめなコミュニケーションを取り信頼を得ましょう。
③従業員や取引先との信頼構築に時間を要する
M&Aを活用した起業の場合、ある程度完成された環境で経営をスタートできます。しかし同時に、既存の取引先などから邪険に扱われる恐れもあります。経営者によっては、お金で環境を買い取った経営者を良く思わない可能性があるのです。
加えて他業種からの参入であれば、業界に馴染むまでにはある程度時間がかかります。M&Aを活用した起業の際には、地道に業界内での立ち位置を確立していく必要があります。
M&Aを活用して起業を検討している場合、M&A仲介会社へ相談することをおすすめします。M&A総合研究では経験豊富なアドバイザーがフルサポートいたします。
また、M&A取引は交渉から成立まで半年から1年程度かかりますが、M&A総合研究所はスピーディな対応を徹底しており、最短3ヶ月での成約実績も有しています。
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無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
起業からみるM&Aの必要性
基本的に起業とは、ゼロから会社を立ち上げる行為です。勤めていた会社で取得したノウハウや経験を生かして独立するのか、会社などには勤めずビジネスをスタートさせるかのどちらかです。しかし自信と確証がない場合、起業は相当リスクがあります。
M&Aを利用すれば、そのリスクを軽減できます。M&Aを活用するか否かに関係なく、起業はリスクの高い行為です。起業後の環境に関わらず、商品やサービスに需要が無ければ、利益を生み出せずに倒産します。では、何故M&Aを利用すべきなのでしょうか。
それは時間やコストの削減に尽きます。起業で同じリスクがあるのであれば、投資は当然少ない方が良いでしょう。起業する際に最も注目すべき点の一つは、「利益」の確保です。M&Aを利用して起業すれば、コストを最小限に抑え、リスクも軽減できて「利益」を確保することができるのです。
ゼロから起業をした場合、全く整っていない環境を整備していくには時間がかかる一方、M&Aを利用すれば、ある程度の工程をカット出来ます。例えば農業を始めようとした際に、既に畑として使用されていた土地を購入する方が、全く新しい土地を購入するよりも効率的です。
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まとめ
起業しても、必ず利益を獲得できる確証はありません。企業経営全般に言えることですが、どんなに自信があっても予期せぬ事態の発生などにより、経営が傾く可能性があり、創った企業を存続させることは容易なことではありません。
一般的に想像しえる起業に伴うリスクの軽減には、M&Aによる起業で解決できることがあります。もちろん起業する際には、必ずM&Aを利用する必要はありませんので、あくまでも選択肢の一つとして上手に活用しましょう。
要点をまとめると下記になります。
・M&Aを利用して起業するメリット
→会社やサービス、人材、起業文化および許認可を引き継げる
・M&Aを利用して起業するデメリット
→業績が急激に悪化する可能性がある、従業員を損失する可能性がある、信頼関係構築に時間を要する
・通常の起業から見るM&Aの必要性
→M&Aを活用して起業すれば、いわゆる起業リスクの一部を軽減できる
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。