2022年10月27日更新会社・事業を売る

三角合併とは?用いられる場面、メリット・デメリットを解説

三角合併とは、近年認められた会社間における吸収合併の方式のことです。この記事では、三角合併の詳細に迫ります。三角合併が用いられる場面、三角合併のメリット・デメリット、三角合併の特徴などについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 三角合併とは
  2. 三角合併の特徴
  3. 三角合併が用いられる場面
  4. 三角合併の注意点
  5. 三角合併のメリット
  6. 三角合併のデメリット
  7. 三角合併のまとめ
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三角合併とは

三角合併とは

M&Aの手法の1つであり、企業組織再編行為の1つともされる会社合併は、その合併方式の違いにより、新設合併と吸収合併の2つの種類に大別されます。新設合併とは、合併当事者の会社がそれぞれ解散し、事業や従業員、権利義務などを全て新設した会社が承継する方式です。

吸収合併は、合併当事者の中の1社が存続会社となり、ほかの会社は解散します。解散した会社の持っていた事業や従業員、権利義務などは全て存続した会社が承継する方式です。三角合併は、この吸収合併の方式の1つとして、2007(平成19)年に解禁・施行されました。

吸収合併では、A社が全権利義務をB社へ承継させ、A社は消滅しB社は存続しますが、A社株式も消滅するのでA社株主へは原則B社から合併の対価が交付されます。交付できる対価の種類に会社法上の制限は特にありません。

この際、対価としてB社の親会社C社の株式がA社株主に交付される吸収合併が、三角合併です。これにより、A社はC社の株主になります。

ちなみに、会社合併というと2社間で行われるイメージが強いかもしれません。しかし、会社合併は2社間のみなどといった規定は存在せず、何社間でも会社合併は可能です。

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三角合併の特徴

三角合併の特徴

2社間で実施される吸収合併の場合、解散・消滅する会社の株主に対する報酬(対価)として、消滅会社の全権利義務を承継する存続会社の株式を交付します。

三角合併では、存続会社が消滅会社の株主に交付する株式が、自社株ではなく親会社の株式になります。子会社は親会社の株式を自由にできないため、吸収合併の主体者は親会社です。自身の子会社に合併を実行させ、相手方の会社を吸収合併により子会社化します。

このように、吸収合併の当事者2社に親会社が加わり、3社が合併にかかわることから三角合併と呼ばれているのです。

三角合併解禁の経緯

ややこしい構図に見える三角合併ですが、2007年に解禁されたのには理由があります。海外企業、とりわけ米国側からの強い要請を受けて会社法が改正され、発布・施行へと及びました。

現行法での規定により、海外の企業が日本の企業を直接合併し、その当事者として株式のやり取りを行うことは不可能です。しかし、三角合併の規定では、存続会社の親会社について、特に国籍の縛りなどは定められていません。

つまり、海外企業が日本で子会社を設立し、その子会社に相手会社を合併させて自分の株式を交付することが、2007年の三角合併解禁から認められたのです。

三角合併が用いられる場面

三角合併が用いられる場面

この章では、三角合併が用いられる場面について見ていきましょう。

クロスボーダーM&Aとしての三角合併

三角合併の解禁は、事実上の海外企業による日本企業の子会社化であるクロスボーダーM&Aが可能になったことを意味します。

現在、日本の中小企業の技術力や開発力などは、海外からも強く注目を集めています。不意に、海外企業の日本法人からオファーがあるかもしれません。そうした場合には、自社の利益を最大限に守るため、M&Aの専門家にアドバイスを受けることをおすすめします。

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上場会社・非上場会社の合併

上場会社A社、非上場会社B社、親会社C社のケースで、B社を存続会社とする吸収合併でA社株主へB社の株式が割り当てられる場合、A社株主が持つ株式の流動性が低がる不利益が生じるでしょう。

このケースでは、C社が日本の上場会社の場合、C社がA社を消滅会社として吸収合併もできます。しかし、A社とB社が同じ業種で、A社がB社に吸収合併された方がシナジー効果をより得られるケースなどでは、B社との合併が有益です。

こうしたケースでは、B社が吸収合併の存続会社になり、対価を上場会社の親会社C社の株式にすると、A社株主は合併により交付される株式も流動性をキープできるでしょう。

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三角合併の注意点

三角合併の注意点

この章では、三角合併の注意点について見ていきましょう。

親会社の株式の取得

三角合併では、存続会社が親会社の株式を得ます。会社法では、子会社が親会社の株式を得ることは原則禁止ですが、三角合併では、例外的に認められているのです。

ただし、子会社が親会社の株式を得る手続きは、難しい問題が多いです。子会社が親会社の株式を、大量に市場で購入する際、市場価格に影響を与えるので、現実にそうした購入が可能かどうか検討しなければなりません。

子会社が親会社へ増資をして株式を得る方法もありますが、増資の原資として親会社から貸付・増資を受けるケースでは、下記に注意してください。

会社法では、増資において実質的な出資金の移転を伴わない仮装の払込みは無効とされています。子会社が親会社から調達した資金で親会社の増資の払込みに充てることが、見せ金に当たらないか考えなければならないでしょう。

子会社が親会社へ安価で増資に応じるケースも、有利発行の問題があり、親会社における株主総会の特別決議なしで実施できるかどうかが問題となります。

端数株式の処理

合併対価の割当てで、消滅会社の株主へ与える株式に端数が出ることがあるでしょう。この場合は、存続会社による買取りや競売によって、端数に応じた金銭の交付が可能です。

合併対価が存続会社の親会社株式である三角合併では、端数処理の手続を取れません。存続会社は合併の対価として、親会社株式のほか、端数部分に当たる現金を組み合わせて支払います。

三角合併を行うときは、これらが問題なく実施できるか検討しなければなりません。

三角合併のメリット

三角合併のメリット

三角合併は、海外企業だけにメリットがあるわけではありません。日本国内の企業同士による三角合併にもメリットがあります。ここでは三角合併のメリットを3つ説明します。

①合併後の会社のコントロールのしやすさ

親会社の立場になって、通常の吸収合併と三角合併を比べてみましょう。子会社が通常の吸収合併を行った場合、消滅会社の株主に対して子会社の株式を交付します。合併前は100%子会社であったのが、吸収合併により親会社の持株比率が変わってしまうのです。

その点、三角合併であれば、交付するのは親会社の株式ですから、子会社の持株比率には何ら変動は起きないため、従来どおり100%子会社として経営をコントロールできます。これは、親会社の国籍にかかわらず、三角合併の大きなメリットの1つといえるでしょう。

②手間やコストの削減効果

三角合併が解禁される以前にも、国内企業同士による吸収合併であれば、結果的に三角合併とほぼ同じ状態にすることが可能でした。具体的に、通常の吸収合併成立と同時に、消滅会社の株主と親会社との間で株式交換を実施する方法です。

通常の吸収合併であれば、存続会社は消滅会社の株主に自社株を交付します。その交付した存続会社の株式を、吸収合併と同時に存続会社の親会社株式と交換すれば、結果的に三角合併と同等の常態です。

以前は、吸収合併において、株式交換の手間をかけて子会社の持株比率を維持していました。しかし、三角合併によって、株式交換の手間はなくなりました。ただでさえ時間や労力、コストがかかる会社合併において、手続きの簡素化は大きなメリットです。

③株式の売却で利益を得ることも可能

三角合併のメリットは、存続会社側だけにあるものではありません。消滅会社側にもメリットがあります。三角合併が実施されれば、消滅会社の株主には存続会社の親会社の株式が交付されます。

その親会社株式の株価が非常に高ければ、株式を売却して多大な利益を得ることが可能です。株式であれば売りどきを自分で決められる点も含め、消滅会社の株主にも、こうしたメリットがあります。

M&Aでは、ダイレクトに自社株を売却して経営権を譲渡する方法もあります。三角合併で手にできる大手企業の株式取得と比較し、どちらが自分に都合がよいのか、M&Aの方法に選択の幅ができる点もメリットでしょう。

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三角合併のデメリット

三角合併のデメリット

物事の習いとして長所だけで短所がないなどの事例はありません。三角合併においてもメリットと同時にデメリットは存在します。三角合併の場合、デメリットよりもリスク、あるいは、懸念事項というべきかもしれません。三角合併のデメリットを3項目に大別して説明します。

①経営や市場への影響

三角合併で、存続会社である子会社が親会社株式を交付する場合、子会社は親会社の株式を取得する必要があります。本来、親会社の100%子会社である会社が、親会社の株式を取得するのは一時的とはいえ、パワーバランスが狂ったり、市場に影響を与えたりするかもしれません。

子会社が親会社株式を取得する具体策として、親会社の増資に応じる方法があります。増資資金を親会社から調達すると、いわゆる「見せ金」として解釈されかねません。最悪の場合、意図せず法律への抵触が危惧されます。

したがって、子会社が親会社の株式を取得する際は慎重なやり取りが必要です。神経質になって執り行わなければならないのはデメリットでしょう。

②トラブル対応の懸念

三角合併は規模が大きいM&Aです。場合によっては、グループの編成を大きく変化させる可能性があります。グループの再編に発展する可能性も十分に考えられるため、債権者や株主が三角合併に反対するかもしれません。

会社法においても三角合併を実行する際は、債権者保護や株主の株式買取請求に応じることが義務付けられています。三角合併に反対の声があがった場合、その都度対応する必要が生じ、細かな手続きや対応を煩雑に行うのはデメリットです。

また、海外企業による三角合併の場合、消滅会社の株主はその海外企業の株主になります。従来の国内企業における株式のやり取りとは違った事態が多々発生すると予想されます。海外企業の株式について予備知識がなければ、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。

③敵対的買収の不安

三角合併の解禁が決まった当初から報道機関などで目立った論調として、外資系企業による国内企業への敵対的買収が大幅に増えるものがありました。現在でも、その意見を唱える記事はあり、これに不安感を持つ経営者もいます。

しかし、三角合併は、会社を買収するM&Aと違い、対価として現金を用意する必要がありません。ただし、対価として株式を交付する三角合併などの会社合併を成立させるには、消滅会社側の同意が必要です。

つまり、友好的な協議が行われなければ三角合併の成立は危ういといえます。敵対的買収への不安は杞憂で済むものかもしれません。

三角合併のまとめ

三角合併のまとめ

三角合併が解禁されて10年以上が経過しましたが、実際に活用された例は予想されたほど多くはありません。しかし、M&A自体は活況であり、クロスボーダーM&Aの成立件数も増えています。

これからは、三角合併だけでなく何らかのM&Aの機会を得ることは、どの中小企業にも起こり得ることです。会社の買収だけがM&Aではないことをふまえ、三角合併を含めほかのM&Aについても予備知識を培いましょう

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