2022年12月14日更新会社・事業を売る

特別決議とは?拒否権や普通決議との違いを解説

特別決議とは、株主総会の中でも、比較的に重要な事項を決定する場です。例えば、会社の基盤要素の変更、新株発行、株主の地位変更、株主の損得事項、経営陣の変更などが該当します。この記事では、特別決議とはどのようなものなのか、拒否権や普通決議との違いを解説します。

目次
  1. 株主総会とは?
  2. 普通決議と特別決議の違い
  3. 特別決議の決議内容
  4. 特別決議と拒否権
  5. 株主総会の特別決議と書面決議
  6. 特別決議の注意点
  7. 特別決議のまとめ
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株主総会とは?

資金面から会社を支える株主が集まり、様々な重要事項を決定する機関です。その開催頻度によって、定時株主総会と臨時株主総会に分けられます。定期的に開催される前者に対して、必要な際に召集可能であるのが後者です。

どちらも基本的に招集通知が届きます。日時や会場等が記載されており、株主が出席します。

各株主総会の比較

それぞれの株主総会の概要からわかる相違点を解説します。

株主総会の種類

株主総会は大きく4つに大別されます。 

  • 普通決議 
  • 特別決議 
  • 特殊決議 
  • 全株主の同意  

普通決議は、通常通りに実施される常用性の高い株主総会です。それ以降になるほど重要性が高くなります。1番重要性の高い決定事項となると、全員からの同意が必要です。株主総会の1つである特別決議では、決議事項の中でも比較的に重要な承認事項を決定します。

定足数による違い

定足数とは、各決議の実施に必要な人数のことです。実施するために必要な定足数は各決議によって異なり、通常、普通決議と特別決議の定足数は議決権の過半数とされています。  

しかし、定足数は定款によって変更可能で、普通決議の場合は定足数の変更や排除が可能です。一方で、特別決議では、定足数を変更できますが、減ずる場合は3分の1までとする制限があります。

賛成数による違い

決定事項が可決するための賛成数にも違いがあります。普通決議では、原則として出席株主の過半数の賛成が必要です。定款によってその割合は変更できません。

一方で、特別決議では、出席している株主のうち3分の2の賛成が必要です。特別決議の場合、定款の定めによって3分の2を上回る割合を設定できます。圧倒的に特別決議の方が、決定事項を可決することが難しいです。

【関連】株主総会とは?意味や時期、決議事項やスケジュールを解説| M&A・事業承継の理解を深める

普通決議と特別決議の違い

株主総会の決議は特別決議以外にもさまざまありますが、特別決議と並んでよく聞く決議が、普通決議です。この普通決議と特別決議の違いをさらに詳しく解説します。

普通決議は決議方法に特段の指定がない場合に取られるものであり、行使可能な議決権の過半数を持つ株主が出席したうえで、その内の過半数の賛同が得られれば可決されるものです。

充足数に関しては定款で普通決議を得られる条件を変更できますが、特別決議と違って表決数を変えられないので注意してください。普通決議で決められる事項は主に以下のとおりです。

  • 会計監査人の選任・解任・不再任
  • 役員の報酬など
  • 剰余金の配当
  • 合意による自己株式の取得
  • 定時株主総会において、欠損の額を超えない範囲で決定する資本金の額の減少
  • 準備金の額の減少
  • 剰余金の額の減少による資本金や資本準備金の増加
  • 剰余金に関するその他の処分
  • 取締役会を設置していない会社における取締役の競業取引などの承認

【関連】株主総会の決議事項は?種類、決議方法をわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

特別決議の決議内容

会社法309条2項によって、特別決議で決定する事項が定められています。それをもとに、特別決議の決議を行うケースを紹介します。

会社の基盤となる要素を変更するケース

資本金減額の実施、定款の変更、事業譲渡や解散の実施などを実施したい場合、特別決議での承認が必要不可欠です。合併株式交換、株式移転や会社分割などのM&Aを実施する際も必要です。

このように会社の根本部分が変化する際は、資金源である出資者の承認が必要不可欠だとされています。

株主の地位が変更となるケース

特別決議では、決議対象となっている株主自身に関わる事項も決定します。例えば、全部取得条項付種類株式の取得や株式の売り渡し請求を決議する場合です。

株式併合を実施する際も、特別決議が必要です。株式併合を実施すると株式の価額が数倍高騰することもあり、それにより株主の地位が大きく変動しかねないので、特別決議が求められます。

株主の損得に関わるケース

平等原則の観点から、会社法109条1項には「株式会社を支える株主は原則平等の立場であるべきだ」と示されています。株式の数や内容によって株主の平等が決定します。具体的には、譲渡制限株式の買い取りに関する内容決定や自己株式取得を実施する際、特別決議での承認が必要です。株主への配当を現物で実施する際も承認が必要です。 

新規に株式を発行するケース

会社を設立した際や第三者割当増資の際などに、資金調達を実施する目的で新たに株式を発行する際にも特別決議が必要とされます。株式会社が新株予約権を発行する際にも、特別決議で承認する必要があります。

経営陣を変更するケース

会社の役員が就任もしくは解任する場合、株主の意向も重視されます。株主にとっては、より利益を生み出す経営陣である方が安心です。

特に監査役の解任に関しては、他の役員とは違い、特別決議の実施が必要不可欠なので注意しましょう。一般的に、M&Aでは承継前と承継後で代表取締役など役員の構成が変わることが多く、特別決議を行います。

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株主に大きな利害が発生する可能性があるケース

平等原則にもとづいたケースとは違い、この場合は会社全体を捉えて考えます。例えば、会社役員の責任の一部免除に関して、特別決議が必要です。

ほかにも、会社全体の問題であり、株主に利害が発生する事項は特別決議で決定されますが、役員の責任の一部免除などそれほど目にしない事項は常に特別決議の必要性を意識しましょう。

特別決議と拒否権

特別決議で決議を取ろうとしても、その議案が確実に承認されるとは限りません。特別決議で決議の障害になり得る権利「拒否権」が存在するためです。拒否権は、特別決議の決議された議案を拒否できる権利をさします。

拒否権は株式の3分の1を所有している株主であれば獲得でき、大株主の権利といえます。拒否権は非常に強力な権利であり、たとえ数字上では賛同が多かったとしても、特別決議で得た決議をひっくり返すことが可能です。拒否権を与えるかどうかは経営陣が慎重に検討する必要があります。

拒否権を持った株主は味方であれば頼もしいですが、敵対すれば重要な経営課題の決定が難しくなります。株式の3分の1を所有していなくても、拒否権を持つことは可能です。黄金株は拒否権付株式のことで、これを所有しているだけで拒否権を行使できます。

黄金株は非常に強力な株式であり、敵対的買収に対する防衛策や事業承継の際に後継者を守るために用いられます。ただし、万が一不都合な相手に黄金株が渡るとかえって経営陣に影響を及ぼすことになるため、黄金株は譲渡制限株式とされるケースが多いです。

【関連】拒否権付株式とは?メリット・デメリットや問題点、発行手続きを解説| M&A・事業承継の理解を深める

株主総会の特別決議と書面決議

株主総会の特別決議では、書面決議の形で決議が取られることもあります。書面決議とは書面上で特別決議や普通決議などを取ることで、株主総会の開催をスキップできるものです(みなし決議と呼ばれることもあります)。

書面決議を行えば株主総会を開催する手間を省けますが、書面決議の実行には2つの条件を満たす必要があります。それは「取締役、あるいは株主が株主総会の目的となっている事項について提案すること」、「株主の全員が書面、あるいは電磁的記録により同意の意思表示をすること」です。

書面決議は取締役・株主が議案を出し、さらに株主全員が書面決議を行うことに同意を示していれば実行できます。1人でも株主が反対すれば書面決議は成立しません。書面決議をした場合、株主の同意画面を10年間会社の本店に備え置いておく必要があります。そのうえで、以下の内容を盛り込むことが会社法施行規則第72条で定められているため注意しましょう。

  • 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
  • 決議事項の提案をしたものの氏名または名称
  • 株主総会決議があったものとみなされた日
  • 議事録作成を行った取締役の氏名

会社法にもとづく株主総会における適正な決議や書面の作成は、専門家に相談するのが得策です。

【関連】株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点| M&A・事業承継の理解を深める

特別決議の注意点

特別決議の実施にあたって注意すべき内容を解説します。

特別決議、普通決議の決議内容

特別決議を取る際、把握しておきたい注意点があります。それは、特別決議で決められる事項と普通決議で決められる事項を正確に把握しておくことです。親族で経営している中小企業に多いケースですが、身内同士で経営していることもあって株主総会や決議の扱いを適当にしてしまうことがあります。

しかし、特別決議、普通決議で決められることは法律で厳格に定められていることです。特別決議で本来決めるべき事項を普通決議で決めることはできません。

もしも正規の手続きを踏まずに決議を取ってしまうと、後々になってトラブルの原因になったり、決議自体が無効になってしまったりするおそれがあります。決議の取り方が問題になって裁判に発展したケースも少なくありません。

会社の組織や定款、経営に関わる事項を決めたい時は、どの決議が適切かをちゃんと確認しておくようにしておきましょう。

定足数、決議要件

定款で特別決議や普通決議の条件を変更する際、経営陣の都合のいいルールにしたり、株主総会の開催を渋ったりすると、株主と経営陣の間で対立が発生することがあります。会社にとって株主総会は意思決定の最高機関であり、株主は会社を支えるかけがえのないパートナーです。

近年は株主の権利や利益を遵守する風潮が強まっていることを踏まえると、健全な経営を維持するためにも株主を疎かにしない経営は非常に重要です。

【関連】会社の解散に伴う解散決議| M&A・事業承継の理解を深める

特別決議のまとめ

株主総会は会社自体の統合・解散などの会社存続に関わる事項や、株式そのものに関する事項の実施可否を決定する目的で開催されます。 特に特別決議は、会社法にもとづき、普通決議よりも厳格さが問われるものです。重要な事項になればなるほど、決議の定足数や票決数は厳しいものになります。 

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