M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年5月28日更新会社・事業を売る
事業譲渡・売却の手続きの流れは?目的や実施するタイミング・スケジュールも詳しく解説
事業譲渡・売却は、M&Aが必要になった際に知っておかないと、大きな損害になる恐れがあります。本記事では、事業譲渡・売却に大切な、基本的な知識から手続きや流れ、注意点、実施するタイミングに至るまですべてを解説します。
目次
事業譲渡・売却とは
M&Aにはさまざまなスキーム(手法)があり、その一つに事業譲渡が挙げられます。上図は事業譲渡のイメージ図で、譲渡側の会社における事業を譲受側の会社に売却する手法です。事業譲渡で売却する事業の範囲は、一部の事業における場合もあれば全部の場合もあります。
すべての事業を売却しても、譲渡側の会社組織はそのまま残るため、経営者は変わらず会社も存続するのが事業譲渡の大きな特徴です。また、事業譲渡の際は、事業のみが売却されるのではなく、関連する資産・権利義務なども協議のうえ選別されて譲渡されます。
事業の運営には人材が欠かせないため、譲渡側企業において該当事業に従事する従業員は、事業譲渡に伴って譲受側企業に移籍を要請されるのが一般的です。
事業譲渡の意義
譲渡側・譲受側いずれも「売りたい・買いたい事業および資産などを選別できる手法である」点が、事業譲渡における最大の意義です。
最終的な合意内容に至るまでに両者の協議・交渉は欠かせないものの、事業譲渡は売買対象内容を自由に選択できるスキームになります。
事業譲渡の種類と方法
事業譲渡の種類と方法について説明します。
【種類】
- 株式譲渡:株式を取得することにより、企業全体を譲渡する方法です。株式の譲渡によって、譲渡先が譲渡元企業の株主となり、経営権を得ることができます。
- 資産譲渡:企業が所有する特定の事業や資産を、他の企業に譲渡する方法です。具体的には、不動産や機械設備などが挙げられます。
【方法】
- 一括譲渡:一度に全ての事業や資産をまとめて譲渡する方法です。一括譲渡によって、手続きが簡略化されるため、スムーズに事業譲渡を行うことができます。
- 分割譲渡:複数の事業や資産を分けて、それぞれの部分を別々に譲渡する方法です。分割譲渡によって、譲渡先が必要な事業や資産だけを取得することができます。
- ストックディール:株式譲渡の一種で、株式を取得することによって、企業全体を取得する方法です。ストックディールは、株主の承諾が必要であるため、手続きが複雑となることがあります。
- アセットディール:資産譲渡の一種で、企業が所有する特定の事業や資産を取得する方法です。アセットディールは、手続きが比較的簡単であるため、利用されることが多い方法です。
以上が、事業譲渡の種類と方法の一例です。譲渡元企業や譲渡先企業の状況によって、最適な方法を選択する必要があります。
事業譲渡と合併の違い
ここからは、M&Aにおける他のスキームと事業譲渡との違いを簡潔に掲載します。まずは、合併との違いです。合併には吸収合併と新設分割がありますが、ここでは吸収合併と事業譲渡を比較します。
吸収合併とは、譲渡側企業が丸ごと譲受側企業に吸収・統合されるM&Aスキームです。吸収合併と事業譲渡の違いは、以下になります。
- 吸収合併では譲渡側企業は統合され消滅するが、事業譲渡では経営者も代わらずそのまま存続する
- 吸収合併の譲渡側は法人に限定されるが、事業譲渡では個人事業主でも譲渡実施可能
- 吸収合併では譲渡側企業の権利義務を包括的に承継するが、事業譲渡では選別して契約したものだけを引継ぐ
- 吸収合併では競業避止義務はないが、事業譲渡では20年間、譲渡事業と同一の事業を同一地域で行えない
- 吸収合併では譲渡側従業員の労働契約をそのまま引き継ぐが、事業譲渡では譲受側企業に移籍するかどうかは従業員ごとに個別合意を得なければならない
事業譲渡と株式譲渡の違い
次に、株式譲渡と事業譲渡の違いを紹介します。株式譲渡とは、譲渡側企業の株式を譲受側に売却するM&Aスキームです。株式は会社の経営権に直結します。中小企業の株式譲渡では全株式を売却することがほとんどです。「株式譲渡=会社売却」と捉えられています。
株式譲渡と事業譲渡の違いは、以下です。
- 株式譲渡では譲渡側企業の経営者が買収側企業に交代するが、事業譲渡では経営者は代わらない
- 株式譲渡は会社を丸ごと引き継ぐ包括承継だが、事業譲渡は引継ぐ(売買する)ものは選別される
- 株式譲渡は株式売買のみでシンプルな取引・手続きだが、事業譲渡は譲渡対象それぞれに個別手続きが必要
- 株式譲渡では譲渡側企業の持つ許認可もそのまま引き継げるが、事業譲渡では基本的に買収側が新たに許認可を取得する必要がある
事業譲渡と会社分割の違い
続いて、事業譲渡と会社分割の違いを掲載します。会社分割とは、譲渡対象事業および資産、権利義務や人材・組織をまとめて切り出し(=分割)、それを買収側が吸収する手法です。
形式としては、事業譲渡と類似していますが、会社分割と事業譲渡には以下の違いがあります。
- 会社分割は事業・資産・権利義務・人材・組織を買収側は包括承継するが、事業譲渡では個別に引き継ぐため再契約や個別で同意を得る必要がある
- 会社分割の包括承継では買収側は債務も含めて引き継ぐが、事業譲渡では選別できるため不要な債務などを引き継がずに済む
- 会社分割は包括承継であるため消費税の課税対象とならないが、事業譲渡では譲渡内容によっては消費税の課税対象となる
事業売却の目的
ここでは、事業売却の目的を見ていきましょう。
経営の効率化を実現
事業売却を行う際、経営の効率化を目的とするケースが少なくありません。複数の事業を持つ会社は、「選択と集中」を迫られることがあります。一つの事業に絞って会社を成長させるのです。
会社の財務状況が悪化したケースでも、赤字事業を売却して経営を効率化させることがあります。
事業再生
事業再生も、事業再生の目的です。事業再生とは、業績不振・債務超過などの事業を立て直すことをさします。会社に後継者がいない、会社が赤字である、というケースでは、顧客・取引先への影響力が大きい事業を他社に売却して事業・従業員を守るのです。
自社の力では存続できないので、資金力がある他の会社へ売却して事業を存続させます。
事業売却の手法
事業売却の手法には、「事業譲渡」と「株式譲渡」があります。各手法を見ていきましょう。
事業譲渡
事業そのものを売却する方法が、事業譲渡です。事業売却といえば事業譲渡をさすケースが多く、事業の所有者が変わる手続きなので、売却してからも会社自体は存続します。
全事業の契約・権利を買収側が引き継ぐので、手続きは複雑です。譲渡対価は現金で、会社が対価を受け取ります。経営者が資金を得るためには、社内で仕組みを作らなければなりません。
株式譲渡
自社の株式を譲渡して会社の経営権を譲渡する手法が、株式譲渡です。株主が変わり、経営権が移るのみの事業売却になります。対象企業の資産・負債は、すべて引き継ぎます。
株式を譲渡すると、売却側の経営者は現金を獲得可能です。株式譲渡では、一部の事業を売却できず、会社自体を譲ります。
事業譲渡・売却の手続き・流れ
事業譲渡・売却の手続きは、以下の流れで進みます。
- 取引候補企業の選定
- 秘密保持契約
- トップ面談
- 意向表明書・基本合意書
- デューデリジェンス
- 条件交渉
- 取締役会の決議
- 事業譲渡契約書
- 法務に関する届出
- 株主に対する通知・公告
- 株主総会の特別決議
- 反対株主の買取請求
- 財産などの名義変更手続き・許認可手続き
- クロージング
- ⑮経営統合・PMI
①取引候補企業の選定
事業譲渡を実施する際、サポート業務をM&A仲介会社に依頼したものとして説明を進めます。まず、「取引の候補企業選定プロセスは、譲渡側と買収側とで内容が異なる」ことを知っておきましょう。
譲渡側が最初に行うのは、具体的な企業名がわからない状態で会社概要を記したノンネームシートの作成です。M&A仲介会社は、このノンネームシートを開示し、買収先候補が現れるのを待ちます。
買収側が行うのは、M&A仲介会社をとおして得た複数のノンネームシートから、条件の合致する譲渡側の選別です。両者それぞれの検討を経て絞り込まれた候補の中から取引先候補が定まると、次のプロセスへ移行します。
②秘密保持契約
相互に事業譲渡取引の候補が定まると、具体的な交渉に入るために秘密保持契約を締結しましょう。秘密保持契約抜きでは企業の重要な情報を開示できないうえ、事業譲渡を実施しようとする事実も当面、秘密にする必要があるためです。
③トップ面談
秘密保持契約の締結後、事業譲渡の交渉過程で実施されるのがトップ面談です。譲渡側・買収側の経営トップが直接会って話をします。
企業の経営には、経営者の理念・人生観が色濃く反映されるので、トップ面談では、こうした部分を相互に確認し、事業譲渡取引を行える相手かどうかの見極めを行うのです。トップ面談で意気投合して即座に取引がまとまった事例もあり、重要なプロセスといえます。
④意向表明書・基本合意書
意向表明書は、買収側が事業譲渡に応じる意思があることを正式に文書で申し入れる書類です。ただし、このプロセスは必須ではなく、省かれるケースも多く、買収側の誠意を示す行動といえます。
トップ面談や意向表明などの交渉を経て、大筋で事業譲渡の実施に合意が形成される段階になれば、基本合意書を締結します。ここまでの交渉で合意できた事業譲渡条件の内容を確認する重要なプロセスです。
ただし、基本合意書は、正式な最終契約段階ではないことに注意しましょう。基本合意書により事業譲渡の成約が確定したわけではなく、法的拘束力はありません。実際に基本合意書は締結したものの、後のプロセスで破談になった例もあります。
⑤デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買収側が実施する譲渡側企業の精密監査です。士業などの専門家が起用され、さまざまな観点から、譲渡側企業の調査を行います。最終的な条件内容や事業譲渡契約締結に直結するため、譲渡側は建設的に対応しましょう。
デューデリジェンスの内容は、下記に示したように多岐にわたりますが、全ての調査が行われるわけではありません。当該企業や事業内容に応じたデューデリジェンスが行われますが、ほとんどのケースで実施されるのは財務・法務・会計デューデリジェンスなどです。
- 財務デューデリジェンス
- 法務デューデリジェンス
- 税務デューデリジェンス
- 労務(人事)デューデリジェンス
- ビジネスデューデリジェンス
- ITデューデリジェンス
- 環境デューデリジェンス
- 知的財産デューデリジェンス
- 顧客デューデリジェンス
- 不動産デューデリジェンス
- 技術デューデリジェンス
⑥条件交渉
デューデリジェンス終了後、明らかになった譲渡側企業の実態や将来性なども加味したうえで、最終的な条件交渉が行われます。簿外債務や訴訟リスクなど何らかの問題点が発見されると、条件は基本合意時よりも下がる可能性が高いです。
最悪のケースでは、問題点を看過できないとして破談になるケースもあります。一方、デューデリジェンスで譲渡側企業の技術力・ノウハウ・有効な知的財産の存在などが確認されると、条件は引き上げられる可能性が高いです。
⑦取締役会の決議
取締役会が設置されている企業の場合は、取締役会での決議を行ったうえで事業譲渡を行う必要があります。取締役会では、「交渉期間はどれくらいか」「どの事業を買収・売却するのか」など事業譲渡に関する基本的なことを決めるのです。
取締役会の決議後、トップ面談・基本合意書締結・デューデリジェンスなどの手続きを経て、最終的に事業譲渡契約の締結に至ります。
⑧事業譲渡契約書
⑥の条件交渉後、事業譲渡の内容に合意したら、事業譲渡契約を締結します。ただし、この契約を行っても即座に効力は発生せず、後述する手続きを行った後、実際に契約の効力が生じるのです。
⑨法務に関する届出
事業譲渡契約の締結後、当該企業の状況により、各種書類を提出しなければなりません。ここでは、公正取引委員会への届出と臨時報告書の提出について説明します。
公正取引委員会への届出
買収側が、グループ会社も含めた国内売上高の合計が200億円超の場合、以下のいずれかに当てはまると公正取引委員会への届出手続きが必要です。
- 国内売上高が30億円を超える会社における事業の全部を買収する場合
- 譲渡企業における事業の重要部分を買収する場合で、かつその事業における国内売上高が30億円を超える場合
- 譲渡企業における固定資産の全部または重要部分を買収する場合で、かつその固定資産による国内売上高が30億円を超える場合
ただし、譲渡側と買収側が同一企業グループに属する場合は、公正取引委員会への届出は要りません。また、届出が受理されてから30日が経過するまでは、原則として事業譲渡は行えません。ただし、公正取引委員会が認めた場合には、期間の短縮が可能です。
臨時報告書の提出
有価証券報告書の提出義務がある企業の場合、以下のいずれかに当てはまる場合は、臨時報告書を内閣総理大臣に提出する義務が生じます。
- 事業譲渡によって、買収側が純資産額30%以上増加する見込みか、譲渡側が純資産額30%以上減少する見込みの場合
- 事業譲渡によって、買収側の売上高が前年比で10%以上増加する見込みか、譲渡側の売上高が前年比で10%以上減少する見込みの場合
⑩株主に対する通知・公告
事業譲渡を行う場合、契約の効力が発生する20日前までに株主に対して通告する手続きを行わなければなりません。ただし、後述する株主総会の決議によって事業譲渡に関して承認された場合は、株主に通知しなくても公告の手続きをすればよいと決められています。
事業譲渡に反対する株主に対して、株式買取請求の機会を与えることを目的として通知するためです。
⑪株主総会の特別決議
事業譲渡を行う際は、基本的に株主総会での特別決議を経なければなりません。しかし、一定のケースでは、この特別決議を省略できます。
一般的な事業譲渡
以下のケースでは、株主総会における特別決議の手続きが必要です。
- 譲渡側:事業の全部または一部を譲渡する場合
- 買収側:事業の全部を買収する場合
買収側は事業における全部譲渡のときのみ特別決議を行う必要があり、それ以外の事業譲渡では特別決議の必要がありません。一方、譲渡側は、全部譲渡だけでなく重要事業の一部譲渡を行う場合も特別決議が必要です。
したがって、譲渡側は、経営再建などの理由で赤字事業を譲渡する場合、特別決議を行う必要はありません。
特殊なケース(簡易事業譲渡、略式事業譲渡)
以下のケースは特殊な事業譲渡として、株主総会の特別決議を省略できます。
- 簡易事業譲渡:買収側が対価として支払う財産や、譲渡側が譲渡する資産の帳簿価額が、各会社の純資産額を超えない場合
- 略式事業譲渡:買収側が譲渡側の議決権90%以上を保有している特別支配会社である場合
⑫反対株主の買取請求
事業譲渡に反対する株主から株式の買取請求があった場合、企業側は事業譲渡の効力発生日から60日以内に支払いの手続きを行わなければなりません。
事業譲渡では、株主の説得も非常に重要です。したがって、できる限り株主から買取請求されないよう、慎重に進めることが肝要です。
⑬財産などの名義変更手続き・許認可手続き
事業譲渡実施に伴って必要となる手続きには、財産などの名義変更と事業の許認可取得などが該当します。
財産などの名義変更手続き
事業譲渡を行う場合は、資産をそれぞれ個別に譲渡する形式を取ります。したがって、移転した資産のうち預金や土地など譲渡側の名前で登録しているものは、それぞれ買収側の名義で再度登録・登記する手続きが必要です。
買収側は、手続き分のコスト・時間がかかることを念頭にスケジューリングしましょう。また、商号を続用する場合は、会社法の規定に関して注意し対応を取らなければなりません。
会社法第22条により、買収側が譲渡側の商号を引き続き使用する場合、買収側には譲受側の事業で生じた債務を弁済する義務が生じます。
ただし、事業譲渡後すぐに、買収側が譲渡側の債務を弁済する責任を負わない旨を登記するか、通知する手続きを行った場合には義務が生じません。
許認可の取得
買収側が有料職業紹介事業、ガス・電気事業、各種建設業など、監督官庁や自治体の許認可が必要となる事業を譲受した場合、その許認可を所持していなければ事業譲渡後に許認可を取得する必要があります。
許認可は各企業が対象事業を行うことについて許可が与えられているため、事業譲渡によって事業運営当事者が変わった場合、新たに取得する必要が生じるのです。許認可がなければ当該事業を行えないため、これもスケジューリングに加えましょう。
⑭クロージング
事業譲渡などM&Aのクロージングとは、最終契約書締結後、当事者双方がその内容に記載された手続き・実務を行うことです。具体的には、資産の移転・対価の支払いなどが該当します。このクロージングをもって、事業譲渡は完了します。
⑮経営統合・PMI
最後のステップとして、従業員を新しい会社のシステムに移行させる作業があります。これは、売った事業の従業員を買った会社の仕組みに合わせるためのものです。例えば、業務のやり方や評価の方法など、新しい環境に慣れるために少し時間がかかるかもしれません。
同時に、お金の受け取りや契約の変更、物件の名前の変更など、事業を売るための最後の手続きも行う必要があります。これを「クロージング」と呼びます。売る側の経営者としては、この2つのステップをスムーズに進めるために、しっかりと協力しましょう。
事業譲渡・売却の手続き・流れの全体スケジュール・期間
この章では、事業譲渡・売却における手続き・流れの全体スケジュール・期間を見ていきましょう。
手続き完了まで3カ月~6カ月はかかる
事業譲渡には多くの手続きが必要となるため、全ての手続きが完了するまでには短くても3カ月~6カ月かかるのが一般的です。場合によっては、10カ月~1年以上の長丁場になることもあります。
会社の状況によっては、可能な限り早く事業譲渡を実施したいケースもあるので、その場合はできるだけ早い段階から専門家にサポートを依頼して、アドバイスを受けながら進めましょう。
下の表は、事業譲渡における効力発生日までのスケジュールと期間の一例をまとめたものです。
譲渡側 | 譲受側 | |
1月 | ・M&A仲介会社と契約 ・譲渡資産の精査、スケジューリング |
- |
2月 | ・相手側企業とのマッチング・交渉 | ・M&A仲介会社への相談 ・相手側企業との交渉 |
3月 | ・基本合意契約書の確認 ・基本合意契約書の締結 ・社員・取引先への説明 など |
・基本合意契約書の確認 ・基本合意契約書の締結 ・デューデリジェンス(買収監査) |
4月 | ・事業譲渡契約書の内容検討 ・事業譲渡契約書の締結 ・株主への通知・公告 |
・事業譲渡契約書の内容検討 ・事業譲渡契約書の締結 ・許認可の取得準備など ・株主への通知・公告 |
5月 | ・株主総会の開催 ・引渡の準備 ・譲渡資産の引渡 |
・株主総会の開催 ・譲渡対価の決済 |
事業譲渡では条件交渉と契約が重要
事業譲渡で重要なのは、条件交渉です。譲渡される資産の内容は、すべて両者の交渉によって決まります。このプロセスでは、譲渡する資産の選別や従業員処遇の決定など、契約上の重要な事柄が協議されるのです。
事業譲渡の手続きにおけるスケジュールの例外について
すべての事業譲渡が、上述したスケジュールで行われるわけではありません。事業譲渡の手続きは、事業が小規模であれば略式となり、株主総会承認の手続きが必要とされないケースもあります。
例えば、買い手側が売り手側の株式を90%所有している場合、株主総会の手続きが不要です。また、譲渡内容が売り手の全事業でなく、譲渡する資産が総資産の20%以下における場合も株主総会は省略できます。
譲渡会社の手続き
事業譲渡は事業を譲渡する取引契約であるため、譲渡会社では事業をすべて売却しても法人格が残ります。したがって、事業譲渡後もそのまま会社は継続されますが、譲渡会社が持つ債務の取り扱いによって、対応手続きが異なる点に注意しましょう。
債務を承継するかで対応も変わる
事業譲渡の際に、債務の免責的譲渡を行っていれば、譲受会社が債務を背負います。その場合、譲渡会社は債権者保護手続きを行う必要性が出てくるなど、一部の手続きプロセスが変わるのです。
なお、免責的譲渡が行われない場合は、債権者保護手続きが発生せず、譲渡会社がそのまま債務を背負い続けます。
譲受会社の手続き
譲渡会社にとって煩雑な手続きの代表格は、事業の許認可および、移籍する譲渡側における従業員との個別労働契約締結です。事業の許認可は、該当事業を行う会社が管轄省庁から取得する必要があります。
したがって、譲受側が必要な許認可を持たなければ、新たに取得しなければなりません。従業員に関しては、個別に譲渡会社を退職し譲受会社に入社という扱いになるため、一人ひとりと労働契約を締結する必要があります。
初期段階ではマッチングが重要
事業譲渡の初期段階では、譲渡会社と条件がいかにマッチしているかも重要なポイントです。リスクのある譲渡会社では、手続き全体に影響するおそれがあります。
より条件の合う譲渡会社を見つけるためにも、M&A仲介会社など専門家に依頼して幅広い選択肢から譲渡会社を探す方法が効率的です。
事業譲渡・売却のメリット・デメリット
M&Aを検討・実施する際は、各スキームのメリット・デメリットを把握することが肝要です。ここでは、事業譲渡のメリット・デメリットを解説します。
売り手側のメリット
事業譲渡の売り手側と買い手側では立場が異なるため、そのメリット・デメリットも異なります。ここでは、売り手側・買い手側に分けて、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。まずは、売り手側のメリットです。
- 譲渡資産を選べる
- 負債を抱えていても買い手が見つかりすい
- 現金を入手できる
- 会社を存続させたままの経営が可能
譲渡資産を選べる
「譲渡する事業や資産などを選べる」ことが、事業譲渡における売り手のメリットです。
事業譲渡を行うと、事業のスリム化・効率化が図れ、これを目的に事業譲渡する企業も少なくありません。経営に負担がかかる事業を売却することで、財務に余裕を持たせることが可能です。
負債を抱えていても買い手が見つかりすい
負債を抱えている企業は、財務状況が悪いと見られがちですが、事業譲渡によって、負債を残したまま事業を譲渡することができます。
買い手側は、事業自体に価値があると判断された場合、負債を引き継いででも事業を譲渡元企業から取得が可能です。また、譲渡元企業が負債を抱えている場合、買い手は事業を譲渡元企業よりも安価に取得することができます。
このように、事業譲渡によって負債を抱えた企業でも買い手を見つけやすくなるというメリットがあります。
現金を入手できる
事業譲渡を行った際の対価は、現金で支払われます。これも事業譲渡における売り手側のメリットで、入手した現金で債務を返済したり、事業資金に用いたりできるのです。
会社を存続させたままの経営が可能
事業譲渡は、単に事業の権利や資産を譲渡するだけで、企業自体が存続するかどうかは譲渡条件によって異なります。そのため、事業譲渡によって会社の存続が可能な場合、譲渡元企業は事業を譲渡することで資金調達を行いながら、会社を存続させたまま再建を目指すことが可能です。
例えば、経営環境が厳しいときに、譲渡元企業が経営資源を集中させるために事業の一部を譲渡することで、他の事業を強化して存続することができる場合があります。
このように、事業譲渡を通じて会社の存続が可能になる場合、経営者は再建を目指すことができるため、売り手側にとって大きなメリットといえるでしょう。
売り手側のデメリット
事業譲渡の売り手側の主なデメリットとしては、以下の4点があります。
- 経営者だけで実施できない
- 譲渡益に税金が発生する
- 同一市町村区域内では同じ業界のビジネスができない(競業避止義務)
- 債務が残る
経営者だけで実施できない
事業譲渡する場合の売り手側のデメリットとして、経営者だけで実施できないことがあります。
まず、事業譲渡には専門知識が必要であり、経験豊富なアドバイザーの支援が欠かせません。特に、契約書の作成や税務処理などの法務面や財務面については、専門家のサポートが不可欠です。
また、事業譲渡には多くの時間と労力が必要であり、経営者が自らのビジネスを見捨ててしまうことにもなりかねません。さらに、譲渡価格の交渉や契約条件の決定など、売り手側にとってリスクが伴う部分もあります。
譲渡益に税金が発生する
事業譲渡における売り手の主なデメリットは、譲渡益に対して法人税が発生する点です。法人税は実効税率約32%にもなり、税額が非常に高額になります。
ただし、法人税は1年間の会社全体における利益に対してかかるため、譲渡益単独に法人税は課せられません。
同一市町村区域内では同じ業界のビジネスができない(競業避止義務)
事業譲渡する場合の売り手側のデメリットとして、同一市町村区域内では同じ業界のビジネスを行うことができないことが挙げられます。
具体的には、売り手が譲渡した事業が行われていた地域において、同じ業界のビジネスを開始することができなくなる可能性があります。これは、譲渡先が競合他社であった場合に特に重要なデメリットとなります。
この制限は、譲渡契約によって取り決められることが一般的であり、譲渡契約によっては特定期間内に同じ業界のビジネスを開始することを制限する「ノンコンペティション条項」(競業避止義務)が含まれることがあります。
債務が残る
事業譲渡で買い手側が債務を引き継がない場合、売り手側に債務が残ります。事業譲渡で承継(売買)できる要素は、あくまでも買い手側との交渉によって決まるため、必ずしも債務を承継してもらえるわけではありません。
買い手側が債務を引き継ぐ場合でも、債権者に通知し説明を行う義務があるため、いずれにしてもデメリットです。
買い手側のメリット
ここからは、事業譲渡における買い手側のメリット・デメリットを紹介します。買い手側の主なメリットは、以下です。
- 簿外債務リスクを回避できる
- 節税できる
簿外債務リスクを回避できる
事業譲渡では、買い手側も譲受する資産・債務を選べます。例えば、株式譲渡では会社全体を包括承継するため、簿外債務などの偶発債務も引き継いでしまうおそれがあります。偶発債務は、内容次第では経営に大きなダメージを与えるものです。
事業譲渡では譲受するものを選別できるので、簿外債務などの偶発債務を引き継ぐリスクはありません。
節税できる
売り手側の資産を買い取る場合、現在の事業価値に加えて3~5年分の将来価値を買取額に上乗せすることで、簿価と差額が発生します。この差額を「のれん」と呼び、損金算入が可能です。のれんは5年かけて償却し、その間、節税効果が期待できます。
買い手側のデメリット
事業譲渡における買い手側のデメリットは、主に以下の2つです。
- 手続きが煩雑である
- 消費税がかかる
手続きが煩雑である
事業譲渡では、売り手側が持つ事業の許認可・従業員の雇用契約は引き継げません。したがって、買い手側では、売り手との事業譲渡契約以外に、事業に必要な許認可の新たな取得手続きや、移籍してくる売り手側従業員それぞれと個別に雇用契約を結ぶ必要があります。
包括承継を行える株式譲渡などと比べると、手続きの煩雑さはデメリットです。
消費税がかかる
事業譲渡は売買取引です。そのため、買い手側が譲受する財産の中に消費税の課税対象資産が含まれていれば、消費税が課されます。つまり、買い手側は、事業譲渡そのものに要する資金のほかに、消費税分の資金も必要です。
引き継ぐ事業財産が多いほど消費税額は高騰し、多額の資金が必要とされるため、この点はデメリットといえます。
事業譲渡・売却の実施が適しているケース
事業譲渡は、売り手の会社の法人格や既存の事業・資産を活かす場合に多く選ばれます。具体的に事業譲渡が適している3つのケースをご紹介します。
まず、会社の法人格を残しつつ再建したいときには、事業譲渡が効果的です。事業譲渡によって売り手企業は対価を得て、運転資金として活用できます。その後、事業が回復すれば廃業を避けられる可能性があります。
次に、事業譲渡を選ぶことで、会社に残したい知識やノウハウを外部に流出させずに活用できます。事業は買い手に引き継いでもらいながら、自社の土地や有価証券など価値の高い資産を保持することができるので、自由にスキームを設計できます。
また、不採算の部門を事業譲渡することで、好調な部門に経営資源を集中させ、全体の利益率を向上させることが可能です。赤字部門でも、買い手企業と強いシナジーがある場合には事業譲渡が最適な選択肢です。
事業譲渡・売却の手続きにかかる費用
事業譲渡をする場合、その値段はどうやって決まるのでしょうか。基本的には、売る側と買う側が交渉して価格を決めます。しかし、単に「これくらいで売りたい」と「これくらいで買いたい」と言ってもなかなか合意はできません。
なので、専門家が売りたい事業が実際にどれくらいの価値があるのかを計算します。この価値を出す作業を「バリュエーション」と言います。バリュエーションには難しい計算がいくつもあります。そのため、多くの場合はM&Aの専門家や会計士にお願いして、いくつかの計算方法を組み合わせて最終的な価格を出します。
ざっくり言うと、その価格は「事業の現在の資産と負債の差」に「ブランドや特許などの価値」を足したものになります。この「ブランドや特許などの価値」を「のれん代」と呼びます。
のれん代を評価するのはとても難しいです。技術・ノウハウ・社員のスキル・特許・商標・顧客リスト・販売網など、数字にできないような価値も考慮しなければなりません。そのため、専門家による専門の算定が必要です。
事業譲渡・売却を高値で成功させるポイント
この章では、事業譲渡・売却を高値で成功させるポイントについて見ていきましょう。
利益が生まれている
事業売却の売却額では、事業の利益が出ているかどうかが最も重要といえます。過去3年〜5年の利益を見て事業の将来性を判断され、単に売り上げを見るのではなく利益が注目されます。
そのため、しっかりと売り上げを伸ばし、経費を削減することが大切です。今後5年間の事業計画を示すと、将来性もアピールできます。
他社にはない強み・魅力がある
他社にはない独自の強み・魅力があれば、売却価格を引き上げられるでしょう。独自の技術力や特許、優秀な営業マンや固定客、販売ネットワークなどが事業の強みになります。
買収側が、お金を払ってでも手に入れたいと思う強みを探すには、自社分析を行うことが欠かせません。
法務・財務状況が健全である
法務・財務状況が健全であれば、事業売却の売却価格が高まります。
デューデリジェンスでリスクが見えると、買収側からの提示額は下がるので、「訴訟問題」「簿外債務」「会計処理・確定申告の不正」「従業員・取引先との不適切な契約」などのリスクは排除して、健全な経営状況をキープしましょう。
事業譲渡するタイミング
事業譲渡を円滑に進めていくには、タイミングも重要です。事業譲渡を進めていくには以下の3点がポイントになります。
- 企業を存続させたまま再建を目指す
- 自社に残したい資産が残っている
- 同じ企業に好調・不調の部門が混在してしまっている
それぞれを詳しく解説します。
企業を存続させたまま再建を目指す
事業譲渡するタイミングは、企業が存続しているうちに十分な利益を得られるような状況が生まれた時が相応しいです。
つまり、事業が健全で、将来的に収益性が高まる見通しがあるときに譲渡することが望ましいと言えます。
また、再建を目指すためには、事業譲渡後に残る企業の存続が重要になってきます。そのため、譲渡によってもたらされる資金を再投資して、企業の競争力を高めることが必要です。
具体的には、譲渡によって得られる資金を、新たな事業の開発や既存事業の改善などに充て、事業の再生を図ることが重要です。このようにして、企業を存続させながら再建を目指すことができます。
自社に残したい資産が残っている
事業を継続することができる場合には、自社に残したい資産が残っていることが重要です。
具体的には、譲渡後にも自社の事業を継続するために必要な資産やリソースが残っていることが望ましいです。たとえば、特定の技術や製品ライン、ブランド、顧客基盤などがあり、これらを維持しながら事業を再生することが可能である場合には、自社に残したい資産が残っていると言えます。
また、譲渡後にも自社が競争力を持つために必要な資産が残っていることも重要です。たとえば、人材やノウハウ、製造施設や技術装置などがあり、これらを活用して新たな事業展開や既存事業の改善を進めることができる場合には、自社に残したい資産が残っていると言えます。
以上のように、譲渡するタイミングで自社に残したい資産が残っていることが、事業の再生や競争力の維持につながります。
同じ企業に好調・不調の部門が混在してしまっている
好調・不調の部門が混在している場合には、譲渡する部門を慎重に選択することが重要です。
不調な部門を手放すことで企業全体の業績を改善することができる一方で、不調な部門を再建することで競争力を高めることもできます。
まず、好調な部門と不調な部門が混在している場合には、事業譲渡を検討する際には、譲渡したい部門の収益性や将来性などを中心に判断することが重要です。つまり、不調な部門が存在しているからといって、好調な部門を手放すべきではありません。
事業譲渡・売却の手続きに関する5つの注意点
事業譲渡・売却における手続きの際は、以下の4点に注意しましょう。
- 従業員の流出
- 競業避止義務
- 守秘義務
- 株主による承認
- 事業譲渡契約書は専門家にチェックしてもらう
①従業員の流出
事業譲渡では、該当事業を担当する従業員が一度、譲渡側企業を退職します。そして、買収側企業が再度、従業員と雇用契約を交わす流れです。したがって、従業員が流出しやすい状況が生まれます。
事業譲渡に不満を持つ従業員がいたり、雇用契約に納得できない従業員がいたりすれば、買収側と雇用契約を結ばず他社に入社してしまう危険性があるのです。
そうなれば事業の価値が低下したり、重要な機密情報が漏えいしたりするなど、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。事業譲渡を行う際は、従業員の流出が起こらないよう、細心の注意を払う必要があるのです。
②競業避止義務
競争避止義務(会社法第21条)とは、事業を譲渡した企業が、その後「20年間に渡り同一区市町村および隣接区市町村で譲渡事業と同一の事業を行ってはいけない」規定をさします。
これは、譲渡側が再び同じ事業を行った場合、買収側の優位性が失われるためです。ただし、事業譲渡契約時に当事者間で競争避止義務を負わないと定めた場合は、義務を排除できます。
同様に、事業譲渡契約時に競業避止義務の特約を定めた場合は、その義務を最大30年まで延ばすことも可能です。
③守秘義務
経営者の立場であれば守秘義務を心得ていますが、従業員は、その重大性について認識が甘い可能性があります。自社が秘密を漏らしてしまった場合、損害賠償などが請求され、甚大なダメージが及ぶおそれがあるでしょう。
そのため、秘密保持契約締結以降は、その内容が社内で順守されるよう情報管理を徹底しなければなりません。
④株主による承認
事業売却の手法によって、株主による承認が要ります。会社の経営は代表取締役・取締役が行いますが、会社を所有するのは株主なので、会社に重要な事業の売却を行うときは、株主の承認が要るのです。
多数の株主から同意を得るには、事業売却の説明を行う必要があります。
⑤事業譲渡契約書は専門家にチェックしてもらう
事業譲渡契約締結時には、当事者のどちらかが契約書を作成します。その際は、コストを最小限に抑えるためインターネット上にあるひな形などを使用せず、専門家に作成を依頼しましょう。
専門家に依頼すれば、無料のひな形にありがちな抜けや漏れによるトラブル発生のおそれがありません。事業譲渡契約書は非常に重要な契約書なので、費用を惜しむのは避けるべきです。専門家とは、弁護士またはM&A仲介会社をさします。
事業譲渡・売却で課される税金
この章では、事業譲渡・売却で課される税金について見ていきましょう。
事業譲渡で課される税金
事業譲渡で事業を売却すると、譲渡益は法人税の対象になります。事業譲渡では、対価を受け取るのは会社です。法人税は、譲渡益の19%~23.2%くらいで企業によって税率は違います。
また、消費税も発生し、課税対象の資産における10%分の消費税がかかります。
株式譲渡で課される税金
株式譲渡で事業を売却すると、株主が法人か個人かによって税金が違います。法人のケースでは、事業譲渡と同じく法人税を支払い、個人のケースでは、譲渡益ではなく譲渡所得となるので注意が必要です。
譲渡所得は所得税・住民税の対象で、所得税15.315%、住民税5%なので、20.315%の税金が課されます。
事業譲渡・売却で必要な会計処理
この章では、事業譲渡・売却で必要な会計処理について見ていきましょう。
売却側の会計処理
売却側の会計処理では、事業売却の後に、事業売却で発生した損益を仕訳処理します。譲渡資産の帳簿価格が1,000万円、譲渡負債の帳簿価格が600万円、付随費用が50万円、譲渡価格が1,500万円の例を見ていきましょう。
借方
- 譲渡負債600万円
- 付随費用50万円
- 現預金1,500万円
- 譲渡資産1,000万円
- 現預金500万円
- 移転損益1,100万円
譲渡益や譲渡損は、移転損益の科目で処理を行います。譲渡資産名には詳細な科目を入れるので、専門家と会計処理を進めましょう。
買収側の会計処理
買収側は、買収した事業におけるブランド力・ノウハウ・従業員の能力などの価値をさすのれんの計上がポイントです。買収事業の純資産と、取得金額の差額を計算に組み入れます。
譲受資産時価が700万円、譲受負債の時価が300万円、取得原価が1,500万円の例を見ていきましょう。
借方貸方
- 譲受資産700万円
- のれん1,100万円
- 譲受負債300万円
- 現預金1,500万円
のれんは、20年以内で均等償却し、売却後も毎年処理することに注意してください。
事業譲渡・売却の成功事例
ここでは、M&A総合研究所がサポートした事業譲渡・売却の成功事例をご紹介します。
譲渡企業の化学工業薬品製造業F社は、本社を愛知県に置き、化学工業薬品の製品開発・販売や不動産管理などを行っている会社です。
譲受企業の卸売業W社は、本社を東京都に置き、繊維素材・内装資材・インテリア商品の企画設計、輸出入・販売を行っている会社です。
本件M&Aにより、譲渡側は、譲受側における新商品の開発や難燃剤を活用した新規開発を中心に事業の拡大を望んでいます。
事業譲渡・売却をスムーズに進めるにはM&A仲介会社に相談
事業譲渡は、手続きが煩雑でスケジュールが長期に渡ります。事業や資産などを選別する際に、交渉が進みにくくなる場面も少なくありません。交渉を円滑かつ有利に進めるには、法務や税務などの専門的な知識やM&Aの経験を持つ専門家の存在は不可欠です。
全国における中小企業のM&Aに数多く携わるM&A総合研究所では、M&Aの専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで案件をフルサポートいたします。
また、通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月で成約した実績を有する機動力も強みです。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)
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事業譲渡・売却の手続き方法まとめ
事業譲渡には、一部の事業だけを売買でき、買い手側企業が簿外債務や不要な資産を引継ぐリスクがないメリットがあります。一方、事業譲渡は、ほかのM&Aスキームと比べて手続きが複雑で、顧客や従業員を包括承継できない点などがデメリットです。
そのため、メリットとデメリットを比較したうえで、実際に事業譲渡を用いるかどうか判断しましょう。自社だけの判断で不安がある場合は、M&Aの検討段階から専門家に相談し、アドバイスを得ながら進めるのが得策です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。