M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年12月20日更新会社・事業を売る
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)とは?種類とメリット・デメリット
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)を活用すれば資金・経営面で支援が得られる一方で、経営の自由度低下・イグジットの強制といったデメリットが問題となるケースも少なくありません。そこで今回は、PEファンドの種類やメリット・デメリットなどを解説します。
目次
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)とは
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)とは、世の中に存在するさまざまなファンドのうち、未公開株式(プライベートエクイティ)の運用を手掛けるファンドをさします。ビジネスシーンにおいては、省略形である「PEファンド」と呼ばれるケースが多いです。
PEファンドの仕事内容は、未公開企業の株式を出資の形で取得したうえで、資金提供・経営関与により企業価値を上昇させながら、十分に株価が上昇した段階で売却してキャピタルゲインを獲得することです。
PEファンドでは、年金融機関・事業会社・個人投資家などの機関投資家達から資金を集めて、未公開会社に資金を投入します。この手法は、証券会社を通じて個人的に投資する手法と対比して、オルタナティブ投資と呼ばれるケースも多いため把握しておきましょう。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の意味や仕組みとは?
続いて、PEファンドの意味や仕組みをより深く把握するために、以下の項目に分けて取り上げます。
- PEファンドとヘッジファンドとの違い
- PEファンドのイグジット戦略
それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。
PEファンドとヘッジファンドとの違い
PEファンドのようにオルタナティブ投資を行うファンドとしては、そのほかにヘッジファンドも挙げられます。ヘッジファンドとは、いかなる市況環境においても収益獲得を目指すファンドのことです。つまり、PEファンドもヘッジファンドに該当します。
そのため、ヘッジファンドとPEファンドの間には、違いはありません。なお、PEファンドではキャピタルゲインの獲得が最終的な目的に掲げられるため、PEファンドから出資を引き受けた企業はM&AまたはIPOによるイグジットを目指します。
さらに、PEファンドは、投資対象によりベンチャーキャピタルやバイアウトファンドなどとも呼ばれます。これらのファンドごとに株式保有割合や経営への介入度などは異なるため、PEファンドを把握する際は体系的に理解しておかなければなりません。
PEファンドのイグジット戦略
PEファンドはイグジットを前提に介入の意思決定を行っているため、介入時にすでにM&AやIPOによるイグジット戦略を具体的に想定しているケースも多いです。
もしすでにPEファンドの介入を受けていて、M&Aによるイグジットを検討しているならば、M&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所には知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ってきたノウハウを活かしてM&Aをフルサポートしております。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)相談料は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)のM&Aへの活用
PEファンドは、M&Aシーンにおいても高く注目されています。特にM&Aによる事業承継を希望している経営者からすると、PEファンドに企業を売却できれば、経営の引退を実現することが可能です。
一方のPEファンドにとっても、企業価値を高めたうえで売却できれば、売却利益を獲得できるメリットがあります。
たとえ経営者がM&Aによる事業承継を決断したとしても、必ずしも経営引退までの短期間で自社にふさわしい買い手企業を見つけられるとは限りません。
しかし、PEファンドとM&Aを行えば、PEファンドに自社の売却先としてふさわしい企業を探してもらえる可能性があります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の種類別特徴
PEファンドは、出資する企業のステージに応じて以下の4つに大まかに分類されます。
- ベンチャーキャピタル
- バイアウトファンド
- 事業再生ファンド
- ディストレスファンド
上記4つの間ではPEファンドの業務内容や特徴などが異なっているため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
①ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)とは、設立から間もないベンチャー企業に対して投資するPEファンドのことです。投資対象は創業したばかりのベンチャー企業であるため失敗するリスクが非常に高く、投資資金を回収できない可能性は非常に高いとされています。
ただし、非常にハイリスクである一方で、IPOを行った場合のリターンは数十倍〜数百倍にも及ぶためハイリターンなPEファンドでもあります。とはいえ、失敗するケースが圧倒的に多いため、複数企業の株式を少しずつ保有する分散投資の形式が採用されるのが一般的です。
このようにIPOの達成は困難であるため、近年ではM&Aによる資金回収を図るベンチャーキャピタルが増加中です。IPOと比べて回収資金は少ないものの、高確率でイグジットを達成できます。なお、実務の現場では、PEファンドとVCは別物と捉えられるケースも多いため注意が必要です。
②バイアウトファンド
バイアウトファンドでは、ある程度の段階まで事業の軌道が乗って十分なキャッシュフローを生み出している未公開企業を投資対象とします。ベンチャーキャピタルと比較するとミドルリスク・ミドルリターンであり、積極的に経営へ関与する点が特徴的です。
また、バイアウトファンドでは、株式の過半数を保有してキャッシュフロー改善による企業価値向上を図ります。
なお、バイアウトファンドが株式を取得する際は、LBO・MBO・MBIなどのM&A手法が活用されるケースが多いです。
③事業再生ファンド
事業再生ファンドとは、経営不振に陥っている未上場企業に投資するPEファンドのことです。事業再生は容易ではなく投資には大きなリスクが伴いますが、安く株式を買収するため企業価値向上により大きなキャピタルゲインの獲得が期待できます。
事業再生ファンドでは、事業の方向転換による再生を目指す「ターンアラウンド」や、リストラ・ダウンサイジングによる再生を目指す「ワークアウト」などの手法が採用されます。
ターンアラウンドは財務状況が健全であるものの事業不振な場合に活用される手法であり、ワークアウトは事業が好調であるものの財務状況が悪い場合に活用される手法です。
また、必要に応じて、再生対象企業の債権買取を伴う「債権の株式化(デットエクイティスワップ)」も実施されます。
④ディストレスファンド
ディストレスファンドとは、経営破綻した企業の株式や債権を投資対象とするPEファンドのことです。具体的には、破綻した企業の債権や株式を転売したり、企業価値を高めたりしてから高値で売却する手法を採用しています。そのため、非常に高リスクの投資であるうえに、運営には専門知識が必要です。
日本では、バブル崩壊後にディストレスファンドの活動が活発化しました。以前は多くの経営者からすると忌み嫌う存在であったため、ハゲタカファンドと呼ばれていた時代もあります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の支援を受けるメリット
本章では、経営者の視点からPEファンドの力を借りるメリットとして以下の4つを取り上げます。
- 豊富な資金提供
- 手厚いハンズオン支援
- M&Aのサポート
- 人材紹介
これら4つのメリットを押さえておけば、自社においてPEファンドの力を借りる利点が把握できます。それでは、それぞれのメリットを順番に把握しておきましょう。
①豊富な資金提供
PEファンドを利用する最も大きなメリットは、豊富に資金調達できる点です。つまり、PEファンドに対して一定割合の株式を渡す代わりに、企業価値に見合った金額を調達できます。
なお、どれほどの割合の株式を渡すのかは、PEファンドの種類や企業の状況により異なります。ちなみにPEファンドから調達した資金は返済不要であるため、返済や利子などを気にせず経営に取り組める点もメリットです。
②手厚いハンズオン支援
PEファンドの目的は、企業価値の向上による利益獲得にあります。企業価値向上のために、専門家の派遣や経営戦略の構築などの手厚いハンズオン支援を実施してもらうことが可能です。ハンズオン支援とは、企業の経営に深く関与する支援をさします。
つまり、これまで培ってきた投資経験にもとづいた質の高いサポートを提供してもらえます。PEファンドからの支援を受ければ、着実かつスピーディーに経営目標を達成することが可能です。
③M&Aのサポート
最近では多くの企業がM&Aを活用していますが、中小企業がM&Aを実施する際には困難が伴います。なぜなら、相手探し・デューデリジェンス・バリュエーションなど、M&Aでは膨大なプロセスの遂行が求められるためです。しかし、PEファンドを利用すれば、中小企業のM&Aをサポートしてもらえます。
中小企業の経営者様がM&A検討される場合は、PEファンド以外にM&A仲介会社に依頼する方法もあります。
M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&Aを取り扱っており、支援実績豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
④人材紹介
PEファンドは、人材紹介機能も担う存在です。そもそもPEファンドは複数の企業に投資しており、さまざまな業界・企業と深い関係性を築いています。そのため、自社の企業価値を向上させるうえで必要な人材を紹介してくれるケースも珍しくありません。
企業を経営するうえで新規事業を始める際、人材不足に悩まされるケースも多いです。しかし、PEファンドを利用すれば、企業価値の向上につながる人材を確保できる可能性があります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の支援を受けるデメリット
次に、PEファンドの力を借りることで生じるデメリットとして以下の3つを取り上げます。
- いずれイグジットしなくてはいけない
- 経営の自由度が制限される
- 借り入れを行った場合に返済義務を負担する
これら3つのデメリットを押さえておけば、自社においてPEファンドの活用を慎重に検討できるため後々のトラブルを回避できます。それでは、それぞれのデメリットを順番に把握しておきましょう。
①いずれイグジットしなくてはいけない
PEファンドは、IPOあるいはM&Aによる資金回収を目的に出資を実施します。つまり、PEファンドから出資を受けたら、イグジットを目指さなければなりません。
そのため、長期にわたり自身で経営することを前提にPEファンドを活用する戦略は、最適ではない可能性もあります。
②経営の自由度が制限される
経営面でさまざまなサポートが受けられるとはいえ、すべてを都合良く利用できるわけではありません。
PEファンド側は利益の獲得が目的であるため、利益に直結する行動を優先します。そのため、株式の過半数を保有されるとファンド側の意思決定に従わなくてはいけない点には注意しましょう。
③借り入れを行った場合に返済義務を負担する
PEファンドの介入を受ける際、事業再生のために借り入れるケースがあります。借り入れを行った場合は、もちろん返済義務が発生するため注意が必要です。
例えば、創業から間もないベンチャー企業や事業が停滞している企業などでは、資金返済が重荷となるリスクがあります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)のまとめ
本記事では、PEファンドについて幅広く解説しました。PEファンドのサポートを得れば、資金面・経営面が強化されるほか、M&Aプロセスを進行させることも可能です。その一方で、経営の自由度低下・イグジットが強制されるなどのデメリットも存在するため注意しましょう。
したがって、PEファンドを利用する際は、メリットとデメリットを天秤にかけたうえで活用を検討する必要があります。もしもPEファンドを活用したいならば、まずは相談してみると良いでしょう。本記事の要点は、以下のとおりです。
・プライベート・エクイティ・ファンドとは
→未公開株式(プライベートエクイティ)の運用を手掛けるファンド
・PEファンドの種類
→ベンチャーキャピタル、バイアウトファンド、事業再生ファンド、ディストレスファンド
・PEファンドの支援を受けるメリット
→豊富な資金提供、手厚いハンズオン支援、M&Aのサポート、人材紹介
・PEファンドの支援を受けるデメリット
→いずれイグジットしなくてはいけない、経営の自由度が制限される、借り入れを行った場合に返済義務を負担する
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短43日、平均7.2ヶ月のスピード成約(2025年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...
株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説
株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...
赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...
関連する記事

M&AのSPA(株式譲渡契約書)とは?必要性や記載事項と契約時の注意点を解説!
M&AのSPAとは株式譲渡契約書のことです。株式譲渡はM&Aで最も多く用いられているスキーム(手法)であり、M&Aの当事者となれば目にする可能性が高いでしょう。本コラムで...

財務アドバイザーとは?M&A仲介との違いや役割についても解説!
M&Aの検討や実施をする際に財務アドバイザーに相談するのも1つの手段です。本コラムでは、財務アドバイザーの概要やM&A仲介との違い、財務アドバイザーがM&Aで担う役割など...

M&Aのタームシートとは?重要性や記載内容と作成メリットについて解説!
M&Aにおけるタームシートは、合意内容を確認しながら交渉を円滑に進めるために役立つものです。本コラムでは、タームシートの概要と重要性、タームシートの項目内容と作成する際のポイント、ターム...

個人保証とは?経営者のメリットやデメリットとガイドラインについて解説!
これまで中小企業が金融機関から経営資金を借金しようとする場合、多くは経営者の個人保証(連帯保証)を求められてきたのが実態です。本コラムでは、個人保証の概要やメリット・デメリット、個人保証の撤廃を...

MOU(Memorandum of Understanding)とは?基本合意書の内容と他の契約書との違いを解説!
M&AにおけるMOU(Memorandum of Understandingの略称)とは基本合意書のことであり、M&Aの成立に向けた重要なプロセスです。本コラムでは、MOUを他の...

不動産デューデリジェンスの目的は?不動産DDの流れや種類を解説!
不動産デューデリジェンスは不動産投資を行うときや、M&Aでの譲渡対象に不動産が含まれている場合に必要な調査です。この記事では、不動産デューデリジェンスの目的や調査項目の種類、実際の調査が...

事業デューデリジェンスの目的は?ビジネスDDの調査・分析の流れやメリットを解説!
M&Aを実施するときには、必ず事業デューデリジェンス(ビジネスDD)を実施します。事業デューデリジェンスはどうして必要なのでしょうか。この記事では、事業デューデリジェンスの目的や分析手法...

海外M&Aのメリットや手法は?買収の目的や事例10選を解説!
国内企業が海外企業とM&Aを行う場合がありますが、海外企業とのM&Aには地政学リスクなどの国内企業とのM&Aとは違った注意点があります。この記事では、海外企業とのM&am...

税務DDの目的や手順・調査範囲を徹底解説!M&Aにおけるリスクは?
M&Aの成功のためには、税務DD(デューデリジェンス)が重要です。税務DDとは、企業が他の企業を合併や買収する際に行う重要な調査の一つです。本記事では、税務DDの目的、手順、調査範囲、実...












株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。