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2019年11月18日公開
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調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡!手法の違いを解説!どのスキームが得?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

近年、調剤薬局で株式譲渡・会社譲渡が行われる件数は増加傾向にあります。この記事では、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について、各手法の違いやメリット・デメリット、M&Aに成功するためのポイント、またどのスキームが得なのかを解説します。

目次
  1. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡
  2. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の手法の違い
  3. 調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得か
  4. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡する理由
  5. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイント
  6. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の際におすすめの仲介会社
  7. まとめ

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡

近年、調剤薬局業界では、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の成約件数が増加しています。

この記事では、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について、各手法の特徴やメリット・デメリットなどを解説します。まずは、調剤薬局の定義、や株式譲渡・会社譲渡の意味について説明します。

調剤薬局とは

調剤薬局とは、薬剤師が販売又は授与の目的で医師の処方箋に基づいて調剤の業務を行う場所と定義されています。

調剤業務は事実上、薬剤師の独占業務となっているため、調剤薬局には必ず薬剤師を置かなければなりません。また、薬局開設には、薬局開設許可が必要になります。

そのため、調剤薬局業界への新規参入は困難であり、薬剤師の確保や許認可が必要であるため売却先が簡単に見つからないことも多く、調剤薬局に関するM&Aのほとんどは、同業界内で行われています。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、売却企業の株式を買収企業に譲渡して経営権を移行するM&Aスキームを指します。

株式譲渡の大きなメリットは手続きが簡便なことであり、株式の売買だけで経営権を移行することができ、会社の名前や組織の大きな改変をする必要はありません。

株式譲渡はM&Aの中でよく用いられるスキームのひとつですが、非上場の調剤薬局が株式譲渡を行う場合、売却調剤薬局の株価を客観的に評価しなければならないため、M&Aの専門家との相談しながら進めていくことが必要です。

【関連】株式譲渡の方法

会社譲渡とは

会社譲渡と株式譲渡は同じような意味で使われることも多いですが、厳密な定義では、会社譲渡は売却企業そのものを売買すること、株式譲渡は売却企業の株式を売買することを指します。

会社譲渡には、包括的な譲渡を行う吸収合併・新設合併、部分的な譲渡を行う会社分割などがあり、株式譲渡と異なり、会社名の変更を行う手続きや大規模な組織再編を行う必要があります。

また、どのようなM&Aスキームを行うかによって、株主・債権者・従業員などステークスホルダーに対する対処方法が異なります

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の手法の違い

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の手法の違いについて

ここからは調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡による手法の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて紹介します。

調剤薬局を株式譲渡する上でのポイント

先ほど紹介したように株式譲渡は売却企業の株式を譲渡して経営権を取得するM&Aスキームになります。そのため、売却する調剤薬局が株式上場していた場合は必要な株式数を譲渡します。基本的に50%以上の株式を譲渡することで経営権を譲渡することができ、子会社化することができます。

しかし、ほとんどの調剤薬局は非上場です。これらの調剤薬局が株式譲渡により売却する場合、株式を100%譲渡し、完全子会社化する形で包括承継を行います。株式譲渡の際、売却する調剤薬局の経営者は交代することになります

株式譲渡にかかる取引金額ですが、一般的には同業種同規模の上場企業を株価を参考にして取引金額を決めます。

調剤薬局を会社譲渡する上でのポイント

チェーン店展開するような大規模の調剤薬局が会社譲渡する場合は、事業譲渡もしくは会社分割により会社譲渡が行われます。イメージとしては、大規模調剤薬局内の経営改善のため、不採算事業を切り離す目的で会社譲渡が行われます。

一方、小規模調剤薬局が会社譲渡する場合は吸収合併により売却することがほとんどになります。つまり、調剤薬局自体を売却して、廃業することなく事業を継承してもらいます。取引金額は純資産価格法など保有している資産をもとに計算します。

小規模調剤薬局では上場している同業種同規模の企業がほとんどないため、たいていのM&Aでは吸収合併をもとにした包括承継により事業が引き継がれています。

株式譲渡のメリット・デメリット

次は調剤薬局における株式譲渡のメリット・デメリットについて紹介します。

メリット(譲渡側)

株式譲渡の譲渡側のメリットには以下の4つがあります。

  1. 利益が得られること
  2. 売却益に対する税金が少ないこと
  3. 手続きが容易であること
  4. 従業員の不安が少ないこと

調剤薬局を株式譲渡すると、譲渡した株式に対して利益を得ることができます。これが1つ目のメリットです。2つ目のメリットですが、通常、M&Aで得られた利益は経営者個人の所得になるため、所得税が課せられます。所得税は累進課税のため、売却益が大きくなるほど、所得税額は高くなります。

一方、株式譲渡による利益に対する所得税は一律20%(所得税+住民税)と決められています。株式の売却益が大きくなっても税率が20%であるため、節税することができます

3つ目のメリットは手続きが容易であることです。先ほども紹介しましたが、通常のM&Aの場合、会社名の変更を行う手続きや大規模な組織再編を行う必要がありますが、株式譲渡ではこの必要はありません。これは4つ目のメリットと関連します。

調剤薬局の従業員からするとオーナーは変わりますが、勤務地の変更や待遇などは変わらないため、株式譲渡は従業員の不安が少ないM&Aスキームであると言えます

メリット(譲受側)

株式譲渡の譲受側のメリットは手続きが簡便であることです。運営する法人自体は変わらないため、調剤薬局をそのまま運営することができます

デメリット(譲渡側)

株式譲渡における譲渡側のデメリットですが、調剤薬局に関するすべてを清算することができるため、あまりないと考えられます。ただし、相談するM&A専門家は慎重に選ぶ必要があります。

M&A専門家の選定を誤ると十分なサポートを受けられず、思っていたよりも売却益を得られない可能性があります

デメリット(譲受側)

株式譲渡における譲受側のデメリットは包括承継であることです。包括承継とは調剤薬局の資産や負債をすべて引き継ぐことを言います。そのため、譲渡側からすべての情報を開示してもらわないと株式譲渡後、負債過多でいきなり経営難に陥る可能性があります。

株式譲渡により調剤薬局を譲り受ける場合はM&Aの専門家に仲介してもらうようにし、トラブルなく調剤薬局を譲受できるようにしましょう

会社譲渡のメリット・デメリット

続いて調剤薬局における会社譲渡のメリット・デメリットについて紹介します。

メリット(譲渡側)

会社譲渡の譲渡側のメリットには以下の2つがあります。

  1. 事業のスリム化ができること
  2. 法人資金が増加すること

後ほど紹介しますが、調剤薬局事業は調剤報酬の改定などにより収益が減少しています。そのため、多角化経営を行っている法人にとってはシナジー効果を得られにくい事業となっています。このような企業は、調剤薬局事業を事業譲渡もしくは会社分割で売却し、事業をスリム化させて収益性を上げることができます

2つ目のメリットで、会社譲渡を行うとその対価を得ることができます。法人はそれを元手として運転資金や債務返済に充てることができます。これも会社譲渡の大きなメリットであると言えます。

メリット(譲受側)

会社譲渡による譲受側のメリットは必ずしも包括承継が条件でないことです。先ほど株式譲渡では包括承継がデメリットであると紹介しました。これに対して会社譲渡の事業譲渡は包括承継でなく、営業権の売買が原則となります。そのため、負債などすべてを承継する必要はありません

ただし、対象となる調剤薬局で勤めている従業員や薬剤師は承継の対象とならないため、譲渡側や従業員・薬剤師と別途交渉を行う必要があることに注意しましょう。

デメリット(譲渡側)

会社譲渡の譲渡側のデメリットには以下の3つがあります。

  1. 売却益に対する税率が高いこと
  2. 手続きが複雑であること
  3. 従業員に不安が広がること

デメリットの1つ目と2つ目は株式譲渡と比べると大きなデメリットになります。税率に関しては株式の売買でないため、一律20%にはなりません。譲渡側が法人の場合、法人税等が課税されるため、税率は約30%となります。

譲渡側が個人の場合、所得税となり、累進課税が適用されるため、売却益が高くなるほど法人税額は高くなります。手続きに関しては新設合併の場合、会社設立に関する手続きが必要になりますし、大きな組織再編も必要になります。会社譲渡は株式譲渡に比べるとお金が時間が必要になります

3つ目のデメリットについては経営者だけでなく組織も大きく変わるため、勤務地や同じ職場で働く人が変わる可能性があります。その点については従業員に不安を与えることになります。

デメリット(譲受側)

会社譲渡の譲受側のデメリットとしても手続きの複雑さがあります。株式譲渡に比べると会社新設の手続き、組織再編などの手続きが必要になります

株式譲渡と会社譲渡の手法の違い

ここまで株式譲渡と会社譲渡について紹介しましたが、最後に株式譲渡と会社譲渡の手法の違いについて解説します。株式譲渡と会社譲渡の大きな違いは売買する対象です。株式譲渡は、株式の売買を対象としています。それに対して会社譲渡は会社や事業の売買を対象としています。
 

調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得か

調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得かについて

次は調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得なのか実際のM&A事例に基づいて紹介します。

件数が多いのはどのスキームか

調剤薬局のM&Aで最も多いスキームは包括承継を前提とした会社譲渡です。その理由は小規模調剤薬局の売却事例が多いからです。小規模調剤薬局だと非上場しておらず、比較する同業種同規模の上場企業を探すことが困難であるため、株式譲渡はほとんどの場合、行われません。

また、調剤薬局の事業継承を目的としたM&Aが多いため、調剤薬局ごと譲渡する会社譲渡の件数が最も多くなっています。

おすすめはどのスキームか

調剤薬局のおすすめスキームは売却する調剤薬局の規模や目的によって変わります。小規模調剤薬局で事業継承を目的としている場合、包括承継を前提とした会社譲渡をする必要があります。また、中規模調剤薬局で経営のスリム化を行いたい場合は、事業譲渡や会社分割によって売却する方法もあります。

さらに大規模調剤薬局同士の経営統合の場合は、株式譲渡を行うことで簡便に手続きを行うことができます。以上のように一概におすすめスキームが断言できないため、M&Aの専門家に相談するようにしましょう。

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡する理由

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡する理由について

次は調剤薬局が株式譲渡・会社譲渡する理由について紹介します。この記事では4つ紹介します。

1.後継者問題の解決

1つ目の理由は後継者問題が解決するからです。小規模調剤薬局を中心に経営者が高齢化しており、迅速な事業承継が必要になっています。しかし、人手不足などを背景に調剤薬局の後継者が見つかりにくくなっています。これを解決するためにM&Aによる事業承継を行って後継者問題を解決しようとしています

2.薬剤師の確保の難しさ

2つ目の理由は薬剤師の確保が困難だからです。調剤業務を行うためには薬剤師が必須になります。しかし、薬剤師不足が全国的に慢性化しており、特に地方では薬剤師の確保が困難になっています。薬剤師が確保できないという理由で調剤薬局のM&Aを行うという経営者も増加しています

3.報酬改定による影響

3つ目の理由は報酬改定による影響です。調剤業務の報酬は厚生労働省によって決められています。しかし、高齢化により社会保険費が増加しているため、その支出を抑えるため、薬価や調剤報酬を引き下げようとしています。

調剤薬局の売上が減少し、小規模調剤薬局を中心に収益が減少し、経営難に陥る可能性があります。それを回避し、調剤薬局の経営が維持できるように売却するというケースは増加しています

4.別事業・注力したい事業がある

4つ目の理由は別事業・注力したい事業があるからです。これは中規模から大規模で調剤薬局事業を行っている企業に当てはまる理由です。先ほど紹介したように調剤薬局事業の収益は将来的に減少すると見込まれています。

そのため、多額の売却益が得られるうちに売却して、その売却益を別事業に充てようとする動きがあります

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイント

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントについて

最後に調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントを紹介します。この記事では以下の3点について紹介します。

  1. 強みやアピールポイントをまとめておくこと
  2. 納得の行く譲渡先の選定をすること
  3. M&Aの専門家に相談する

1.強みやアピールポイントをまとめておく

1つ目の成功ポイントは強みやアピールポイントをまとめておくことです。調剤薬局を売却するときの取引価格は企業価値をもとに計算されます。この企業価値の計算方法はいくつかあるのですが、基本的には純資産額にのれん代を加えた額が取引金額になります。

のれん代とは企業の純資産額を超えて支払われる対価のことで、調剤薬局の強みが多いほど、それが評価されるほどのれん代は高くなります。つまり、調剤薬局の強みやアピールポイントをまとめておき、正確にアピールすることができれば、売却益をたくさん得ることができます。

2.納得の行く譲渡先の選定をする

2つ目の成功ポイントは納得のいく譲渡先の選定をすることです。先ほど紹介したのれん代は譲渡先の主観で決められる場合があります。例えば、同じ強みであったとしても、譲渡先のニーズに合わなければ、期待している金額よりものれん代が低くなる可能性があります

そのため、譲渡先の選定は慎重に行うようにしましょう。

3.M&Aの専門家に相談する

3つ目のポイントはM&Aの専門家に相談することです。特に調剤薬局業界は薬剤師が必須であることや許認可制であることから特殊な業界であると言えます。そのため、調剤薬局業界に精通しているM&Aの専門家に相談するようにしましょう。

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の際におすすめの仲介会社

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の際におすすめの仲介会社について

調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡を成功させるためには、M&Aに関する知識や見解に加え、調剤薬局業界に精通していることも必要になります。そのため、M&A仲介会社など専門家のサポートは不可欠ともいえるでしょう。

M&A総合研究所では、M&Aや事業承継・事業継承に関する実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士3名によるフルサポートを行っています。

また、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡については、薬剤師がM&Aのお手伝いをいたします。

料金体系は、着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬型を採用しており、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

無料相談は24時間年中無休でお受けしていますので、調剤薬局のM&Aや譲渡をご検討の方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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まとめ

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡 まとめ

今回は、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について解説しました。調剤薬局の中でも規模や状況が異なっているため、各調剤薬局に合ったM&Aスキームで行う必要があります

  • 株式譲渡と会社譲渡の違いについて→譲渡する対象が異なっており、株式譲渡は株式を、会社譲渡は会社を譲渡します。
  • 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントについて→自社内でできることは準備しておき、そのほかはM&Aの専門家に依頼するようにしましょう。
調剤薬局の事業継承を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、調剤薬局業界に関して精通している必要があるため、M&Aの専門家に相談しながら進めていく必要があります。

M&A総合研究所では、M&Aや事業継承に関する実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士が調剤M&Aチームを編成し、フルサポートいたしますので、スムーズな事業継承が可能です。

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