2020年1月16日更新会社・事業を売る

適格組織再編とは?適格要件と適格組織再編の種類

適格組織再編とは、適格要件を満たした上で、組織再編税制を利用して行われた組織再編のことです。適格組織再編は税務上でメリットがある反面、手法ごとの適格要件を把握しておく必要があります。ここでは、適格組織再編の種類、適格要件、適格要件の違いなどついて解説します。

目次
  1. 適格組織再編とは
  2. 適格組織再編の種類
  3. 適格組織再編における適格要件とは
  4. 合併・会社分割・株式交換・株式交換における支配関係ごとの適格要件の違い
  5. 現物出資における支配関係ごとの適格要件の違い
  6. 現物分配における支配関係ごとの適格要件の違い
  7. まとめ
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適格組織再編とは

適格組織再編とは、適格要件を満たしている組織再編のことをいいます。1つずつ簡単に説明すると、「適格要件」とは適用を受けるための条件のことです。そして、「組織再編」とは、会社の組織や形態の変更を行い、編成をし直すことです。

つまり、「適格組織再編」を簡単に言うと、「一定の条件を満たしている会社の組織変更」のことをいいます。正確には、組織再編税制(組織再編を実施した際の税金に関する制度)を利用して行われた組織再編を適格組織再編と呼びます。

適格組織再編を行うと法人税の節税につながる

適格組織再編を行うと、移転した資産の譲渡損益、つまり資産を譲渡したときの損失や利益を先延ばしにすることができます。したがって、税務上において法人税の節税につながるというわけです。そのため、適格組織再編は組織再編にかかるコストを軽減するために重宝されます。

ただし、適格組織再編は、資本関係、国内・国際再編であるかどうか、事業の関連性、事業規模など、さまざまな適格要件を満たしておく必要があります。適格要件を満たす際には、組織再編の手法やプロセスを多角的に検討した上で実行する必要があるのです。

もし適格要件を満たしていない場合は、「非適格組織再編」と呼ばれ、節税効果が期待できず、コストがかかる組織再編になります。

簡易組織再編行為と略式組織再編行為

似たような組織再編の「簡易組織再編行為」や「略式組織再編行為」というものもあります。「簡易組織再編行為」は規模に差がある会社同士の組織再編を対象としているものであり、「略式組織再編行為」は完全子会社に近い関係性を持つ会社との組織再編を対象としているものです。

しかし、これらの再編行為は、税務に影響をもたらすものではなく、一定の条件を満たす場合に、合併存続会社などの株主総会の承認を省略できるというものです。適格組織再編とは対象としている手法も異なっています。

適格組織再編を行う際には、M&A総合研究所にご相談を

このように、適格組織再編はややこしい面であるため、実際に行う際にはM&A総合研究所にご相談ください。M&AアドバイザーとM&A専門の会計士と弁護士が親身にサポートいたします。M&Aを実施する際には、その都度、M&A仲介会社・アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがベストです。

また、M&A総合研究所では事前相談を無料で承っております。完全成功報酬制をとっているため着手金などもかかりません。さらに、成功報酬も業界最安値の水準で設定しているため、よりリーズナブルにご利用いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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組織再編税制

適格組織再編の種類

適格組織再編に該当する組織再編の種類は複数あります。ここでは、適格組織再編に該当する6種類の手法を解説します。

  1. 合併
  2. 会社分割
  3. 株式交換
  4. 株式移転
  5. 現物出資
  6. 現物分配

①合併

合併はM&Aや組織再編で使われる手法の1つであり、当事者である複数の会社が互いに統合することで経営統合を行うというものです。合併は、文字通りそれぞれの会社が統合するものであるため、組織が存続する存続会社と組織が消滅する消滅会社が発生します。

合併には大まかに分けて既存の会社同士が統合する「吸収合併」と、新しい会社に当事者となる会社全てが吸収される「新設合併」があります。合併する場合、新設合併を実施すると手続きが煩雑な上にコストが高つくため、吸収合併の方が多く実施される傾向にあります。

②会社分割

会社分割は、会社内の事業の権利義務のすべて、あるいは一部を分割するというM&A・組織再編の手法です。会社分割は大きく分けて2種類あり、既存の会社に事業の権利義務を承継させる「吸収分割」と、新しく会社を設立した上でそこに事業の権利義務を承継させる「新設分割」があります。

また、新設分割に関しては会社単体で実行することが可能です。一見、M&Aの手法である事業譲渡に近いですが、プロセスが大きく異なっており、課税される税金の種類も大きく変わります。

③株式交換

株式交換は対象の会社の株式をすべて取得することによって完全子会社化するという手法です。株式交換は「交換」と名付けられていますが、直接株式を交換し合うわけではありません。

完全親会社となる会社が完全子会社となる会社の株式をすべて取得し、対価として完全親会社の株式を完全子会社に対価分取得させるという形を取ります。組織再編では、子会社や関連会社との関係を整理するだけでなく、M&Aとしても活用されます。

④株式移転

株式移転はホールディングス(持株会社)を設立させる組織再編の手法です。株式移転はホールディングスとなる会社を新しく設立し、そこに当事者となる会社の株式を取得するというものです。一方で、会社の買収には不向きな手法であり、組織再編向きの手法ともいえます。

⑤現物出資

現物出資とは、現物(金銭以外の財産)を利用して出資するという手法です。会社設立をする際に、資本金を増やす目的で使用する手法でもありますが、組織再編の一環として法人が使うケースも多くあります。その場合の効果は会社分割(正確には分社型分割)に近いものになります。

⑥現物分配

現物分配は、現物分配と似ている手法で、剰余金などの配当を現金ではなく現物で行うという手法です。この際の現物は、基本的に株式が使われます。株式を用いる現物分配は、孫会社の子会社化といった組織再編に使うことが多いです。

適格組織再編における適格要件とは

適格要件とは、簡単にいうと「適用を受けるための要件」のことです。適格組織再編を実行する際には満たしておかなければならない適格要件があり、組織再編に関わる会社の支配関係によって変動します。

基本的に、適格組織再編は会社の支配関係が維持されているかどうかによって決定づけられます。そして、適格要件はその支配関係が維持されているかどうかを図る上での条件でもあります。

つまり、会社の支配関係がより強固なものであればあるほど適格要件は少なくなり、適格組織再編は簡単にできるようになります。

支配関係が全くない会社同士の関係では適格要件が増えてくる

一方で、支配関係が弱いものであるほど、あるいは支配関係が全くない会社同士の関係になると適格要件は増えていきます。その際は、適格要件の数だけでなく要件の種類も変わり、事業の規模、事業の関連性、役員の人選なども適格要件に含まれるようになります。そうなると、非常に細かい点にまで気を配らなければならなくなるので注意が必要です。

適格組織再編を実施する上で迷ったり、悩んだりしたときは、一人で悩まずにまずはM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、事前相談を無料で承っております。完全成功報酬制をとっているため、着手金などもかかりません。

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合併・会社分割・株式交換・株式交換における支配関係ごとの適格要件の違い

会社の支配関係ごとの適格要件の違いを「合併」「会社分割」「株式交換」「株式交換」について説明していきます。この4つに関しては手法こそ違いますが、条件の数や種類が同じであるため、まとめてお伝えしていきます。

⑴完全支配関係の場合

完全支配関係にある会社同士が合併・会社分割・株式交換・株式移転を行う場合には、適格要件が最も少なくなります。完全支配関係の場合の適格要件は以下の通りになります。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 継続保有要件
  3. 案分型要件(分割型分割のみ)

①金銭等不交付要件

金銭等不交付要件では、完全支配関係の会社の内、完全親会社(分割承継会社・合併会社)もしくは組織再編後の完全親会社が持つ株式以外の資産を組織再編の際の対価として受け取っていないことが条件です。原則として、完全親会社(分割承継会社)の株式のみが対価として交付されていることが求められます。

②継続保有要件

組織再編を実施する前から完全支配関係があり、組織再編が終わった後も完全支配関係の継続が見込まれていることが継続保有要件の条件です

③案分型要件

分割会社の株主が所有している株式の割合に応じて、組織再編の対価を交付していることが案分型要件の条件です。会社分割の形式の一つである分割型分割にのみ発生する適格要件です。

⑵支配関係の場合

支配関係にある会社同士が合併・会社分割・株式交換・株式移転を行った場合には、完全支配関係時よりも適格要件の数が増えます。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 継続保有要件
  3. 案分型要件(分割型分割のみ)
  4. 事業移転要件
  5. 事業継続要件

④事業移転要件

組織再編後、組織再編がなされた会社において、再編前の従業員の約80%以上が引き続き業務に従事すると見込まれることが事業移転要件の条件です。組織再編の手法によって微細な違いはありますが、基本的には従業員の約80%以上が継続して業務に従事していることが求められている点は共通しています。

⑤事業継続要件

事業継続要件では、組織再編前の主要な事業が組織再編後も引き続き営まれることが見込まれることが条件です。

⑶支配関係のない共同事業再編の場合

会社同士に支配関係のない共同事業再編の場合は、適格要件の数と種類が最も多くなります。組織再編後の事業規模や役員の人選などに関わる要件もあるため、しっかり把握しておきましょう。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 継続保有要件
  3. 案分型要件(分割型分割のみ)
  4. 事業移転要件
  5. 事業継続要件
  6. 事業関連性要件
  7. 選択要件

⑥事業関連性要件

事業関連性要件では、組織再編をした会社同士の事業が相互に関連性を有していることが条件です。

⑦選択要件:その1「同等規模要件」

選択要件とは、2つの適格要件の内どちらかの適格要件を満たしていることが条件です。選択要件として扱われる適格要件には「同等規模要件」「双方経営参画要件」の2つがあります。

一つ目は「同等規模要件」です。組織再編する会社同士の関連を持つ事業(事業関連性要件の基準となる関連事業のみで比較)の売上高、あるは従業者数のどちらかの差が約5倍を超えないことが同等規模要件です。

⑦選択要件:その2「双方経営参画要件」

2つ目は「双方経営参画要件」です。双方経営参画要件では、「合併と会社分割の場合」「株式移転と株式交換の場合」でそれぞれ異なっています。

まず、合併・会社分割の場合は、合併、あるいは分割する前の合併会社・分割会社の特定役員の中から1名以上、被合併会社・分割承継会社の特定役員の中から1名以上をそれぞれ合併、もしくは分割後の合併会社・分割承継会社の特定役員となると見込まれていることが条件です。

一方で、株式移転・株式交換の場合は、株式移転、あるいは株式交換前の完全子会社の特定役員全員が株式移転、あるいは株式交換によって退任しないことが条件です。1人でも完全子会社に残っていれば要件は達成されます。

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現物出資における支配関係ごとの適格要件の違い

現物出資の適格要件も支配関係によって変動します。しかし、合併、会社分割、株式交換、株式移転とは異なる適格要件も含まれますので注意が必要です。

⑴完全支配関係の場合

完全支配関係にある会社間の現物出資は、以下の通りです。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 継続保有要件
  3. 目的物要件

③目的物要件

目的物要件は、下記に該当していないことが条件です。

  • 外国法人に国内の資産、あるいは負債(保有比率が25%以上の外国法人株式は除く)の移転を行うもの(移転する国内資産全てを恒久的な施設に直接帰属させるものは除く)
  • 外国法人が内国法人に海外にある資産、あるいは負債の移転を行うもの
  • 新株予約権付社債に付属されている新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付

⑵支配関係の場合

支配関係にある会社間の現物出資は、以下の通りです。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 目的物要件
  3. 継続保有要件
  4. 事業移転要件
  5. 事業継続要件

⑶支配関係のない共同事業再編の場合

支配関係のない共同事業再編の場合の現物出資の適格要件は、以下の通りです。

  1. 金銭等不交付要件
  2. 目的物要件
  3. 継続保有要件
  4. 事業移転要件
  5. 事業継続要件
  6. 事業関連性要件
  7. 選択要件

合併、会社分割、株式交換、株式移転同様に、現物出資にも選択要件があり、2つの要件のうちいずれかを満たすことが求められます。同等規模要件に関してはほとんど同じであり、双方経営参画要件に関しては合併・会社分割に近いものになっています。

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現物分配における支配関係ごとの適格要件の違い

現物分配は他の組織再編の手法と違い、非常に特殊な適格要件になっている点が特徴です。そもそも現物分配の適格要件は、完全支配関係の継続が前提にありません。そのため、現物分配が終わった後に完全支配関係を終了させたとしても、適格要件を満たしていると扱われます。現物分配の適格要件は以下の通りです。

  1. 内国法人要件
  2. 完全支配要件

①内国法人要件

内国法人要件では、現物分配法人(渡す側)、または被現物分配法人(もらう側)が、いずれも内国法人(日本国内に本店や主たる事務所を有する法人)であることが条件です。

②完全支配要件

完全支配要件では、現物分配の直前に、被現物分配法人(もらう側)が現物分配法人(渡す側)との間で完全支配関係を持っている内国法人(日本国内に本店や主たる事務所を有する法人)のみであることが条件です。

まとめ

適格組織再編は税務上でメリットがある反面、手法ごとの適格要件を把握しておく必要があります。経営者個人の知識だけで難しいなら組織再編に特化した経営コンサルティング会社や税理士事務所などに相談してアドバイスをもらいましょう。

要点をまとめると以下になります。

【適格組織再編とは】

  • 一定の条件を満たしている会社の組織変更のこと

【適格組織再編の種類】

  1. 合併
  2. 会社分割
  3. 株式交換
  4. 株式移転
  5. 現物出資
  6. 現物分配
【適格組織再編における適格要件】
  • 適格組織再編を実行する際には満たしておかなければならない要件のこと
  • 適格要件の種類は金銭等不交付要件、目的物要件、継続保有要件、事業移転要件、事業継続要件、事業関連性要件、選択要件
  • 合併・会社分割・株式交換・株式交換における支配関係ごとに適格要件は異なる

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