パイオニアの事業売却(M&A)とは?事例やM&Aにおける株式譲渡との違いも解説

事業売却は、近年様々なM&A事例の中で見られます。パイオニアも、こうした事業売却を進めた企業の一つです。伝統のあるパイオニアが培ったノウハウが、今後の各事業の展開でどのように活かされるのか注目されています。

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2019年7月9日公開

目次
  1. 事業売却(M&A)とは
  2. M&Aの種類
  3. パイオニアとは?
  4. パイオニアの事業売却(M&A)事例
  5. 事業売却は専門家に相談
  6. まとめ

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事業売却(M&A)とは

近年、様々な業界でM&Aが加速していますが、その中で事業売却を行う企業も増えています。M&Aには、株式譲渡や合併などの手法がありますが、近年はM&A事例も多様化し、事業売却を進めるケースも多く見られます。

パイオニアもそうした事業売却を行った企業の一つで、事業売却によって事業の選択と集中を進めています。さて、こうしたパイオニアの事業売却について整理するにあたり、まずは事業売却やM&Aの意味、特徴からご紹介していきます。

M&Aの種類

そもそもM&Aにはどのような種類があるのか、再確認しておきましょう。

M&AはMergers and Acquisitions(合併と買収)の略称となり、2つ以上の会社が1つの会社になる合併(Mergers)、ある会社が他の会社を買い取る買収(Acquisitions)を意味します。一方で、一般的には会社分割や資本業務提携などもM&Aに含まれます。

また、M&Aに含まれる買収の手法は様々で、大きく分けると株式取得(株式譲渡・新株引受・株式交換・株式移転)、事業譲渡(全部譲渡・一部譲渡)に分類されます。一般的には株式譲渡が多い傾向がありますが、事業譲渡(事業売却)を活用するケースも増えるなど、近年は様々なスキームのM&Aが行われています。

事業売却(事業譲渡)の意味

次に、事業売却(事業譲渡)の意味を整理しておきましょう。

事業譲渡は、会社の事業の全部または一部を他の会社に売却(譲渡)することを表し、事業売却と呼ばれることもあります。事業売却(事業譲渡)は、事業を全て売却するケースのほか、事業の一部を売却するケースもあるという点に特徴があります。

また、売却した事業の経営権は移転しますが、残しておく事業の経営権はもちろん移転しません。そのため、不採算事業を切り離し、採算事業を残して経営資源を集中するといった方法が可能になるわけです。

株式譲渡の意味

次に、株式譲渡について整理しておきます。

事業売却(事業譲渡)の仕組みを知るためにも、株式譲渡との違いを把握することが大切です。株式譲渡とは、株主が保有する株式を第三者に譲渡することを指します。株式譲渡によって株式が移転しますが、これは会社の経営権とも深く関係するポイントです。株式の取得割合によっては、経営権の取得につながる可能性があるからです。

株式には基本的に株主総会の議決権がありますが、株主総会は会社の経営に深く関係する決議が行われます。そして、議決権の過半数を保有していると、株主総会の普通決議を議決することが可能になります。つまり、議決権のある株式の過半数を保有することは、会社の経営権を有することも意味するのです。そのため、株式譲渡においても、どのくらいの株式が移転したかが重要になります。もし、100%の株式を譲渡した場合であれば、その会社の経営権が全て移転することになるわけです。

事業売却(事業譲渡)と株式譲渡の違い

事業売却(事業譲渡)では事業が移転しますが、株式は移転しません。事業を売却したとしても、それに伴って株式が動くわけではありません。また、売却した事業の経営権は移転しても、残しておく事業の経営権はもちろん移転しません。

事業売却(事業譲渡)の場合、経営権は事業ごとに判断することができます。一方で、株式譲渡では株式が移転し、特定の事業が移転するわけではありません。また、株式譲渡は株式の取得割合によって経営権が変わります。事業譲渡のように、事業単位で経営権が判断できるわけではありません。あくまで株主の持株の比率によって、どの程度の経営権があるのかが判断されます。

パイオニアとは?

ここまで、事業売却の意味や特徴などをご紹介しました。次に、パイオニアの事業売却の事例を見るにあたり、まずはパイオニアの事業内容などを整理しておきましょう。

パイオニアは1938年創業の長い歴史のある企業で、これまで積み上げた確かな実績を誇ります。現在、市販事業、OEM事業、地図事業、自動運転関連のカーエレクトロニクス事業を中心とするほか、有機EL照明、医療・健康機器関連、光ディスクなどの様々な事業を進めています。近年はカーエレクトロニクス事業への集中のため、他の事業の売却も行われましたが、これらの事業売却を経て、今後のカーエレクトロニクス事業の発展、そして他事業の動向など、その事業展開に注目されています。

パイオニアの事業売却(M&A)事例

以下、パイオニアの事業売却(M&A)事例についてご紹介していきます。

近年、パイオニアは事業の選択と集中を進めており、特に主力となるカーエレクトロニクス事業への経営資源の集中を図っています。以下でご紹介する事業売却の事例も、こうした事業の選択と集中を進めるケースとなります。

また、事業売却の事例の中でも、会社分割や子会社の株式譲渡といったスキームが登場します。それぞれの事例のM&A手法や、事業売却の流れなど、順を追って分析してみてください。

⑴DJ機器事業の売却

パイオニアは2014年9月、DJ機器の開発・製造・販売に関する事業を、会社分割によって切り出し、新しくパイオニアDJ株式会社を設立することを発表しました。同時に、パイオニアと投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR)が、新たに設立されるパイオニアDJの株主になることも合意されています。この仕組みは、次のようになります。

まずKKRは、持株会社のPDJホールディングスを通じてパイオニアDJの発行済株式の全てを約590億円で取得します。また、パイオニアは、PDJホールディングスが行う第三者割当増資を引き受けます。これらの手続きを経て、KKRがPDJホールディングスの株式の85.05%を、パイオニアが株式の14.95%を保有する形となります。

さて、本事例で売却されたパイオニアのDJ機器事業は、DJ向けのCDプレーヤー、ミキサー、コントローラー、ヘッドフォン、スピーカーといったDJ機器の開発・製造・販売を行う事業として、確かなブランド力や技術力に定評があり、世界的にも高い知名度を誇ります。

一方で、パイオニアは主力となるカーエレクトロニクス事業に対する投資も必要な状況であり、DJ機器事業かカーエレクトロニクス事業か、どちらかに集中する必要があると判断されました。その結果、DJ機器事業が売却されることになり、パイオニアはカーエレクトロニクス事業に経営資源を集中する形となっています。

⑵FA事業の売却

パイオニアは2018年9月、パイオニアの連結子会社となる東北パイオニアが持つ東北パイオニアEGの全株式を、自動車部品メーカーのデンソーに譲渡することを発表しました。東北パイオニアEGは、ファクトリー・オートメーション(FA)事業を手がける連結子会社として、自動車業界、電気・電子機器、ITなどの分野でFA生産システムの提供を行っています。この東北パイオニアEGの全株式がデンソーに譲渡されたことで、パイオニアはFA事業を売却したことになります。

パイオニアは近年、カーナビ事業の業績不振などもあり、主力事業でもあるカーエレクトロニクスへの経営資源の集中をはじめ、事業の選択と集中を進めています。こうした中でFA事業の売却も行われ、売却によって得た資金を成長事業への投資に活用することになります。

また、デンソーは、自動車部品以外の事業の拡大を進める中で、FA分野にも注目しています。こうした状況の中、デンソーは東北パイオニアEGの買収によってFA事業のノウハウを獲得することになり、今後の事業展開にも注目されています。

事業売却は専門家に相談

上記でご紹介した事例からもわかるように、事業売却においては、売却に至るまでの背景、売却の目的、事業売却の流れなど、それぞれ複雑な事情が関係しています。事業の選択と集中を進めるには、どの事業を売却すればよいのか、どのタイミングで売却すべきかなど、専門的な判断が求められます。

さらに、業界の動向や、売却先となる企業の業績・動向なども把握する必要があります。そのため、事業売却においては自社だけで判断できない部分も多くなります。事業売却を成功に導くためにも、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に相談したうえで、しっかりとサポートを受けることが大切です。

まとめ

様々な手法のあるM&Aですが、会社の事業の全部または一部を他の会社に売却(譲渡)する事業売却も、近年様々なM&A事例の中で見られます。パイオニアも、こうした事業売却をいくつかの事業で進めた企業の一つです。

事業売却は、事業の選択と集中を進めるうえでも効果的な手法となります。パイオニアの事業売却も、特定の事業への集中を図るため、他の事業の売却を行ったケースが見られます。こうした事業売却を進める中、パイオニアは主力となるカーエレクトロニクス事業の強化を進めています。伝統のあるパイオニアが培ったノウハウが、今後の各事業の展開でどのように活かされるのか、また、M&A動向に新しい動きはあるのか、注目されています。

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