2020年1月25日更新会社・事業を売る

株式譲渡における株主総会

株式譲渡とは、会社の株式を譲渡するM&A手法です。取締役会設置会社の場合は原則取締役会にて株式譲渡を承認し、取締役会がない企業では株主総会で株式譲渡を承認します。本記事では、株式譲渡と株主総会の関係について詳しく解説しています。

目次
  1. 株式譲渡における株主総会
  2. 株式譲渡と株主総会
  3. 株式譲渡時の株主総会における議決権
  4. 子会社の株式譲渡と株主総会
  5. まとめ
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株式譲渡における株主総会

中小企業、スタートアップ、ベンチャー企業によるM&Aが活発になっています。後継者問題や経営の先行き不安により、M&Aで会社を売却する事例が増加しているのでしょう。そのM&Aでよく用いられる手法が株式譲渡です。

株式譲渡は、ほかの手法と比べて中小企業にとってメリットの多い手法です。ただし、ほかのM&A手法と同様、手続きには専門的な知識を要し、法律面で求められる知識は特に高度です。中小企業にとって株式譲渡の法務は難しく感じるでしょう。

株式譲渡の法務で特に難しいのが株主総会に関する事項です。株式譲渡では株主総会を実施する場合があり、通常の株式譲渡よりも考えるべき事柄が多くなります。そこで今回は、株式譲渡における株主総会に関して解説します。

※関連記事

株主総会とは?意味や時期、決議事項やスケジュールを解説

株式譲渡と株主総会

株式譲渡と株主総会の関わりについて理解するためには、株式譲渡の内容を把握する必要があります。早速、株式譲渡に関する基本事項をお伝えします。

株式譲渡の概要

株式譲渡とは、会社の株式を譲渡するM&Aの手法です。株式会社ではあらゆる事柄が株主総会で決定されます。株主総会の決議は議決権(株式)による多数決が原則です。議決権の保有者による多数決で会社に関わるあらゆる事項が決定されます。

つまり、議決権を多く持つほど株主総会で行使できる権限が大きくなる仕組みです。株式譲渡はこの仕組みを利用した手法です。全株式を譲渡すれば相手が全ての事項を一人で決定でき、実質的に会社の経営権を移転することもできます。

株主を変更するだけなので、ほかのM&A手法と比べると手続きが簡便です。そのため、多くのM&Aは株式譲渡によって行われています。事業譲渡や会社分割で必要となる特別決議も原則不要です。ただし、子会社の株式譲渡では特別決議が必要となる場合があります。

また、株式譲渡では売り手の会社が持つ一切の資産や負債などを承継するため、売り手の選択には注意が必要です。もし、理想的な売り手を見つけたければM&A総合研究所にご相談ください。

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譲渡制限株式

株式譲渡の実施では、株式に譲渡制限が設定されているか確認しなくてはいけません。譲渡制限は不適切な第三者が権限を持たないように設定され、ほとんどの中小企業では株式に譲渡制限がかけられています。

株式譲渡が制限されている場合には所定機関による株式譲渡の承認が必要です。譲渡制限が存在しないならば理論的には自由に株式譲渡を実行できます。ちなみに、譲渡制限が設けられていない企業を公開会社と呼びます。

譲渡制限株式を譲渡する手続き

⒈株式譲渡の承認を請求

株式の譲渡側と取得側のどちらかが承認を請求します。請求の際は譲渡株式数や譲渡相手の氏名などを含む書面を発行することが大切です。義務はありませんが、手続きに関するトラブルを防ぐことにつながります。

⒉承認機関による決議

企業側は承認請求後に承認機関による決議を実施します。不承認の場合は、企業側は「指定買取人による株式買取」、「企業による株式買取」、「企業と指定買取人の共同による株式買取」の中から選択し、買取請求に移ります。

⒊株式譲渡の承認請求に回答

企業側は、定款に定められた機関に応じて譲渡の可否を判断し、承認請求から2週間以内に回答を通知します。通知しなかった場合は、承認機関の決定によらず譲渡の承認が決定するので注意してください。企業は期限を正確に把握しておくことが重要です。

⒋株式譲渡の契約を締結する

譲渡人と譲受人の間で株式譲渡契約を結びます。株式譲渡契約書に必要事項を記載し、譲渡人と譲受人の両方が記名・押印します。記載内容は、株主の氏名、株式譲渡の価格、対価の支払い方法などです。株式発行会社の場合は株券を交付する必要があります。

⒌株主名義の書き換えを請求

株式を受け渡しただけでは株式譲渡は完了しません。企業が保有する株主名簿の書き換え手続きが不可欠です。新株主は企業に対して書き換えの請求し、証明書を交付してもらいます。この書類は新株主の立場を証明するのにも活用できます。

⒍株主総会などを開催して新経営体制を発足

名義書き換えによって経営権が移行した後、新株主が議決権の行使によって株主総会などを開催し、新役員などを選任するのが一般的です。

株式譲渡の承認機関

株式譲渡が制限される企業では所定機関から承認を受ける必要があります。取締役会の設置の有無により、株式譲渡を承認する機関は異なります。取締役会設置会社の場合、原則取締役会にて株式譲渡を承認します。一方、取締役会がない企業は株主総会によって株式譲渡を承認します。

ただし、取締役会設置会社でも、定款の定め次第で株主総会にて株式譲渡を承認可能です。なお、株式譲渡の承認に際して株主総会の普通決議を実施します。普通決議とは下記条件の両方を満たす株主総会です。

  • 議決権株式の過半数の出席
  • 出席議決権のうち、過半数の賛成

以上が、株式譲渡の承認機関に関する説明となります。株主総会の必要可否は取締役会の設置有無によって異なります。

※関連記事

株式譲渡とは?メリット・デメリット、M&A後の社員や税務を解説

株式譲渡時の株主総会における議決権

株式譲渡と株主総会に関わる事柄として議決権行使の可否が挙げられます。細かい条件によって変わるため、紛らわしく感じる方もいるかもしれません。ここからは、株式譲渡、株主総会、議決権の関わりについてご説明します。

譲渡人における議決権行使の可否

株式譲渡の際、取締役が株式を売却するケースが一般的です。そのとき、譲渡人が譲渡承認の決議で議決権を行使できるかは承認機関によって異なります。

取締役会で株式譲渡を承認する際は、譲渡人は議決権を行使できません。会社法で譲渡人は特別利害関係人に該当するからです。一方、株主総会で株式譲渡を承認するケースでは譲渡人でも議決権を行使できます

ただし、議決権行使により著しく不公平な決議に至った場合は株主総会の決議が取り消される恐れがあります。

議決権を行使できないケース

株式譲渡において譲渡人は原則株主総会で議決権を行使できます。ただし、特殊な条件下では議決権の行使が認められません。株式譲渡が不承認となり、株式の買取を実施するケースが該当し、会社側は譲渡対象の株式を買い取る必要があります。

その際、株主総会を開いて株式を買い取る旨と買い取る株式の数を決議しますが、譲渡人は議決権を行使できません。ただし、譲渡人以外に株主総会で議決権を行使できる株主が存在しないケースでは議決権を行使可能です。

株式譲渡の承認を却下する際には上記の点に注意しましょう。

子会社の株式譲渡と株主総会

最後に、子会社の株式譲渡に関して解説します。通常の株式譲渡とは手続きが若干異なるので注意が必要です。

子会社の株式譲渡とは

子会社の株式譲渡とは子会社の株式を親会社が売却する行為です。子会社の株式譲渡は、経営の立て直しや資金調達の目的で実施されます。近年は、大企業が子会社を売却するケースが増加し、今後もその傾向が続くと予想されます。

税務面

子会社の株式譲渡では課される税金が通常と異なります。一般的な株式譲渡では株主が個人であるケースがほとんどで、売り手の譲渡所得に対して所得税や住民税が課されます。

一方、子会社の株式譲渡では親会社が株主となり、獲得した利益は法人のものと見なされ、株式譲渡を実施した法人に対して法人税が発生します。

海外子会社の売却

海外子会社の株式譲渡を行う際は、子会社が所在する国でも課税が生じる恐れがあります。具体的には、中国やシンガポールなど、租税条約が結ばれている国で課税が発生します。ただし、事業譲渡類似株式に該当しない場合には課税が発生しません。

子会社の株式譲渡で株主総会が必要となるケース

子会社の株式譲渡でも基本的には取締役会の決議で十分です。ただし、下記条件を満たす株式譲渡では株主総会が必須です。

  • 譲渡する子会社株式の価額(簿価)が、親会社の総資産額の5分の1を超える
  • 株式譲渡にともない、親会社が子会社議決権の過半数を保有しない状態となる

子会社の株式譲渡を行うときは株主総会の有無を確認するのが重要です。

株主総会の決議

子会社の株式譲渡では株主総会とともに特別決議が必要となる点には注意しましょう。特別決議とは下記条件によって決議する株主総会です。

  • 議決権株式総数の過半数が出席
  • 出席議決権数のうち、3分の2以上の賛成

特別決議は普通決議よりも重要な内容を決議する株主総会です。ではなぜ、普通決議ではなく特別決議が必要となるのでしょうか?株主総会が必須となる株式譲渡では、事業譲渡と同様の効果が発生します。

一部の事業譲渡では特別決議が必須であり、効果は同じなのに株主総会が異なるのは合理的ではありません。そうした事情から平成26年以降は特別決議が必要となりました。以上、子会社の株式譲渡と株主総会の関係についてご説明しました。

もし、子会社の株式譲渡を行うのであればM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aを国内最安値の水準でフルサポートいたします。相談は無料なのでお気軽にお問い合わせください。

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※関連記事

子会社の株式譲渡

まとめ

今回は、株式譲渡における株主総会に関してお伝えしました。株式譲渡に制限が設けられている場合は譲渡承認が必要で、取締役会や株主総会にて決議します。通常は譲渡人も株主総会で議決権を行使できます。

ただし、株式譲渡が否認された場合に株式の買取を行う際は議決権を行使できません。なお、取締役会で決議する際は議決権の行使は認められず、パターンごとに議決権行使の可否は異なります。

株式譲渡の実行時は、自社の状況や組織構成を確認しましょう。また、子会社の株式譲渡でも株主総会が必要となる場合があります。ただし、普通決議ではなく特別決議が必要です。稀なケースですが知っておいて損はありません。

一見簡単にみえる株式譲渡でも意外と手続きは複雑です。特に株主総会や議決権については専門的な知識が問われます。法務面に詳しくない限り独力で手続きを実行するのは困難でしょう。したがって、M&Aアドバイザリーの助力を得たうえで株式譲渡を行うのがベストです。

最後に要点を下記にまとめます。

・株式譲渡とは
会社の株式を譲渡する形で実施するM&A

・譲渡制限株式とは
譲渡に制限がかかっている株式

・株式譲渡の承認機関
取締役会設置会社では取締役会、それ以外は株主総会(普通決議)

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