M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル

2019年12月3日更新
この記事は、約2分で読めます。

農地の相続とは?届け出や相続放棄・売却方法を解説

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

農地の相続は通常の相続とは異なります。農地相続における届け出、計算方法、相続放棄や農地の売却方法を解説します。

目次
  1. 農地の相続
  2. 農地相続に必要な届出
  3. 相続した農地の評価額と計算方法
  4. 農地相続で役立つ納税猶予の特例
  5. 相続した農地の売却
  6. 相続した農地がいらない場合の対処法と相続放棄
  7. まとめ

農地の相続

誰しも相続人となる機会があります。
受け継ぐ遺産は現金や株式だけでなく、農地も含まれます。
農地を相続する際は、通常とは異なる手続きが必要です。
この記事では、農地の相続について詳しく解説します。

農地相続に必要な届出

まず初めに、農地相続に必要な届出について解説します。

⑴農地相続の届出とは

通常の土地を相続する場合には相続登記のみで手続きが完了しますが、農地を相続する際には登記に加え、農業委員会へ届出書を提出する必要があります。
農業委員会とは、各地の市町村に設置されている行政委員会の一つです。
農業委員会に届出する際は、農地を相続した旨を確認できる書面(登記事項証明書など)も提出しなくてはいけません。

⑵農地相続の届出書の記載内容

農業委員会の窓口で取得できる農地相続の届出書には、主に下記内容を記載します。

  • 農地取得者(相続人)の氏名と住所
  • 農地の所在地(地番や地目等も含む)
  • 取得した農地の種類と内容
  • 農地の取得日
  • 農地を取得した理由
  • 農業委員会によるあっせん等の希望に関する内容

以上の内容を記載した届出書を、添付書類と一緒に提出します。
記載内容を詳しく知りたい方は、"農地法第3条の3第1項"を参考にしましょう。

⑶届出の提出期限

農地相続の届出書は、農地取得を知った日から10ヶ月以内に提出する必要があります。
届出は絶対であり、届け出なかった場合には10万円以下の過料(ペナルティ)が科される可能性があります。
農地を相続する方は、忘れずに届出書を提出しましょう。
虚偽の内容を記載した場合にも、同様の措置が取られるのでご注意ください。
※関連記事
農業の事業承継の手引き

相続した農地の評価額と計算方法

次に、農地相続の評価額について解説します。
評価額の算定方法は、相続する農地の種類によって異なります。
この項では、農地の種類ごとに評価額の算定方法をご紹介します。

⑴純農地・中間農地

純農地とは、生産性が非常に高い為に宅地への転用がほぼ不可能な農地です。
中間農地とは、売買できる可能性が高く、許可を得れば宅地への転用が可能である農地です。
純農地と中間農地に関しては、「倍率方式」により評価額を算出します。
倍率方式では、農地の固定資産評価額に地域ごとに設定された倍率を掛けて算出された数値を、相続財産の評価額とする方式です。
地域ごとに設定された倍率は、国税庁の定めた評価倍率表に記載されています。

⑵市街地周辺農地

市街化周辺農地とは、市街化の傾向が強い場所に所在する農地です。
電車の駅が数百メートル以内にある等の条件に合致すれば、市街化周辺農地となります。
市街化周辺農地に関しては、市街地農地として評価した価額の80%を、相続財産の評価額とします。
つまり市街化農地であると仮定して、一度評価額を算定します。
算出された評価額に0.8を掛ける事で、市街化周辺農地の評価額を算定できます。

⑶市街地農地

市街地農地とは文字通り市街地に所在する農地であり、農地を転用しやすい点が特徴です。
市街地農地に関しては、「宅地比準方式」もしくは「倍率方式」により評価額を算出します。
宅地比準方式では、宅地であると仮定した場合の評価金額から、宅地に転用する際の造成費を控除する形で評価額を算出します。
造成費に関しては、地域ごとに設定された数値を使用します。
※関連記事
相続税評価額を用いた節税

農地相続で役立つ納税猶予の特例

次に、農地相続で役立つ納税猶予の特例に関して解説します。

⑴特例猶予の概要

農地を相続または受贈した場合、他の資産の例に漏れず相続税や贈与税が発生します。
税負担を気にせずに円滑に農業を引き継ぐ上で、農地の納税猶予の特例は非常に役立ちます。
この特例を活用すれば、相続や贈与により承継した農地に関して、相続税もしくは贈与税の納税を猶予されます。
農地を相続した後に農業を亡くなるまで続ければ、猶予した相続税は免除されます。
つまり特例を活用すれば、税負担を気にせずに農業を承継できます。

⑵贈与税の納税猶予を受ける要件

贈与税の納税猶予を受ける為には、「贈与者」「受贈者」「贈与」に関する諸条件を満たす必要があります。
贈与者に関しては、継続して農業を行なっていた等の要件が設定されています。
受贈者には、農業を引き継ぐ旨を農業委員会に証明される等の条件があります。
農地の贈与自体にも要件があり、一定以上の農地を一括贈与しなくてはいけません。

⑶相続税の納税猶予を受ける条件

相続税の納税猶予を受ける為には、「被相続人」「相続人」に関する諸条件を満たす必要があります。
被相続人に関しては、「生前に農地を一括贈与している」等の条件を満たす必要があります。
相続人には、農地を引き継いだ後も引き続き農業を続ける等の条件があります。

⑷特例活用における注意点

この特例を活用に際しては、いくつか注意点があります。
一つ目の注意点は、「3年おきに継続届出書を提出する必要がある点」です。
継続の届出をしなければ納税猶予が取り消される上に、猶予していた相続税と利子税を納める義務が発生します。
二つ目は、「農業を辞めると納税義務が生じる点」です。
この特例は農業を引き継ぐ者を対象としている為、農業を辞めた場合は納税義務が発生し、未納分と利子税を支払わなくてはいけません。
※関連記事
相続税免除の条件と方法とは?相続財産引き継ぎにおける納税猶予と基礎控除

相続した農地の売却

この項では、相続した農地を売却する場合に必要な手続きを説明します。
「相続した農地をそのまま売却するケース」と「相続した農地を農地以外の用途で売却するケース」で、それぞれ手続きが若干異なります。

⑴相続した農地をそのまま売却するケース

相続した農地をそのまま売却する際には、農業委員会の許可(農地法第3条許可)を得なくてはいけません。
届出ではなく「許可」である為、売却を認められない場合もあり、認められなければ売却出来ません。
農業委員会から許可を得る為には、農地を取得する者(買い手)が農業経営に関して、一定水準以上の基準をクリアする必要があります。
主に下記の要件を満たせば、相続した農地の売却が認められます。

  • 農業に必要な機械を保有している
  • 全ての農地を使用する
  • 耕作面積が50a以上
  • 農業を行う事に適した人数がいる
  • 常に農業を行う

条件から分かる通り、趣味で農業を行う相手には売却できません。

⑵相続した農地を農地以外の用途で売却するケース

相続した農地を農地以外の用途に変えて売却する場合は、農業委員会の許可(農地法第5条許可)が必要です。
農地のまま売却する場合とは違い、「立地基準」と「一般基準」に基づいて売却可否が判断されます。
立地基準は相続した農地の立地に関する基準、一般基準は土地の利用目的や周囲への影響に関する基準です。
農地のまま売却するケースと比べると、許可が下りるまでに時間がかかります。
※関連記事
事業承継とM&Aの違いとは?メリット・デメリット、件数を解説

相続した農地がいらない場合の対処法と相続放棄

最後に、相続した農地がいらない場合の対処法に関してご説明します。
相続した農地がいらない場合には、下記3つの対処法が取れます。

⑴農地の相続放棄

最も手っ取り早い方法は、相続放棄です。
相続放棄では相続人としての権利自体を放棄するので、いらない農地を相続せずに済みます。
相続税の負担も無くなる為メリットが大きい様に見えますが、他の資産を一切相続できないデメリットがあります。
他に多額の相続財産が存在する場合は、慎重に検討した方が良いでしょう。
仮に全員が相続放棄を行い、農地を相続する人物がいなくなった場合には、「相続人のいない財産」となり国庫に帰属されます。

⑵農地の売却

デメリットの大きい手法である為、「農地がいらない」という理由だけで相続放棄する方はあまりいません。
いらない農地に関しては、売却する事も一つの手です。
相続税は発生するものの、いらない農地を管理する手間や費用が省ける上に、売却代金も獲得できます。
許可を得る必要があるものの、実用的な対処法と言えます。

⑶農業に関心がある人を雇用し農業を続ける

いらないとは言っても、相続放棄や売却により農地を手放す事は若干もったいないです。
農地を有効活用する手段として、農業に関心のある人を雇用し、引き続き農業を続ける事も選択肢の一つです。
農業に関心のある人に農地の管理を任せるため、自身の手間は省けます。
※関連記事
相続相談に必要な費用とは?

まとめ

今回は、農地の相続に関して解説しました。
農地の相続は、通常の相続とはいくつか異なる点があります。
農地を相続する方は、手続き面に関して十分に調べましょう。
要点をまとめると下記になります。

  • 農地相続に必要な届出

→農地の種類や所在地等を記した届出書を、農地取得を知った日から10ヶ月以内に農業委員会に提出する

  • 農地の評価額算定方法

  1. 純農地・中間農地→倍率方式
  2. 市街地周辺農地→市街地農地として評価した価額の80%
  3. 市街地農地→宅地比準方式もしくは倍率方式

  • 農地相続で役立つ納税猶予の特例とは

→相続や贈与により承継した農地に関して、相続税もしくは贈与税の納税を猶予・免除する特例

  • 納税猶予を受ける要件

→贈与では「贈与者」「受贈者」「贈与」、相続では「被相続人」「相続人」に関してそれぞれ要件が存在する

  • 特例活用における注意点

→3年おきに継続届出書を提出する必要がある、農業を辞めると納税義務が生じる

  • 相続した農地の売却(農地として売却)

→農業委員会の許可(農地法第3条許可)が必要であり、買い手の農業経営の能力等に基づいて売却可否が判断される

  • 相続した農地の売却(農地以外の用途で売却)

→農業委員会の許可(農地法第5条許可)が必要、「立地基準」と「一般基準」に基づいて売却可否が判断される

  • 相続した農地がいらない場合の対処法

→相続放棄、売却、農業に関心がある人を雇用して農業を続ける

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05
ご相談はこちら
(秘密厳守)