2020年2月21日更新会社・事業を売る

事業譲渡契約書のポイント

事業譲渡を実施する際には、「何を」「どれくらい」相手に譲渡するかを細かく定めた「事業譲渡契約書」を作成する必要があります。 この記事では、事業譲渡契約書を作成する方法や、作成に際しての注意点、従業員の取扱いについて解説します。

目次
  1. 事業譲渡契約書作成時の注意点(その1)
  2. 事業譲渡契約書作成時の注意点(その2)
  3. 従業員の取り扱い
  4. 事業譲渡契約書の作成方法
  5. まとめ
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事業譲渡契約書作成時の注意点(その1)

事業譲渡を行う場合、「何を」「どれくらい」相手に譲渡するかを詳細に決定する必要があります。そのため、事業譲渡を目的とした契約書が必要です。前提として、事業譲渡契約書の効力は、売り手と買い手の双方に発生します。

当然、契約書はその都度作成するため、効力は当事者間のみで有効です。事業譲渡契約書を作成する際の注意点をいくつか解説します。

①何を譲渡するのか

事業譲渡では、基本的に会社の全ては移転しません。従って、譲渡する対象を当事者間で取り決めて、事業譲渡契約書に明記しなくてはいけません。事業の全体を事業譲渡する際には、ある程度内容を明記すれば問題ないのです。

しかし事業の一部を譲渡する場合には、第三者から見てもわかりやすいように作成しなくてはいけません。事業譲渡契約書の効力自体は、当事者のみに発生します。アドバイザーや法税局にも、事業譲渡契約書の提示が必要になるケースもあります。

見せる際に不備がないように、契約書の中身に客観性を持たせましょう。

②譲渡と財産

事業譲渡で移転されるものは、会社の事業だけとは限りません。対象となる事業とともに、財産の一部を譲渡するケースがあります。このときの財産とは、現金はもちろんのこと、事業に必要となる機材や資料なども含まれています。

財産の移転は、事業譲渡の中でトラブルのきっかけになりやすいです。従って、慎重に事業譲渡契約書を作成しなくてはいけません。このときの注意点としては、事業譲渡契約書には具体的に財産の内容を明記することです。

③事業譲渡に伴う対価

事業譲渡を実施する際には、買い手側は相応な対価を支払わなくてはいけません。しかし両者の合意があるなら、無償でも問題ありません。余程の条件がない限り、譲渡に対してはふさわしい対価を支払います。事業譲渡の場合、対価の多くは現金です。

まれに機材などの物資や、株価で対応するケースがあります。この対価が譲渡する対象に見合っているかは、特定の算出方法を用いれば判断できます。また、一方の会社が提示して、それについて協議を重ねて決定する場合もあります。

算定方法についても、両社で取り決めておくと安心です。

④従業員

事業譲渡では、会社の全てを移転するわけではありません。事業譲渡契約書に明記されている内容以外は移転せず、対象となる事業で働いていた従業員は、自動的には移転しないのです。つまり事業譲渡契約書には、従業員を移転させる効力はありません。

事業譲渡の際に、従業員も引き継ぎたいならば、従業員と個々に雇用契約を結び直す必要があります。従って、事業譲渡の際の従業員の取り扱いについては、十分な注意が必要です。譲受する会社としても、譲渡対象になっている事業に詳しい人がいると、経営が安定しやすいです。

よって、従業員も引き継ぎたいと考えるのが一般的です。ここで重要となるのが、従業員本人の意志です。あくまでも雇用契約を結べば、事業譲渡の対象になるだけです。本人にその意志がなければ、従業員は引き継げません。

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事業譲渡契約書作成時の注意点(その2)

①表明保証

表明保証とは、譲渡する会社が譲受する会社に対して、事業譲渡の内容に虚偽がない旨を保証するものです。表明保証を締結させるかは、当事者同士で決定できます。しかし譲受側としては、確証を得るために可能な限り締結させたいと考えます。

表明保証には、以下の内容が明記されています。

  • 事業譲渡の契約内容
  • 社内での手続き方法
  • 資産や債務、従業員の移転に関する内容

表明保証を締結すれば、仮に事業譲渡契約書の内容に反する行為が発覚した際に、損害賠償を請求できます。この契約が結ばれていると、事業譲渡の契約が破棄される心配もありません。

従って、虚偽の確認と同時に、売り手側の囲い込みを目的に、表明保証を締結するケースもあります。ですので、売り手側は自社に都合が悪くならないように注意が必要です。

②補償内容の確認

表明保証に対する違反や、その他の義務に対して違反があった場合には、事業譲渡契約書に基づいて、損害賠償として金銭的な補償を実施します。違反の内容やレベル、賠償金額をあらかじめ当事者間で取り決めておく必要があります。

また、違反は故意でなくても発生する恐れがあります。誤って発生してしまった違反に関しても、あらかじめ取り決めておくと安心です。

③解除

事業譲渡の手続きがある程度進行していても、解除となるケースがあります。解除となる条件については、あらかじめ取り決めておきましょう。事業譲渡契約が解除となるケースには、以下のものがあります。

  • 表明保証に対して違反があったとき
  • 倒産手続きが開始されたとき

以上が、事業譲渡契約書を作成する際の注意点となります。事業譲渡契約書の作成には、注意点が多々あります。見落としがちな注意点も多いです。一歩間違えると、自社にとって不利な取引になります。そうならないためにも、事業譲渡契約書は慎重に作成しましょう。

加えて、当事者間での話し合いも大事です。契約が実行されれば、事業譲渡が成功となるわけではありません。統合後の経営が重要になります。従って、契約実行後のためにも、しっかりと事業譲渡契約書を作成しましょう。

④収入印紙について

事業譲渡契約書には、収入印紙を貼付しなければいけません。その収入印紙の金額は下記のとおりです(契約書(1通)に記載された契約金額・収入印紙の順番で紹介)。

  • 1万円未満:非課税
  • 1万円以上10万円以下、契約金額の記載がない:200円
  • 10万円を超え50万円以下:400円
  • 50万円を超え100万円以下:1,000円
  • 100万円を超え500万円以下:2,000円
  • 500万円を超え1,000万円以下:1万円
  • 1,000万円を超え5,000万円以下:2万円
  • 5,000万円を超え1億円以下:6万円
  • 1億円を超え5億円以下:10万円
  • 5億円を超え10億円以下・20万円
  • 10億円を超え50億円以下:40万円
  • 50億円以上:60万円

法令の変更や契約内容によって金額が変わる可能性もあるので、専門家に相談したほうが望ましいです。

※関連記事
事業譲渡における債権者保護手続きとは?事業譲渡の流れも解説

従業員の取り扱い

前述のとおり、事業譲渡の際に従業員を無条件では移転できません。譲渡対象の事業に従事している従業員だとしても、自動的には移転できません。よって、ほどんどの事業譲渡では、従業員と新たに雇用契約を締結させます。

従業員を譲渡する場合には、まず従業員が譲渡先の企業で働く意思がある必要があります。売り手側企業が雇用契約を終了させて、それまでの給与や退職金などを支払います。次に、譲渡先企業で再度雇用契約を締結させる手順になります。

しかし従業員側は、給与や福利厚生、勤務環境が大きく変化するのを覚悟しなくてはいけません。基本的には、前の会社との雇用契約内容を引き継ぎます。場合によっては、1人ずつと面談を行い、能力に見合った給与の支払いや福利厚生のサポートを実施するケースもあります。

雇用関係を再度構築しても、働いていくうちに環境は急速に変化します。そのため、事業譲渡と同時に従業員も譲渡する場合には、以前の企業よりも良い環境や給与であるのが望ましいです。

※関連記事
事業譲渡が従業員に与える影響

事業譲渡契約書の作成方法

事業譲渡契約書は、売り手側と買い手側双方が合意してから作成するのが好ましいです。実際には、両社が同時に集まって作成するのは現実的ではありません。従って、多くの場合、事業譲渡契約書の原案を売り手側が作成して、それを買い手側に対して提出するのが一般的です。

よって事業譲渡契約書は基本的に自社で作成したほうが、有利な取引に運べる可能性があります。ベースとなる事業譲渡契約書を作成できれば、それに沿って交渉できます。とは言っても、事業譲渡契約書を自社で作成するのは、簡単ではありません。

専門的な知識がなければ、意味を持たない紙に過ぎません。専門家の力を借りて、弁護士などに頼って作成してもらい、相手側に提示するのが安全です。つまり事業譲渡契約書については、可能な限り自社で作成すべきです。必要があれば、専門家への依頼が必要です。

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まとめ

事業譲渡にかかわらず、契約書は非常に重要なものです。とはいえ、事業譲渡契約書がメインになるわけではありません。事業譲渡が成功するまでの過程が重要です。事業譲渡は事業の譲渡が終われば終了となります。しかし、重要なのはその後の経営です。

自社にとって有利な事業譲渡契約書の作成ばかり重視するのではなく、その後の経営についても考える必要があります。要点をまとめると、下記になります。

・事業譲渡の作成時に明確にすべきもの
→譲渡対象、対価、従業員の引き継ぎ、表明保証、補償内容、契約の解除

・事業譲渡における従業員の取り扱い
→個別に契約を結び直す必要がある

・事業譲渡契約書の作成方法
→専門家に作成してもらうのがベスト

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