2020年1月16日更新会社を売る

株式移転とは?手続きやメリット・デメリット、M&Aにおける活用や事例を解説

株式移転とは、新たに設立した持株会社に自社の株を移行することで、経営統合や持株会社の設立を行うM&A手法です。株式移転は株式譲渡などの手法と異なり、買収時に多額の資金を用意しなくてもよいというメリットがあります。

目次
  1. 株式移転
  2. 株式移転とは?M&Aにおける株式移転の意味
  3. 株式移転の目的
  4. 株式移転のメリット・デメリット
  5. 株式移転の手続きとスケジュール
  6. 株式移転と株式交換の違い
  7. 株式移転の事例
  8. 株式移転でホールディングカンパニーを作るポイント
  9. 株式移転の仕訳と税務
  10. 株式移転における親子会社の関係
  11. まとめ
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株式移転

近年、企業の新規事業参入や大手グループ同士の合併・買収など、さまざまな経営の在り方が見受けられます。経営者の引退にともない事業を承継させたり、経営を立て直したりする目的でM&Aを行う企業などがよい例でしょう。

株式移転もその一つで、広義には組織の再編成として捉えられており、経営を根本的に解決する力があることから注目を集めています。本記事は、株式移転について詳しく解説していきます。

株式移転とは?M&Aにおける株式移転の意味

まず初めに、M&Aにおける株式移転の概要を解説します。株式移転とは、二つ以上の株式会社が、発行済みの株式全てを新規設立会社に取得させるM&Aの手法です。株式譲渡とは異なり、組織再編を目的としたM&Aでの活用が一般的です。

経営統合のために新設するので、完全親子会社の関係を築きます。新設された株式会社が親会社となり、その傘下に入ることで既存企業が子会社となります。株式移転は、合併に近い効果を得られるM&A手法です。

株式移転は、経営統合の意思があるにもかかわらず合併に抵抗がある企業の間で実施されるケースが多いです。ホールディングカンパニーの多くは、株式移転によって設立されています。ホールディングカンパニーと聞くと大企業をイメージするかもしれません。

しかし、大企業に限らず中小企業でも、新規事業参入や事業承継などを目的に実施する場合もあります。株式移転の手続きは計画書作成や事前情報開示、株主総会での承認などが必要となり、合併と比べると多くの時間を要します

株式移転の目的

株式移転が活用される目的は二つあります。それぞれの目的を把握することで株式移転について理解が深まることでしょう。

経営統合のための共同株式移転

共同株式移転は、既存の企業同士が経営統合のために新設会社を立ち上げて実施します。個別に経営していた企業同士が統合する際、同業種であっても経営方針や社風など、少なからず相違点があります。

それぞれの独自性を保ちつつ経営統合できるので、堅実に経営統合を成功させたい企業の間で共同株式移転が用いられることが多いです。

持株会社体制移行のための単独株式移転

単独株式移転は、上場している大企業が多く用いる方法です。傘下を抱える株式会社が単独で株式移転を実施し、傘下各社の経営方針をまとめます。本来新設した会社は新たに上場申請をする必要があります。この場合は新たに申請する必要はなく、テクニカル上場と呼びます。

株式移転のメリット・デメリット

株式移転にはメリットとデメリットの両方があります。株式移転を適切に実施できるようにそれぞれ理解しておきましょう。

メリット

買収資金が不要

株式譲渡や事業譲渡と違って、買収する際には株式を交付できるので、多額の資金を事前に用意しなくてもよいメリットがあります。

組織の内部統合が容易

合併を活用した経営統合では、異なる組織文化を持った各企業が一つになるので、人事評価の仕組み変更による従業員のモチベーション低下や、従業員同士の衝突などが生じてしまう可能性が高いです。

株式移転の場合には統合される各社の中身は変わらないので、経営統合がスムーズでシナジー効果を早い段階から発揮することが可能です。

デメリット

事務的な手続きに手間がかかる

株式移転を行う場合には、原則として株主総会の特別決議が必要であり、株式移転に反対する株主による株式の買い取り請求に応じなければなりません。事業譲渡などほかのM&A手法と比べて、事務的な手続きに手間と労力がかかります

株価が下落する可能性がある

企業の数が増えることによって管理費用も増加し、株価が下落する恐れがあります。親会社が子会社を運営する仕組みについてわかりやすく説明し、株主に売り上げが伸びるイメージを持ってもらうことが重要です。

株式移転の手続きとスケジュール

この項では、株式移転の手続きをスケジュールに沿って解説します。株式移転の手続きやスケジュールは下記のとおりです。

株式移転計画の策定

まず初めに、株式移転計画を策定します。株式移転計画には、下記の項目を最低限盛り込みます。

  • 親会社の商号、住所、事業の目的、発行可能株式総数、
  • 親会社が定款に定めている事項
  • 親会社設立時の役員構成
  • 親会社の資本金と準備金の金額
  • 株式移転の対価

書面の事前備置き

株式移転を実行する際、親会社側は株式移転に関する内容を記した書面を事前に備え置きます。書面に関しては、株主総会の開催日から起算して2週間前に備え置くケースが一般的です。子会社側では、効力発生日から起算して6ヶ月後までに書面を備え置く必要があります。

事前備置きする書面には、主に下記の内容を盛り込みます。

  • 株式移転計画の概要
  • 対価の相当性を説明する事項
  • 計算書類等に関する内容

株主総会の開催

株式移転の効力発生日前日までに株主総会を開催する必要があります。株式移転を実行するためには株主総会の特別決議を要します。出席議決権株式数のうち3分の2以上の賛成が必要になるため、株式移転の実行には株主の理解が必須です。

種類株式を発行している会社であれば、種類株主総会が別途必要になります。新株予約権付社債の承継など、一定要件に該当する場合には債権者保護手続きも実施します。

株式移転の登記申請

株主総会で株式移転を承認されたら登記申請を実施します。株式移転の登記申請は、親会社と子会社が同時に実施しなくてはいけません。ただし、新株予約権の承継などが発生しなければ、子会社側の登記は不要です。登記申請には、株式移転計画書や役員の印鑑証明書などを要します。

書面の事後備置き

株式移転の効力発生日後、親会社と子会社は遅滞なく法務省令で定められた書面を作成します。作成した書面は効力発生日から6ヶ月間本店に備え置きます。株式移転の手続きは以上です。株式移転を実施する際は事前にスケジュールを把握しましょう。

株式移転と株式交換の違い

株式譲渡によって完全子会社関係になる点では、株式移転と株式交換は似ています。しかし、既存の株式会社を親会社にする株式交換に対して、株式移転は親会社を新規に立ち上げます

また、株式交換では親会社となるのが合同会社やほかの企業でも株式を取得できます。その一方、株式移転で親会社となるのは必ず新設会社でなくてはなりません。子会社が独自に経営を進められるため、株式交換よりも組織を再編成しやすいです。

そのほか、株式交換では株式交換契約書に記載された日に効力が発生するのに対し、株式移転では新設企業の登記変更日が効力発生日になり、これまで個別に結んでいた契約を再度締結させる必要がある点も異なります。そのため、株式移転はじっくりと時間をかけて実施します。

ちなみに株式交換は、組織再編のみならず既存他社との経営統合を目的に行われることもあります。そのため、条件の合う売り手を見つける必要もあります。その際にはM&A総合研究所にぜひご相談ください。

M&A総合研究所は、平均3ヶ月で成約を実現しています。さらに完全成功報酬制を採用しているので、M&Aが成約するまで報酬を支払う必要はありません。相談料も無料なので気軽にお問合せください。

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※関連記事

株式交換と株式移転の違いとは?手続きや事例、メリット・デメリットを解説

株式移転の事例

2014年10月に、ネットワークエンターテイメント業を運営しているドワンゴと、出版・映像のエンターテイメント業を実施しているKADOKAWAが、共同株式移転を用いて株式会社KADOKAWA・DOWANGOを設立しました。

既存2社の経営権は、新設された株式会社KADOKAWA・DOWANGOに託され、各々が同じ管轄の企業として独自経営を実施しています。このように、同業の企業間で統合すれば市場のシェアが広がり、利益が向上しやすくなることでしょう。

ほかにも全く異なる事業を実施する企業間で、新規事業参入を目的に経営統合した例もあります。飲食業界の企業が服飾業界の企業と共同株式移転を実施するケースでは、これまでに得られていなかった利益や業界独自のノウハウなどを獲得できます。

株式移転でホールディングカンパニーを作るポイント

この項では、株式移転でホールディングカンパニーを作るポイントについて解説します。

M&Aによるホールディングカンパニー設立

株式保有に特化したホールディングカンパニーの設立は、会社分割によるM&Aでも実現できます。ただし、株式移転によって設立する方が手続きしやすいです。というのも、会社分割では基本的に債権者保護手続きが必要ですが、株式移転では原則不要です。

ホールディングカンパニーを設立する目的であれば、株式移転の活用がベストでしょう。もし、選択すべき手法に悩んでいるのであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。

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株式移転でホールディングカンパニーを設立するメリット

ホールディングカンパニーを設立することで経営を効率化できます。持株会社化によって各子会社は事業の遂行に専念でき、親会社は大局的な意思決定に集中できます。また、ホールディングカンパニーの設立には、リスク分散のメリットもあります。

一つの企業で複数の事業を運営する場合、ある事業が経営不振に陥るとほかに悪影響が生じます。持株会社化により各企業を切り離せば、一企業の影響が全体に拡散することを阻止できます。

※関連記事

持株会社設立による経営統合とは?設立手順やメリット・デメリット、持株会社の上場を解説

株式移転の仕訳と税務

株式移転ではお金の動きがともないます。適切な会計処理を行い、税務を見落とさないように注意しましょう。この項では、株式移転の仕訳と税務について説明します。

株式移転の仕訳

株式移転では、新設会社・取得企業・被取得企業・取得企業の株主・被取得企業の株主など計5種類の立場によってそれぞれ仕訳が異なります。会社の分類ごとに仕訳処理を詳しく解説します。

新設会社

新設会社では、新株発行による資本金と資本剰余金の増加、子会社株式の取得などを仕訳します。具体的には、借方に子会社株式貸方に資本金と資本剰余金をそれぞれ仕訳します。

取得企業と被取得企業

株式移転では、各企業の株主と新設会社で取引します。原則的には、会社にかんする仕訳は発生しません

取得企業と被取得企業の株主

株主に関しては、持分比率や株式の種類変動に応じて仕訳を実施します。株式移転による変動がない場合は、仕訳の必要はありません。以上が基本的な仕訳処理ですが、共通支配下での株式移転では、異なる処理が発生します。

株式移転の税務

株式移転の税務に関する概要

株式移転では株式交換などと同様に組織再編税制が適用されます。税制適格要件に該当すれば非課税でM&Aを実行できますが、該当しなければ譲渡益に対して課税されます。株式移転の税負担を軽減する上でも、極力税制適格要件を満たすことが望ましいです。

株式移転の適格要件

株式移転の税務は、M&Aの当事会社間の関係によって適格要件が異なります。完全支配関係がある場合は、金銭等不交付要件と継続保有要件の二つが適格要件です。前者は対価として株式以外が交付されないこと、後者は完全支配関係がM&A前後で継続することを要件としています。

完全支配関係間での株式移転は適格要件が緩いですが、支配関係間や共同事業目的のM&Aでは適格要件が厳しくなります。

株式移転における親子会社の関係

株式移転では、親会社と子会社の立場があります。会社法の第2条第3号には、「会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営をしている法人として法務省で定めるもの」と記載されています。

他社株式の過半数を有し議決権を掌握している方が親会社で、議決権を握られている方が子会社です。株式移転の場合、株式移転完全親会社、株式移転完全子会社と呼ばれます。

ホールディングカンパニーの子会社になると、経営の軸を変更しないまま存続されます。全ての株式が親側に集められるので、株主招集通知なども不要になり、経営が一体化しやすいのが特徴的です。

完全親子関係を知るためには、連結財務諸表が重要な役割を果たします。連結財務諸表とは、新設された親会社が傘下の財務状況やキャッシュフロー、企業の業績などをまとめて報告するものです。政府に提出することで支配関係を把握できます。

まとめ

統合には不安がつきものです。社風や経営方針が変わり、退職を考える従業員が出てくることもあります。株式移転を活用すれば、経営統合を実現しながら自社の独自性を維持できます。自社にあった条件や、状況、環境に応じて株式移転を活用することが大切です。

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