M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2021年4月21日更新会社・事業を売る
株式譲渡承認請求書とは
株式譲渡承認請求書とは、株式を発行している会社に株式譲渡を認めてもらう目的で作成する書類のことです。株式譲渡承認請求書を作成する際には、押さえておかなければならないポイントがあるため、注意が必要です。ここでは、株式譲渡承認請求書について詳しく説明します。
株式譲渡承認請求書とは
経営者であれば、M&Aや相続などで「株式譲渡承認請求書」を目にする機会が多いかもしれません。株式譲渡承認請求書とは、株主が第三者に株式を譲渡する際に、株式を発行している会社に株式譲渡を承認してもらう目的で作成する書類をさします。
今回は、株式譲渡承認請求書作成の手続きについて紹介します。
株式譲渡承認請求書の概要
先述したように、株式譲渡承認請求書とは、株主が第三者に株式を譲渡する際に、株式を発行している会社に株式譲渡を承認してもらう目的で送付する書類をさします。
上場株式と非上場株式
通常、株式は「上場株式」と「非上場株式」の2種類に分かれます。「上場株式」とは、一般の投資家を含めて自由に取引できるもので、取引が制限されません。一方で、「非上場株式」は、ほとんどの中小企業に見られる株式で、株主から許可を得ない限り、一般の投資家は取引できません。
株式は経営権を左右するものであるため、発行する株式に譲渡制限を設けている会社がほとんどでしょう。なぜなら、譲渡制限を株式に設けることで、経営権を守ることができるからです。
しかし、株式に譲渡制限を設けている場合には、株主が亡くなった際に株式を相続し名義を変える必要が出てきます。また、名義変更に伴い、後継者に経営権を移譲するため、譲渡制限株式を譲渡しなければなりません。このときに必要な書類が「株式譲渡承認請求書」です。
株式譲渡承認請求書の効力
一度、株式譲渡承認請求書が提出されると、受け取った会社は2週間以内にその承認の是非を問う株主総会(取締役会の場合もあり)を開催しなければなりません。株主総会(取締役会)で決議を取り、その結果を請求者に通知する必要があります。
もし、株主総会(取締役会)が決議を取らないまま2週間を過ぎてしまった場合は、自動的に株式譲渡が認められてしまいます。
ここまで聞くと、株式譲渡承認請求書が強力な書類のように思えるかもしれませんが、実際には、事前に株主と会社の経営陣との間で協議しているケースがほとんどです。そのため、あくまで株式譲渡承認請求書は形だけで、すでに株式譲渡自体は認可されている場合が多いでしょう。
また、会社にとって望ましくない人物に株式譲渡される場合、つまり会社が株式譲渡請求を不承認にする際は、会社側から取得する人物を指名できます。このようなケースでは、株式を買い取る必要があり、手続きが変わってくるため注意が必要です。
※関連記事
株式譲渡の制限
株式譲渡における株主総会
株式譲渡承認請求書を作成するうえでのポイント
ここでは、株式譲渡承認請求書を作成するうえでのポイントを解説します。
株式譲渡承認請求書を作成する際に不可欠な3つの要素
株式譲渡承認請求書を作成する際に、不可欠な要素は以下の3点です。
- 譲渡する株式の種類と株式の数
- 譲渡される相手の氏名と住所
- 譲渡する株主の氏名と住所と印鑑
実際に株式譲渡承認請求書を作成する際は、インターネット上に掲載されているテンプレートを参考に作成することをおすすめします。
単独で譲渡請求できる条件
株式譲渡は原則として、譲渡する株主と譲渡される相手の共同で請求します。なぜなら、株式譲渡があくまで個人間のやり取りであるとしても、他の株主に影響を与え、最悪な場合損害を発生させる恐れがあるからです。
ただし、譲渡する株主に対して株式譲渡承認を請求する判決が出ている場合は、その旨を証明する書類を提供すれば単独で譲渡請求できます。また、株式譲渡承認請求書が不承認にされ、会社から指名する買い取り相手になった場合は、その旨を記載する必要があります。
事前協議が成立している場合は手間がかからない
株式譲渡承認請求書はシンプルな書類であるものの、株式譲渡において非常に重要な書類です。もし株式を発行している会社との事前協議が成立しているのであれば、先方のアドバイスを得たうえで書類作成できます。そのため、あまり手間がかかりません。
一方、事前協議が成立していない状態で株式譲渡請求承認書を送る際は、弁護士や税理士などプロのアドバイスを得ることをおすすめします。
M&A総合研究所では、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが、培ったノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。
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株式譲渡の注意点
株式譲渡承認請求書を作成する際は、株式譲渡の注意点について押さえておくことが重要です。ここでは、株式譲渡の注意点についてお伝えします。
- 知識を習得し正当性にも配慮する
- 税金が発生する
①知識を習得し正当性にも配慮する
株式譲渡を実施する際は、株式譲渡に関する知識を事前に習得し、譲渡そのものの正当性にも配慮することが非常に重要です。
とりわけ株式譲渡承認請求書を作成する必要がある非上場株式は、発行している会社が中小企業であるケースがほとんどです。そのため、株式譲渡の際は、役所などを通す必要がなく、公的な目線がない状態で取引が進みます。つまり、株式譲渡の正当性について法的に証明することが困難となります。
中小企業の中には、株式や株主の管理が雑になっている企業も少なからず存在します。会社法をきちんと理解していない人が経営陣にいるケースも十分にあり得ます。
そのため、株式譲渡を実施する側も、承認する側も、知識不足や管理の悪さが原因で誤った株式譲渡を実施してしまう可能性もあります。
このように、株式譲渡を実施する際は、株式譲渡に関する知識を習得し、正当性にも配慮して実施する姿勢が重要になってきます。少しでも不安を感じる場合は、弁護士などのエキスパートを介在させることをおすすめします。
②税金が発生する
「株式譲渡があくまで個人間のやり取りであるなら、税金は発生しないのでは?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、株式譲渡では基本的に税金が発生します。実際の株価と全く異なる金額で株式譲渡が実施された場合は、利益が生じるため、税務面で問題が発生する可能性があるのです。従って、税務関係に関する協議は、株式譲渡承認請求書を出す前に実施する必要があります。
まとめ
株式譲渡承認請求書の作成自体は、さほど手間ではありません。しかし、株式譲渡で重要なのは、株式譲渡承認請求書を作成する前段階です。
会社側との事前の協議がすでに完了しているのであれば、そこまで手間はかかりませんが、そうでない場合は、あらぬトラブルを発生させるリスクがあります。そのため、株式譲渡承認請求書の作成も含め、株式譲渡の際には専門家の力を借りることをおすすめします。
要点をまとめると、下記の通りです。
・株式譲渡承認請求書とは?
→株主が第三者に株式を譲渡する際に、株式を発行している会社に株式譲渡を承認してもらう目的で作成する書類
・「上場株式」とは
→一般の投資家を含めて自由に取引できるもので、取引が制限されない
・「非上場株式」とは
→ほとんどの中小企業に見られる株式で、株主から許可を得ない限り、一般の投資家は取引できない
・株式譲渡承認請求書の効力
→株主総会(取締役会)が決議を取らないまま2週間を過ぎてしまった場合は、自動的に株式譲渡が認められる
・株式譲渡承認請求書を作成するうえでのポイント
→株式譲渡承認請求書を作成する際に不可欠な3つの要素がある、単独で譲渡請求できる条件がある、事前協議が成立している場合は手間がかからない
・株式譲渡の注意点
→知識を習得し正当性にも配慮する、税金が発生する
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。