2020年2月28日更新会社・事業を売る

ベトナムのM&Aとは?M&A・買収事例10選やM&Aの法律や規制をご紹介

ベトナムは経済的な発展が目覚ましく、日本企業だけでなく、海外の企業も今後の事業拡大や販路の拡大などを目的として、新規参入を検討しています。その反面法律の整備などが未だ整っておらず、M&Aを実施するには、国際的なM&Aの実績を持つ専門家が必要になるでしょう。

目次
  1. ベトナム企業のM&Aの市場動向
  2. ベトナム企業のM&A・買収事例10選
  3. ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット
  4. ベトナム企業を買収する際の留意点
  5. ベトナムにおけるM&Aの法律や規制
  6. まとめ
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ベトナム企業のM&Aの市場動向

ベトナムの経済発展は急速に進んでおり、ベトナム統計総局(GSO)によると2018年の国内総生産(GDP)の実質成長率は7.08%で、GDP実質成長率が7%を上回ったのは、2007年以来だそうです。また名目GDPは、2,372億ドルを推移しています。

ベトナムの経済発展には、1986年12月のベトナム共産党第6回大会の社会主義に市場経済システムの導入を行おうとする「ドイモイ政策」によるものが大きく、現在では2020年までに工業国入りをしようという政策が進められています。

「工業化と近代化」を推し進める政策を実施しており、JICAの発表では1993年の貧困率は58.2%を記録していましたが、2010年には14.2%まで改善し2018年には9.8%に低下しています。ベトナム企業のM&Aの市場動向については、2017年の全体の取引金額は102億ドルとなっています。

これは前年のM&A取引総額の2.8倍であり、案件数も500件を超えています。しかし、このような数値は世界的に見ても平均的な数値で、特別多いというものではありません。またM&Aの規模を見ても、64.16%が規模の小さい案件となっています。

ベトナムのM&Aは、国内企業同士で行われるものもありますが、海外の企業とのM&Aも進んでおり、東南アジアに進出しようしている海外の企業がベトナムの企業を傘下にしようという動きも多くみられます。

これまでは日本の企業による、中国の企業との合弁や提携が目立っていましたが、人件費の高騰などを理由に新しい投資先として、ベトナムの企業が注目を集めるようになりました。

日本からの新規、追加、株式投資の投資額は総額でおよそ86.0億ドルで推移しています。これは世界で第1位であり、以下韓国、シンガポールが続いています。世界的に見ても、ベトナムの企業を買収しようとする動きは大きく、今後も増えていく見通しのようです。

また、ベトナムは1995年にASEANにも加盟しており、自由貿易地域にも参加しています。さらに、2007年1月には世界貿易機関にも正式加盟しており、アメリカやヨーロッパ諸国からの投資や買収が多く行われるようになり、今後もM&A市場の成長率は高くなっていくでしょう。

ベトナムの企業とM&Aを実行する際には、ベトナムの法律にも注意を払う必要があります。その場合、海外のM&Aの専門知識を持つ専門家のアドバイスを得ることが必要です。

M&A総合研究所には、経験豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。 一般的なM&A取引は、交渉から成立までに半年から1年程度かかりますが、M&A総合研究所では早いクロージングを目指しています。

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参照元 :在ベトナム日本大使館経済班 「2018年ベトナム経済事情」
JICA  「日本とベトナムのパートナーシップ これまで、そしてこれから」(2019年1月)
ジェトロ  「はじめてのベトナム進出(第2版)」(2015年3月)

ベトナム企業のM&A・買収事例10選

ベトナム企業のM&Aや買収事例を紹介していきます。

ベトナム企業の買収事例①

ベトナムのエグジムバンク(EIB)を三井住友銀行が2007年に買収を行っています。M&Aの手法としては資本・業務提携によるもので、買収金額はおよそ225億ドルでした。エグジムバンクが第三者割当増資を実施し、三井住友銀行が15%の出資を行うことで、筆頭株主となりました。

ベトナムに進出する日本企業に対する金融サービスの強化やリテール金融分野での協働を行うこととして、新しいビジネスチャンスを拡大しようとしたものです。

ベトナム企業の買収事例②

2011年にベトナムのハノイに本社を構えるダイアナ社をユニ・チャームが買収しました。M&Aの手法は、ダイアナ社の株式をユニ・チャームが95.0%に当たる3,420万株を取得、投資額は100億円前後でした。

ダイアナ社はベトナムの幼児用の紙おむつや生理用品の大手企業で、高い認知度があります。またユニ・チャームも同じ分野の商品を多く取り扱っており、これまでもアジアに現地工場を設立するなどの市場拡大を進めてきました。

しかし欧米や現地企業との競争が激しく、ユニ・チャームは、アジア全域での紙おむつや生理用品のシェアは25%と1位ですが、ベトナムではアメリカのキンバリー・クラークが1位となっています。

ユニ・チャームは、ベトナムのダイアナ社を買収することで、ラインナップの強化やユニ・チャーム生産のノウハウを導入し、大幅なシナジー効果が見込めるとして買収を決定しました。

ハノイとホーチミンに3か所の生産工場を持つなど、ベトナム市場において一層のプレゼンス向上を測ろうとしています。

ベトナム企業の買収事例③

2011年にベトナムのインターフード社に対してキリンホールディングスが買収を行っています。インターフード社は、ベトナムの飲料製造・販売を行っている会社で、清涼飲料市場が拡大しているベトナムでの基盤強化と成長を目的にM&Aを実施したとされています。

買収価格については非公開となっていますが、キリンホールディングスはインターフード社の株式を57.25%保有する、親会社であるトレード・オーシャン・ホールディングスの全株式を取得しています。

加えて、インターフード社の製品にかかわる知的財産権を保有するワンダーファーム社の全株式を取得しています。インターフード社はベトナム国内のシェアは数%ですが、小売店やスーパーマーケットなど11万店以上の販売ネットワークを持っています。

キリンホールディングスは、今後も成長が見込まれる清涼飲料市場への事業拡大を見込んでいます。

ベトナム企業の買収事例④

2018年にベトナムの製紙大手のサイゴンペーパーを総合商社の双日が買収しました。買収価格はおよそ100億円としており、株式を95.24%を取得してM&A取引が行われました。今後のベトナムの経済成長や、東南アジア全域における段ボールやティッシュペーパーのニーズが急増することを見込んでの買収でした。

サイゴンペーパーは、2011年に大王製紙がおよそ10億円の出資金を出して買収しましたが、サイゴンペーパーに株式を売却するなどして事実上、事業から撤退していました。

双日は、財務改善や設備投資を行い、2022年までにはベトナムの製紙事業の売上高を、今の40%増となる約180億円を目標に事業計画を立てています。

ベトナム企業の買収事例⑤

2012年にペプシコとサントリー食品アジアがベトナムの飲料事業における資本提携を行いました。

サントリーの傘下で、東南アジアにおける飲料事業を推進する「サントリー食品アジア社」が、ペプシコのベトナムにおける飲料・食品事業会社「ペプシコインターナショナルカンパニー」の資本参加として、51%の出資を行うことで資本提携をしたのです。

ベトナムの飲料市場は成長し続けており、今後のビジネス展開を期待しての資本提携となっています。両社の資本提携によって、商品開発力を高め、東南アジアにおける飲料ビジネスの拡大を積極的にしようとするものです。

ベトナム企業の買収事例⑥

2012年にベトナムのIT企業であるIFI Solution Joint Stock Companyの発行済株式100%を、株式会社NTTデータの子会社であるイギリスのNTT DATA EMEA Ltd.は、イタリアのNTT DATA Italia S.p.Aを通じて取得しました。

ベトナムIFI Solution Joint Stock Companyは、ヨーロッパ向けのオフショア開発を事業の主体としており、組み込みのソフトウェアやモバイル通信技術機能の開発、テスティングサービスを通信、鉄道、および電気、ガスなどのユーティリティ分野に提供しています。

NTT DATA EMEA Ltd.は、IFI Solution Joint Stock CompanyをM&Aにより子会社にすることで、そのノウハウやオフショア人材の確保につなげています。

今後は価格競争力の強化を実施するほか、顧客提案の強化にもつなげていく方針で、ヨーロッパの法人分野における既存事業の強化や新規案件の受注も目指しています。

ベトナム企業の買収事例⑦

2010年にベトナムの大手証券会社FPT Securities Joint Stock CompanyをSBIホールディングスの子会社であるSBI証券が買収を行っています。M&Aの手法は、発行済株式の20%をSBI証券が取得することで合意しています。
FPT Securities Joint Stock Companyは、ベトナム最大のIT企業でもあり、ベトナムの投資ファンドの設立や運営も実施するFPTグループの傘下にある証券会社です。ベトナムのホーチミン証券取引所における売買金額のシェアは第5位、ハノイ証券取引所においては第2位のシェアを誇っています。

ベトナムでは、個人で証券口座を持っている人は全国民のおよそ1%と前後とされており、まだまだ未発達な部分もあります。今後証券業界の成長率は高くなるものと考え、日本におけるベトナム株式の取り扱いを視野に入れての買収となっています。

ベトナム企業の買収事例⑧

2012年1月にベトナムのKinh Do Corporationを江崎グリコが買収しています。M&Aの手法は、資本・業務提携による契約で、第三者割当増資による新株式の1,400万株を江崎グリコが取得しました。これによってKinh Do Corporationの議決権所有割合は10%となっています。

Kinh Do Corporationは、ベトナム内でのビスケットカテゴリーのシェアで第1位のお菓子メーカーであり、小売店や強力な流通ネットワークを活用して、江崎グリコの製品の販売拡大を目的としています。今後の経済成長も大きくなる可能性が高く、個人消費も伸びていく可能性があります。

ベトナム企業の買収事例⑨

2012年にベトナムのCholimex Foods Joint Stock Companyの株式をニチレイグループのニチレイフーズが取得しています。このM&A取引の買収価格は公表されていませんが、Cholimex Foods Joint Stock Companyへのおよそ19%の資本参加をしています。

ベトナムは、冷凍水産加工品を中心とした素材型商品が主流となっているため、市場への参入とベトナム国内のマーケットに関する経営ノウハウを得ることを含めて、資本関係、戦略的ビジネスパートナーとなり、将来の市場成長に向けた関係を強化するものとしています。

ベトナムの労働人口のおよそ60%が第一産業と呼ばれる分野で就労しており、その中でも水産業も盛んに行われています。

ニチレイフードの自社で持っている冷凍食品のノウハウなどを活かしながら、ベトナムの冷凍食品や加工食品の市場への早期参入を考え、ベトナムの成長性と将来性を考えてのM&Aとなっています。

ベトナム企業の買収事例⑩

2012年にベトナムの大手保険・金融グループであるバオベトホールディングスの発行済株式の18%を住友生命保険相互会社が取得しました。買収金額はおよそ280億円で、許認可の取得を前提に今後の生命保険購入層の増加を見込んでいます。

住友生命訪韓相互会社は、2011年にハノイ駐在員事務所を構えています。ベトナム国内に抜群のブランド力を持つバオベトホールディングスとパートナーとなることで、生命保険事業の発展と貢献を目的とし、収益の多様化を通じて長期的な契約者の利益を向上させることを目指しています。

住友生命保険相互会社は、ベトナムの中間層と呼ばれる部分に属する人たちが将来的に個人の生命保険への加入が増えることを予測しており、バオベトホールディングスを提携することで顧客の増加を目指します。なお2019年には第三者割当によって、保有比率を22.09%に引き上げています。

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ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット

ここでは、ベトナムにM&Aで参入するメリットやデメリットをご紹介します。

メリット

ベトナムにM&Aで参入するメリットして考えられるのは、人口の増加が挙げられます。ベトナムの国勢調査によると2019年時点で人口は9,620万人とされており、個人所得も年々高くなってきています。

まだまだ発展の余地があるベトナムでは、商品やサービスの質や種類などへの期待も高く、さまざまな需要が高まっています。また、国内の人口の中で富裕層と言われるのはごく少数になりますが、中間層の増加が期待できます。

中間層が求める小売りや金融サービスなどのマーケットは、今後も成長する可能性があるでしょう。次に、インフラの改善が進んでいることもメリットと言えます。

日本もインフラ整備への協力を行っており、ベトナム国内の空港や高速道路、鉄道などのインフラが整いつつある状態です。インフラの改善が進み、立地のよい場所に工場などを持つようになればベトナム国内をシェアできるほどのビジネスが可能になるでしょう。

インフラの改善は、ベトナムのGDPの7%となっており、国を挙げての事業だといえます。ハノイやホーチミンなど主要な都市に企業の拠点が集まりがちですが、今後は地方でも経済の拠点ができてくるでしょう。

この他には、政府が経済的な発展を望んでいることがM&Aをしやすいメリットだといえます。日本とベトナムは2003年に、日越投資協定を結び、ともに投資活動を推進していこうという考え方を基に締結が行われました。

そのため、ベトナムは日本に対して友好的な印象を持っており、M&Aの交渉においてもとても魅力的なものになるでしょう。

デメリット

デメリットとして考えられるのは、取引レートの問題です。ベトナムの会社とM&Aを実施しようとすると円でのレートではなく、米ドルでの取引となることが多くあります。

そのため、M&Aを実施する時に米ドルのレートによって取引金額が変わり、予定していた金額よりも高くなってしまうケースがあります。

また、ベトナムの企業は自社の会社の評価を高く見積もっていることが多いため、適切な価格でM&Aを実施するにはしっかりとしたバリュエーションが必要になります。

次に、国有企業の民営化と構造改革の進捗が進んでいない点もデメリットとして考えることができます。ベトナムの正式な名称はベトナム社会主義共和国となります。この国名が示す通り、社会主義の部分が残っており、国有企業が多く存在しています。

国有企業が民営化を実施して、構造改革を進めれば期待通りのM&Aを実施することも可能ですが、民営化がうまく進んでいないケースも多く、M&Aを実施するうえでの障害となっていることがあります。

このほかには、会計基準があいまいな点と財務報告の不明瞭な点もM&Aを実施するうえで、リスクを背負う可能性があり、これもデメリットと言えます。ベトナムの経済は現在、成長過程にあり企業のあり方もこれから法整備が行われていくことと考えられます。

そのため、会計基準があいまいで財務報告も不明瞭な点があるので正確な企業の評価ができないために、M&Aが実現できないという場合もあるでしょう。

※関連記事
海外進出のメリットとデメリット

 

ベトナム企業を買収する際の留意点

日本の企業とベトナムの企業がM&Aを行う際には、株主に対する条件や設置機関、総会の条件などに留意しなければなりません。株式会社としている場合は3名以上が株主であることを指しており、普通株式のほかに別の種類の株式の発行もできるのです。

そのほかにも、社債の発行も可能になっているので注意しなければなりません。設置機関や総会の条件についても、会社の会長や出資総額の25%以上を出している社員、定款に記載されている出資額の比率以上を出している社員は、必要だと思われる時に社員総会を開くことができます。

また出席社員の人数によって、定数が満たない場合は総会予定日から15日以内に再招集することができ、出資総額の50%以上の出資者の出席が必要になります。M&Aを実施する時にはデューデリジェンスが重要になります。

日本国内とは法律が異なるのでベトナム国内の会社に対しては、贈収賄や二重帳簿、法律違反、脱税、外資規制に抵触する事業目的など様々な点において、デューデリジェンスが必要になってきます。

M&Aを実施するためにデューデリジェンスを行った際に、日本では考えられないようなことが起きるケースもあります。ベトナムは国有企業が民営化した企業もあり、そのような中で贈収賄が習慣化している場合もあります。

また、経済活動が発展している途中ともいえるベトナムでは、税務がしっかりと守られておらず、脱税をしている経営者も多くいます。国をまたいだM&Aは、どのようなことが起きるか分からないので、サポートチームの専門家を集めて行う方が良いでしょう。

ベトナム企業とのM&Aを検討されている経営者の方は、専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。M&A仲介会社であるM&A総合研究所は・専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、これまで培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。

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ベトナムにおけるM&Aの法律や規制

ベトナムは、経済的な発展を目指し実際に年々経済的な成長を拡大しています。その一つに、2007年に政界貿易機構に加盟し、国際的な協定が優先されるようになりました。しかし、ベトナム国内の法整備そのものはまだ整っておらず、ベトナム国民に周知されていない場合もあります。

投資規制についても、業種によって細分化された規制や制限が設けられているため、M&Aを実施する時はしっかりと確認をする必要があります。また、統一企業法においても2005年に民間、個人、外資、国営、公営企業を対象に設立や組織、運営にかかわる規定が設けられています。

外資企業も含まれるので、外国投資法と併せて確認を行いましょう。また証券法についても、新しい法改正が行われようとしているので、随時確認をしていくことが重要になります。

※関連記事
海外進出の課題とは?方法や手順、クロスボーダーM&Aを活用した海外進出

まとめ

ベトナムは、現在経済的な発展が目覚ましく、日本企業だけでなく、海外の企業も今後の事業拡大や販路の拡大などを目的として、新規参入を検討する必要がある国として捉えられています。

しかし、その反面法律の整備などが未だ整っていないところもあり、M&Aを実施するには、国際的なM&Aの実績を持つ専門家が必要になるでしょう。

M&A自体は、大規模なものよりも小さい規模のものが現在目立っています。今後どのようなM&A取引が行われるていくかは、ベトナムに本拠地を置く企業によって様変わりしていくでしょう。

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