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2019年11月27日更新
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自己株式とは?メリット・デメリット、制限やM&Aでの活用をわかりやすく解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

自己株式の目的は、敵対的買収への防衛策や事業承継対策があります。M&Aの対価には、費用や手間を削減できる上に、既存株主の利益も害さない自己株式を利用することをおすすめします。自己株式の利用によるメリットとデメリットをしっかり踏まえ活用しましょう。

目次
  1. 自己株式
  2. 自己株式とは?自己株式の意味
  3. 自己株式取得の目的
  4. 自己株式のメリット・デメリット
  5. 自己株式を取得する際の制限
  6. M&Aの対価を自社株式で実施する場合
  7. 自己株式を取得する3つの方法
  8. 自己株式を取得した時の仕分け・会計処理
  9. まとめ

自己株式

自己株式

「自己株式」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。

 

自己株式について知っておくと、ビジネスの場面で何かと便利です。

 

特に経営者にとって自己株式は、様々な場面で役立つツールとなります。

 

この記事では、自己株式についてメリットや取得目的などを解説します。

自己株式とは?自己株式の意味

自己株式とは?

まず初めに、自己株式の意味について解説します。

 

自己株式とは、自社で保有している自社株式(自社が発行している株式)を意味します

 

自己株式の取得と言った場合には、自社が発行した株式を他の株主から買い戻す行為を意味します。

 

「金庫株」とも呼ばれている自己株式に関して、一昔前まではその取得が禁止されていました。

 

自己株式の取得により、インサイダー取引や株価操縦、支配権の強化等を実行でき、他の株主に悪影響を及ぼし得ると考えられていたからです。

 

禁止されていたものの、経済界から自由化の要望が相次いで寄せられていました。

 

経済界の要望を受けて、平成13年度の法改正により、自己株式の取得が認められる様になりました。

 

上記の弊害を防ぐ目的で、自己株式の取得に関しては一定の制限が設定されています。

 

自己株式取得の制限については、後ほど詳しく解説します。

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自己株式取得の目的

自己株式取得の目的

実際に自己株式の取得には、どのような目的があるのでしょうか。

主な目的となるのは、下記5つです。
 

  1. 敵対的買収への防衛策
  2. 株価低迷の改善策
  3. 事業承継対策
  4. 少数株主の整理
  5. M&A対価としての利用

それぞれ、順番に説明していきますね。

⑴敵対的買収への防衛策

敵対的買収を仕掛けられた際に、買収を防衛する目的で自己株式取得が実行されます


自己株式の取得により、自社と安定株主の合計持ち株比率が高まります。


持ち株比率の上昇により、相対的に敵対的買収者の取得割合が低下し、買収が困難となります。


自己株式取得により株価も上昇する為、敵対的買収者は通常以上の価格で買収する事となります。


敵対的買収の難易度が上昇し、買収者の意欲を削ぐことが可能です。


敵対的買収者が相当数の株式を取得しているケースでは、自己株式取得が意味を為さないのでご注意ください。

⑵株価低迷の改善策

株価の改善目的で、自己株式取得が用いられるケースもあります。


本質的な企業価値と比べて株価が過小評価されている場合、自己株式の取得により株価上昇の効果が期待できます


自己株式取得により市場に流通する株式数が減少し、一株あたりの価値が上昇します。


一株あたりの価値上昇に伴い、株価の上昇が見込まれる訳です。

⑶事業承継対策

事業承継対策を目的とした自己株式取得は、非上場企業で多用されています。


会社を引き継ぐ後継者には、株式相続に際して多額の相続税が課されます。


現金が無い状態で相続税が課される点は、事業承継では大きな問題点となっています


上記問題への対策として、会社側が後継者から自己株式を取得する事が有効です。


自己株式を取得する際、会社から後継者に対して買収対価として現金を交付します。


後継者は自己株式取得により株式を現金化し、納税資金に充当できます。

⑷少数株主の整理

多数の株主に株式が分散している会社では、少数株主の整理を目的として自己株式取得が実施されます。


株式が分散していると、株主管理に手間や費用がかかる上に、意思決定をスムーズに実施出来なくなります


少数株主から自己株式を取得すれば、上記課題を解決可能です。

⑸M&A対価としての利用

M&A対価への利用目的で、自己株式の取得を行うケースもあります。


M&Aへの自己株式取得については、後ほど詳しく解説します。

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自己株式のメリット・デメリット

自己株式のメリット・デメリット

この項では、自己株式の利用によるメリットとデメリットについて解説します。

自己株式は様々な目的で利用されていますが、どんな目的で使うにしろ、メリットとデメリットが必ず存在します。

自己株式の利用を視野に入れている人は特に、この項には隅々まで目を通しておきましょう。

⑴自己株式のメリット

自己株式のメリットは、前述した活用目的で得られる具体的な効果となります。

もう一度まとめておきますね。
 

  1. 敵対的買収への防衛目的であれば、買収防衛のメリットが期待できます。
  2. 株価対策が目的ならば、株価上昇のメリットを得られます。
  3. 事業承継対策が目的の場合、後継者により多くの現金を残せるメリットがあります。
  4. 活用目的ごとに、自己株式の取得により多種多様なメリットを得られます。


自己株式を取得する際は、目的やメリットをあらかじめ把握しておきましょう。

⑵自己株式のデメリット

メリットの多い自己株式ですが、当然デメリットもあります。

自己株式取得により起こるデメリットは、以下2つです。
 

  1. 資金繰りが悪化する
  2. 処分に手間がかかる

順番に説明していきます。

①資金繰りが悪化する

自己株式取得における最大のデメリットは、資金繰りが悪化する点です。


自己株式を取得する際、会社側は対価として現金を支払う必要があります


取得数や株価等により変わってきますが、多額の資金が必要となる可能性があります。


メリットを得る為に自己株式を取得するにしても、資金繰りが悪化しては元も子もありません。


自己株式を取得する時は、十分な資金力や安定性を確保できている必要があります。

②処分に手間がかかる

自己株式における二つ目のデメリットは、処分に手間がかかる点です。


自己株式を取得したら、いずれは処分手続きが必要となります。


自己株式を処分する為には、取締役会の決議等、面倒な手続きを経なくてはいけません。


手間だけでなく場合によっては追加費用も生じるため、十分な注意が必要です

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自己株式を取得する際の制限

自己株式を取得する際の制限

自己株式の取得に関しては、大きく分けて2つの制限が設定されています。
 

  1. 手続き上の制限
  2. 財源規制


順番に詳しく説明します。

⑴手続き上の制限

自己株式を有償取得する場合、株主総会の決議が必要です。

誰から取得するかによって、株主総会の種類が異なります。
 

  1. 不特定多数の株主から取得
  2. 特定の株主から取得

どちらで取得しても問題ありませんが、種類が違えば当然決議の方法も違います。

順番に見ていきましょう。

①不特定多数の株主から取得

不特定多数の株主から取得する場合には、出席議決権のうち、過半数の賛成により自己株式を取得可能です

具体的には、以下の4つの手順をこなすと取得可能です。
 

  1. 最初の株主総会で取得する株式の種類と数の決定、引換に交付する金銭等の内容とその総額、取得することができる期間の決定。
  2. 取締役会にて上記の決議内容に加え、申込期間や交付する金額の総額などの最終決定。
  3. 決定した「取得株式数」、「額」、「総額」、「申込期間」を株主に通知。
  4. 譲渡する株式の数と種類を明らかにして、株主が申し込み。

特定の株主から取得するよりも、遥かに簡単に自己株式を取得できます。

②特定の株主から取得

任意の株主を指定した上で、その株主から取得する際は、特別決議が必要となります。


特別決議では、出席議決権のうち3分の2以上の賛成が必要となる為、普通決議よりも条件が厳しいです


非上場企業では特定株主からの取得が一般的である為、特別決議を開催しなくてはいけません。


対象外の株主に対しては、「売主追加請求権」が容認されています。


売主追加請求権とは、自身も自己株式取得の対象に含める様に要求する権利を指します。


上記の株主総会決議に加えて、取締役会決議も別途必要です。


自己株式取得に際しては、取得する株式数や種類、総額等を取締役会で決議します。


取締役会の決議内容は、株主への通知が必須となります。

⑵財源規制

自己株式の取得に関して、手続き上の制限に加えて「財源規制」という制限もあります。


財源規制では、自己株式取得に関する金額に制限をかけています。


具体的には、自己株式取得日における分配可能額の範囲内でのみ、自己株式を取得可能です。


言い換えると、分配可能額を超える自己株式の取得は実行できません。


分配可能額は、剰余金を基に一定の調整を加えて算出します。


以上の事から、自己株式の取得を実施する為には、ある程度の資金力が必要となります


自己株式の取得を検討中の方は、事前に分配可能額を把握しておきましょう。


分配可能額が不足している場合は、まずはそちらの対策が最優先となります。

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M&Aの対価を自社株式で実施する場合

M&Aの対価を自社株式で実施する場合

この項では、M&Aの対価に自己株式を用いるケースについて解説します。
 

  1. M&Aとは
  2. M&A対価として利用する為に自社株式を取得するメリット
  3. 自社株式を取得した時の仕分け・会計処理

一つずつ順番に説明していきます。

⑴M&Aとは

M&Aとは、会社同士が合併したり、ある会社が他の会社(事業)を買収する行為を指します
 

M&Aの活用により、買い手と売り手双方にメリットがもたらされます。
 

買い手にはシナジー効果獲得やスピーディーな事業規模の拡大など、売り手には主力事業への集中や売却利益の獲得等のメリットがあります。


M&A手法には、現金を対価として支払う株式譲渡や、株式を対価として支払う株式交換や会社分割等があります。


このようにM&Aは複雑な一面もあるため、専門家のアドバイスが必要です。

その際にはM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。

相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

また、費用に関しても国内最安値水準ですのでご安心ください。

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規模の小さい企業がM&Aを実施することが考えられますが、そのような案件にも対応しています。

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⑵M&A対価として利用する為に自社株式を取得するメリット

M&A対価として自社株を取得する最大のメリットは、「新株発行の手間とコストを削減できること」です。

M&A手法には、前述した通り対価を株式とするもの(株式交換や会社分割)があります。


対価とする株式は、新株発行もしくは発行済の自己株式のいずれかを用います。


新株を発行する場合、株式数増加による希薄化や新株発行の手間の発生等、様々なデメリットが生じます。


経営者と株主、双方にとって好ましくありません。


一方で自己株式を取得してそれを対価とすれば、上記のデメリットを回避できます。


他の株主や経営者にとって、自己株式を対価とした方がメリットは大きいです。


費用や手間を削減できる上に、既存株主の利益も害さない為、M&Aの対価には自己株式の利用を強くオススメします。


ただ、自己株式の使用は売り手との合意を得ておく必要があり、その際にはお互いの条件を合致させておく必要があります

もし条件の合う売り手を見つけたければ、M&A総合研究所のM&Aプラットフォームを活用してください。

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自己株式を取得する3つの方法

自己株式を取得する3つの方法

ここからは、自己株式の取得手続きを行う実際の流れについて説明していきます。

自己株式を取得するには、以下の3つの方法があります。
 

  1. 市場取引
  2. 公開買い付け
  3. 相対取引

1つずつ、順番に説明しますね。

市場取引

市場取引とはその名の通り、市場に流通している自己株式を自分で買い取る方法です

市場に出ている株式を買い取るだけなので非常に簡単な方法ではあるのですが、市場に株式が流通しているということは、会社が上場している必要があります。

前提条件が難しいですが、会社が上場しているのであれば、この方法が一番手っ取り早く自己株式を手に入れることができます。

公開買い付け

公開買い付けとは、取引所外で買い取り額や期間などを決めて公表し、不特定かつ多数の人から自己株式を購入して取得する方法です

取引所内で多数の自己株式を取得して株価に影響が出ないよう、金融商品取引法上で規定されている取得方法であり、上場していない企業でも実施することができます。

相対取引

相対取引とは、売り主となる株主を自己株式の取得にかかる決議によって決定し、市場外でやり取りをする方法です

一見確実で簡単な取得方法に見えますが、この方法を非上場企業がとる場合は注意が必要です。

上場企業と違って市場に株式を出せないため、特定の株主のみから自社株を買ってしまうと、他の株主と比べて不平等になってしまいます。

法律上は原則として、自己株を買い取りについて「株主総会の特別決議」で承認を得なければなりません。

詳しくは本記事第5項にある「②特定の株主から取得」に記載していますので、内容をもう一度確認したい人はご覧ください。

自己株式を取得した時の仕分け・会計処理

自己株式を取得した時の仕分け・会計処理

最後に、自己株式を取得した時の仕訳や会計処理について解説します。


会計処理上自己株式を取得した際は、株主資本の控除として認識します。


つまり取得した自己株式の金額分を、借方に計上する形です


一方で自己株式取得の際に支払った費用は、資産の減少として貸方に計上します。


会計処理の理解を深める為に、具体的な自己株式取得の例を示します。


例)自己株式500株を一株あたり1,000円で取得し、取得代金は現金で支払った。


まず初めに、資産として増加する自己株式の総額を計算します。

・自己株式の計上額=500株×1,000円=500,000円(株主資本の控除)


一方で支払う取得代金は、下記の通り計算されます。

・取得代金=500株×1,000円=500,000円(資産の減少)


自己株式の取得に手数料を要した場合、費用の発生として借方に仕訳します。


会計処理上手数料は、営業外費用として認識します。


以上が自己株式取得の仕訳と会計処理の、基本的な説明となります。


当座預金や預り金等が絡んでくると、仕訳(会計処理)はさらに複雑になります。


今回は最低限、自己株式を取得した際は借方に記載する事を理解しましょう。

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合併と仕訳

まとめ

自己株式の目的は、敵対的買収への防衛策や事業承継対策があります。


M&Aの対価には、費用や手間を削減できる上に、既存株主の利益も害さない自己株式を利用することをおすすめします。


自己株式の利用によるメリットとデメリットをしっかり踏まえ活用しましょう。

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