M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル(旧M&A STORY)

Logo

この記事は、約 3分で読めます。
株式移転計画書とは?作成方法や注意点の紹介

株式移転計画書とは?作成方法や注意点の紹介

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式移転計画書とは

M&Aの手法の一つに株式移転があります。株式移転は完全親会社と完全子会社の関係を作り出す手法の一つで、実際のM&A事例でも活用されています。さて、この株式移転をするには、まず「株式移転計画」というものを作成しなければなりません。これは会社法で決まっているもので、株式移転を行う会社が作成する必要があります。この株式移転計画の計画書が「株式移転計画書」となるわけです。

以下、株式移転計画書の概要や作成方法、注意点など、詳しく見ていきましょう。まずは株式移転の意味も踏まえ、株式移転計画書の意味や特徴から整理しておきます。

そもそも株式移転とは何か?

株式移転とは、1または2以上の株式会社が、発行する株式の全てを新たに設立する株式会社に取得させることをいいます。例えばA社とB社が存在するとして、そのA社とB社の株式の全てを、新しく設立されたC社が取得するという流れになります。

株式移転の大きなポイントは、新しく会社が設立されるということ、そして、その会社が「1または2以上の株式会社」の株式の全てを取得するという点です。上記の例で言えば、新しく設立されたC社は、A社とB社の株式を全て取得します。つまり、A社とB社はC社の完全子会社となるわけです。また、完全子会社となるのは「1または2以上の株式会社」であり、上記の例で言えばA社とB社(2以上の株式会社)が完全子会社となっています。

もちろん1社を完全子会社とすることも可能で、A社の株式の全てを、新たに設立されたC社が取得するという方法もあります。この場合であれば、完全子会社となるのはA社1社のみです。そして、いずれの場合も、C社が完全親会社になるという点は同じです。

このように、株式移転は、完全親会社と完全子会社の関係を構築する手法であり、かつ、新しく設立された会社が完全親会社となる点に特徴があります。

株式移転と株式交換の違い

株式移転と似た手法に「株式交換」というものがあります。株式移転と株式交換の違いがわかると株式移転の理解がさらに深まりますので、以下で整理しておきます。

株式交換というのは、ある会社の発行する株式の全てを他の会社(株式会社または合同会社)に取得させることをいいます。株式移転と同様に、全ての株式を他の会社に取得させることによって、完全親会社と完全子会社の関係を生み出す手法となります。ただし、株式交換は、すでに存在する会社において行われる手法です。株式移転のように、新しく会社を設立するわけではありません。

例えば、A社が発行する株式の全てを、株式交換によってB社が全て取得するとします。この場合、完全親会社がB社、完全子会社がA社という関係が構築されます。ただ、株式移転と異なり、新しく設立された会社は登場しません。これは、すでに存在しているA社とB社において行われるものです。

株式移転計画の仕組み

さて、上記でご紹介した株式移転と株式交換の違いを考えると、株式移転の特徴でもある「新しく会社が設立される」という点がさらにイメージできるかと思います。そして、実はこの点が株式移転計画にも深く関係しています。株式移転を計画する段階で存在している会社は、将来的に完全子会社となる会社のみです。その会社が株式移転計画を作成することになりますが、これは「計画」であって「契約」ではありません。

例えば株式交換の場合であれば、完全子会社となる会社と完全親会社となる会社の間で、「株式交換契約」を締結することになります。この場合、将来的に完全親会社となる会社がすでに存在しているので、その会社との間で「契約」を締結するという形になります。

一方で、株式移転の場合、将来的に完全親会社となる会社はまだ存在していません。つまり、相手企業と契約を締結するという状態が考えられないのです。そのため、将来的に完全子会社となる会社だけで、「計画」という形で株式移転の内容を決めることになります。株式移転計画は、このような仕組みのもとで作成されます。そして、こうした株式移転計画を証する文書が、株式移転計画書となります。

株式移転計画書の作成方法

次に、株式移転計画書の作成方法について、株式移転計画の作成の流れも踏まえてご紹介していきます。

株式移転の主な手続き

まず、株式移転計画書の作成に関連し、株式移転計画に関する主な手続きを整理しておきます。株式移転を行うには、まず株式移転計画を作成し、その計画に関する書面などを本店に一定期間備え置きます。また、株式移転をする会社は、原則として株主総会の特別決議によって株式移転計画の承認を受ける必要があります。

こうした一連の手続きを経たら、株式移転において必要な登記手続きを行います。株式移転によって設立する完全親会社の場合であれば、設立の登記を申請することになります。その際に、添付書類として株式移転計画書を添付する必要があるのです。株式移転によって新しく完全親会社を設立するには、きちんとした手続きを経て株式移転計画が作成されたことを証するため、株式移転計画書を添付したうえで、設立登記を申請するという形になるわけです。

株式移転計画書を作成する流れ

上記でご紹介した手続きからもわかるように、株式移転計画書というのは、株式移転計画を証明するものとして非常に重要な意味を持ちます。そのため、株式移転計画書を作成する際には、会社法上適切な株式移転計画になっているかどうかを踏まえ、一つ一つのポイントを確認しながら作成を進める必要があるのです。インターネットなどで、株式移転計画書のひな形は比較的簡単に入手できます。そのひな形を参考にしつつ、株式移転計画で定めるべき事項を細かく確認しておきましょう。

一方で、株式移転計画書を作成するにあたっては、法律家などの専門家のサポートを受けつつ、作成を進めることが好ましいです。確かにひな形は簡単に入手できますし、会社法の条文に照らして自社で作成を進めることもできますが、会社法の手続きは複雑な部分が多く、株式移転計画で定めるべき内容もややこしくなります。そのため、自社だけで作成を進めると、計画書として問題が発生する可能性が高くなります。

完全親会社の設立登記で株式移転計画書の添付が必要となる以上、きちんとした株式移転計画書が作成できなければ、登記申請そのものができないおそれもあります。こうした事態を防ぐためにも、ひな形などを参考にして必要な手続き・内容をチェックしつつ、法律家などの専門家のサポートはきちんと受けるようにしましょう。

株式移転はM&Aでも活用される手法の一つです。M&Aを行う際にはM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受けることになりますが、その際に株式移転計画書の作成について相談してみても良いでしょう。

電話で無料相談WEBから無料相談

株式移転計画書作成の注意点

次に、株式移転計画書を作成する際の主な注意点について整理しておきます。

必要な記載事項を確認

まず、株式移転計画で定めなければならない事項は会社法で規定されています。そのため、株式移転計画書には、これらの必要事項を全て記載する必要があります。必要事項が一つでも漏れていれば、会社法に基づいて株式移転計画を作成したことにはなりません。株式移転計画で定めるべき事項は事前にきちんと確認しておきましょう。株式移転計画書の記載事項について、詳しくは後述します。

2以上の会社が株式移転をする場合

株式移転は、「1または2以上の株式会社」が行うものです。株式移転を行うのが1社だけであれば、当然その1社が株式移転計画を作成することになります。一方で、2以上の株式会社が株式移転を行う場合、その2以上の株式会社は共同して株式移転計画を作成しなければなりません。当事者となる会社のうち、1社だけが計画を作成するということはできないのです。

もともと2以上の株式会社が株式移転を行うというのは、共同して株式移転をすることを意味します。そのため、株式移転を計画する段階でも、当然共同して計画を作成しなければならないのです。当事者が1社でも抜けた状態で株式移転計画を作成しても、その計画は認められません。当事者が知らないところで計画を決めることはできないので、共同して株式移転計画を作成する必要があります。

株式移転計画書の記載事項

次に、株式移転計画書の記載事項についてご紹介します。株式移転計画において定めるべき事項は会社法で決まっているので、株式移転計画書では、それらの事項を記載することになります。

株式移転計画で定める主な内容

株式移転計画で定める必要のある内容を大まかにまとめると、次のようになります。

⑴株式移転によって設立する完全親会社の目的・商号・本店の所在地・発行可能株式総数
⑵完全親会社の定款で定める事項
⑶完全親会社の設立時取締役などの役員の氏名
⑷完全親会社の資本金・準備金に関する事項
⑸株式移転の際に完全子会社の株主に対して交付する完全親会社の株式に関する事項
⑹株式移転の際に完全子会社の株主に対して交付する完全親会社の社債に関する事項
⑺株式移転の際に完全子会社の新株予約権者に対して交付する完全親会社の新株予約権に関する事項

これらの内容について、以下、概要を整理しておきます。

完全親会社に関する事項

株式移転では、完全親会社となる会社を新しく設立します。そこで、株式移転計画の段階で、新しく設立する会社の名前や所在地、役員などを決めておくわけです。具体的には、設立する会社の目的・会社名・本店の所在地・発行可能株式総数(上記⑴)のほか、その会社の定款で定める事項(上記⑵)や、その会社の取締役や監査役などの役員の氏名(上記⑶)、そしてその会社の資本金や準備金について(上記⑷)、それぞれ株式移転計画で決めておく必要があります。そして、これらを株式移転計画書に記載することになります。

完全子会社に交付する対価に関する事項

こちらは、上記でご紹介した記載事項の⑸から⑺までに該当する部分です。株式移転において、完全親会社は、完全子会社の株主に対して対価を交付することになります。完全子会社の株主から株式を全て取得して完全親会社となる以上、完全親会社は完全子会社の株主に対し、対価を交付しなければならないのです。

その対価として、完全親会社の株式や社債を交付しますが、これらに関する内容を株式移転計画で決めておく必要があります(上記⑸と⑹)。例えば完全親会社の株式を交付する場合であれば、その株式の数や算定方法、割当てに関する事項などを決めておきます。

また、完全親会社の社債を交付する場合は、社債の種類や金額、算定方法、割当てに関する事項などを定めることになります。さらに、株式移転にあたって、完全親会社が完全子会社の新株予約権者に対し、完全親会社の新株予約権を交付するケースもあります。こちらは株主に交付する対価とは異なりますが、完全子会社の新株予約権者に交付する新株予約権として、株式移転計画で決めておく必要があります(上記⑺)。

具体的には、交付する新株予約権の内容や算定方法、割当てに関する事項などを定めます。そして、これらの株式、社債、新株予約権に関して定めた事項を、株式移転計画書に記載することになるわけです。

株式移転計画書の印紙税

印紙税とは、経済取引などで作成される文書に課される税金のことをいいます。その文書の作成者が収入印紙を貼り付け、印紙税を納めるという形になります。一方で、株式移転計画書の場合、基本的に印紙税は不課税となります。これは、他の組織再編と比較するとわかりやすいです。

例えば合併と会社分割の場合、合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書において、1通または1冊につき印紙税額は4万円となっています。一方で、株式交換契約書や株式移転計画書は、印紙税額の一覧表に文書として記載されていないので、印紙税は不課税となります。

まとめ

株式移転は、1または2以上の株式会社が、発行する株式の全てを新たに設立する株式会社に取得させるという手法であり、完全親会社と完全子会社の関係が生まれます。また、完全親会社を新しく設立するという点に株式移転の特徴があります。そのため、完全子会社となる会社が株式移転計画を作成し、原則として株主総会の特別決議によって計画の承認を受けるという流れになります。

このように、株式移転の性質上、契約ではなく計画という形で株式移転の内容を決めることになるわけです。そして、この株式移転計画を証するものが株式移転計画書となります。株式移転計画書の作成にあたっては、株式移転計画で定めるべき内容をチェックし、法律家などの専門家のサポートを受けつつ、一つ一つのポイントを確認しながら作成することが重要です。

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談WEBから無料相談
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05
ご相談はこちら