M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年10月20日更新資金調達
融資を会社が受けるためには?審査に向けた準備を解説
中小企業は、金融機関からの融資で資金調達するのが一般的です。しかし、融資を受けるのは簡単ではなく、融資を受ける理由を明確化して返済財源を確保するなどの必要があります。本記事では、融資を会社が受けるための審査に向けた準備などを解説します。
融資を会社が受けるための基礎知識
経営者にとって、会社の資金繰りは非常に重要な課題であり、特に中小企業の場合は融資を受けて資金調達するケースは珍しくありません。
しかし、融資は簡単に受けられないため、融資を受ける際は会社の経営者としていくつかのポイントを意識しておく必要があります。また、M&Aを目的として資金調達を行う場合は自社に合った方法を選択する必要がでてきます。
その際は、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくとよいでしょう。
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事業性融資を行っている機関
会社が融資を受ける場合、事業性融資を行っているところに相談しなくてはなりません。事業性融資を行っている先として代表的なのが、銀行などの金融機関や日本政策金融公庫であり、そのほかにノンバンクもあります。
それぞれの機関において、融資を受けるためのポイントは少し違いますが、この記事では共通するポイントについて見ていきましょう。
銀行融資と法人の格付
格付けには、決算書などの資料をもとにした定量評価と、経営者の人柄や経営方針などの定性評価があります。これら2つの評価を元に、銀行は法人を5つの債務区分に分けるので、良い条件で融資を受けたければ「正常先」に入る必要があります。
5つの債務区分は下記です。
- 正常先(業績が良く財務内容も問題ない)
- 要注意先(業績が低調で決算書の内容などに問題がある)
- 破綻懸念先(将来経営破たんとなるリスクがある)
- 実質破綻先(深刻な経営難で実質的に経営破たんともいえる状態にある)
- 破綻先(法的・形式的な経営破たんの状態である)
融資を会社が受けるためのポイント
会社が融資を受ける際に、重要となるのが「必要な書類を用意する」ことと「なぜ融資が必要なのかを明確にする」ことです。これがしっかりしていなければ融資の相談を行っても進展しないので、非常に重要なポイントになります。
必要な書類を用意する
会社が融資を受ける際、何より重要なのは書類です。必要な書類を用意し、適切に記入して提出するのは、融資を受けるうえで不可欠です。特に銀行などの金融機関では、書類は面談よりも重視されるでしょう。
この段階で手を抜いてしまうと、融資の実現は難しくなります。融資の際に必要な書類は意外と多く、決算書はもちろんのこと、事業計画書や状況に応じて資金繰り表も必要です。事業計画書と現在の状況が乖離している場合、その原因を分析してまとめた書類も大事になります。
融資を受ける必要性やメリットについても書類にしてまとめておくと良いでしょう。事業計画書や融資を受ける必要性、メリットは相手が納得できるだけのクオリティで作成する必要があります。書類のクオリティは融資が受けられるかを左右する重要な要素です。
相手を納得させるよう、入念に作成しましょう。必要な書類は、下記になります。
- 登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 納税証明書
- 決算書(損益計算書、貸借対照表)(2-3期分を求められるケースもある)
- 確定申告書
- 資金繰り表
- 事業計画書
- 試算表
- 借入状況一覧
- 建設業は手持工事明細表
なぜ融資が必要なのかを明確に
会社が融資を受ける理由の説明は、最初の交渉段階でもっとも重視される行為です。理由を明確に説明できることは必要不可欠であり、以下の項目を経営者が説明できなければ、会社が融資を受けるのは困難でしょう。
- 具体的にいくらの融資を必要としているのか
- どういった意図で融資を受けようとしているのか
悪い例は、「借りられるだけ借りたい」「とりあえず運転資金が必要」などといった発言です。融資する側は、あまりに安易な発言をする相手にお金を貸したいとは思いません。融資して欲しい金額が曖昧なのは、それだけ事業計画や資金繰りのプランが甘い証拠です。
その結果、その会社は単に資金繰り悪化のために融資を求めているとみなされる可能性が高まります。融資はあくまでも、円滑な経営や事業の拡大を助ける手段です。融資自体を目的にしている会社は、経営のやり方が悪いといわざるを得ません。
具体的な金額が記載されている書類を提出して説明する
必要としている融資金額を、具体的な形で見せて説明することは大事です。たとえば、事業に必要な設備を導入したい場合、その設備のパンフレットや業者からの見積書を書類として提出し、経営者が補足すると良いでしょう。
その設備を導入することによる効果を、書類にまとめて説明することも大事です。たとえば、導入によって今よりも生産性が向上する予測ができる場合は、他社における導入後の売り上げ増加率などを記載することで、具体的な効果をより具体的に説明できます。
こうした書類をもとに、目に見える形にして説明することで、融資が受けられる可能性は高くなるでしょう。
返済財源をきちんと確保する
融資は、いうなれば借金です。そのため、返済財源をしっかり確保することも肝心です。銀行などの担当者に対し、返済財源をどこから捻出しているかについて、具体的な数字と一緒に説明する必要があります。
たとえば、数ヵ月後に入金となる売上代金や、設備を導入して増加した売上から返済するなどです。あくまで融資は会社経営を円滑にする手段であって、資金を得る目的で利用するものではなく、返済財源が不明確だと、融資は困難になります。
必要な書類でも紹介しましたが、具体的な資金繰り表を作成しておくと、担当者を納得させられる可能性が高まります。どういった用途で融資のお金を使うか、どうやって返済していくかを明確化すれば、金融機関も安心して会社に融資する可能性が高いでしょう。
信用性を把握しておく
融資を受けるために、金融機関や日本政策金融公庫からの信用度を把握するのは不可欠なプロセスです。信用度を把握するうえでまず重要なのは税金です。税金の支払いは、しっかり社会的に活動しているかどうかの目安になります。
これが滞っている会社は、信用されずに融資を断られてしまう可能性が高く、そもそも税金を払わない会社に融資をしても返済されない可能性が高いと判断され、その時点で融資を断られてしまいます。うっかり税金を滞納していないよう、経営者は入念にチェックしましょう。
担保を用意しておくのも信用を得やすくする方法の一つです。厳密にいうと、担保を用意するのではなく「担保となる資産を所有しているかどうか」が重要です。金融機関は、万が一返済が滞った際に、担保となる資産がある会社を信用する傾向があります。
担保がない、あるいは担保となる資産が第三者から提供されている会社は、融資を受けるのは困難となる可能性があるでしょう。融資を確実に受けるためには、自社による担保提供を考えておくことが望ましいです。ただし、担保に頼りすぎるのは逆効果なので、担保の価格と融資額のバランスは考えなければなりません。
金融機関は融資先の格付けをしている
金融機関は、融資を行っている会社について「格付け」と呼ばれる作業を行います。格付けとは、その会社の信用性をランク分けすることであり、それぞれの会社の財務内容を分析して「正常先」や「要注意先」などに分けています。
会社の信用性は金融機関でも常に把握できるようにしており、そのことも踏まえて税金や公共料金の支払い、すでに融資を受けていればその返済をしっかりと行えていることが重要です。
当然ですが、高ランクである「正常先」ほど融資が受けやすくなります。ただし、金融機関の格付けは内部の情報で融資先に伝えられることはないので、企業側は、財務内容が良好となるよう普段から尽力していることがポイントです。
銀行から融資を提案される状況が一番良い
自分から銀行に融資を受けに行くのではなく、銀行から融資を提案してもらえる状況が、最も良いシチュエーションです。銀行は、借金を踏み倒されることを嫌い、自分から融資を求めてくる会社に対しては、なかなか融資を認めない傾向があります。
もちろん、すべての金融機関がそうであるとは限りません。しかし、お金を貸す立場を想像してみると、必死に融資を求めてくる人を信頼するのは難しいです。銀行とは普段から付き合い、向こうから融資の営業をしてくれる関係性を構築することが大事です。
特に取引内容は重要であり、売り上げの入金や会社で支払う税金・公共料金の引き落とし、従業員の給料をその銀行に集中させることなど、融資以外で多くの取引をしていると、実際に融資相談をする際に承認されやすくなります。
税理士や弁護士を経由するなど、すでに良好な関係を構築しているところから銀行に紹介してもらうことも、融資を受けやすくする方法です。
財務関係の知識を持っておく
会社の経営者が財務関係の知識を持っておくと、銀行から融資を受けやすくなります。決算書に書かれている財務指標を完全に理解しておくのはもちろん、融資に関する知識や資本にまつわる知識も押さえておくとベターです。
財務関係の知識に長けていれば、事業計画や返済プランの確度や信用性が高いと見なされる可能性が高まります。
面談では誠実な対応をする
上述したとおり、会社が融資を受けるためには根拠に基づいた書類を提出し、それをきちんと説明することで融資が受けやすくなります。言葉遣いや態度も誠実に対応していると、さらに融資が受けやすくなるでしょう。
記事の冒頭で金融機関は書類を重視すると紹介しましたが、それは経営者の人柄を軽視しているわけではなく、面談時にしっかりと対応を見ています。会社や書類の説明ができない経営者や、融資をして当たり前といった態度を取ると印象は良くありません。
融資で資金を出すのは金融機関でも、それを審査するのは担当者(人間)であり、その担当者が上司に掛け合って融資の可否を決定しています。誠実な対応で担当者を見方に付けると、融資の成功率を高くできるでしょう。
日本政策金融公庫は人柄を重視する
創業時や民間の金融機関からの融資が受けにくい会社では、日本政策金融公庫を利用することも多いです。日本政策金融公庫では、経営者の人柄を重視する傾向にあります。そのため、面談なしで融資をすることはなく、必ず面談しなければなりません。
そこで、経営者の会社に対する思い入れや将来性などについてヒアリングし、ときには細かい部分や繰り返し同じ質問をして経営者の対応を見ます。会社に強い思い入れがある、誠実な対応ができる経営者は、融資の返済を後回しにする可能性が低く、確実に返済してくれると判断されやすいです。
日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫のメリットを見ていきましょう。日本政策金融公庫は、銀行融資よりも融資を受けやすいといえます。銀行や信用金庫から融資を断られても、日本政策金融公庫では審査にとおることもあるのです。
日本政策公庫から借入した実績により信用が上がって、銀行からも資金を借りやすくなるメリットもあるでしょう。
金利や借入条件も、法人に有利となる条件を提供しています。1〜2%の金利、創業融資など無保証の融資サービスも提供しています(申し込み条件による)。
日本政策金融公庫から融資を受ける方法
日本政策金融公庫から融資を受ける方法として、下記の書類を準備する必要があります。
- 参考資料(会社案内、製品カタログなど)
- 法人の登記事項証明書
- 最新3期分の決算書・税務申告書
- 納税証明書
- 決算月から時間が経っていれば最近の試算表
- 設備資金を申し込むケースは見積書
- 担保の内容を示す資料(登記事項証明書など)
審査に通過するためにも、資料をきちんと用意し、事業の状況について説明できる状態にしてください。普段から、クレジットカードや税金などの支払いに遅れないことも大切です。
返済は信用のバロメーター
金融機関において、融資後の返済状況は信用を判断する最も重要なバロメーターです。返済が遅れがちな会社に対して、融資の営業をすることはありませんし、融資の相談をしても断られる可能性が高いでしょう。
きちんと返済を行っている会社に対しては、会社の状況が良好になった場合や融資の残高が減ったタイミングで再度融資の提案をしてきます。融資の相談をした場合も、これまでの返済状況から意外と簡単に融資の承認が出るケースは珍しくありません。
日本政策金融公庫は積極的に反復利用を勧めてくる
日本政策金融公庫は、既存融資先への反復利用についても積極的に行っています。反復利用とは、融資残高が減ってきた際に、最初の融資した金額までの範囲内で再度融資をすることです。
たとえば、当初1,500万円の融資を受け、その残高が700万円まで減ってきたタイミングで、再度1,500万円の融資を行い、700万円を融資の返済に充て、残りの800万円を追加の事業資金として利用してもらいます。
日本政策金融公庫からはじめて融資を受ける際、非常に多くの書類が必要であり、場合によっては何度も面談をしてやっと融資が決まります。しかし、反復利用については驚くほど簡単に融資が受けられるでしょう。
こうした反復利用は、普段からの確実な返済が前提であり、この関係を保つために「日本政策金融公庫の返済だけは遅れられない」という経営者もいるほどです。資金調達の度に経営者は不安を感じますが、きちんと返済していればそれが将来の安心につながるのは間違いありません。
融資を会社が受けるための準備
この章では、融資を会社が受けるための準備について見ていきましょう。
銀行、日本政策金融公庫などから融資を受けるときは、「資金を何に使うのか」「どのように返すのか」をしっかりと説明しなければなりません。特に借入が前向きな理由の場合は、どれくらいの利益が見込めるかを表示し、返済が滞らないことを示しましょう。
そのためには、事業の健全性を表す資料を準備し、資金の用途をはっきりさせることが欠かせません。判断するための多くの情報を提供しましょう。また、銀行の融資担当と積極的にコミュニケーションを取ってください。
ただし、中小企業やスモールビジネスなどは、一般的に、大企業よりも信用を得にくいです。中小企業が厳しい状況のもと、融資を受けるには、事前準備が非常に重要といえます。
融資を会社が受けるためのポイントまとめ
融資を得られるかどうかは、その会社や経営者に信用があるかどうかです。金融機関からの信頼を得るために、会社の経営者がやるべき施策は多々あります。もちろん、融資を受ける際はさらにやるべきことがたくさんあります。
普段の取引では良好な関係でも、融資を受ける際は「貸して当たり前」といった対応を取れば融資が受けにくくなりますし、逆に普段は取引せずに融資のときだけしっかりとした対応を取っても融資に結びつく可能性は低いです。
資金調達は1度きりではなく、何度も利用するケースがほとんどですので、普段の付き合いはもちろん、融資相談時にも誠実な対応を取ることが大事です。
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