M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月24日更新会社・事業を売る
バーチャルデータルームとは
バーチャルデータルームとは、主にM&Aで必要となる情報開示を実施する空間です。情報漏えいの防止とM&Aのスムーズな進行には、バーチャルデータルームの活用が適切です。この記事では、バーチャルデータルームの利用を検討する方に向けて幅広く解説します。
バーチャルデータルーム
企業同士の取引シーンに限らず、企業を経営するうえで情報管理は欠かせません。自社の情報はもちろんのこと、自社が抱える顧客・取引先などの情報に関しても、慎重に取り扱う必要があります。
その一方で、情報化社会が発展するにつれて、最近ではプロセスの効率化が目指される傾向にあります。多くの企業では、通信機器を利用して会議・情報交換などを実施します。技術革命によって便利になりましたが、現代社会では情報漏えいのリスクが深刻化しています。
特にM&A取引では、企業同士の機密情報をやり取りするため、情報漏えいのリスクが非常に高いです。一般的なM&A取引では、検討の段階まで匿名でやり取りするほど情報管理に関して敏感です。とはいえ、ある程度は情報公開しないと、M&Aは済ませられません。
情報漏えいのリスクを抑えつつ効率的にM&Aを進めるには、万全なセキュリティが求められます。今回は、情報漏えいを防ぎつつM&Aをスムーズに実施するための空間「バーチャルデータルーム」について解説します。
バーチャルデータルームとは
バーチャルデータルームとは、情報開示のために設置されているWeb上の空間です。英訳の頭文字を取って、「VDR」と呼ばれることもあります。物理的な空間ではなく、あくまでもWeb上に存在する空間です。
M&Aプロセスを進めるうえで、バーチャルデータルームは必要不可欠です。バーチャルデータルームでは万全なセキュリティ体制が敷かれており、情報開示の当事者となる個人・企業のみがアクセスを許可されます。
当事者はインターネット環境さえあれば閲覧できるため、お互いの企業情報の開示に適しています。第三者の介入を排除しつつ、手間・時間をかけずにお互いの情報を閲覧できるため、ほとんどのM&Aケースで活用されています。
バーチャルデータルームの費用・料金
バーチャルデータルームの利用料金は月額制が採用されるケースが多いですが、具体的な料金は提供するプロバイダーごとに異なります。閲覧する情報容量によっても料金は変動するため、バーチャルデータルームで発生する費用はM&Aケースごとに多種多様です。
なお、費用を抑えつつM&Aの成功を目指す場合には、手数料面に強みを持つM&A仲介会社に相談すると良いです。最近は、M&A実施件数の増加に伴って、手頃な手数料でM&A仲介業務を請け負う会社も多いです。
M&A実施をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aに関する専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、M&Aプロセスをフルくサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にお問い合わせください。
バーチャルデータルームの情報開示レベル
バーチャルデータルームでは、保存した情報を特定の個人・企業が閲覧できるようセキュリティが組まれています。多くのケースにおいて、バーチャルデータルームで閲覧させたい情報は、PDF化させたうえで保存します。
PDF化させる場合、各情報の開示レベルは、以下のとおり段階的に設定可能です。
- 閲覧不可能
- 閲覧のみ可能
- 閲覧と印刷のみ可能
- 閲覧と印刷とダウンロードが可能
ただし情報開示レベルの詳細設定は、バーチャルデータルームのプロバイダーごとに異なります。各情報に開示レベルを設定すれば、情報漏えい・機密文書紛失などのリスクを軽減可能です。さらに、相手企業と距離が離れていても、郵送などの手間をかけずに情報開示できます。
バーチャルデータルームの使用例
バーチャルデータルームは、M&Aの中でも以下のような場面で活用されます。
- デューデリジェンスの進行
- 社内の情報共有
- 海外企業との情報共有
- 知的財産の共有
①デューデリジェンスの進行
デューデリジェンスを進めるうえで、バーチャルデータルームは大いに活用されています。バーチャルデータルームを活用すれば、情報漏えいを防ぎつつ、M&A実施を検討する企業同士が財務諸表などの機密資料を閲覧可能です。
このようにバーチャルデータルームは、M&Aによる買収・売却を検討する企業同士が情報公開によって相手企業について理解を深めるうえで、重要な役割を果たしています。
②社内の情報共有
バーチャルデータルームは、M&Aによる企業統合だけでなく、自社内においても活用できます。社内の人間のみ利用できるよう制限をかければ、社内の機密情報などを簡単に共有可能です。
状況に応じて、会議に参加できない社外取締役などにも情報共有可能です。メールによる情報送付よりも、はるかに安全性が担保されます。
③海外企業との情報共有
海外企業とのクロスボーダーM&Aを実施する場合、バーチャルデータルームを活用すれば、国内にいながら海外企業と手軽に情報共有可能です。バーチャルデータルームでは、M&Aに関する契約書・経営に関する資料なども共有できます。
情報漏えいのリスク・手間などを減らしつつ、遠方の海外企業とM&Aを実施できます。
④知的財産の共有
M&Aにより自社の強みである特許などを譲渡する場合、情報管理が非常に厳しく問われます。バーチャルデータルームを活用すれば、M&Aの当事会社のみで特許などの知的財産を共有可能です。
さらに、例えば不動産業界・製造業界などの企業が使用する設計データなども、必要な部分のみピックアップして共有できます。データのすべてを渡すのではなく、担当者ごとにデータを分けつつ閲覧可能の状態に設定可能です。
上記のとおり、バーチャルデータルームは、主として情報共有のために使用されます。開示データを自社内で確認することも可能であるうえに履歴も残るため、M&Aプロセスにまつわるミスも軽減可能です。
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バーチャルデータルームを使用するメリット
最後に、バーチャルデータルームを使用するメリットを以下のとおり紹介します。
- M&Aプロセスを安全かつスムーズに進行できる
- M&A実施後も利用できる
- 情報をまとめて入手できる
- アクセス記録を残せる
- 管理会社によるサポートが受けられる
- アクセス制限を細かく設定できる
①M&Aプロセスを安全かつスムーズに進行できる
これは、M&Aでバーチャルデータルームを活用する場合に最も魅力的なメリットです。これまで情報を共有するためには、メール・郵便などを活用するケースが一般的でした。現在ではバーチャルデータルームによって、安全性に配慮しつつ手間を抑えて取引を進行可能です。
安全かつスムーズにデューデリジェンスなどのプロセスを実施できれば、M&A自体の成功確立も高まります。ほとんどのバーチャルデータルームが日本語以外の言語にも対応しており、国外企業とのクロスボーダーM&Aをスムーズに済ませられる点も大きなメリットです。
②M&A実施後も利用できる
バーチャルデータルームはM&A取引時に便利ですが、企業統合後にも役立つ存在です。企業統合を実施すると、M&Aの相手先企業とはさらに密接に関わり合います。企業統合後の経営方針・計画についても、バーチャルデータルームで共有可能です。
そのため、相手先企業に赴いて会議を重ねなくとも、スムーズに経営方針などを決定できます。
③情報をまとめて入手できる
メールやファックスなどで情報共有していると、資料の送付状況・受取状況がわからなくことがあります。バーチャルデータルームではまとめて情報共有できるため、相手が多数存在する場合でも時間・手間をかけずプロセスを進行可能です。
④アクセス記録を残せる
バーチャルデータルームでは、情報ファイルごとにアクセス記録を残せます。この機能は、情報漏えい防止が期待できるうえに、会社売却時にも役立ちます。M&A相手探しの段階で、自社情報の公開後にアクセス履歴を確認すれば、自社に関心を示す企業を確認可能です。
M&A完了後、「その情報は知らされていない」といったクレームが来た場合にも対応できます。アクセス記録という証拠が残っているため、トラブルを未然に防げます。
⑤管理会社によるサポートが受けられる
多くのバーチャルデータルームはプロバイダーの管理下にあるため、初めてバーチャルデータルームを使用する場合でも安心して使用可能です。例外は見られますが、多くのプロバイダーが24時間365日体制でのサポートを実施しています。
クロスボーダーM&Aにおいて海外企業と情報共有する場合には、時差により必ずしも日中にやり取りできるとは限りません。24時間サポート体制を取るプロバイダーの協力があれば、安心して取引に臨めます。
⑥アクセス制限を細かく設定できる
バーチャルデータルームでは、情報漏えい防止のために印刷・ダウンロードなどに制限をかけられます。それに加えて、スクリーンショットなどの画面画像を残す機能も制限できる場合もあります。
多くのバーチャルデータルームのプロバイダーでは、あらゆるドキュメントに対応しています。共有データに透かした署名を挿入できるため、情報漏えいを徹底的に防止可能です。
このようにバーチャルデータルームは、情報を保護しつつ取引を円滑化できるメリットがあります。バーチャルデータルームのプロバイダーごとに詳細な利用方法は異なりますが、上記メリットは共通しています。
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まとめ
M&Aでは、高い信頼性が求められます。相手企業の情報を誤って漏えいさせれば、情報管理の甘い企業として認知されかねません。取引先からの信頼を失ううえに、最悪の場合には経営悪化を招きます。情報管理は、企業を経営するうえで必要不可欠です。
M&A実施時には、バーチャルデータルームを利用して情報を慎重に取り扱うと良いです。自社の情報を守る観点からも、バーチャルデータルームの活用は有効策となります。要点をまとめると、以下のとおりです。
・バーチャルデータルームとは
→主にM&Aにおける情報開示のために設置されているWeb上の空間
・バーチャルデータルームの費用・料金
→プロバイダーや閲覧する情報容量などによって変動する
・バーチャルデータルームの情報開示レベル
→各情報の開示レベルは柔軟に設定可能
・バーチャルデータルームの使用例
→デューデリジェンスの進行、社内の情報共有、海外企業との情報共有、知的財産の共有
・バーチャルデータルームの利用メリット
→M&Aプロセスを安全かつスムーズに進行できる、M&A実施後も利用できる、情報をまとめて入手できる、アクセス記録を残せる、管理会社によるサポートが受けられる、アクセス制限を細かく設定できる
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。