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2019年12月5日更新
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株式の持ち合いとは?メリットやデメリット、解消方法や事例をわかりやすくご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式の持ち合いは「相互保有株式」や「持ち合い株式」といった呼ばれています。株式の持ち合いは資本の原理から見ると非合理的であり、資本の空洞化や経営の歪曲化といった問題を引き起こす恐れがありますが、買収防衛策等のメリットもあります。株式の持ち合い解消方法や規制や事例、メリット・デメリットを解説します。

目次
  1. 株式の持ち合い
  2. 株式の持ち合いとは?その意味について
  3. 株式持ち合いの目的
  4. 株式の持ち合いのメリット・デメリット
  5. 株式の持ち合い解消方法
  6. 株式の持ち合い規制
  7. 株式の持ち合いの比率
  8. 海外から見た日本企業の株式持ち合い事例
  9. まとめ

株式の持ち合い

株式の持ち合いを行っている会社はありますが、どういった目的で実施しているかご存知でしょうか?
株式の持ち合いは2つ以上の会社がお互いの株式を持ち合うことをいいます。
株式の持ち合いは買収防衛策や取引先との関係構築のメリットがある一方、資本の空洞化が引き起こすデメリットもあります。
そのため経営手段として、「株式の持ち合い」は有益な一面があります。
今回は株式の持ち合いをする目的やメリット・デメリット、解消方法や規制などについてお伝えしていきます。

株式の持ち合いとは?その意味について

株式の持ち合いの意味

株式の持ち合いとはそもそもどういったものなのでしょうか?
株式の持ち合いは「相互保有株式」や「持ち合い株式」といった呼ばれ方がありますが、いずれも意味は同じです。
経営戦略としての株式の持ち合いの歴史は古く、第二次世界大戦後の財閥解体から始まりました。
1960年代に資本の自由化が始まってから外資から身を守るために株式の持ち合いを行う会社はだんだん増えていき、1980年代後半のバブル全盛期には発行し過ぎた株式の受け皿として株式の持ち合いが積極的に行われるようになりました。
ある意味株式の持ち合いは日本の経済成長を支えてきた経営戦略だといえます。
しかしバブル崩壊以降、景気が急激に悪化するなかで株式の持ち合いは資金繰りを悪化する要因として積極的に行われないようになりました。

株式の持ち合いの現状

現在でも株式の持ち合いを続けている会社はありますが、以前ほどの数はなく、むしろ株式の持ち合いを解消する方向で動いている会社が増えています。
2002年に銀行等保有株式取得機構が設置され、持ち合っていた株式を一時的に買い取ってくれる措置が行えるようになってからは、株式の持ち合いの解消はますます加速しています。
2005年には敵対的買収が増えてきたことを背景に一時的に株式の持ち合いを行う会社が増えましたが、2008年のリーマンショック以降は再び減少傾向にあります。

株式持ち合いの目的

株式の持ち合いはどんな目的があって行われるのでしょうか?
株式の持ち合いの目的には様々なものがあり、その多くがその時の経済状況に適応するためのものでした。
例えば「バブルの時に発行し過ぎた株式の受け皿にするために株式の持ち合いを行う」といったものが挙げられます。
このような目的は今の時代とはマッチしていないものであり、同じ目的で株式の持ち合いをしている会社は今となってはほとんどないでしょう。
従って、株式の持ち合いは現在となってはあまり使われない経営戦略となっています。
詳しくは「株式の持ち合いのメリット・デメリット」でお伝えしますが、現在でも株式の持ち合いを行っている会社はお互いの取引関係をより長く、安定させるためや買収防衛策を目的としている場合がほとんどです。

株式の持ち合いのメリット・デメリット

ここでは株式の持ち合いのメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
株式の持ち合いは今でこそ多用されることはあまりないですが、ちゃんとメリットがあり、場合によっては有効的な経営戦略になり得ます。
しかしデメリットも当然あるので、この点も注意しておきましょう。
株式の持ち合いのメリット・デメリットは以下の通りです。

①株式の持ち合いを行うメリット

株式の持ち合いを行うメリットは以下のようなものが挙げられます。

長期的な取引関係の持続

取引関係を持っている会社同士が株式の持ち合いをすることによって長期的な取引関係をより持続しやすくすることができます。
一定以上の議決権を有することができるだけの株式を保有すれば、株式の持ち合いを行っている会社はお互いを安定株主にすることができます。
そうしておけば株主総会を円滑的に進められるようになるため、意思決定を迅速化できるだけでなく、株式の持ち合いを行っている会社同士にとってメリットのある経営戦略を実行しやすくなります。
また、資本提携のような経営戦略は株式の持ち合いに近しいものがあります。
例え取得した株式の割合が少なかったとしても業務上の連携を行う上では役立つため、資本提携を行う会社が少数の株式を持ち合う事例は少なくありません。

買収防衛策

株式の持ち合いは買収防衛策としても機能します。
株式の持ち合いを行うと会社同士が一定の株式を所有することになるため、敵対的買収を仕掛けられるような事態になったとしても、経営権を獲得されるまでの株式買収を防ぐことができます。
株式の持ち合いを買収防衛策とするケースは、資本の自由化の際に外資系の会社が証券不況に乗じて実施する会社買収を防ぐためでした。
日本国内の会社でも過去にライブドアや村上ファンドといった会社が敵対的買収を行った事例があります。
今ではあまり敵対的買収はありませんが、今後敵対的買収が発生する可能性は十分に考えられます。

②株式の持ち合いを行うデメリット

株式の持ち合いのメリットはどちらかというと経営者にとってのものが多く、健全な経営や株主にとってはデメリットになりがちです。
株式の持ち合いを行うデメリットは以下のようなものが挙げられます。

経営の歪曲化が起こる

「経営の歪曲化」とは株主の議決権による株主総会の機能が失われてしまうことを意味します。
株式の持ち合いは当事者となる会社同士が一定の議決権以上の株式を持ち合うため、株主総会をそれらの会社が掌握する形になります。
そのため他に議決権を持つ株主の発言が通りにくくなり、とりわけ経営者の意向に沿わない提案はできなくなるでしょう。
つまり株式の持ち合いは株主総会の機能を失くし、持ち合いを行っている会社同士の意向に偏った経営を創り上げてしまうわけです。
また株式の持ち合いをしている会社同士の力関係が変わった際に、一方の会社が一方の会社の経営の主導権を握るような事態になってしまう恐れもあります。
主導権を逃げられてしまうと、その会社の経営権が脅かされてしまうことになるでしょう。
昨今の経営環境は株主の意向が重要視されており、実質的に株主の意向をおざなりにする株式の持ち合いは株主の反発を招くだけでなく、健全な経営を妨げることにもなります。

資本の空洞化が発生する

「資本の空洞化」とは本来会社の成長になされるべき投資が持ち合い株式に使われることによって、効率的な経営が行われないことを意味します。
株式の持ち合いは互いの会社が成長することにあまり貢献しないものであり、利益を生み出さないものです。
言ってしまえば会社同士が互いにわずかな利益を細々と分配しながら現状維持を図っているだけであり、株式の円滑な取引を妨げているといえます。
さらに株式の持ち合いは閉塞的な空気感を作り出し、流動的な株式の取引を妨げます。
株主が離れてしまう原因にもなりかねません。

株式の持ち合い解消方法

株式の持ち合いを解消する場合、どのような解消方法があるのでしょうか。
基本的に上場している会社の株式の持ち合いの解消方法は「自社株買い」を行うという形になります。
しかし株式の持ち合いを解消するのは意外と手間がかかります。
持ち合っている株式を買い取る場合、市場を通さないのなら株主総会を開催し、特別決議を得なければなりません。
これは例え市場価値がついている株式でも同様です。
株主総会を避けたいのなら、持ち合っている株式を一度市場で売却し、改めて市場で取得するという解消方法があります。
ただ、この解消方法は相場操縦に抵触する可能性があるため、取得する日の前日に具体的な内容の公表などを行う必要があります(これは内閣府令による制限です)。
また、この解消方法は株式の放出によって株価が急激に変動してしまう可能性もあります。
株価の変動を避けたいのなら、時間外市場で一定価格による取得を行うことがおすすめです。

株式の持ち合い規制

ここでは株式の持ち合いに課せられた規制についてお伝えします。
株式の持ち合いは経営の歪曲化や資本の空洞化を招くものであり、株主に不利益をもたらし、健全な経営を妨げる要因になり得るものです。
また、株式の持ち合いは出資の実態がないにも関わらず他社の経営を支配するような状況も作ってしまうリスクがあります。
そのため、会社法では株式の持ち合いには規制がかけられており(相互保有株式規制といいます)、会社が株式の持ち合いを自由に行えないようになっています。
会社法では株式会社が議決権の4分の1以上を所有しているなど、対象の会社を支配することが可能になっている関係にある場合、その株式会社は議決権を持てないように定められています。
このような規則があるため、「株式の持ち合いのメリット・デメリット」でお伝えした経営の歪曲化や他社の株主総会を支配するようなことは起こりにくくなっています。

株式の持ち合いの比率

株式の持ち合いを行う場合、その比率はどれくらいになるのでしょうか?
そもそも株式の持ち合いは安定株主を生み出すために行われることが多く、そのため株式の比率は高めになっている傾向があります。
株式の持ち合いの比率は会社ごとに異なっていますが、2016年の株主総会白書の調べによると、実際に株式の持ち合いを行っている会社の安定株主の比率は40~60%になっていることが多いようです。
ただ、株式の持ち合いの比率を詳細に把握することは難しいことです。
株式の持ち合いを行っている会社の中には一桁に満たない数字で株式を持ち合っていることもあり、これらは公表されないため統計の数字には反映されません。
そのため実際的に株式の持ち合いの比率がどうなっているかはわかりづらくなっています。
日本で株式の持ち合いを行っている会社は減っており、もはや持ち合いの株式はメジャーな手段だとはいえません。
今後も株式の持ち合いの株式を行う会社は減っていくでしょう。
しかし、2005年がそうだったように株式の持ち合いを行う企業が増える可能性は決してゼロではありません。
敵対的買収が増えるような状況になれば再び株式の持ち合いがメジャーな経営戦略として浮上してくることは充分に考えられるでしょう。

海外から見た日本企業の株式持ち合い事例

海外からは日本企業の株式の持ち合いはどのように見られているのでしょうか?
そもそも株式の持ち合いは日本の企業でしか見られないといっても過言ではなく、ある意味日本特有のビジネス慣行だといえます。
かつて日本が外資の買収を避けるために株式の持ち合いを行っていた際には海外の会社から「日本の市場は閉塞的だ」と非難を受けたことがありました。
実際株式の持ち合いは資本の原理から見ると非合理的な行為であり、本来は自由に売買できる状態であるべき市場にとっては妨げになることがあります。
しかし株式の持ち合いは一概に否定できるものではありません。
日本のビジネス慣行として根付いている以上、存在する価値はあるものです。
「株式の持ち合いのメリット・デメリット」で株式の持ち合いが「長期的な取引関係を維持する」とお伝えしましたが、これはいうなれば株式の持ち合いが契約書のような拘束力をもたらしてくれることも意味しています。
そもそも日本では欧米の会社が取り交わすような詳細かつ厳密な契約書を作成する慣行が根付いていません。
そのため詳細な契約書を作成する代わりに株式の持ち合いという形で契約の拘束力を作り出しているのです。
このような形での株式の持ち合いは世界に進出しているような上場会社でも一般的に行われています。
そういった点を踏まえると、株式の持ち合いは経営戦略として使うよりも日本のビジネス慣行の一つとして有効活用していくことが一番かもしれません。

まとめ

株式の持ち合いは資本の原理から見ると非合理的であり、資本の空洞化や経営の歪曲化といった問題を引き起こす恐れがあります。
従ってかつてのように株主の意向を無視した株式の持ち合いが当たり前に行われるようなことはないでしょう。
しかし日本のビジネス慣行としての株式の持ち合いは依然存在し、使われる場面も少なくないため、そのメカニズムやメリット・デメリットは把握しておいた方がいいでしょう。

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