2020年5月12日更新会社・事業を売る

新株予約権とは?新株予約権の仕組みをわかりやすく解説

新株予約権は株式会社に対して行使することで、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことを言います。投資家・従業員にとっては、新株予約権を有利な価格で株式を購入し、新株予約権を市場に売却することによって利益を得ることができるんほです。M&Aの場面では新株予約権を生かし、敵対的買収を防ぐこともできます。

目次
  1. 新株予約権とは?新株予約権の仕組み
  2. 新株予約権における種類について紹介
  3. 新株予約権における価格と期間について
  4. 新株予約権の株価
  5. 新株予約権の無償割当
  6. 新株予約権の発行手続き・買い方
  7. 新株予約権のメリットとデメリット
  8. まとめ
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新株予約権は経営者や投資家であれば一度は聞いたことがあると思います。

新株予約権はストック・オプションとも呼ばれ、経営の様々な場面で活用できるものです。

仕組み、新株予約権のメリット・デメリット中小に新株予約権の全体像を解説します。

新株予約権とは?新株予約権の仕組み

新株予約権とは?新株予約権の仕組み

新株予約権は株式会社に対して行使することで、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことを言います。

投資家・従業員にとっては、新株予約権を有利な価格で株式を購入し、新株予約権を市場に売却することによって利益を得ることができるのです。そして経営者にとっても新株予約権の発行はメリットがあります。

経営者は役員・従業員のインセンティブの一環として新株予約権を活用することができます。言うなれば持株のようなものであり、役員・従業員は業績が向上すれば、株価上昇によって利益を得ることが可能です。

そのため役員や従業員はより業務に一生懸命取り組むようになります。またM&Aの場面では新株予約権を生かし、敵対的買収を防ぐことができるでしょう。

買収防衛策の一つにポイズンピルというものがありますが、これは新株予約権を発行し、一定の条件を満たすと安く新株予約権を発行できるようにするというものです。このような形で新株予約権を発行することによって株式が希薄化され、敵対的買収を行っている会社が株式を取得するコストをさらに増やすことができます。

このように新株予約権は敵対的買収を防ぐ買収防衛策としても機能するのです。

また、以下の各記事では、買収防衛策と敵対的買収について解説しているので、詳しく種類を知りたいと考えていれば、ぜひこちらも確認してみてください。

【関連】買収防衛策
【関連】敵対的買収

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新株予約権における種類について紹介

新株予約権の種類

新株予約権は、使い方に応じて大きく4つの種類に分けることができます。

  1. ストックオプション
  2. 社外向け発行
  3. 無償割当
  4. 有利発行

それでは1つずつ見ていきましょう。

①ストックオプション

ストックオプションは、株式会社の従業員や取締役が、自社株を定められた価格で得る権利を指します。

また、取得可能額を現在の株価以下にして、権利を行使が可能な期間を数年後に指定すれば、インセンティブを獲得するため仕事に取り組みやすくなるのです。

また、数年後でなければインセンティブは得られないので、従業員が早期退職することを予防できます。

【関連】ストックオプションとは?行使時の会計処理や仕訳をわかりやすく解説

②社外向け発行

企業は資金調達のために、社外向けの新株予約権を発行します。新株予約権を社外に対して発行すれば、オプション料が得られるからです。

しかし、新株予約権を多く発行すると株価が下落することが原因で、新株予約権が買ってもらえない危険性があります。

③無償割当

無料で既存株主に対して新株予約権を割り振ることを、無償割当と呼びます。主に、規模が大きい増資を実施する際に実施されることが多いです。

しかし、大量に新株を発行してしまうと株価が下落し過ぎるため、既存株主に対して無償割当を行います

④有利発行

有利発行とは、株主以外の第三者にとって有利な価格で株式を発行することです。

有利発行を行う前には株主総会で意図を伝えて、特別決議による承認を得る必要があります。

新株予約権における価格と期間について

新株予約権の行使価格と行使期間

新株予約権を使うことを「権利行使」と呼び、事前に設定された「行使価格」で新株を発行し、一定の「行使期間内」に購入することを言います。

ここでは、2種類の会社における行使価格と行使期間について解説します。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

上場会社の新株予約権の行使価格と行使期間

上場している会社の新株予約権を行使したい場合、証券会社に依頼するだけで完了します。新株予約権を行使した場合、その行使日に当該株式会社の株主となるのです。

また、新株予約権は発行された段階で行使期間が決まっており、その行使期間が満了を迎えてしまうと新株予約権が消滅します。また、行使価格は、基本的に行使価格は発行した際の株式の市場価格に合わせて発行しているのです。

ですので、新株予約権を行使する場合、この行使価格が変わりません。行使価格は、当該株式会社が新株予約権を有利発行しているか、無償割当かで異なります。

無償割当は市場価格より低い行使価格で株式を購入できる新株予約権を無償で割り当てることをいいます。

例えば、行使価格が300円、市場価格が500円であれば、投資家は新株予約権を行使して株式を交付してもらい、その株式をそのまま売却すれば差額分の利益が得られるのです。対して有利発行は当該株式会社が特定の個人や法人に対して市場価格より著しく低い行使価格で発行することを指します。

非公開会社の新株予約権の行使価格と行使期間

ちなみに新株予約権の本源的価値は非公開会社だと計算方法が少し複雑になります。

新株予約権の本源的価値の計算は公開会社・非公開会社を問わずに同じ会計基準で行われますが、非公開会社はそもそも株式の株価評価が行われていないことが多く、信頼性のある本源的価値の計算が難しくなる傾向になるのです。

そのため、非公開会社では新株予約権を行使することを仮定した価値で計算します。また、詳細は後述しますが、公開会社は新株予約権の導入を有利発行以外の形式で行う場合、取締役会で導入を決定することが可能です。

しかし、非公開会社は新株予約権の募集事項の決定や発行を株主総会で行わなければならず、特別決議を得なければなりません。

ただ、株主割当で新株予約権を発行する場合は定款の定め次第では取締役会で決められる場合があります。

さらに、新株予約権の募集事項の詳細は株主総会で決める必要はなく、募集事項だけを取締役会に委任するという形で決められるのです。非公開会社のみ新株予約権の発行などに株主総会の特別決議が必要な理由はその会社の形態にあります。

非公開会社は公開会社と比べて株主の数が少なく、それぞれの株主の持株比率が経営に大きな影響をもたらすようになっているのです。そのため、新株予約権のような株式の持株比率に影響を与えやすいものの導入に際しては株主の利益や権利を守るために株主総会が行う形になっています。

株式の所有者が経営者1人だけである場合なら問題はありませんが、複数人の株主がいる場合だと新株予約権の導入に反対される可能性があるということはあらかじめ念頭に置いておいた方がいいでしょう。

新株予約権の株価

新株予約権の株価

新株予約権は株価の上下に影響を受ける、あるいは影響を与えるものです。

ここでは以下の2つのパターンについて解説します。

  1. 株価が上がる場合
  2. 株価が下がる

投資家も経営者も新株予約権を行使する、発行する際には株価への影響を考えておく必要があるでしょう。

それでは詳しく見ていきましょう。

①株価が上がる

株価が上がることは新株予約権を行使する投資家・従業員、新株予約権を発行する会社にとって重要なことです。投資家・従業員は株価が上がれば上がるほど新株予約権を行使した際に利益を得られます。

インセンティブとして新株予約権を導入した場合も、株価が上がることは役員や従業員の働きが評価され、利益に反映されることから、モチベーションの向上にもつながるでしょう。

また、新株予約権は資金調達の手段として使われることから、新株予約権を発行している会社にとって株価が上がることは重要です。

経営状態が逼迫し、早急な資金調達が必要な会社の場合、強引な株価上昇を行おうとするケースがありますが注意しましょう。

②株価が下がる

株価が下がることは新株予約権の所有者にとって不利益になります。

新株予約権を行使する投資家、インセンティブとして新株予約権を得ている役員や従業員も利益が減り、会社としても資金調達の観点でマイナスとなるでしょう。

ただ、気を付けておきたいのが新株予約権を発行すると株価が下落する恐れがある点です。さきほどお伝えしたように新株予約権は株式を希薄化する作用があり、加えて投資家が新株予約権を手に入れたことで売りに出すようになります。

新株予約権は市場価格が上がったタイミングで売りに出すことで差額分の利益を得るものですので、株価が上昇すればすぐに新株予約権が行使され、そのまま売りに出される可能性が高くなります。メリット・デメリットの項でもお伝えしますが、新株予約権はあまりに多く発行すると株価の急落を招いてしまうケースもあるでしょう。

資金調達の背景があったとしても新株予約権の乱用は自分の首を絞めるような結果になりかねないので、注意が必要です。

新株予約権の無償割当

新株予約権の無償割当

ここではさきほどお伝えした新株予約権の無償割当について詳しくお伝えします。

既存株主に対し、市場価格よりも低い価格で当該上場会社の株式を購入できる新株予約権を無償で割り当てる増資手段の一つです。

無償割当は別名「ライツ・オファリング」と呼ばれるものであり、会社の増資手段として使われるものです。会社法第277条に規定されている資金調達方法となります。

投資家は新株予約権を行使することによって差額分の譲渡所得を得ることができ、また市場を通じて新株予約権そのものを売却して利益を得ることが可能です。

大きく分けて2種類あり、「コミットメント型」と「ノンコミットメント型」があります。

コミットメント型は新株予約権を発行している会社の主幹事証券会社との間でコミットメント契約を交わし、発行している会社の資金調達額をあらかじめコミットするというものです。

権利行使期間が満了を迎える日まで行使されなかった新株予約権に関しては取得条項に沿って発行している会社が取得し、対価として配当金了承方式に則った交付財産の支払いが行われます。つまり新株予約権が消滅したとしても何かしらの利益を得られる可能性があるということです。

ただ、計算日における普通株式の株価によっては交付財産の支払額がなくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。

ノンコミットメント型は新株予約権を発行している会社と主幹事証券会社がコミットメントを締結しないものであり、権利行使期間までに行使しなければ新株予約権は消滅してしまいます。

新株予約権の発行手続き・買い方

新株予約権の発行手続き・買い方

新株予約権の買い方は、新株予約権を発行している会社に証券会社経由で購入するか、インターネット上で直接購入するかのどちらかになります。

そして、新株予約権の発行の手続きは以下の通りです。

  1. 株主総会での特別決議
  2. 新株予約権の申込・割当
  3. 新株予約権原簿の作成
  4. 新株予約権の登記

新株予約権は簡単に買えますが、新株予約権の発行に関してはそれなりに手続きを行う必要になります。

それでは、1つひとつ詳しく見ていきましょう。

①株主総会での特別決議

新株予約権の発行を行う際には株主総会で特別決議を得る必要があります。

株主総会では新株予約権の発行数や算定方法など、新株予約権の細かい内容まで決定する必要があるため、実際に発行する際には司法書士など外部の専門家の協力を得ておくことがおすすめです。

ただ新株予約権の募集事項に関しては株主総会で特別決議を得ることで取締役会に委任することもできます。

また有利発行を行う場合は取締役から株主総会で、有利発行を行う理由を説明しなければなりません。

②新株予約権の申込・割当

新株予約権の引き受けを申し込む人が現れた場合、以下の6つの事柄を通知する必要があります。

  1. 株式会社の商標
  2. 募集事項
  3. 新株予約権の行使の際に金銭の払込みをすべきなら払込みの取扱いの場所
  4. 発行可能な株式総数
  5. 株式の譲渡承認機関についての定款の別段の定め
  6. 相続人などに対する売渡し請求に関する定款の定め

そして申込者の中から新株予約権を割り当てる人を決めたら、割当日の前日までに新株予約権を割り当て数を通知しなければなりません。割り当てる人や割り当てる新株予約権の数は株主総会で決定します。

③新株予約権原簿の作成

新株予約権の発行日には株式会社は新株予約権原簿を遅滞なく作成する必要があります。

また、原簿は新株予約権の種類によって記載事項が変わるのです。

新株予約権の種類ごとの記載事項は以下の通りとなります。

【無記名式の新株予約権証券】

  1. 新株予約権証券の番号
  2. 無記名新株予約権の内容と数

【無記名式の新株予約権付社債券が発行される新株予約権付社に付された新株予約権】

  1. 新株予約権付社債券の番号
  2. 新株予約権の内容と数

【それ以外の新株予約権】

  1. 新株予約権者の氏名と住所
  2. 各新株予約権者の有する新株予約権の内容と数
  3. 各新株予約権者が新株予約権を取得した日
  4. 新株予約権が証券発行新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)だった場合、その新株予約権の新株予約権証券の番号
  5. 新株予約権が証券発行新株予約権付社債に付されたものだった場合、その新株予約権を付した新株予約権付社債の新株予約権付社債券の番号

④新株予約権の登記

新株予約権を発酵した場合、割当日から2週間以内に変更登記を行う必要があります。

登記の際には様々な必要事項を登記する必要があるため、実際に行う際には司法書士の協力を得ておくことがおすすめです。

新株予約権のメリットとデメリット

新株予約権のメリットとデメリット

ここでは、新株予約権のメリットとデメリットをご紹介します。

業員のモチベーション向上や、敵対的買収への防衛策など、さまざまな用途で役に立つはずです。

①新株予約権のメリット

新株予約権のメリットは以下の通りです。

  1. 資金調達の手段になる
  2. 新株予約権を役員や従業員のインセンティブにすることができる
  3. 新株予約権を買収防衛策にできる
  4. 投資家にとっては損失を被るリスクが低い
  5. 特定株主の割合が増える

これまでお伝えしたように新株予約権は投資家にとってはリスクの低い取引を実現し、会社にとっては新たに株主を獲得したり、資金調達として活用することができる点が大きなメリットだといえるでしょう。

②新株予約権のデメリット

新株予約権のデメリットは以下の通りです。

  1. 株式の希薄化を招く。
  2. 株価の下落を招くことがある。
  3. 行使期間が満了を迎えると新株予約権が消滅するだけでなく、支払ったオプション料が帰ってくることもない。

新株予約権のデメリットはこれまでお伝えしたように株価に影響を与える点が大きなデメリットです。また株式の希薄化に関しては既存の株主に不利益を被らせてしまうことがあり、そういったリスクが懸念される場合は株主が新株予約権の導入自体に反対することもあります。

とりわけ市場価格と新株予約権の行使価格にあまりにギャップがあると株主に反発を受けやすくなるため注意が必要です。

まとめ

新株予約権は投資家・従業員、発行する会社にとってもメリットが多いものです。

しかし、新株予約権は利益があるものだからこそ株価や他の株主に影響を与える恐れがあります。

新株予約権を発行する際は慎重に検討して、進めていきましょう。

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