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2020年12月25日更新会社・事業を売る
吸収合併消滅会社とは?吸収合併の手続きや吸収合併消滅会社と存続会社の手続きの違いを解説します
吸収合併消滅会社とは、文字どおり吸収合併によって消滅する会社のことであり、存続会社と対をなす存在です。存続会社とは合併手続き・会計処理方法などにおいて相違点があるため、将来的に消滅会社となることが予定されている場合には事前に把握しておくことをおすすめします。
吸収合併消滅会社とは
吸収合併消滅会社(以下、消滅会社)とは、文字どおり吸収合併によって消滅する会社のことであり、存続会社と対をなす存在です。ここからは、吸収合併の定義・課題について解説します。
吸収合併とは
吸収合併は、合併により消滅する会社の権利義務のすべてを合併後に存続する会社に承継させる手法です。合併により消滅する会社を消滅会社と呼ぶ一方で、合併後に存続する会社を存続会社と呼びます。
例えば、B社がA社を吸収するケースを想定すると、A社の権利義務のすべてをB社に承継する必要があり、結果的にA社は消滅してB社のみが残るという仕組みです。
吸収合併では雇用契約を含めたすべての権利義務が承継されるため、基本的に消滅会社の従業員は存続会社のもとで引き続き勤務可能です。合併により自身が勤務する会社が消滅してしまったとしても、従業員がリストラされるわけではありません。
吸収合併の課題
消滅会社の株主・債権者には、重大な影響が及ぶことがあるため注意が必要です。株主の場合を例に挙げると、会社が消滅すれば株式も消滅するために権利がすべて失われることになります。
重大な損失につながるため、消滅会社となる場合には、株主総会の決議・債権者保護などさまざまな手続きを踏まなければなりません。
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吸収合併消滅会社に求められる手続き
吸収合併の手続きは消滅会社と存続会社の間で多少の違いはありますが、大まかな流れとしては共通点が多いです。ここでは、吸収合併の大まかな流れ・基本的な手続きを紹介します。
- 吸収合併契約書の作成・締結
- 吸収合併契約の承認
- 株主・新株予約権者などへの通知
- 債権者保護の手続き
以下、それぞれの手続きの内容を順番に見ていきます。
①吸収合併契約書の作成・締結
はじめに消滅会社と存続会社の代表者は、吸収合併契約を作成・締結します。ここでは記載する必要のある事項が法定されていて(会社法第749条第1項)、吸収合併では法定記載事項を記載した書面を株主・債権者保護のために備置する手続きが必要です(会社法第782条第1項および第794条第1項)。
法定記載事項の主な内容は、下記になります。
- 合併当事会社の商号・住所
- 合併対価に関する事項
- 合併の効力発生日
合併対価とは
合併対価とは、合併にあたって消滅会社の株主に交付する株式・新株予約権・社債などのことです。存続会社は消滅会社の権利義務をすべて承継してしまうため、これに伴う対価を消滅会社の株主に交付しなければなりません。
合併対価の交付を実施する主体は存続会社であり、具体的には存続会社の株式・新株予約権・社債などを対価として交付する仕組みです。例えば、A社が消滅会社・B社が存続会社であり、合併対価はB社の株式であるケースを想定します。
上記のケースでは、A社の株主はB社の株式を獲得可能です。吸収合併によるA社の消滅後、A社の株主はB社の株主となりB社に対して権利を行使できます。
②吸収合併契約の承認
吸収合併契約の当事会社は、株主総会の特別決議によって承認を得る必要があります。株主総会の特別決議は重要度の高い議案を決議する場であり、承認を得るには出席株主のうち3分の2の賛成が必要です。
③株主・新株予約権者などへの通知
吸収合併の当事会社は、各株主に対して吸収合併の手続きが進行している事実を知らせる必要があります。吸収合併に反対する株主は、会社に対して自身が保有する株式を公正な価格で買い取るよう請求できるためです。
その一方で、新株予約権者に対する通知については、消滅会社のみ必要となります。つまり、消滅会社では、株主と合わせて新株予約権者に対しても、吸収合併の手続きが進行している事実を通知しなければなりません。
なお、吸収合併に反対する新株予約権者は、株主の場合と同様に、消滅会社に対して自身が保有する新株予約権を公正な価格で買い取るよう請求可能です。
④債権者保護の手続き
消滅会社・存続会社のいずれであっても、各会社の債権者すべてが、それぞれの会社に異議を述べることができます。消滅会社と存続会社では、それぞれ債権者保護の手続きを実施しなければなりません。
以上、吸収合併消滅会社に求められる大まかな手続きでした。これまで見てきたように、合併では膨大かつ煩雑な手続きが求められます。しかし、上記の手続きを怠ったり手続きに不備が存在したりすれば、必要以上に時間・手間が発生するほか合併自体の失敗に直結しかねません。
スムーズに手続きを済ませるには、専門家の協力を仰ぐことがおすすめです。とはいえ、世の中には莫大な手数料を求める専門家も少なからず存在しており、こうした専門家に依頼してしまうと結果として余分に費用を支払ってしまうことになります。
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吸収合併消滅会社と存続会社にある手続きの違い
明確な違いとしては、新株予約権者に対する通知の有無が挙げられます。株主に対して通知を行うプロセスは共通していますが、消滅会社では新株予約権者への通知が必要となる一方で、存続会社では新株予約権者に通知をする必要がありません。
会社が消滅すると、消滅会社の株式はもちろん消滅します。消滅会社の株主・新株予約権者からすると、自身が保有する株式・新株予約権が消滅する事態は大問題です。
上記の事態を回避するには、消滅会社から通知を受けたうえで、場合によっては株式買取請求や新株予約権買取請求などの措置を考える必要があります。その一方で、存続会社では、吸収合併があっても、株主・新株予約権者は従来どおり権利を行使可能です。
しかし、他の会社を吸収するために、存続会社の株主であっても不安を抱くのは当然のことといえます。そのため、存続会社の株主に対しては、吸収合併について通知したうえで、反対する場合は株式買取請求などの措置を検討させる必要があるのです。
存続会社で新株予約権者への通知が不要な理由
存続会社では、新株予約権者に通知を実施する必要はありません。新株予約権者はあくまでも予約権の行使によって株主になるという立場であり、現段階において株主ではないためです。株主になりたい場合、従来どおり存続会社に対して権利を行使すれば株主になれます。
まだ株主という立場ではなく、かつ吸収合併があっても従来どおり権利を行使できる以上、株主に対する通知や買取請求のような仕組みまでは設けられていないのです。その他の手続きについては、消滅会社と存続会社で共通点が多く存在します。
例えば、債権者保護手続き・株主総会における特別決議の承認などは双方の会社で必要です。
吸収合併消滅会社の会計処理
吸収合併における会計では存続会社の資産に消滅会社の資産が合算されますが、ここではもちろん負債も存続会社に合算されます。吸収合併ではパーチェス法と呼ばれる会計処理が実施され、存続会社が消滅会社の資産・負債を時価で買い取るのが一般的です。
上記は、存続会社が消滅会社の資産・負債を取得する場合の会計処理方法となります。吸収合併により消滅するため、消滅会社では貸借対照表上の資産・負債を時価評価ではなく簿価で処理するため注意が必要です。
吸収合併消滅会社の決算と公告
効力発生日に消滅することから、消滅会社では効力発生日の前日を決算日とした決算を実施します。例えば、消滅会社が事業年度の途中で解散する場合、事業年度の開始日から合併の前日までの期間を1つの事業年度とみなして決算を実施する仕組みです。
なお、株式会社の場合では、決算に用いる貸借対照表の公告が必要となります。ただし、上記の義務には公告の保存義務も伴うことから、実務上では存続会社が代わりに公告を実施するのです。会社の消滅が伴うことからに、通常の決算とは異なる会計処理が求められるため、注意が必要となります。
合併およびM&Aを専門的に扱っていない会計士では対応に時間がかかるほか、手続きに不備が生じやすいです。もしも合併に伴う会計処理方法に不安がある場合には、M&A総合研究所にお任せください。
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まとめ
2つ以上の会社が1つになる行為を合併といい、吸収合併はその手法の1つです。吸収合併は、一方の会社が他方の会社が持つ権利義務をすべて承継する行為であり、消滅側の会社は吸収合併消滅会社と呼ばれます。吸収合併消滅会社では、吸収合併によって会社そのものが消滅するのです。
消滅会社の株主や債権者にとって重大な問題が発生しやすいため、株主・新株予約権者への通知や債権者保護など所定の手続きを念入りに実施する必要があります。
合併の手続きをスムーズに進めるには、吸収合併の意味・仕組み・吸収合併消滅会社と吸収合併存続会社における手続きの違いなどを把握しておかなければなりません。合併後に存続会社の一員としてスムーズな事業展開を進めるためにも、ポイントを押さえて吸収合併に臨むと良いです。
要点をまとめると、下記になります。
・吸収合併消滅会社に求められる手続き
→吸収合併契約書の作成・締結、吸収合併契約の承認、株主・新株予約権者などへの通知、債権者保護の手続き
・吸収合併消滅会社と存続会社にある手続きの違い
→新株予約権者に対する通知の有無
・吸収合併消滅会社の会計処理
→効力発生日の前日を決算日とした決算を実施
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。