2020年3月4日更新業種別M&A

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡!手法の違いを解説!どのスキームが得?

近年、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡が行われる件数は増加傾向にあります。この記事では、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について、各手法の違いやメリット・デメリット、スキームの損得、M&Aに成功するためのポイントなどを解説します。

目次
  1. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡
  2. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡のポイント
  3. 調剤薬局の株式譲渡のメリット・デメリット
  4. 調剤薬局の会社譲渡のメリット・デメリット
  5. 調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得か
  6. 調剤薬局が株式譲渡・会社譲渡する理由とは
  7. 調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイント
  8. まとめ
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調剤薬局のM&A・事業承継

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡

近年、調剤薬局業界では、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の成約件数が増加しています。この記事では、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について、各手法の特徴やメリット・デメリットなどを解説します。まずは、調剤薬局の定義や株式譲渡・会社譲渡について説明します。

①調剤薬局とは

調剤薬局とは、薬剤師が販売または授与の目的で、医師の処方箋に基づいて調剤の業務を行う場所と定義されています。調剤業務は事実上、薬剤師の独占業務となっているため、調剤薬局には必ず薬剤師を置かなければなりません。

また、薬局開設には、薬局開設許可が必要になります。そのため、調剤薬局業界への新規参入は困難であり、薬剤師の確保や許認可が必要であるため、売却先が簡単に見つからないことも多く、調剤薬局に関するM&Aのほとんどは、同業界内で行われています。

②株式譲渡とは

株式譲渡とは、売却企業の株式を買収企業に譲渡して経営権を移行するM&Aスキームをさします。株式譲渡の大きなメリットは、手続きが簡便で、株式の売買だけで経営権を移行することができ、会社の名前や組織の大きな改変をする必要はありません。

株式譲渡はM&Aの中でよく用いられるスキームのひとつですが、非上場の調剤薬局が株式譲渡を行う場合、売却調剤薬局の株価を客観的に評価しなければならないため、M&Aの専門家と相談しながら進めていくことが必要です。

③会社譲渡とは

会社譲渡と株式譲渡は同じような意味で使われることも多いですが、厳密な定義では、会社譲渡は売却企業そのものを売買すること、株式譲渡は売却企業の株式を売買することを指します。

会社譲渡には、包括的な譲渡を行う吸収合併・新設合併、部分的な譲渡を行う会社分割などがあり、株式譲渡と異なり、会社名の変更を行う手続きや大規模な組織再編を行う必要があります。

また、どのようなM&Aスキームを行うかによって、株主・債権者・従業員などステークスホルダーに対する対処方法が異なります。

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株式譲渡の方法

④株式譲渡と会社譲渡の手法の違い

株式譲渡と会社譲渡の大きな違いは売買する対象です。株式譲渡は、株式の売買を対象としています。それに対して会社譲渡は、会社や事業の売買を対象としています。

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡のポイント

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡の手法の違いについて

ここでは、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡のポイントについてご紹介します。

①調剤薬局を株式譲渡する上でのポイント

株式譲渡は売却企業の株式を譲渡して経営権を取得するM&Aスキームになります。そのため、売却する調剤薬局が株式上場していた場合は、必要な株式数を譲渡します。

基本的に50%以上の株式を譲渡することで、経営権を譲渡し、子会社化できます。しかし、ほとんどの調剤薬局は非上場です。これらの調剤薬局が株式譲渡により売却する場合、株式を100%譲渡し、完全子会社化する形で包括承継を行います。

株式譲渡の際、売却する調剤薬局の経営者は交代することになります。株式譲渡にかかる取引金額ですが、一般的には、同業種同規模の上場企業の株価を参考にして、取引金額を決めます。

②調剤薬局を会社譲渡する上でのポイント

チェーン店展開するような大規模な調剤薬局が会社譲渡する場合は、事業譲渡もしくは会社分割により行われます。イメージとしては、大規模調剤薬局内の経営改善のため、不採算事業を切り離す目的で会社譲渡が行われます。

一方、小規模調剤薬局が会社譲渡する場合は、吸収合併により売却することがほとんどになります。つまり、調剤薬局自体を売却して、廃業することなく事業を継承してもらいます。取引金額は純資産価格法など保有している資産をもとに計算します。

小規模調剤薬局では上場している同業種同規模の企業がほとんどないため、たいていのM&Aでは吸収合併をもとにした包括承継により事業が引き継がれています。

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経営権

調剤薬局の株式譲渡のメリット・デメリット

次に、調剤薬局における株式譲渡のメリット・デメリットについて解説します。

メリット(譲渡側)

株式譲渡の譲渡側のメリットは、以下の4つが挙げられます。

  • 利益が得られること
  • 売却益に対する税金が少ないこと
  • 手続きが容易であること
  • 従業員の不安が少ないこと

1つ目のメリットとして、調剤薬局を株式譲渡すると、譲渡した株式に対して利益を得ることができます。2つ目のメリットについて詳細を述べます。通常M&Aで得られた利益は経営者個人の所得になるため、所得税が課せられます。

所得税は累進課税のため、売却益が大きくなるほど所得税額は高くなります。一方、株式譲渡による利益に対する所得税は一律20%(所得税+住民税)と決められています。株式の売却益が大きくなっても税率が20%であるため、節税できます。

3つ目のメリットは、手続きが容易であることです。通常のM&Aの場合、会社名の変更手続きや大規模な組織再編を行う必要がありますが、株式譲渡ではこの必要はありません。これは4つ目のメリットと関連します。

調剤薬局の従業員からするとオーナーは変わりますが、勤務地や待遇などは変わらないため、株式譲渡は従業員の不安が少ないM&Aスキームです。

メリット(譲受側)

株式譲渡の譲受側のメリットは手続きが簡便であることです。運営する法人自体は変わらないため、調剤薬局をそのまま運営できます。

デメリット(譲渡側)

株式譲渡における譲渡側のデメリットですが、調剤薬局に関するすべてを清算できるため、あまりないと考えられます。ただし、相談するM&A専門家は慎重に選ぶ必要があります。

M&A専門家の選定を誤ると十分なサポートを受けられず、思っていたよりも売却益を得られない可能性があります。

デメリット(譲受側)

株式譲渡における譲受側のデメリットは包括承継であることです。包括承継とは調剤薬局の資産や負債をすべて引き継ぐことをいいます。そのため、譲渡側からすべての情報を開示してもらわないと株式譲渡後、負債過多でいきなり経営難に陥る可能性があります。

株式譲渡により調剤薬局を譲り受ける場合はM&Aの専門家に仲介してもらうようにし、トラブルなく調剤薬局を譲受できるようにしましょう。

※関連記事
株式譲渡とは?メリット・デメリット、M&Aの手続きや税務を解説

調剤薬局の会社譲渡のメリット・デメリット

調剤薬局のM&A・事業承継
調剤薬局のM&A・事業承継

続いて、調剤薬局における会社譲渡のメリット・デメリットについて紹介します。

メリット(譲渡側)

会社譲渡の譲渡側のメリットには、以下の2つがあります。

  • 事業をスリム化できること
  • 法人資金が増加すること

調剤薬局事業は調剤報酬の改定などにより収益が減少しています。そのため、多角化経営を行っている法人にとっては、シナジー効果を得られにくい事業であり、調剤薬局事業を事業譲渡もしくは会社分割で売却し、事業をスリム化させて収益性を上げられます。

2つ目のメリットとして、会社譲渡を行うとその対価を得ることができます。法人はそれを元手として運転資金や債務返済に充てられます。これも会社譲渡の大きなメリットであるといえます。

メリット(譲受側)

会社譲渡による譲受側のメリットは、必ずしも包括承継が条件でないことです。先ほど株式譲渡では包括承継がデメリットであると紹介しました。これに対して会社譲渡の事業譲渡は包括承継でなく、営業権の売買が原則となります。

そのため、負債などすべてを承継する必要はありません。ただし、対象となる調剤薬局で勤めている従業員や薬剤師は承継の対象とならないため、譲渡側や従業員・薬剤師と別途交渉を行う必要があることに注意しましょう。

デメリット(譲渡側)

会社譲渡の譲渡側のデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 売却益に対する税率が高いこと
  • 手続きが複雑であること
  • 従業員に不安が広がること

1つ目と2つ目は、株式譲渡と比べると大きなデメリットになります。税率に関しては株式の売買でないため、一律20%にはなりません。譲渡側が法人の場合、法人税などが課税されるため、税率は約30%となります。

譲渡側が個人の場合、所得税となり、累進課税が適用されるため、売却益が高くなるほど法人税額は高くなります。手続きに関しては新設合併の場合、会社設立に関する手続きが必要になりますし、大きな組織再編も必要です。

3つ目のデメリットについては、経営者だけでなく組織も大きく変わるため、勤務地や同じ職場で働く人が変わる可能性があります。その点、従業員に不安を与えることになります。

デメリット(譲受側)

会社譲渡の譲受側のデメリットとしても手続きの複雑さがあります。株式譲渡に比べると会社新設の手続き、組織再編などの手続きが必要です。

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調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得か

調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得かについて

ここでは、調剤薬局をM&Aする上で、どのスキームがおすすめなのか、M&A事例に基づいて紹介します。

①最も多いスキームとは

調剤薬局のM&Aで最も多いスキームは、包括承継を前提とした会社譲渡です。その理由は、小規模調剤薬局の売却事例が多いためです。

小規模調剤薬局だと上場しておらず、比較する同業種同規模の上場企業を探すことが困難であるため、株式譲渡はほとんどの場合行われません。また、調剤薬局の事業継承を目的としたM&Aが多いため、調剤薬局ごと譲渡する会社譲渡の件数が最も多くなっています。

②おすすめなスキームとは

調剤薬局のおすすめスキームは売却する調剤薬局の規模や目的によって変わります。小規模調剤薬局で事業継承を目的としている場合、包括承継を前提とした会社譲渡をする必要があります。

また、中規模調剤薬局で経営のスリム化を行いたい場合は、事業譲渡や会社分割によって売却する方法もあります。さらに大規模調剤薬局同士の経営統合の場合は、株式譲渡を行うことで簡便に手続きを行えます。

以上のように一概におすすめスキームが断言できないため、M&Aの専門家に相談するようにしましょう。

調剤薬局が株式譲渡・会社譲渡する理由とは

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡する理由について

次は、調剤薬局が株式譲渡・会社譲渡する理由についてご紹介します。

①後継者問題の解決

小規模調剤薬局を中心に経営者が高齢化しており、迅速な事業承継が必要になっています。しかし、人手不足などを背景に調剤薬局の後継者が見つかりにくくなっています。この状況を打破するために、M&Aによる事業承継を行って後継者問題を解決しようとしています。

②薬剤師の確保の難しさ

調剤業務を行うためには薬剤師が必須です。しかし、薬剤師不足が全国的に慢性化しており、特に地方では薬剤師の確保が困難になっています。薬剤師が確保できない理由で調剤薬局のM&Aを行う経営者も増加しています。

③報酬改定による影響

調剤業務の報酬は厚生労働省によって決められています。しかし、高齢化により社会保険費が増加しており、その支出を抑えるため、薬価や調剤報酬を引き下げようとしています。

調剤薬局の売上が減少し、小規模調剤薬局を中心に収益が減少し、経営難に陥る可能性があります。それを回避し、調剤薬局の経営が維持できるように売却するケースは増加しています。

④別事業もしくは注力したい事業がある

中規模から大規模で調剤薬局事業を行っている企業に当てはまる理由です。調剤薬局事業の収益は将来的に減少すると見込まれています。そのため、多額の売却益が得られるうちに売却して、その売却益を別事業に充てようとする動きがあります。

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイント

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントについて

最後に、調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントを紹介します。この記事では以下の3点について紹介します。

  1. 強みやアピールポイントをまとめておくこと
  2. 納得の行く譲渡先の選定をすること
  3. M&Aの専門家に相談すること

①強みやアピールポイントをまとめておくこと

1つ目の成功ポイントは、強みやアピールポイントをまとめておくことです。調剤薬局を売却するときの取引価格は企業価値をもとに計算されます。この企業価値の計算方法はいくつかあるのですが、基本的には純資産額にのれん代を加えた額が取引金額になります。

のれん代とは、企業の純資産額を超えて支払われる対価のことです。調剤薬局の強みが多いほど、それが評価されるほどのれん代は高くなります。つまり、調剤薬局の強みやアピールポイントをまとめておき、正確にアピールすることができれば、売却益をたくさん得ることができます。

②納得の行く譲渡先の選定をすること

2つ目の成功ポイントは、納得のいく譲渡先の選定をすることです。のれん代は譲渡先の主観で決められる場合があります。

例えば、同じ強みであったとしても、譲渡先のニーズに合わなければ、期待している金額よりものれん代が低くなる可能性があります。そのため、譲渡先の選定は慎重に行うようにしましょう。

③M&Aの専門家に相談すること

3つ目のポイントはM&Aの専門家に相談することです。特に調剤薬局業界は薬剤師が必須なほか許認可制なので特殊な業界だといえます。そのため、調剤薬局業界に精通しているM&Aの専門家に相談するようにしましょう。

M&A総合研究所では、各業界におけるM&Aや事業承継に関する実績豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。料金体系は、着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬型を採用しており、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

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まとめ

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡 まとめ

本記事では、調剤薬局の株式譲渡や会社譲渡について解説しました。調剤薬局の中でも規模や状況が異なっているため、各調剤薬局に合ったM&Aスキームで行う必要があります。

調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイントは、自社内でできることは準備しておき、その他はM&Aの専門家に依頼することです。

今回の記事をまとめると、以下のようになります。

・調剤薬局の株式譲渡のメリット
→譲渡側:利益が得られること、売却益に対する税金が少ないこと、手続きが容易であること、従業員の不安が少ないこと
 譲受側:手続きが簡便であること

・調剤薬局の株式譲渡のデメリット
→譲渡側:調剤薬局に関するすべてを清算できるため、あまりない
 譲受側:包括承継であること

・調剤薬局の会社譲渡のメリット
→譲渡側:事業のスリム化ができること、法人資金が増加すること
 譲受側:必ずしも包括承継が条件でないこと

・調剤薬局の会社譲渡のデメリット
→譲渡側:売却益に対する税率が高いこと、手続きが複雑であること、従業員に不安が広がること
 譲受側:手続きが複雑であること

・調剤薬局をM&Aする上でどのスキームが得か
→売却する調剤薬局の規模や目的によって変わる

・調剤薬局が株式譲渡・会社譲渡する理由とは
→後継者問題の解決、薬剤師の確保の難しさ、報酬改定による影響

・調剤薬局の株式譲渡・会社譲渡を成功させるポイント
→強みやアピールポイントをまとめておくこと、納得の行く譲渡先の選定をすること、M&Aの専門家に相談すること

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