株主間契約とは?議決権や効力、株主間契約書の作成における注意点を解説

株主間契約は簡易的に設定でき、多数派株主・少数派株主それぞれの要望の実現できる可能性を持っているものです。法的な拘束力はやや弱いですが、上手く利用すれば健全かつ円滑に進行できる経営を実現できるようになるでしょう。先買権、コール・オプション、共同売渡請求権等の株主間契約で設ける事項についても理解を深めましょう。

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2019年12月31日更新

目次
  1. 株主間契約
  2. 株主間契約とは?その意味をわかりやすく
  3. 株主間契約のメリット・デメリット
  4. 株主間契約に定める事項
  5. 株主間契約における株式の譲渡制限
  6. 株主間契約における議決権と効力
  7. 株主間契約書の作成における注意点
  8. まとめ

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株主間契約

株主間契約とは一般株主がいる会社にとっては非常になじみ深いものかと思います。
株主間契約を締結することはベンチャー企業やオーナー企業に多いことですが、使いようによっては経営に有益な効果をもたらしてくれるものです。

しかし、株主間契約をどのように定めればいいのか悩みの種になりやすいでしょう。
今回は株主間契約の意味だけでなく、記載される事項にどういったものがあるか、わかりやすくお伝えしていきます。

株主間契約とは?その意味をわかりやすく

最初に、株主間契約とはその名の通り、会社と特定の株主や複数の株主がかわす契約のことをいいます。
株主間契約は資金調達を十分に受けつつ、業務を遂行し、経営していくために、株主の協力を得ておきたい経営陣と経営に一定以上介入したい株主双方の合意を得て締結されるものです。

株主間契約のメリット・デメリット

株主間契約のメリット

  • 円滑な経営を実行できる。
  • 少数派株主の意向が通りやすくなる。
  • 基本的に会社と株主間で自由に契約条件を決めることができる。 特に以下のような場合には効果的。
 ①重要な取り決めを行う場合
 ②株式の取り扱いを決める場合
 ③複数の会社が株主になっている場合
 ④創業者株主間で意見対立などにより創業者株主が会社から退くような場合

株主間契約のデメリット

  • 定款と違って法的な効果が弱い(法的拘束力が曖昧)。
  • 詳細に決めてしまうことでかえって会社の経営に悪影響をもたらすおそれがある。
  • M&Aのときに株主間契約の影響を受けるおそれがある。

株主間契約が特に有効な場合

株主は会社に出資してくれるため、貴重な資金調達の源だといえる存在ですが、スピーディーな経営を実現するうえでは、ときに障害となり得るものです。その都度株主と協議して合意を得るようでは、余計な時間がかかってしまうこともあります。

そのような場合、株主間契約を締結しておけば、円滑に経営を実行できる可能性が高くなります。また、株主にとっても株主間契約の締結は有利になり得るものです。

議決権の少ない少数派株主は、何かしらの提案や取締役候補者の推薦をしても希望が通らないことが多いです。しかし、多数派株主と株主間契約を締結すれば少数派株主の意向も通りやすくなります。

株主間契約で定めることができる事項については、基本的に公序良俗に反しない範囲であれば、会社と株主の間で自由に設定することが可能です(一般的な株主間契約でよくある規定については、後述の「株主間契約に定める事項」でお伝えします)。

そのため、株主の個人的な意向に沿った内容を定められるようになります。また、株主間契約は、以下のような場合に特に効果的です。

  1. 会社の経営にかかわらず重要な取り決めを行う場合
  2. 株式の取り扱いを決める場合
  3. 複数の会社が株主になっている場合
  4. スタートアップ企業などにおいて、のちのちに創業者株主間の意見対立などにより、創業者株主の一部が会社から退くような場合

ただ、株主間契約は自由に内容を決められるぶん、定款とは異なり法的な効果が弱く、法的拘束力の有無が曖昧になってしまうことがあります。
その一方で、詳細に事項を設定すると、かえって会社の経営に悪影響を及ぼすおそれがあるなど、少なからずデメリットもありますので、留意しておきましょう。

M&Aにおいても、株主間契約がその結果に影響することは充分考えられます。

株主間契約を踏まえてM&Aを行うのであれば、M&A総合研究所にご相談ください。
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株主間契約に定める事項

ここでは株主間契約に定める事項についてお伝えします。先述のとおり、株主間契約は当事者間で自由にその内容を決めることが可能です。代表的な事項として、主に次の4つがあります。

  1. 先買権
  2. コール・オプション/プット・オプション
  3. 売主追加請求権
  4. 共同売渡請求権

ただ、株主間契約で設ける事項には一定の傾向があり、よく設定される事項もあります。本来は、取締役の選任やデッドロック条項など株主間契約で定められる事項には様々なものがありますが、今回は株式に関する事項をお伝えします。代表的な事項の詳細は以下のとおりです。

①先買権



先買権とは、先買権を持っている株主が株式を第三者に譲渡する際に、他に先買権を持つ株主がいて、その株主が取得する意志があれば、その先買権を持つ株主に優先的に譲渡することをいいます。

先買権は、株式に付加される譲渡制限条項に近いものですが、あくまで先買権はその権利を持っている株主が優先されるという取り決めのようなものであるため、譲渡制限条項よりいくらか軽いものになっています。

また、先買権は基本的に創業者や経営陣、その他重要な立ち位置にいる株主が持つことが多くなっています。ただ、会社の成長ステージや内情に合わせてそれら以外の株主に先買権を付与する事例はあります。

また、先買権の内容に関しても、一部行使を認めるか、一度先買権の行為をしなかった株式に対して再度適用するかを認めるかどうかなど、会社の事情に合わせて様々な設定が行われます。
 

②コール・オプション/プット・オプション

コール・オプションは、定められた事由が発生した際に、相手に対して保有している株式を自ら売り渡すように請求する権利のことをいいます。

これと対照的に、プット・オプションは、定められた事由が発生した際に相手に対して自分が保有している株式を買い取るように請求する権利のことをいいます。

コール・オプションやプット・オプションを行使できる事由は様々なものがありますが、よくあるものとしては、以下のような場合があります。

  • 相手が株主間契約に違反した場合
  • 株主間契約が終了した場合
  • 株式を発行している会社が、一定以上の業績を達成できなかったことを事由にする場合
  • 株主が死亡した場合(なお、株主死亡の場合、株主間契約などで特に取り決めがなければ、死亡した株主の相続人が株主の地位を相続することになります。)

コール・オプションやプット・オプションを設定する場合、買取価格をどのように設定するかが重要です。

買取価格の決定もそれぞれの会社によってどんな方式を用いるかが異なりますが、代表的なものとしては純資産法式やDCF方式、類似業種比準価値方式といったものがあります。

これらを個々に使い分けるだけでなく、それぞれの方式で買取価格を算定し、その中で最も高い、あるいは最も低い価格を採用するといった方法が取られることもあります。

ただ、コール・オプションやプット・オプションを行使する側、あるいは行使される側のそれぞれの責任を考慮したうえで、いずれかの立場に有利な価格設定にすることが多いです。また、コール・オプションやプット・オプションを行使できる条項を統一せず、別々の条項を設けるケースも多いようです。
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③売主追加請求権

売主追加請求権は、ある株主が第三者に株式を売却する際、他の株主も同じ条件で第三者に株式を売却できるように、第三者への売却を行う株主に求めることができる権利です。

つまり、売主追加請求権を持つ株主が売却を行う株主と同じ条件で第三者に売却できるようにすることで、投資した資本を回収できるようする権利です。

これを設けることによって、多数派株主・少数派株主に関わらず、株式を売却して投資した資本を回収できるようになります。

④共同売渡請求権

共同売渡請求権は、ある株主が第三者に株式を売却する際、他の株主も同じ条件で第三者に株式を売却するように全ての株主に対して求めることができる権利です。

売主追加請求権と似通っているため、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、売主追加請求権が第三者への売却を行う株主に対して、「自分も」同じ条件による売却を求めることができる権利に対し、共同売渡請求権は第三者への売却を行う株主と同じ条件で「他の株主」が売却するように求める権利になっています。

つまり、権利を行使した株主を含め、他の株主全員に効力が及ぶという点で共同売渡請求権は売主追加請求権と異なっています。

共同売渡請求権はM&Aの際に会社の株式を全て譲渡する際、そのプロセスを円滑化するために活用されることがあります。
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株主間契約における株式の譲渡制限

ここでは株主間契約における株式の譲渡制限についてお伝えします。

株主間契約では、会社の定款のみならず(基本的に非公開会社が定款で株式の譲渡制限を決定しています)、株式の譲渡制限についても設定することができます。
株主間契約で株式の譲渡制限を行えるのは、株主同士で締結した株主間契約のケースに限られています。

これは、会社法により、会社の方から株主に株式の譲渡制限を設定する場合は、株主総会を通じ、正式な手続きを踏んで行う必要があるからです。
株主同士で締結する株主間契約による株式の譲渡制限は、多数派株主・少数派株主それぞれの利益のために設定されることが多いです。

例えば、多数派株主は、少数派株主が株式を譲渡する際、会社や会社が指定する者へ買取を要求することが可能ですが、これによって株主の地位から離脱されることが不利益になるケースもあります。

対して、多数派株主が一定以上の投資を行っていることを前提に出資している少数派株主の場合、多数派株主が取締役会の承認を受けて株式を譲渡し、撤退されてしまうことが不利益になるケースもあります。

これらのように、特定の株主が撤退、あるいは株主の地位から離脱してしまうのを防ぐための手段として、会社で定める定款とは別に、株式の譲渡制限を設けた株主間契約を締結するパターンが多くなっています。
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株式譲渡の制限

株主間契約における議決権と効力

株主間契約では、議決権に関する事項も設定することができます。基本的に株主は、所有する株式の単元数によって議決権が決定します。

しかし、近年では、議決権が少ない少数派株主でも、会社の重要な意思決定や経営に関する取り決めに参加できるように、株主間契約で議決権に関する事項を設けるケースも少なくありません。

例えば、取締役の選任に際して、それぞれの株主が出資割合を勘案したうえで一定数の取締役を選任できるように設定したり、何かしらの重要な議案があった場合にも少数派株主の同意を必要としたりするなどといった事項を設定するといった事例があります。

このように株主間契約により、どうしても議決権の差が発生してしまう株主をフェアな状態にしたうえで、自由に経営に参画できるように設定することができます。

①株主間契約における議決権

株主間契約では、議決権に関する事項も設定することができます。基本的に株主は、所有する株式の単元数によって議決権が決定します。

しかし、近年では、議決権が少ない少数派株主でも、会社の重要な意思決定や経営に関する取り決めに参加できるように、株主間契約で議決権に関する事項を設けるケースも少なくありません。

例えば、取締役の選任に際して、それぞれの株主が出資割合を勘案したうえで一定数の取締役を選任できるように設定したり、何かしらの重要な議案があった場合にも少数派株主の同意を必要としたりするなどといった事項を設定するといった事例があります。

このように株主間契約により、どうしても議決権の差が発生してしまう株主をフェアな状態にしたうえで、自由に経営に参画できるように設定することができます。

②株主間契約の効力

株主間契約の効力は「そこまで強くない」ことを自覚しておく必要があります。
株主間契約は、公序良俗に反しない範囲であれば当事者同士の自由裁量で設定することが可能ですが、法的な効果が弱かったり、法的拘束力が曖昧になるということがデメリットです。

株主間契約に違反した場合は違反金を請求することができますが、これは裏を返せば「違反金の請求しかできないということ」です。
相手が違反金を支払うことを了解したうえで違反行為を押し切られてしまえば、成す術はありません。

株主間契約は便利な反面、定款と違って法的な拘束力が明確ではなく、必ず締結しなければならないというものではありません。いってしまえば、株主間契約は個々人の良識に依拠している一面があります。

そのため、株主間契約を締結している相手でも、もし利害関係が明確化し、それぞれが引くに引けない状況になれば平然と破られるリスクをはらんでいます。

この点を踏まえると、株主間契約はあくまで定款のような、あらかじめ定められているルールを補強、あるいは補完するためのものと捉えておいた方がいいでしょう。

なお、最近の判例では、株主間契約の規定が抽象的で義務内容が特定されておらず、その規定には法的拘束力がないと判断した事案もあります。(東京地裁平成25年2月15日判決)。

これらを踏まえると、株主間契約の規定は可能な限りで明確にしておくほうが後々になって無難といえます。

株主間契約書の作成における注意点

ここでは株主間契約の作成と注意点についてお伝えします。
先述のとおり、株主間契約の内容に関しては締結する当事者同士の自由裁量で決めることができます。

ただ、作成する際に注意しておきたいことは、株主間契約は株主、あるいは会社いずれかの利益に偏ったものではありません。
あくまで株主や会社が公平な取り決めのもと、それぞれの立場を尊重したうえで利益を享受できるようにするために設定されるものだということです。

会社側に有利な設定をすると株主に不利益が生じるたり、株主に有利な設定をすると会社の自由経営が阻害されたりするといったおそれがあります。

また、多数派株主と少数派株主同士の齟齬を防ぐことも株主間契約における重要な役割の一つともいえます。
当然出資している割合が違う以上、議決権の多くは、より多くの出資をしている多数派株主が所有することは必然ではありますが、出資をしている以上、少数派株主の意見が反映できるような体制を設定することも重要です。

多数派株主、少数派株主それぞれの意見が反映できる体制こそ、より健全な体制だということができます。
株主の中にはただ出資するばかりでなく、一定以上に経営に参画したいと考えるタイプもいますので、それぞれの要望が実現できるように株主間契約を設定することが一番といえます。

ただ、当事者同士で契約を締結することは決して簡単ではありません。
株主間契約の締結や事項の設定を行いたい場合には、一度弁護士などの法律の専門家に相談しておくことをおすすめします。

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まとめ

株主間契約は、簡単にに設定できるうえに、多数派株主・少数派株主それぞれの要望の実現できる可能性を持っているものです。
法的な拘束力はやや弱いですが、上手く利用すれば健全かつ円滑な経営推進を実現できるようになるでしょう。
株主間契約で設定できる事項はお伝えしたもの以外にも色々ありますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

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