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2019年12月27日更新
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ベトナムのM&Aとは?M&A・買収事例10選やM&Aの法律や規制をご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ベトナムは、現在経済的な発展が目覚ましく、日本企業だけでなく、海外の企業も今後の事業拡大や販路の拡大などを目的として、新規参入を検討する必要がある国として捉えられています。その反面法律の整備などが未だ整っていないところもあり、M&Aを実施するには、国際的なM&Aの実績を持つ専門家が必要になるでしょう。

目次
  1. ベトナム企業のM&Aの市場動向
  2. ベトナム企業のM&A・買収事例10選
  3. ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット
  4. ベトナム企業を買収する際の留意点
  5. ベトナムにおけるM&Aの法律や規制
  6. まとめ

ベトナム企業のM&Aの市場動向

ベトナムの経済発展は急速に進んで里、世界銀行の統計では2016年の国内総生産(GDP)は、2060億ドルを推移しています。
ベトナムの経済発展には、1986年12月のベトナム共産党第6回大会の社会主義に市場経済システムの導入を行おうとする「ドイモイ政策」によるものが大きく、現在では2020年までに工業国入りをしようという政策が進んでいます。
これによって「工業化と近代化」を推し進める政策を実施おり、1993年の貧困率は58.1%を推移していましたが、2015年には5%以下となっています。
ベトナム企業のM&Aの市場動向については、2017年の全体の取引金額は102億ドルとなっており、前年と比較すると175%の増加となっており、案件数も500件を超えています。
しかし、このような数値は世界的に見ても平均的な数値で特別多いというものではありません。
M&Aの件数は多くても取引金額が少ない理由には、大規模なM&Aを実施が少なく、規模の小さい案件が多いためで、案件全体の64.16%が規模の小さい案件となっています。
ベトナムのM&Aは、国内企業同士で行われるものもありますが、海外の企業とのM&Aも進んでおり、東南アジアに進出しようしている海外の企業がベトナムの企業を傘下にしようという動きも多くみられます。
これまでは、日本の企業が中国の企業を買収することが目立っていましたが、人件費の高騰などを理由に新しい投資先として、ベトナムの企業が注目を集めるようになりました。
その投資額は総額でおよそ91億円を推移しており、前年と比較すると3.5倍となっています。
世界的に見ても、ベトナムの企業を買収しようとする動きは大きく、今後も増えていく見通しのようです。
また、ベトナムは1995年にASEANにも加盟しており、自由貿易地域にも参加しています。
さらに、2007年1月には世界貿易機関にも正式加盟しており、アメリカやヨーロッパ諸国からの投資や買収が多く行われるようになり、活性化しているので今後もM&A市場の成長率は高くなっていくでしょう。

ベトナム企業のM&A・買収事例10選

ベトナム企業の買収事例①

ベトナムのエグジムバンク(EIB)を三井純友銀行が2007年に買収を行っています。
M&Aの手法としては資本・業務提携によるもので、買収金額はおよそ225億ドルとなっています。
また、エグジムバンクが第三者割当増資を実施して、三井住友銀行が15%の出資を行うことで、筆頭株主となります。
ベトナムに進出する日本企業に対する金融サービスの強化やリテール金融分野での協働を行うこととして、新しいビジネスチャンスを拡大しようとするものです。

ベトナム企業の買収事例②

2011年にベトナムのハノイに本社を構えるダイアナ社をユニ・チャームが買収を行っています。
M&Aの手法は、ダイアナ社の株式をユニ・チャームが100%取得する方法で、投資額は100億円前後とされています。
ダイアナ社は、ベトナムの幼児用紙おむつや生理用品の大手企業で、ユニ・チャームも同じ分野の商品を多く取り扱っています。
ユニ・チャームは、これまでアジアに現地工場を設立するなどの市場拡大を進めてきましたが、欧米や現地企業との競争が激しくなり、今後のアジアでの成長スピードを上げるものとされています。
ユニ・チャームは、アジアでの紙おむつやセリ用品のシェアは25%と1位ですが、ベトナムではアメリカのキンバリー・クラークが1位となっています。
そのような中で、ベトナムのダイアナ社を買収することで、ハノイとホーチミンに3か所の生産工場を持つことになります。
そこに、ユニ・チャームのノウハウを移管して、コスト競争力を高めて、シェア1位を目指す動きとなりました。

ベトナム企業の買収事例③

2011年にベトナムのインターフード社をキリンホールディングスが買収を行っています。
インターフード社は、ベトナムの飲料製造・販売を行っている会社で、清涼飲料市場が拡大しているベトナムでの基盤強化と成長を目的にM&Aを実施したとされています。
買収価格については、非公開となっていますが、キリンホールディングスはインターフード社の株式を57.25%保有する親会社であるトレード・オーシャン・ホールディングスの全株式を取得しています。
加えて、インターフード社の製品にかかわる知的財産権を保有するワンダーファーム社の全株式を取得しています。
インターフード社はベトナム国内のシェアは数%ですが、小売店やスーパーマーケットなど11万店以上の販売ネットワークを持っています。
キリンホールディングスは、今後も成長が見込まれる清涼飲料市場への事業拡大を見込んでいます。
2018年にベトナムの製紙大手のサイゴンペーパーを総合商社の双日が買収を行っています。
買収価格はおよそ100億円としており、株式を95%取得してM&A取引が行われました。
今後の経済成長やネット通販の普及で拡大する紙需要を取り込む考えです。

ベトナム企業の買収事例④

サイゴンペーパーは、2011年に大王製紙がおよそ10億円の出資金を出して買収していましたが、サイゴンペーパーに株式を売却するなどして事実上、事業から徹底しています。
双日は、財務改善や設備投資を行い、2022年までにはベトナムの製紙事業の売上高を今の40%増を目標としておよそ180億円にする事業計画を立てています。

ベトナム企業の買収事例⑤

2012年にベトナムの飲料事業ペプシコとサントリーホールディングが資本提携によってM&Aを行っています。
サントリーの傘下で、東南アジアにおける飲料事業を推進する「サントリー食品アジア社」が、ペプシコのベトナムにおける飲料・食品事業会社「ペプシコインターナショナルカンパニー」の資本参加として、51%の出資を行うことで資本提携しています。
ベトナムの飲料市場は成長し続けており、今後のビジネス展開を期待しての資本提携となっています。
サントリー食品アジア社とベトナムのペプシコとの資本提携によって、商品開発力を高め、東南アジアにおける飲料ビジネスの拡大を積極的にしようとするものです。

ベトナム企業の買収事例⑥

2012年にベトナムのIT企業であるIFI Solution Joint Stock Companyの発行済株式100%を株式会社NTTデータの子会社であるイギリスのNTT DATA EMEA Ltd.は、イタリアのNTT DATA Italia S.p.Aを通じて取得しています。
ベトナムIFI Solution Joint Stock Companyは、ヨーロッパ向けのオフショア開発を事業の主体としており、組み込みのソフトウェアやモバイル通信技術機能の開発、テスティングサービスを通信、鉄道、および電気、ガスなどのユーティリティ分野などを顧客に対して提供しています。
NTT DATAは、IFI Solution Joint Stock Companyを子会社にすることで、そのノウハウやオフショア人材の確保につなげています。
今後は、価格競争力の強化を実施するほか、顧客提案の強化にもつなげていく方針で、ヨーロッパの法人分野における既存事業の強化や新規案件の受注も目指しています。

ベトナム企業の買収事例⑦

2010年にベトナムの大手証券会社FPT Securities Joint Stock CompanyをSBIホールディングスの子会社であるSBI証券が買収を行っています。
M&Aの手法は、発行済株式の20%をSBI証券が取得することで合意しています。
FPT Securities Joint Stock Companyは、ベトナム最大のIT企業でもあり、ベトナムの投資ファンドの設立や運営も実施するFPTグループの傘下にある証券会社です。
ベトナムでは、ホーチミン証券取引所における売買金額のシェアは第5位としており、ハノイ証券取引所においては第2位のシェアを誇っています。
ベトナムでは、個人で証券口座を持っている人は全国民のおよそ1%と前後とされており、まだまだ未発達な部分もありますが、今後証券業界の成長率は、高くなるものと考えて日本におけるベトナム株式の取り扱いを視野に入れての買収となっています。

ベトナム企業の買収事例⑧

2012年1月にベトナムのKinh Do Corporationを江崎グリコが買収を行っています。
M&Aの手法は、資本・業務提携による契約で、第三者割当増資による新株式の1400万株を江崎グリコが取得しています。
これによってKinh Do Corporationの議決権所有割合は10%としています。
Kinh Do Corporationは、国内ビスケットカテゴリーのシェアで第1位のお菓子メーカーで、小売店や強力な流通ネットワークを活用して、江崎グリコの製品の販売拡大を目的としています。
ベトナムは、今後の経済成長も大きくなる可能性が高く、個人消費も伸びていく可能性があります。
そこで、江崎グリコはすでに流通ネットワークを確保しているKinh Do Corporationと資本・業務提携を行うことで、ベトナムへの販路の拡大を目指しています。

ベトナム企業の買収事例⑨

2012年にベトナムのCholimex Foods Joint Stock Companyの株式をニチレイグループのニチレイフーズが取得しています。
このM&A取引の買収価格は公表されていませんが、Cholimex Foods Joint Stock Companyへのおよそ19%の資本参加をしています。
ベトナムは、冷凍水産加工品を中心とした素材型商品が主流となっているため、市場への参入とベトナム国内のマーケットに関する経営ノウハウを得ることを含めて、資本関係、戦略的ビジネスパートナーとなり、将来の市場成長に向けた関係を強化するものとしています。
ベトナムの労働人口のおよそ60%が第一産業と呼ばれる分野で就労しており、その中でも水産業も盛んに行われています。
ニチレイフードは、もともと自社で持っている冷凍食品のノウハウなどを活かしながら、ベトナムの冷凍食品や加工食品の市場への早期参入を考え、ベトナムの成長性と将来性を考えてのM&Aとなっています。

ベトナム企業の買収事例⑩

2012年にベトナムの大手保険・金融グループバオベトホールディングスの発行済株式18%を住友生命保険相互会社が取得しています。
買収金額はおよそ280億円で買収しており、今後の許認可を含めた合意となっています。
住友生命訪韓相互会社は、2011年にハノイ駐在員事務所を構えていますが、その後、ベトナム国内に抜群のブランド力を持つバオベトホールディングスとパートナーとなることで、生命保険事業の発展と貢献を目的として、収益の多様化を通じて長期的な契約者の利益を向上させることを目指しています。
住友生命保険相互会社は、ベトナムの中間層と呼ばれる部分に属する人たちが将来的に個人の生命保険への加入が増えることを予測して、バオベトホールディングスを提携することで顧客の増加を目指しています。

ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット

ベトナムにM&Aで参入するメリットして考えられるのは、人口の多さが挙げられます。
ベトナムの人口は9500万人とされており、個人所得も年々高くなってきています。
まだまだ発展の余地があるベトナムでは、商品やサービスの質や種類などへの期待も高く、様々なものに対して需要が高まっています。
また、国内の人口の中で富裕層と言われるのはごく少数になりますが、中間層と呼ばれる人たちの増加が期待できます。
中間層の人たちが求める小売りや金融サービスなどのマーケットは今後も成長する可能性があるでしょう。
次に、インフラの改善が進んでいることもメリットと言えます。
日本もインフラ整備への協力を行っており、ベトナム国内の空港や高速道路、鉄道などのインフラが整いつつある状態です。
インフラの改善が進み、立地のよいところに工場などを持つようになればベトナム国内をシェアできるほどのビジネスが可能になるでしょう。
インフラの改善は、ベトナムのGDPの7%となっており、国を挙げての事業だといえます。
ハノイやホーチミンなど主要な都市に企業の拠点が集まりがちですが、今後は地方でも経済の拠点ができてくるでしょう。
このほかには、政府が経済的な発展を望んでいることがM&Aをしやすいメリットだといえます。
日本とベトナムは2003年に、日越投資協定を結び、ともに投資活動を推進していこうという考え方を基に締結が行われました。
そのため、ベトナムは日本に対して友好的な印象を持っており、M&Aの交渉においてもとても魅力的なものになるでしょう。
そして、デメリットとして考えられるのは、取引レートの問題です。
ベトナムの会社とM&Aを実施しようとすると円でのレートではなく、米ドルでの取引となることが多くあります。
そのため、M&Aを実施する時に米ドルのレートによって取引金額が変わり、予定していた金額よりも高くなってしまう場合があります。
また、ベトナムの企業は自分の会社の評価を高く見積もっていることが多いので、適切な価格でM&Aを実施するにはしっかりとしたバリュエーションが必要になります。
次に、国有企業の民営化と構造改革の進捗が進んでいない点もデメリットとして考えることができます。
ベトナムの正式な名称はベトナム社会主義共和国となります。
この国名が示す通り、社会主義の部分が残っており、国有企業が多く存在しています。
国有企業が民営化を実施して、構造改革を進めれば期待通りのM&Aを実施することも可能ですが、それが進んでいないのでM&Aを実施する上での障害となっている場合があります。
このほかには、会計基準があいまいな点と財務報告の不明瞭な点もM&Aを実施する上で、デメリットと言えます。
ベトナムの経済は現在、成長過程にあり企業のあり方もこれから法整備が行われていくことと考えられます。
そのため、会計基準があいまいで財務報告も不明瞭な点があるので、M&Aを実施する時はリスクを背負う可能性があります。
正確な企業の評価ができないために、M&Aが実現できないという場合もあるでしょう。

ベトナム企業を買収する際の留意点

日本の企業とベトナムの企業がM&Aを行う時は、株主に対する条件や設置機関、総会の条件などに留意しなければなりません。
株式会社としている場合は3名以上が株主であることを指しており、普通株式のほかに別の種類の株式の発行もできるのです。
そのほかにも社債の発行も可能になっているので注意しなければなりません。
設置機関や総会の条件についても、会社の会長や出資総額の25%以上している社員、定款に記載されている出資額の比率以上を出している社員は、必要だと思われる時に社員総会を開くことができます。
出席社員の人数によって、定数が満たない場合は総会予定日から15日以内に再招集することができ、出資総額の50%以上の出資者の出席が必要になります。
M&Aを実施する時にはデューデリジェンスがとても重要になります。
日本国内とは、法律が異なるのでベトナム国内の会社に対しては、贈収賄や二重帳簿、法律違反、脱税、外資規制に抵触する事業目的など様々な点において、デューデリジェンスが必要になってきます。
M&Aを実施するためにデューデリジェンスを行ったら、日本では考えられないようなことが起きるケースもあります。
ベトナムは国有企業が民営化した企業もあり、そのような中で贈収賄が習慣化しているところもあります。
また、経済活動が発展している途中ともいえるベトナムでは、税務がしっかりと守られておらず、脱税をしている経営者も多くいます。
国をまたいだM&Aは、どのようなことが起きるか分からないので、サポートチームとして専門家を集めて行う方が良いでしょう。

ベトナムにおけるM&Aの法律や規制

ベトナムは、経済的な発展を目指し実際に年々経済的な成長を拡大しています。
その一つに、2007年に政界貿易機構に加盟し、国際的な協定が優先されるようになりました。
しかし、ベトナム国内の法整備そのものはきちんと整っておらず、ベトナム国民に周知されていないところもあります。
投資規制についても、業種によって細分化された規制や制限が設けられているのでM&Aを実施する時はしっかりと確認をします。
また、統一企業法においても2005年に民間、個人、外資、国営、公営企業を対象に設立や組織、運営にかかわる規定が設けられています。
外資企業も含まれるので、外国投資法と併せて確認を行います。
証券法についても、新しい法改正が行われようとしているので、随時確認をしていくことが重要になります。

まとめ

ベトナムは、現在経済的な発展が目覚ましく、日本企業だけでなく、海外の企業も今後の事業拡大や販路の拡大などを目的として、新規参入を検討する必要がある国として捉えられています。
しかし、その反面法律の整備などが未だ整っていないところもあり、M&Aを実施するには、国際的なM&Aの実績を持つ専門家が必要になるでしょう。
M&A自体は、大規模なものよりも小さい規模のものが現在目立っていますが、今後はどのようなM&A取引が行われるかは、ベトナムに本拠地を置く企業によって様変わりしていくでしょう。

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